No.159296

それがあなたの望むことならば~雛から凰まで~三歩

TAPEtさん

この物語は主に雛里ちゃんの時点で色んな話をするお話です。

期待はあまりしないほうがよろしいです。

後、画面を見るときは十分に離れて、姿勢を正しくしていてください。

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2010-07-20 18:45:13 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4280   閲覧ユーザー数:3742

<前書き>―本当は良く知りません

 

一成「実は私、漢文は駄目だけど漢字は自身あるよ」

 

朱里「ほんと?じゃあ、自分の名前書いてみて」

 

一成「北郷、一成…はい」

 

朱里「すごいね」

 

一成「鳳統お姉ちゃんの名前は……これだよね」

 

雛里「うん、そうだよ」

 

一成「諸葛亮は…こう書く」

 

朱里「そう、そう」

 

百合「一成ちゃん、お姉さんの名前は?」

 

一成「諸葛…謹…これだよね?」

 

百合「あら、偉いわね。謹も書けるなんて(なでなで)」

 

一成「えへへ」

 

水鏡「あら、皆揃って仲が良いわね」

 

朱里「あ、水鏡先生」

 

一成「先生……」

 

司馬……司馬……

 

 

 

 

一成「…(ウルウル)」

 

雛里「ああ、一成ちゃん泣かないで。私もあの字は覚えづらかったから」

 

百合「先生…」

 

水鏡「え?何ですか?私が何かしました?」

 

 

そうやって私と朱里ちゃんが交代で一成ちゃんのお勉強を見てあげることになりました。

 

「宜しくお願いします、先生」

 

「はい、宜しくお願いします」

 

朱里ちゃんはすっかりノリノリです。

 

「…します」

 

「でも、お姉ちゃんたちもやることあるのに、私に時間使っても大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよ。それに、教わる方より、教える人の方がもっと勉強になるんだよ」

 

「そうなの?」

 

教える人は教える前にどんな内容があるかを先に見て、どんな話をすればいいかを先に考えなければならない。

 

なお、教わる生徒が自分にどんな質問をするかも先に予想しておくことが大事。

 

そうなると、教える人は教わる人よりもたくさん勉強しなければならないということになる。

 

「そうなんだ…お母さんはいつも着々と言うから私はてっきり全部知っているからだと思ったのに、そうじゃないんだね」

 

「そうだよ」

 

あれ?

 

「一成ちゃんは一成ちゃんのお母さんに字を教わったの?」

 

「うんとね。最初は「小学校」という子供たちに勉強を教えてあげるところに行くのだったのに、お母さんが先生を見て「あんな輩に私の子を任せるに、私自ら教えたほうが増しよ」とか言って…結局、お父さんと一緒に話して、学校も通って、お母さんにも教わることになったけど」

 

す、すごいお母さんですね。

 

 

「じゃあ、今日は鳳統お姉ちゃんが教えてくれるの?」

 

「へ?!私?!何で!?」

 

「っ、...ヤなの?」

 

一瞬慌てて問い返したら一成ちゃんは直ぐがっくりと肩を落としました。

 

「ち、ちがうの、嫌とかそういうのじゃなくてね…その…」

 

人に教えるとか、やってみたことないから……

 

でも、あんなに残念そうにしてるのに…

 

「だっ、大丈夫だよ。雛里ちゃんはちょっと恥ずかしいだけだから、今日は私が教えてあげるから、ね?」

 

「…うん」

 

朱里ちゃんが助け舟を出してくれたけど、それでも一成ちゃんはしゃんとしません。

 

「…ううん、朱里ちゃん、私がするよ」

 

「え?」

 

私は勇気を出して自分がすると朱里ちゃんに言いました。

 

「そ、そうなの?じ、じゃあ仕方ないね」

 

あれ?

 

今度は朱里ちゃんが肩を落としてます。

 

ど、どうすれば?!

 

っていうか期待していたんだね、朱里ちゃん!?

 

「あ、じゃあね、お姉ちゃんたち、ジャンケンして」

 

「「ジャンケン?」」

 

「え?知らないの?」

 

ジャンケンって何なの?

