No.162542

雲の向こう、君に会いに-魏伝- 二十二章

月千一夜さん

お久し振りですww
二十二話公開しますw
今回はまず、勧められた『鍵系』の曲を聴きながら書きました
うん、遥か彼方はさすがにリトバスのEDなだけはありますな
これのEDとも合うかもしれません

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2010-08-01 22:53:18 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:31512   閲覧ユーザー数:24480

『ほ、北郷・・・コヤツは?』

 

『ああ、えっと・・・と、友達?』

 

『やぁねぇ、御主人様ったら♪

お友達なんて、そんな照れなくてもいいじゃない

私達は恋人でしょ、どぅふふふふふふ♪』

 

『いや、お前とはゼッタイにそんな関係にはならないから!!

だから祭さんも、そんな俺から距離をとらないで!!?』

 

 

いきなり俺達のもとに現れた筋肉達磨・・・もとい、チョウセン

祭さんはそんなコイツの姿に、かなり驚いている

 

無理も無い・・・こんな筋肉ムキムキで、ビキニパンツ一丁なんだからな

 

ていうか、こいつが一番この世界で露出が高いんじゃないか?

そう考えると、本当に残念でしかたがない

 

うん、本当に残念だ

いっそのこと、みんなビキニパンツ一丁に・・・

 

 

 

 

 

 

『元気になぁれええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!(ビキニVer)』

 

『キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いやいやいや、すっげえどうでもいいし!

てか、なんでこの人のを想像したんだ!?

てか、何がきたんだ!?

 

 

 

って・・・そんなことよりも、だ

 

 

 

『チョウセン、どうしてここにきたんだ?』

 

『あらん、やっと聞いてくれたわねん』

 

俺の疑問

チョウセンは待ってましたとばかりに、語尾に【はぁと】がつきそうな勢いで言った

滅びてしまえ・・・っと、いかんいかん

 

 

 

 

『御主人様の様子を見に来たのよん』

 

『俺の様子?』

 

『そうよん♪』

 

そう言うと、チョウセンは俺の方をジッと見つめ・・・ハァと大きく溜め息をついた

 

 

『大分・・・進んじゃったみたいねぇ』

 

 

進んだ・・・とは、恐らく【拒絶】のことだろう

だから俺は、無言で頷いた

 

そんな俺の様子を見て、チョウセンはまた溜め息をつく

 

 

『御主人様・・・今からでも間に合うわよ?

いえ、そこまで進行してしまったのならば今しかないわ』

 

 

溜め息のあとの言葉

俺は、チョウセンが何を言いたいのかわかった

 

 

だから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

『チョウセン・・・俺さ、みんなのことが好きなんだ』

 

 

 

俺は夜空へと手を伸ばし、そう答えたんだ

 

伸ばした手・・・その先にある、あの優しい光に目を細めながら

 

 

『皆のことが好きで、皆の生きるこの世界が好きで

皆の守ってきた全てが好きで・・・だから、俺はここで生きていく』

 

『御主人様・・・』

 

『北郷・・・』

 

 

ニッと笑い、二人を見る

二人が今、どんな表情をしているのか・・・よく見えない

それは、確かにすごく怖いことだ

もう大好きな人たちの顔が、ぼやけて見えてしまう

伸ばした手の先、月すらも俺から離れていってしまった

 

 

それでも、俺は・・・まだ生きている

 

こうやって、まだ頑張っていられる

 

 

『チョウセン、俺の答えは変わらないよ

この世界のために、そして皆のために・・・俺を、【使ってくれ】』

 

『御主人様・・・わかったわん

そんな顔されて言われたんじゃ、もう何もいえないじゃない』

 

『はは、悪い』

 

『悪いのは、むしろこっちのほう・・・勝手に巻き込んでおきながら、結局最後まで御主人様のことを利用してしまったのよん』

 

 

本当に申し訳なさそうに言うチョウセン

そんなチョウセンの言葉に・・・俺は声をあげて笑った

 

 

 

『ははは、俺は気にしてないさ

だって・・・そのおかげで、俺は華琳達と出会えた

祭さんとも、こうして仲良くなれた

だから、ありがとなチョウセン

俺を、皆と出会わせてくれて・・・本当にありがとう』

 

