No.147423

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第19話

海皇さん

 どうも皆さん、今回の第十九話は劉表軍サイドの話です。
 本当はこの回で反董卓連合やろうと思ったんですけど、まあこちらの事情で・・・。それではどうぞ楽しんでください。

2010-06-03 12:38:28 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:9256   閲覧ユーザー数:7569

  一刀達が反董卓連合への参加を決める1ヶ月ほど前

 

 荊州、新野の劉表の居城のとある一室において5人の人物が円卓を囲んで座っていた。

 

 「・・・と、このように洛陽で、董卓が相国の地位に着き、専横を極めているとのことです~」

 

 迷彩服のような服を着た少女、黄祖は残る4人の人物の前で洛陽の間者からの報告を読み上げていた。

 

 「・・・なるほど、董卓が相国の地位に就きましたか。多少予想外ですね・・・。これは」

 

 報告を聞いた白い服を着た銀髪の女性、蒯越は表情を動かさずにそう呟いた。

 

「ですわね、誰かが帝を保護すると予想はしておりましたが・・・」

 

 蒯越の言葉に同意するかのように、隣に座っていたまるでフランスの貴婦人が着るような豪奢な青いドレスのような衣装を纏った女性はそう答えた。

 

 

 この女性の名前は蔡瑁、字は徳珪。蒯越と同じく劉表が荊州の統治を命じられてから仕えている古参の将である。その華美な服装からは想像できないがその智謀と指揮能力で劉表の軍の一翼を担っている歴戦の将で、劉表への忠誠心も強い。

 

 そして、家臣達の言葉を黙って聴いていた劉表はゆっくりと目を開け、口を開いた。

 

 「・・・それでその董卓とはどのような者だ?」

 

 「はあ・・・それが、とても暴政を行えるような人物ではないとか~。

 また、死んだと思われた十常侍の張譲、趙忠、段珪らが宮中で確認されたとのことです~」

 

 黄祖の言葉を聞いた劉表は、眼を細めて鼻を鳴らした。

 

 「なるほど、大体読めてきたわ。このからくりが」

「はい、おそらくは董卓はただの傀儡、実際の所十常侍の生き残りが本当の黒幕、と言ったところでしょう」

 

 「けっ、胸糞悪くなるな。自分は裏でこそこそして汚い所は全部他人に押し付ける、か!

 どこまでも気にくわねえ連中だぜ!その十常侍ってのはよ!」

 

 蒯越の言葉に、黄祖の隣で座っていた 蒯越に良く似た顔立ちの赤色の軍服姿の女性は吐き捨てるように言い放った。

 この女性は蒯良、字は子柔。蒯越の姉であり、妹と同じく劉表に仕える将である

 ただし軍師である妹とは違い彼女は武官である。

 

 「姉上、少し落ち着いてください。確かに気にくわないを通り越して人間以下の豚並み、いやそれよりも腐りきった蛆虫どもですが・・・」

 

 「・・・おい、白華よ、何気にお前のほうが酷い事を言っているぞ」

 

 姉を嗜める蒯越の言葉に劉表は思わずつっこみを入れる。

 

 「これは、申し訳ありません紅刃様」

 

 主君の言葉を聞いた蒯越は表情一つ変えずに劉表に謝った。それを聞いた劉表は思わず溜息を吐いた。

「まあ、いいがな。しかし紅華の気持ちも分かるぞ。余も彼奴らのやり方は気に食わんと思っている」

 

 「でしょう!?ならさっそく洛陽に行って九常侍の連中を一網打尽に・・・・」

 

 「紅華さん、九ではなく、十常侍、ですわよ。それに、出陣するかどうかは紅刃様がお決めになる事ですわ」

 

 「うっ・・・・・」

 

 劉表の言葉に今すぐにでも出陣するような雰囲気になった蒯良を、蔡瑁は落ち着いた口調で嗜めた。蒯良は蔡瑁の言葉におもわず口ごもっていた。

 それを面白そうに見ていた劉表は、やがて口を開いた。

 

 「心配するな、紅華。近いうちに嫌でも出陣の日が来る」

 

 「?どういうことです?」

 

 「董卓などというどこの馬の骨かもわからぬ者が相国の座について、面白くないと思う者は、誰だ?」

 

 劉表の問いかけを聞いた蒯越と蔡瑁は、はっとした顔で劉表に顔を向けた。

 

 「袁紹、ですか・・・」

 

 蒯越の言葉に劉表は笑みを浮かべた。

 

 「ご名答だ。あの名門を鼻にかけることしかできぬ阿呆が董卓が相国になったことを我慢できるはずがなかろう。都の暴政の話を聞いたら即反董卓の連合を召集するだろうな。

・ ・・そうするように指示も出しているしな」

 

 劉表の言葉に、蔡瑁は笑い声を漏らした。

「ふふふ・・・、確かに袁紹軍にはあの子がいましたわね。

 あの子のことですからもうすでに袁紹軍に溶け込んでいることでしょうね」

 

