No.147912

真・恋姫無双呉√アフター第一話 陽蓮

米野陸広さん

呉√アフターの作品となります。
二次創作は初めてなので、色々ご指導お願いいたします。
つじつまが合わない部分も出てくるやも知れませんが、そのあたりはご指摘ください。
この作品は現在進行形なので、できるだけ頑張って書いていきたいと思います。

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2010-06-05 01:20:16 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:11787   閲覧ユーザー数:9457

ごきげんよう、これが始めての二次創作になる米野です。

一週間に一回以上のペースで更新していきたいですが、なにせ初めてなので、というか三国志の知識が乏しいくせに書き始めたものだから、結構背景が適当になってしまっています。

とりあえず背景としているのは、真恋姫の呉√アフターだと思ってください。

連作短編を最初あげながら、だんだんと物語を核心に進めて意向と思ってます。

今回は孫登ちゃんですね。

というかいきなり出落ちってどうなのよ、と自分でも思いましたが、出落ちは嫌いではないので、ご容赦を。というかこの伏線ぽいのは、正直どこかの初版310万部を超えるコミック並みの長さで回収されると考えてください。

決して何も考えてないわけじゃないんだからね。

長編を書くときはなるようになれ、なので正直先の展開のことは気にしてないです。

ではプロローグから第一話開幕なのです。

 

 

なにごとも、忘れられないようにしっかりと印象を植え付けておくことが基本だ。

 彼はそのようにおっしゃると、自然と私の唇を奪い去った。初めての接吻は意外と苦々しく、絡み合った舌は私を喘がせた。その吐息からは彼の後姿からいつも漂う煙草の香りがしていた。

 だからなのかもしれない。

 彼を思い出すたびに、この香りが漂ってくる気がするのは。

 もう彼はいないというのに。

「ねぇ、一刀。これでいいかしら」

 

墓前に供えられた花束、そしてその前に並んだ彼の妻と子供たち。

あまりにも若すぎる死だった。しかし、それ故なのだろう。これほどまでに人に慕われるのは。妻と子達は悲哀を浮かべながらも、決して泣くことはなかった。それが彼の願いでもあったのだから。

それは、天の御遣い、と称された、ただ一人、この国の、いや、この世界では異分子の男の……物語の最後。

 

悲しき涙は国土を覆う

第一話 陽蓮

 

「とうさまー!」

「ん? 陽蓮か。どうしたんだ?」

桃色の髪をした少女。彼女は満面の笑みを浮かべながら、一刀に黒い丸いものを見せた。

一刀が気づけば、少女の顔にはところどころ汚れが目立っていた。もう齢も十になるというのに、女性らしさというよりもまだまだやんちゃの盛りであるようだ。

(というよりも、血筋か)

一刀は、今は亡き親友であり恋人とそして、二人の妻を思い浮かべ頬を緩ませた。

(そういえば、俺がこちらに来た頃の小蓮によく似ている)

「あのね、あのねー」

元気よく走ってきたと思えばこっちを見上げながら急にもじもじしだした。

(……ああ、なんて可愛いんだろう俺の娘たちは!! きっとなにか俺に渡したいものがあるに違いない。しかし、真正面からだと照れくさい。だからこそ勢いよくきてしまったが、つい恥ずかしい)

一刀は思わず、抱きしめたい衝動に駆られたが、せっかくの陽蓮の勇気を無にしてはいけないと、必死に理性でこらえていた。

そんなところへ、

「ととさまー、優ねー、学校で主席になったのですよー、こんどー、卒業式でー、送辞を読むのですぅ」

と嬉しそうにやってきたのは、一刀のもう一人の娘、陸延であった。真名を優という。

呉の重臣の全員と交わった一刀であったが、その中で最も早く身ごもったのが、穏こと陸遜であった。

「そうか、凄いなぁ。優」

頭をなでる一刀に、えへへーと優は頬を緩ませた。

親譲りののんびりした性格だが、他の妹たちに弱いところを見せない姿を持っているところを長女としての性質を持ち合わせていることも、一刀は知っていた。

「優、姉さま。あの、私が、先にとうさまとお話していたんですが……」

それに比べて、身体を重ねる機会も少なかったせいか、蓮華こと孫権の娘である陽蓮こと孫登は呉の姉妹の中では末娘となっていた。またこれも親譲りの生真面目さが時々自らの想いを堂々と打ち明けることを難しくしていた。