『北郷・・・おぬしという奴は』

 

『どぅふふ、これが御主人様が皆に好かれる理由なのよん♪』

 

『くく、違いない』

 

『な、二人してなに笑ってんだよ』

 

 

俺の言葉に、チョウセンは『なんでもないわん♪』とこたえる

それから、いつものように笑い・・・俺達から離れ歩き出した

 

 

『もういくのか?』

 

『ええ、私にも何かできないか・・・もう少し探してみるわん』

 

『そっか』

 

『それから御主人様・・・これから、ますます世界は貴方を【拒絶】していくわ

それはもう、想像を絶するほどの苦しみが待っているということよん

だけどねん、その先・・・終わりの本当に、一歩手前

【蝋燭】の光を忘れないでちょうだい』

 

 

蝋燭の・・・光?

 

 

『チョウセン、それって・・・』

 

『北郷、あやつなら今飛んでいってしまったぞ』

 

 

ちょ、飛んだって・・・

 

 

『化け物じゃな』

 

『化け物だな』

 

 

溜め息と共にこぼれたのは、全く同じ言葉

 

ま、チョウセンだし

そんな一言で解決してしまうのもまた、おかしな話だが

 

しかし・・・

 

 

『【蝋燭】・・・か』

 

何度目になるのか・・・空を見上げ、呟いた

 

【蝋燭】

 

なんでだろう

この言葉がずっと、頭から離れなかったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

《雲の向こう、君に会いに-魏伝-》

二十二章 日が昇ろうとも、空はいつでも-KAZUTO-

 

 

 

「これは・・・」

 

 

一刀の日記を読んでいくうちに、いくつかの疑問が浮かび上がってきた

 

まずは、【チョウセン】という人物

書かれた内容から察するに、一刀は一度この人物に会っているということはわかる

だけど今のところ、いつ会ったのかまではわかっていない

 

またこの人物の容姿についてなのだが、服装についてはよくわからない天界の言葉で書かれているためわからないが・・・

 

 

 

『筋肉達磨』

 

 

 

どうやらこの人物は、相当な筋肉らしい・・・いえ、まぁどうでもいいのだけれど

 

 

次に、【拒絶】という現象

これは今のところ、一刀の体を蝕んでいく病のようなものだと考えている

しかし、何故・・・一刀はこのような状態になってしまったのか

それは書かれていない

 

日記を読んでいくうち、そのことが頭から離れなくなっていく

この先に、書いてあるのかしら?

 

 

「それはわかりませんが・・・少なくとも風は、もう後戻りする気なんてないのですよ」

 

「っ・・・風」

 

 

私の隣、風はニッコリと笑いひらひらと日記を持った手を振ってくる

次は・・・風が読むのね

 

あら、そういえば・・・

 

 

「風・・・貴女、一刀の体のことをいつ知ったの?」

 

 

ふと、わいた疑問

そういえば・・・彼女は私よりも早く、彼の体に起こった異変に気づいていた

 

いったい、いつから?

 

その疑問に答えるよう、風はふっと微笑んだ後・・・日記を開いた

それだけで、皆には伝わった

風が・・・何を言いたいのか

 

 

「それでは・・・お次は風がお読みしますので~

皆さん、お静かにお聞きくださいね~?」

 

 

いつもの調子で、いつもの口調で

 

彼女は語り始める

 

 

それは、彼女が真実を知った・・・ある月の夜の物語

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょっとアンタ」

 

「ん?」

 

会議もあと少しといったある日のこと

桂花の部屋で俺が、黙々と学校についての説明など纏めている時・・・不機嫌な声が、俺にむかってかけられる

 

ご存知、猫耳軍師桂花様だ

彼女は不機嫌オーラ全開で、俺を指差し口を開く

 

 

「さっきからなんなのよ?