 「あ~、あいつか、まああいつって何考えてるかわかんね~し、人騙すのうまいしな~。

 ま、気付かれね~だろ」

 

 蔡瑁の言葉に蒯良は肩をすくめてそう溢した。

 

 「しっかし、劉表軍七旗将が、3人欠員とはね~。

 一人は袁紹軍、一人は朝廷に潜入中。で、もう一人は行方不明、か」

 

 「あやつは方向音痴だからな、そのうち帰ってくるであろう」

 

 愚痴をこぼす蒯良に、劉表はそう返した。

 

「ところで鏡花、曹操の調査はどうであった?」

 

 「あ、はい~、黄巾党の首魁である張角とその姉妹を討ち取ったことで

 典軍校尉の地位を得たそうです~。ついでに、政も中々との評判で、領地には人が集まっているとのことです~」

 

 「ふむ、まあ予想通りの答えだな。面白くも無い」

 

  黄祖の答えを聞いた劉表は、そう言ってつまらなさそうな顔をしていた。

  それを見て黄祖は焦って言葉を紡ぎだす。

 

 「あ、えっと!ほ、ほかにも曹操軍の将の情報が入っております!」

 

 黄祖の言葉に劉表は再び黄祖に目を向けた。

 

「ふむ・・・申してみよ」

 

 「あ、はい~。一人目は楽進、素手と気を使った技の使い手ですね~。次に于禁、双剣を使いますけどはっきり言ってそれだけですね~。そして李典、この人はからくり発明が得意ですね~。あと胸がすごく大きいです~!!むかつきます~!!」

 

 「どうでもいいわ、そんなものは。そして、ほかにいないのか?」

 

 黄祖の怒声を完全に聞き流して、劉表は続きを促す。

 

 「ふえ!?い、いえ~、他には特に・・・・、あっ!でもなにやら旅芸人の3人組を保護したとかなんとか・・・」

 

 「旅芸人だと?」

 

 「は、はい~、なんでも歌と踊りが得意で、曹操軍の軍の増強に一役買ってるとか・・・・」

 

 黄祖の言葉を聞いた劉表は少し考えるようなそぶりを見せると再び黄祖に質問をした。

 

 「・・・その旅芸人の名前は?」

 

 「え~と・・・本名かどうか知りませんけど・・・てんほ~とかち~ほ~とかれんほ~とかいいましたね~。あと長女は胸が大きくて・・・・」

 

 「もういい」

 

 再び巨乳に対する恨み言を言おうとする黄祖を遮りながら再びなにやら考え始めた。

「紅刃様、いかがなさりましたか?」

 

 「・・・桜花、確か張角らの遺体は見つかっておらぬのだな?」

 

 「え、ええ、それがなにか?」

 

 蔡瑁は劉表の質問に少々戸惑いながらも答えた。

 

 「・・・・なるほど、そういうことか」

 

 「紅刃様?」

 

 「白華、てんほー、ちーほー、れんほーは、どう書く?」

 

 「それは・・・天に和、地に和、人に和、ですが・・・」

 

 蒯越は主の質問に訝しげながら答える。劉表は蒯越の答えを聞いて再び蒯越に聞き返した。

 

 「天、地、人・・・この言葉、黄巾党のどこかで聞いたことがなかったか?」

 

 「そ、それは、黄巾党の首魁、張角の別名、天公将軍・・・!」

 

 蒯越は突如はっとした顔で劉表を見つめた。それを見て劉表は満足そうに笑みを浮かべた。

 

「ふっ、ようやく分かったか?」

 

 「え?え?つまりどういうことだよ?桜花」

 

 一人分かっていない蒯良が、隣に座っている蔡瑁に質問をした。蔡瑁は苦笑しながら蒯良の質問に答えた。

 

 「つまり、曹操の保護している三人組の旅芸人が張角、張宝、張梁だということですわ」

 

 「ああ、なるほど・・・・ってえええええ!!!??本当っすか紅刃様!!!??」

 

 桜花の答えに驚いている蒯良に苦笑しながら劉表は口を開いた。

 

 「まああくまで憶測ではあるがな、がきわめて可能性は高いと思うぞ。

 いずれにしろこの情報は使える。鏡花、よくやった」

 

 「あ、ありがとうございます~~!!」

 

 感激して跪く黄祖を見ながら劉表はうっすらと笑みを浮かべた。

 

 「ふっ、これは楽しくなってきたな」

 

 そして1ヶ月後、劉表の元に袁紹からの檄文が届き、劉表は反董卓連合の参加を決定した。

あとがき

 

 どうもみなさん、今回の話は劉表軍サイドの話です。

 

 劉表は一応このssでは孫家の宿敵なのでエピソードぐらい書いておこうと思いまして。

 

 今回出てきたオリキャラは蒯良と蔡瑁の二人です。

 

 また七旗将とあるとおり、劉表の臣下はあと3人でてきます。

 

 この部分は完全史実無視なので本当は劉表の臣下ではない人物も臣下になっていることがありま

 

 す。

 

 次でようやく反董卓連合編です。みなさん、どうか応援よろしくお願いします!


 
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