No.160663

戦え!リトルバスターズ

でくのさん

リトルバスターズ!EXの短編ギャグ小説です。

2010-07-25 20:45:19 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:5130   閲覧ユーザー数:5092

「理樹、正義の味方戦隊はじめるぞ。名前はリトルバ

スターズだ」

 恭介がいつものように宣誓したがこれはない。やり

ようがない。

 なにしろ、敵がいないんだから。

 ……そう、そのときは思っていた。

「ええっ、また出たの? どうして怪人なんかが現れ

るようにっ?」

「出てくるんだし、いるんだから仕方ないだろ。理樹、

グランド東の河原だ、頼んだぞ」

 なぜか恭介が宣言した翌日から、学校の付近で怪人

が出没するようになっていた。

 そのおかげで、本当に僕たちは正義の戦隊をはじめ

ることになってしまった。

 河原に着いた僕と謙吾・真人はすぐに怪人を、……

というか、怪しい人を発見した。

 その怪人はぴっちりとした黒いダイバースーツで全

身を包み、一番深くても膝丈までしかない川で年季の入った竿に針をつけて振り回してい

た。

「ねぇ、あれって僕たちの出番じゃなくて、警察の出番じゃないかな……」

「そんなことはないぞ! あれは怪人だ、しかもサビキ怪人とかだ。釣り竿にサビキ針が

ついているだろ」

「ふぅー、今日も変な怪人だよな。サビキって海でやる釣りじゃねぇの?」

「そうだ、何本もの針をつけるから、その針全部を沈める深さがなければ意味がない」

「意味がないっていえば、あんな浅い川でダイバースーツとかもそうだよな。しかも田中

って名札がついてね? 水泳部に田中っていたよな? 今度の怪人は水泳部の田中かよ…

…洗脳されたんだな、あんな酷い姿にされちまって……理樹、早く倒して正気に戻してや

ってくれ!」

 そう言う真人の声が聞こえたのか、怪人はこちらを振り向いた。その顔は……シュノー

ケルとマスクで覆われていた!

「ヴェルカ、ストレルカ、つう゛ぁいあたっく、ごーです!」

 愛犬二匹と一緒に現場へ着いたばかりのクド……じゃない、いつもの姿に青い仮装用マ

スクをつけたリトバスブルーが愛犬たちを怪人へとけしかける。

 が、それを静止する声が対岸の丘の上から響いた。クドと同じように黒いマスクをつけ

た三人の女生徒、二木さん笹瀬川さん沙耶さんたちだ。

 謎に包まれたボス「ド・ルジ」に洗脳されて、悪の女三幹部を名乗っている。

「くっ、ブルーの必殺技が止められただとっ! やるな、ダークカナタ」

「いや、まだだ。俺たち、リトルバスターズはこんな物じゃない、見ろ!」

 謙吾がびしっと指さした先には、リトバスイエロー(中身は神北さん)がぜいぜい言い

ながら立っていた。

「間に合ったよ~。行くよイエローの必殺技! お願い、シューティングスター!」

「イエローのお願いシューティングスターだと! イエローのかわいい仕草につられて、

どんな場所にも現れるリトバスブラックを敵にけしかける技だ。……これは強力だぞ!」

 謙吾の解説通り、颯爽と躍り出たリトバスブラックこと来ヶ谷さんがサビキ怪人に跳び

蹴りを入れた!

 シュノーケルが邪魔でしゃべれない怪人がうめきながら川の中へよろめく。が、すぐ立

ち上がると、こちら側の岸へと駆け上がってくる。

 僕にめがけて一気に丘を登ろうとした怪人の動きがぴたりと止まる。

「直枝さんに触れて良いのは、恭介さんだけです……必殺・みおつくし!」

 何だかよくわからない力で動けずにもがく怪人に駆け寄るのは三枝さんだ!

「はるちん……じゃなかった、リトバスピンクの必殺技をくらえぃ、春風アターッック!」

 どこで入手したのかわからない自転車で遠慮なく動けない怪人の身体をはじき飛ばす!

 その身体の落下地点には、鈴が駆けつける!

「とどめだ、必殺技、キャットテイルスライディング!」

 助走と下り坂の勢いが乗ったスライディングが、着地直前の怪人の身体にヒットする。

 宙高く舞い上がった怪人の身体は、そのまま川の中へ落ち、ぴくりとも動かなくなった。

「くっ、わたくしが選んだ怪人がっ! 次はこうは行きませんわよっ」

「あたしが失敗だなんて滑稽でしょ、笑いなさいよ! あーはっはっはっ!」

「また食料調達失敗、ド・ルジ様には今夜もメザシで我慢して貰うしかないわね……」

 ダークササミ・ダークサヤ・ダークカナタは捨て台詞を残し、僕の制止を背中にそそく

さと走り去っていった。

 それでもいつか、必ず僕たちの元へ三人を連れ戻すんだ!

 先は長くとも僕たちは歩みを止めない、平和と仲間を取り戻すまでは!

「よし、それじゃ恒例のヤツ、いくぞ!」

 真人と謙吾が川の中から助け出した元怪人、水泳部の田中君に一通りの手当を施し終え

た恭介の言葉に、僕は頷いた。

 それを合図に僕たちリトルバスターズが集まる。

「正義のポーズ! 僕たち、リトルバスターズ!」

 


 
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