カタンカタン筆落として・・・やる気あんの?」

 

 

あ・・・と、言われて気づく

しまったと、そう思った

 

そう、その言葉の通りだ

先ほどから俺は、何度も筆を落としていた

そのたびに、祭さんが拾ってくれるのだが・・・これが、けっこう目立っていたようだ

 

しっかりと手を見ながらなら、なんとか書けるのだが・・・目を離せば、すぐに落としてしまう

あまり見えなくなってしまった今、文字もかなり集中してようやく大きな文字が見えるくらいだ・・・そんな状態だから、どれか一個にしか神経を集中できない

そうする結果、手から意識が離れた途端・・・筆が落ちてしまうのだ

まいった、これは難しいぞ・・・

 

 

「ごめん」

 

とりあえず、こういうときは笑ってごまかすにかぎる

そう思い、笑いながら彼女に謝った

 

「別に、やる気がないわけじゃないんだ

ただちょっと、疲れちゃって・・・さ」

 

こんなこと言ったら、桂花のことだ

『そんなの、貴方の頑張りが足りないからよ』などと、キッツい一言をいただくことになるだろう

でも、これ以外に良い言い訳が思いつかないし

 

そう思い、俺が桂花からの言葉に覚悟を決めたとき

俺の耳に入ってきたのは・・・信じられない言葉だった

 

 

「とにかく、迷惑なの!

そんな疲れたっていうんなら、黙って休憩してなさいよ!」

 

 

え・・・と、素直に驚いてしまった

だって今のって、ちょっと言葉はキツかったけど

 

一応・・・心配してくれてる

そんな感じの言葉だったからだ

 

 

「桂花・・・もしかして、心配してくれてるのか?」

 

 

だからこそ、俺は彼女に聞いてしまう

瞬間・・・

 

 

「なっ・・・!?」

 

 

ガタンと椅子を倒し、慌しく立ち上がる桂花

はは・・・よく見えなくってもわかる

桂花が顔を真っ赤にしている様子が・・・目に浮かぶ

 

 

「はは・・・そっか、桂花が俺のこと心配してくれたのか

ははは、ありがとう♪ 最高に嬉しいよ!」

 

「な、勝手に勘違いしてんじゃないわよ!

誰がアンタのことなんて心配するものですか!」

 

「桂花・・・顔が真っ赤ですよ」

 

「っ・・・気のせいよ!!」

 

 

こんなやり取りに、俺は頬が緩むのを抑えられないでいた

あの桂花が、俺を心配してくれている

 

桂花が俺をどう思っているのかは、正直未だによくわからない

けど俺にとっては、桂花も大切な人のうちの一人で・・・大好きな女の子だ

 

だから、彼女の言葉が素直に嬉しかったんだ

 

 

 

 

「おぉ、桂花ちゃんもついにお兄さんの『はーれむ』入りですか

今日は御馳走ですかねぇ」

 

「風、ありがとう・・・俺、頑張るよ!」

 

「はい、頑張ってくださいねお兄さん」

 

こんな他愛ないやり取りが、本当に幸せだった

 

 

だからこそ・・・

 

 

 

 

 

「何、二人で馬鹿なこと言ってんのよ!!?

頑張るな、むしろ死んでしまえ!!」

 

 

 

 

 

 

その後に続いたこの言葉に、ゾッと・・・胸の奥、一気にあの【感覚】が広がっていったのをよく覚えている

 

体が・・・震えそうになる

けど、俺はそれを・・・無理やり押さえ込んだ

 

広がっていく感覚

 

『恐怖』

 

覚悟を決めたって、こればっかりは・・・俺が消えるその時まで、ずっとついてくるんだろう

 

だけど、負けるわけにはいかないから・・・

 

 

「っ・・・ははは

だったら死ぬ前に、桂花を愛してから死んでやる!」

 

 

 

俺は、そう言って笑う

 

ただ・・・精一杯に笑ったんだ

 

 

 

~『死』

 

彼女の口から出た言葉

 

普段なら苦笑いで終わる、俺と彼女にとってはもはや他愛ないやり取りに使われる言葉

 

それが今は・・・たまらなく辛い

 

それが今は、こんなにも苦しい

 

 

俺に対して、じゃない

 

彼女のことを考えると・・・だ

 

 

これから後、彼女がこのことで傷ついてしまったらと思うと・・・ただ、辛かったんだ

 

まぁ、仮にも・・・彼女が俺のことを少しでも、嫌いじゃなかったらだが

 