 

「えっとね、これがグーでしょ、これはこれがチョキでしょ?これがパーでしょ?んで…」

 

それからしばらく一成ちゃんがジャンケンについて説明してくれました。

 

 

「…うん、覚えたよ」

 

「何か、私たちが教えるはずだったのに、教えられちゃったね。へへっ」

 

「えへへー」

 

朱里ちゃんが笑うのを見て、一成ちゃんも一緒に笑い、私も一緒に笑ってしまいました。

 

「じゃあ、ジャンケンで、誰が今日一成ちゃんのお勉強を任されるか決めようね」

 

「うん」

 

でも、このジャンケンという遊び、簡単そうでも難しそうだね。

 

「朱里ちゃん、ちょっと練習みてからにしない?」

 

「あ、探索戦ね。いいよ。じゃあ二回だけ先ず練習して、三回目は本番ね」

 

「うん」

 

「それじゃあ…」

 

「「ジャンケン、ポン!」」

 

私はグー、朱里ちゃんはパーでした。

 

「やった、勝った!!」

 

「孔明お姉ちゃん、これは練習だよ」

 

「わ、解ってるよ」

 

練習しようと言って良かった。

 

「じゃあ、二回戦、行くよ」

 

一成ちゃんの言葉を合図としては私たちはまた手を向き合った。

 

「「ジャンケン、ポン!」」

 

また私はグー、朱里ちゃんはチョキ。

 

「ああ、負けた」

 

「勝った……」

 

「ま、まだ練習だからね。ここからが本番だからね?」

 

私は二回目もグーにしたから、朱里ちゃんはこれで私が無意識的にグー出していると思うはず。

 

じゃあ朱里ちゃんは今度はまたパーを出すはずだから、私はチョキで…

 

「じゃあ、今回が本番だね。いくよ」

 

「あ、雛里ちゃん?」

 

「あ、うん?」

 

「私、今回パー出すよ」

 

「!!」

 

あれ?

 

どういうこと?

 

先に出すものを言った?

 

いや、これは私を惑わせようとしているだけで、私にチョキを誘導して朱里ちゃんはグーを出すつもりかな。

 

「いくよ」

 

「ジャンケン」

 

「ジャンケン」

 

「「ポン!!」」

 

 

 

 

その時、私は忘れていました。

 

朱里ちゃんと私との約束。

 

私たちの間には、嘘はつかないって事を……

 

「「!あいこでしょ!」」

 

そして、私はあまり考えをしすぎた挙句、二回目の手を無意識に丸くしてしまいました。

 

 

 

「しくしくしく」

 

「雛里ちゃん、泣かないでー。私が悪かったから」

 

「ううん、朱里ちゃんのせいじゃないよ。私の自分の策に溺れただけ」

 

「鳳統お姉ちゃん、泣かないでー」

 

私の肩を軽くたたく一成ちゃんを見ていたら、

 

「(ウルウル)」

 

「えっ!?何で一成ちゃんが泣くの?」

 

「だって…私が変なの教えたから、鳳統お姉ちゃん泣くから…」

 

今でも零れそうに涙を目一杯にしている一成ちゃんを見て、私と朱里ちゃんは慌てて一成ちゃんを慰めました。

 

 

結局、勝負は勝負なので、今日は朱里ちゃんが一成ちゃんの勉強を見てあげることになって、私は自分の勉強をしに戻ってきました。

 

「あら、士元さん、先程子瑜さまがお探しでしたよ?」

 

通りかかったところで、塾の別の生徒さんが私にそういいました。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ねぇ、ちょっと」

 

そこで、また別の人が来て、私に話をかけた人に向かって不満有り気に言いました。

 

「今日の薬草の当番、何勝手に変わってるのよ。私聞いてないよ?」

 

「え?言いましたわよ、私。この前私が変わってあげますから、今日はあなたがやるって約束したでしょ?」

 

「今日は他の事も忙しいのよ。ねぇ、勘弁してぇ」

 

「駄目ですよ、私と約束したんでしょ?」

 

「んもう、そんなことだったら、私も明日の朝ごはんの当番代わってやんない」

 

「ちょっ、それとこれとは関係ない話じゃないですの?」

 

これは何か大変なことになりそうですね。

 

でも当番代わってあげるのに、何で数を数えるんのかな。

 

私と朱里ちゃんは必要な時に言ったら、その時用がない限り代わってあげるんだけど。

 

でも、この状態で先生か百合お姉さんに見られたら怒られそうだから…

 

「あの、ちょっといいかな」

 

「うん?何ですか。今はちょっと」

 

「えっとですね。こういうのはどうでしょう」

 

・・・

 

・・

 

 

「ふぅん、なるほど……解った」

 

「じゃあ、私が勝ったら、今日の当番のことは無しだからね」

 

「あなたこそ、負けたからって朝当番のことを引っ張るのは無しですわ」

 

「「ジャンケン・ポン!」

 

 

 

 

その後、塾の生徒たちの中で、ジャンケンがすごく流行ることになりますが、それはまた別のお話です。

 

 

 


 
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