No.142700

漆黒の狂戦士と薄幸の魔王<決戦・4>

流狼人さん

感想どしどし待ってます。

2010-05-12 22:18:15 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2819   閲覧ユーザー数:2510

そこは暴風雨。

 

 

紫の風が疾風となって、敵を斬り裂く。

 

 

白銀の風が突風となって、敵を薙ぎ飛ばす。

 

 

 

紫の疾風は、張遼。白銀の突風は華雄。

 

 

 

「どないしたんや袁術軍。名家とは名ばかりか!!」と張遼が一気に敵を五人ほど斬り通る。

 

 

「どうした!!!この私に挑むものはいないのか!!」と華雄が戦斧を振り回し威嚇する。

 

 

 

まさに<血の暴風雨>

 

 

 

張遼隊が突きこみ、そこに華雄隊が力で敵を裂き、そしてひたすら前へと進む。

 

 

そこにあるのはただ恐怖と、怒号と、怨嗟とそして彼女達が通った証としての蹂躙の犠牲者たち。

 

 

袁術は何をしていたというと・・・・・・

 

 

 

 

 

すでに戦場から逃げていた・・部下を見捨てて。

 

 

 

 

 

五万の兵の主は孫策が死んだと聞くや、

 

 

 

「な・・・!七乃!最早駄目なのじゃ!早く!早く妾達は国に避難するのじゃ!」

 

 

「はい~♪いますぐに~」

 

 

 

 

と呑気な声と共に消え去っていたのだ。

 

 

 

 

さらに追い打ちを掛けるが如く

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

 

 

 

 

 

 

 

の怒号と共に馬嵯禍<暴風>が現れた。

 

 

 

 

 

最早袁術軍は誰一人として戦う意思を持てず、殿の将紀霊の降伏と共に武器を捨てたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「グハ!!」

 

 

 

声と共に倒れたのは<錦>の馬超。

 

 

その横には、気絶した馬岱。そして・・・<司徒>王允。

 

 

熟練した無音足で、近づき馬岱・馬超に暗殺技<蛇>にて気絶させ、混乱する涼州連合に

 

 

 

「・・・本国に退け・・・さもなくば・・・」というと二人に短剣を投げようとする。

 

 

 

「っく。分かった・・・全部隊につげ!!涼州連合は反董卓連合から脱退する!!・・これでいいか?」と女将・韓遂は王允を睨みながらいった。

 

 

「問題ない。いけ。」

 

 

「ああ。」

 

 

 

 

・・・こうして、涼州連合は何もすることなく引いて行った。だが、未来の涼州連合の長をなくさずに済んだのは、良好なのかもしれない。

 

 

曹操軍は・・・

 

「っち。ええい、守ってないで戦わないか!!」

 

 

「断る。好き好んで猪と殺し合いたくない。」

 

 

「ちょ、何言ってヤがりますかバカ野郎!!さっさと殺して、僕をたす・・・ウワ!!イキナリ来るな。死んじゃうかとおもったじゃないか!!」

 

 

「いや~あんさん。ここ戦場やで。命のやり合いでっせ?」

 

 

「そ~なの~。でも、弱いくせにしぶといの~。」

 

 

「どうかんだ。・・猛虎蹴撃!!」

 

 

「ぎゃーーーーー!!」

 

 

「ふう。慎二、取敢えず邪魔だ。」

 

 

「・・・こいつ、本当に援軍・・・なのか?言っては何だが・・私よりバカっぽいぞ?」

 

 

「(自覚はあったのか・・姉者)」

 

 

と、戦(?)っていた。

 

 

 

 

 

「っく。ちくしょーーーー。寄ってたかって・・・僕を袋にするなーーーー!!!こうなったら・・・あのデカ物の援護に行ってくる。・・・・・やい、そこの三馬烏<サンバカ>!!悔しかったら僕を追いかけてくるといい。アーーーーッハッハッハッハ!!ッドゥア!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「誰が三馬烏だ!(や!)(なの!)」」」

 

 

 

 

 

 

スッタラコッサッサ~~

 

 

 

 

「「「・・・・・済まないな」」」

 

 

 

とひゅ~と風が吹いたとさ。

 

 

 

「さて・・行くぞ。」と目を細め、獲物を握る徐栄。

 

 

 

迎え撃つは曹武の要

 

 

 

「我ら姉妹に挑むのか!!」

 

 

 

夏侯淳・夏侯淵の姉妹

 

 

 

 

「ふん。幾たびの戦場にて五胡と戦い、未だ不敗。そちらこそ、戦って来たのはたかだか盗賊と農民だけだろうが。舐めるなよ、小娘」と挑発する徐栄。

 

 

「ほざけーーーー!!」と挑発に乗る夏侯淳・・・だが

 

 

「・・・・ふん。おまえの勝手だが」

 

 

と一度言葉を区切り、首を左に傾け

 

 

 

 

「その前に左に避けろ」

 

 

 

 

と言った瞬間

 

グサ!!

 

と夏侯淳・・・彼女の左目に矢が突き刺さっていた。

 

 

 

「ぐっ、ぐああああああああああっっ!!!」

 

 

 

 

「姉者ぁーーーーー!!!貴様!徐栄!!」

 

 

「私は避けろと言ったがね?さて、その首・・貰い受 「ぐああああああああああああああ!!!」何!!?」

 

「姉者っ!」

 

 

 

 

ぶしゅっ!!

