No.175764

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん改 その14・5

本編の補完にご利用ください。

2010-10-01 14:46:02 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:9308   閲覧ユーザー数:7322

 

 

「公孫賛様!」

 

 

執務室で仕事をしていた白蓮の元に兵が駆け付ける。

 

 

「なんだ? なにかあったのか?」

「はい! 現在、魏領は兵がほぼいないそうです!」

 

 

それがどうしたと聞こうとした白蓮だったが、傍にいた文官の男が立ちあがった。

 

 

「それは好機ですぞ公孫賛様! 今のうちに魏領をかすめ取るのです!」

「おいおい。さすがにすぐに報復に来るぞ」

 

 

白蓮は呆れ顔で言った。

 

 

「大丈夫です! 絶対にばれません! 今、この時を逃してはこの普は滅びることになりますぞ!」

「そ、そうなのか?」

 

 

あまりの剣幕さに他の者に意見を聞く。

 

 

「その者の言うとおりですぞ!」

「今こそ普軍の強さを見せつけるのです!」

「伯珪様ばんざーい!」

 

 

その場にいた者は皆賛成するのだった。

 

 

ここまで言われては引き下がれないと、白蓮は魏領侵攻を決意する。

 

 

「よし、なら準備を始めろ! 民を傷付けてはならないので少数精鋭で行くぞ!」

『御意!』

 

 

普軍は一つになった。

 

 

 

 

 

「公孫賛様の冀州平定を祝して乾杯!」

『かんぱ~い!』

 

 

文官の男が盃を高く上げ祝勝会が始まった。

 

 

「こんなに簡単にいっていいのかな?」

「公孫賛様の徳のおかげですよ」

「そ、そうかな?」

「ええ! それよりもっと飲んでくだされ!」

 

 

文官の男は盃になみなみと酒を注いだ。

 

 

「一気! 一気!」

 

 

文官の男が白蓮を煽りはじめる。

 

 

「おいおい、さすがにこれは――」

『一気! 一気!』

 

 

一同をあげての一気コールに白蓮は覚悟を決めた。

 

 

「ええーい! どうにでもなれー!」

『おおー!』

 

 

白蓮の飲みっぷりに会場が盛り上がる。

 

 

白蓮は朦朧とする意識の中で今日の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

「冀州に入ったはいいが、誰も気にしていないな」

「皆、心の中では歓迎しておられるのです」

「そ、そうなのかな?」

「もちえろんですとも」

 

 

白蓮は乗せられやすいタイプだった。

 

 

白蓮たちは鄴に入ったのだがそこでも、軍の方がいらっしゃったぞ程度にしか見られていなかたった。

 

 

 

すると城の方から文官のような老人がやって来た。

 

 

「これはこれは新しい太守様。本日はわざわざご足労いただきありがとうございます」

「え、ああこちらこそ」

「なんと公孫賛様が新しい太守とな!」

 

 

 

文官の男が大声で叫ぶと民たちも白蓮に注目する。

視線が気になって恥ずかしい白蓮は俯いてしまう。

その間に文官の男は老人と何やら話をつけていた。

 

 

「それでは公孫賛様、我らの新しい城に向かいましょう」

「あ、ああ」

 

 

為すがままになる白蓮。

 

 

実は最近、ここの太守が不正を起こして罷免されていたのである。

新しい太守が国から派遣されるはずだったのだが戦の準備を進める桂花はそこまで手が回らなかったのである。

こうして鄴の人たちは新しい太守が来たと勘違いしてしまったのである。

 

 

こうして白蓮はなんなく冀州を手中に収め、領土を拡大したのだった。

 

 

孫子曰く「百戦百勝は、善の善なる者に、非るなり。 戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

 

 

百戦して百戦勝つよりも戦わずして勝つ方が重要であるということである。

 

 

無血開城で冀州を得た白蓮はまさに孫子の兵法に則っていたのである。

 

 

普軍の侵攻はまだまだ続く?

 

 

完。


 
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