「あれれ? そうだったんですか? 優はー、てっきりー、陽蓮様がー、新しい舞を練習しているのかと思いましたよー?」

すっとぼけた表情でつぶやく優。優の身体は俺に密着して離れない。

「そんなわけないじゃない! 私はただとうさまに、ぷれぜんと、というものを贈ろうとって、ああ!!!」

「まったくぅ、陽蓮様はそれくらい最初から素直になればいいのですよー。ではではー」

穏の娘だけあって、優は一刀の娘たちの中でもこういう駆け引きにずば抜けて強かった。

一度ばば抜きを教えてあげたのだが、初めてならともかく何度繰り返しても他の娘は優には勝てなかったのである。

まぁ、もう齢も十二に達し、朝議にもちらほら顔を出すようになったのだ。将来が楽しみである。

「陽蓮? プレゼントが、あるの?」

「あぅ、はい……。でも、喜んでいただけるかどうか……」

せっかく姉が背中を押してくれたのだが、いまいち踏ん切りがつかない陽蓮だった。

「陽蓮……」

一刀は穏かに笑みを浮かべ、陽蓮の頭をなでた。

「親というものはね、どんなものであろうとも、子供がくれたものを喜ばないものはいないんだよ」

「そう、なのですか?」

「ああ、お父さんは嘘なんかつかないだろう?」

「この前かあさまが、夜、とうさまの部屋でうそつき、意地悪、とか言っているのを聞いた気がします」

「……いや、それはあれだ。一つの愛情表現だから、な。蓮華も本気でいっているわけじゃないんだよ」

(さすが孫呉の王の娘。切り返しの手札くらいは持っているということなのか?)

というか、娘が起きているときくらいは自重しよう、とさも当たり前のことを今更ながら思う一刀であった。

「ん、ああ、それより陽蓮、プレゼントって?」

「あ、はい。……これです」

(誤魔化された事に気づいていない、可愛いなぁ)

と思いながら一刀が目にしたものは、

「あ、これは……」

見事な彫刻だった。そしてその意匠の意味も理解する。

大きな蓮の花と小さな蓮の花が一輪ずつ左右に咲き、その間には俺が去年刀の柄に飾ってもらった龍の意匠が彫られていた。

「これは、陽蓮と蓮華と俺かな?」

「はい……。上手にできたでしょうか?」

「陽蓮、うん、凄い、凄い上手だよ。よく頑張ったね」

そういって一刀は陽蓮を抱きしめた。

とてもうれしそうな陽蓮の笑顔。

(また一つ大事な宝物ができた。……俺はこの子達に、この国にいったい何を残せるんだろうか)

一刀が抱いている不安を知るものは誰もいない。

それはまだほんの小さな種でしかなかったから。

乱世が終わり手に入った永久に続くと思われる平和。

政の時代が訪れようとした。

あとがき 

とりあえず、孫登ちゃんの真名は陽蓮といたしました。

陸延ちゃんは、優ですね。

名付け親としては、ちゃんと意味を考えてあげたいところでしたが、所詮は私も人の子。

まだまだ親の気分にはなりきれません。

ちなみに、一刀君には自分の憧れる父親の像を押し付けている感じもあります。

真名が決まるのはいつなのか、そういったところも気にして話を書きたいですが、しばらく子供たちのターンが続きます。

むしろ一刀以外の大人が出てきません。

もう一刀君も三十近くですよ。てか、俺より年上ジャン?

 

さて、ではまた次のお話でお会いしましょう。ごきげんよう。


 
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