 

 

 

 

春蘭は心からの叫び、そして渾身の力と気合で左目に刺さった矢を自分の目ごと抜き放つ、噴出す血潮、しかし春蘭は

 

 

「天よ!地よ!そして兵士達よ!よく聞けぇい!」

 

 

 

「我が精は父から、我が血は母よりいただいたもの!そしてこの五体と魂、今は全て曹孟徳のもの断り無く捨てるわけにも失うわけにもいかぬ!!!我が左の眼、永久に我と共にありぃぃ!!!!」

 

 

そう言い放つと春蘭は抜き放たれた自らの左目の眼球飲み干す、その苛烈なまでの春蘭の姿に誰もが動けない、時間が止まったかのようなその場所でただ一人春蘭だけが自らの愛刀七星餓狼を構え直し、呆然として立ち尽くす自らの妹秋蘭に

 

 

「大事無い、取り乱すな秋蘭、わたしがこうして立つ限り 戦線は崩れさせん!」

 

 

そう言うとニヤリと笑いかける、その声にようやく我を取り戻した秋蘭は

 

「あ、姉者、せ、せめて左目の手当てを!」

 

 

そう言うと自らの服を破り震える手で春蘭の左目に包帯のようにまいていく、しかしその布もすぐ血で赤く染まる

 

 

「ありがとう秋蘭、それと徐栄!!貴様には誇りがないのか!!」と徐栄を罵るが、その徐栄は涼しい顔で

 

 

 

 

「ああ、生憎誇りなどない身だからな。だがそれがどうした。将としての名が汚れる?は、笑わせないでくれよ夏侯淳。汚れなど成果で洗い流せる。そんな余分な誇りなぞ、そこらにいる狗にでも食わせてしまえ」と言ってのけた。

 

 

 

「何だと貴様!!」

 

 

 

「誇りなんぞで救えた命がどれだけ散って行ったか・・・貴様に分かるまい!!ああ、確かにいくらかの誇りを持って人間を救ってきたさ。自分に出来る範囲で多くの理想を叶えてきたさ。遠い昔から憧れていた将軍という地位にさえ、ついにはたどり着けた。」と徐栄は二刀を夏侯淳の頭上へと落したが、其れを難なく夏侯淳は防いだ。だが、徐栄の声は続く。

 

 

「だがしかし、現実は違った。主の意志で送り出され、助けたいと思った人達の亡骸の上に更に死体を重ねて解決を図る。そこに俺自身の意思はない。唯・・・主の駒となって働く人形の姿がそこにはあった。・・・そうだ。それは違う。俺が望んだ物はそんな事ではなかった。俺はそんな物のために将になったのではない・・・・・・!!!」

 

 

まだ、漢王朝の将に生り立てだった徐栄は、繰り返される人間の醜さと己の愚かさの果てに絶望していた。

 

 

「そんな中・・月が・・董仲穎がこの俺にこういったのさ。<違います・・・間違い、なんかじゃない・・・!決して間違いなんかじゃ有りません!!確かに、人は愚かかもしれない・・・でも、あなたはそれでも人を救おうとした。救えない人は沢山いたのかも知れない。でもあなたが救った人は其れによりも沢山いるかも知れない。絶望してはいけません。希望を持ちましょう。私たちと共により多くの人達を救いましょう!!>・・・思えば強烈な告白かも知れない。だが、私は月の言葉で救われたのだ!!故に!!」とここで夏侯淳の腹を蹴り飛ばし、お互い距離をとった。

 

 

 

「貴様等を倒し、この戦を終結させる!」

 

 

 

と、徐栄は吠え再び夏侯淳に切り込むが・・・

 

 

 

「・るな・・ふざけるな!!」と夏侯淳は逆に徐栄に斬りかかった。

 

 

「貴様の言い分は分かった!確かに私も何度も思った!だが!!私の双肩には華琳様の愛と希望と夢と未来と愛とその他もろもろがかかっているのだ!!貴様に譲れぬ物があるように私にも譲れぬ物がある。故に貴様に我が左目をくれてやる!代わりに貴様の背負った想いと命をもらい受ける。ハァァァァァァ」

 

 

大剣と双剣の舞いは嵐(言葉)から少し緩やかになるも雨脚(剣戟)は強くなる一方だった。

 

 

 

「オォォォォォォ!!」「セリャーーーーーー!!」

 

 

何度も、何度もぶつかり合う二人に、夏侯淵は手出しも出来ない。

 

 

 

 

だが・・・ここで

 

 

 

 

「っ・・・そこまでだ。消えろ!!」

 

 

 

一瞬寒気が走った徐栄は、夏侯淳の裂帛の気合の篭った大剣を打ち据えた。

 

が、夏侯淳は徐栄の持つ剣<赤原>を叩き折り、そのまま両断する勢いで斬りかかった。

 

 

徐栄も、残された全ての力を込めて残ったもう一つの剣<赤鉄>を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

二つの影が交差し・・・一つになった。

 

 

 

 

 

 

徐栄の剣が切ったのは空気だった。

夏侯淳の大剣は、徐栄の左胸を貫いて背中まで抜けている。

 

 

 

「姉者!!」

 

 

 

無事に勝った姉を気遣おうとしたが今この場に入るのは、無粋以外の何物でもないと夏侯淵は思った。

 

 

 

 

 

「・・・は、私の勝ちだな。徐栄よ」

「・・・ああ、そして私の敗北だ。見事よ、夏侯淳」

 

 

 

徐栄にとって初めての敗北・・・彼の無敗はここに終わった。

 

 

 


 
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