俺だって・・・できることなら、この言葉を冗談にしてやりたい

 

『はいはい』と、いつものように苦笑をかえしてやりたい

 

 

けど、そんな簡単なことがもう・・・今の俺にはできなかった

 

情けない・・・溜め息ばかりがこぼれる

そんな不安定な状態だったからだろう

 

 

 

 

 

『さぁ問題です、お兄さん・・・今のお話、どっちが嘘だったのでしょうか?』

 

 

 

 

 

俺は・・・ついに、知られてしまったのだ

 

大切な彼女達・・・その一人

 

彼女・・・風に、俺は気づかれてしまったんだ

 

 

俺は・・・

 

 

『ごめんな・・・風』

 

 

ただ一言・・・謝ることしかできなかったんだ~

 

 

 

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ・・・」

 

息を吐き出し、すっと空を見上げる

見上げた空は、相変わらず曖昧で・・・だけど何となく、今日も綺麗なんだということだけはわかった

 

そんな中、俺はちいさく笑う

 

 

「もうすぐ・・・か」

 

 

笑いながら、こぼれた言葉

後ろではきっと、祭さんが苦笑いしているに違いない

そんなことを考えながら、俺はまたクッと笑う

 

 

「赤さん

俺・・・笑えてたかな?」

 

 

「ああ、上出来じゃったよ」

 

 

上出来だった・・・か

 

 

 

「そっか、なら・・・よかったよ」

 

 

「もっとも・・・あの【テイイク】とやらには、感づかれておったようじゃがな」

 

 

祭さんの言葉

俺はあの時のやり取りを思い出す

ああ、きっと・・・なんて曖昧なもんじゃない

 

もう彼女は、気づいている

 

 

 

 

「そうだね、風には気づかれたかもしれない

でも・・・」

 

 

それでも・・・

 

 

 

 

「風には悪いけど

俺・・・もう少し頑張るよ

まだ、こうしていられるうちにさ

 

だから、赤さん・・・俺に、力を貸してくれるかな?」

 

 

 

歩みは止めない

決意を込め、見つめた先

祭さんがすっと、俺に向かい頭を下げたのがわかった

 

 

「うむ、はなっからそのつもりじゃて

言ったじゃろ?

見届けてやる・・・とな」

 

 

「ありがと、赤さん」

 

 

言って、俺は笑った

 

その時・・・

 

 

 

 

「っ・・・北郷!?」

 

 

 

急に祭さんが、慌てたように声をあげたのだ

 

 

「ん、どうかしたの?」

 

俺は疑問に思い、そうたずねる

 

それとほぼ同時に、『ソレ』はきた

 

 

 

 

 

ドクン・・・!!

 

 

 

 

 

 

「あ・・・れ?」

 

グラリと、歪む視界

天と地がわからなくなる、この不快感

 

ああ、きた・・・【拒絶】が

 

 

しかも、今までで一番強烈なやつが・・・

 

 

次第に、薄れていく意識

 

そんな中、響いたのは・・・声

 

 

 

 

「お兄さんっ!!!!」

 

 

 

俺が愛した、大切な人の声

 

ああ、彼女は・・・

 

 

 

「ふ・・・う・・」

 

 

 

風が、俺を呼んでいる

 

 

 

『さ・・・・・・・こ』

 

 

 

そう思った瞬間、再び聴こえた声

 

だけどこれは、風のじゃない

 

この声は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

~さよなら・・・寂しがり屋の女の子~

 

 

 

 

 

 

これは・・・俺の声?

 

 

 

 

 

 

★あとがき★

 

大変、お待たせいたしました!!

いよいよ連載再開いたしますww

もう、皆様のお声に励まされ吹っ切れましたw興味ある人だけ、ご覧下さいwwww

 

前回コメント下さった皆様、本当にありがとうございます

中にはショートメールでまで励ましてくださる御方まで・・・嬉しくて、コーヒーがぶ飲みしちゃいましたww

 

 

 

もう数えるだけ、あと10もいかないくらいです

 

散りばめられた伏線も、これからどんどん回収されていきますよ

 

エンディングに向け、これから頑張っていきますw

 

それでは、これからもよろしくお願いいたしますwwww

 


 

 
 
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