No.140380

東方仮面ライダーガタック ~幻想の星~ 第9話

こちらは東方Projectと仮面ライダーシリーズのクロスオーバー作品です。
あまりなれない方は戻るボタンを押してください。

2010-05-02 16:01:15 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1358   閲覧ユーザー数:1341

英雄は平和を守るために戦う者だ。だが英雄には何よりも苦しさと言うものがある。

そんな毎日を送る男は暗い工場の中で戦っており、蝙蝠の怪人を相手に走り出す。否、男というよりは黒い戦士で、スピードを増しながら走る。

ズシッズシッと踏み入れる足には圧力が蓄えられ、戦士は勢いよくジャンプしてとび蹴りの構えを取った。

男性「うおりゃああああああああっ!!」

 

ズドォッ!!

 

怪人「グアアッ!!・・・ガァッ!」

とび蹴りが決まって苦痛を浴びる怪人は勢いよく爆発する。しかしその爆発は比でもなく、核爆発が起きたような範囲で広がっていく・・・。

 

===================================================

 

?1「すごーい。お父さんがこんなアクションしてたんだ!」

男性「ハハッ、こんなことだけでも何回か取り直されたんだ。結構苦労したよ」

テレビに映っている迫力を目にする少女は30歳代の男性である父親を見て感動していた。だがその後ろでは・・・

?2「ライダァーキィーク!」

?3「とぉ~っ!」

少女1「あーもう、ナコとミルは相変わらず・・・」

あと2人の少女がライダーごっこで遊んでいる声のデカさに少女は呆れる。

この3人は三つ子の姉妹で、興味深いものに釣られやすい長女のマナ、真面目だけど中身は黙っていないくらいに悪戯っ子な二女のナコ、調子者でにこやかな三女のミルの3人と、父親である井上隆次郎(いのうえ りゅうじろう)の4人で生活を送っている。最も、隆次郎にはスーツアクターという職業があり、その活躍が今さっき映された映像にあるのだ。NGも出すことはある彼だが、娘達のためなら屈しない心で戦い、彼は仮面ライダークウガの役として懸命に働いている。

すると上に飾られている鳩時計が突然鳴り出し、マナはふと立ち上がる。

マナ「ナコ~、ミル~、そろそろ塾の時間だよ~」

2人「は~い」

時間は4時、塾に行く時間を知らせた時計に気づくマナはナコとミルを呼んで支度を整える。

井上「気をつけるんだぞ。最近では行方不明になる事件が多発しているらしいからな」

マナ「大丈夫!バスならそんなことはないからね」

2人「ね~♪」

マナ「じゃあいってきま~す♪」

3人は塾に出かけていった。一人となった井上は今腰掛けているソファーに座ったままで頭を掲げる。

井上(ここ最近に起きている行方不明者・・・これもまさか、未確認生命体の仕業なのか・・・?だとしたら娘達のことも心配だが・・・)

こんなことなんて父親らしくもないと思った井上は、頭を冷やそうとソファーをベッド代わりにして眠りにつく。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

井上「ふぁ・・・あー・・・」

目を覚ましたとき見た時間は1時間すぎた5時15分だった。ふぅと目を覚ますが、不覚なことにテレビがつけっぱなしであることに気づく。何やってんだかとすぐに消そうとするが、その時にはちょうどニュースが放送されていた。しかもその内容を見た瞬間に目つきが・・・否、顔つきが変わる。

井上「マナ!!ナコ!!ミル!!」

慌てながらも外へと飛び出していく井上。つけっぱなしであるニュースにはこんな内容で放送されていた。

 

 

『繰り返しお伝えします。先程、○○地区の国道75号線にて突如バスが爆発を起こし、炎上しました。目撃者では凄い音がしたので見に行ったら、炎の中から変な生き物が出てきて建物の屋根に飛び移りながら逃げて行ったと知らされています・・・』

 

 

愛用バイクであるビートチェイサー2000で飛ばして現場に着くと、そこには物凄い熱気を出しているバスがあった。マナたちの塾に変える時間は5時頃で、あの中にいる可能性は高い。井上は助けようと駆け出すが、態勢を整えていた警察達に妨害される。

警察官「これ以上は危険ですので下がってください!」

井上「だめだ!中に娘達がいるんだ!早く助けないと!」

警察官「けどお子様だと助かることは・・・ウッ!?」

その時、警察官が突然と倒れてしまう。周りにいる市民は悲鳴を上げる中、建物の屋上でその影がじっと眺めた。

?「ボセゼ、バギングギブググドググ・・・」

影はサッと姿を消すが、下にいた井上は屋上に誰かいることに気づき、両手を腹部分に翳した瞬間にベルトが出現する。それは超古代に発掘されて現代に蘇ったベルト『アークル』で、井上は変身のボーズを取る。

井上「変身!!」

左腰にあるボタンを押して勢いよくジャンプすると緑の光に包まれ、屋上へ着地したときにはその姿は井上ではなく、緑色の戦士、仮面ライダークウガ ペガサスフォームこと緑のクウガがいた。クウガに変身した井上は精神を集中して周りを見渡すと、580メートル先に梟種の怪人が飛んでいく様子があった。方角と距離を確認した井上は屋上から飛び降りて地上に着地し、ビートチェイサーに乗り込むと全速力で標的を追いかけに発進した。

井上(娘達の敵、必ずとる・・・!)

井上は飛んでいった方向をもう一度思い出し、交差点を右へ左へと曲がりながら標的を追いかけている途中、前方に低空飛行で飛んでいる標的を発見する。

井上「あいつか・・・逃がさん!」

ビートチェイサーを加速させて段々と距離を近づけると、怪人はクウガに気づいて右へ旋回し、ビルの屋上へ飛んでいった。井上もビートチェイサーを歩道に止め、超変身の掛け声で青のクウガ、ドラゴンフォームに変身し、高いジャンプ力で一気に屋上へ飛びつくと同時にその怪人が仁王立ちしていた。その正体は古代にゲゲルという殺人ゲームで暗躍していた怪人、グロンギである。

怪人「ラデデギダゴ、ゴセボバパ、ゴ・ブウロ・グ!ショグズザ、クウガ!」

ブウロと名乗ったグロンギはペレット上の吹き矢を取り出し、井上に向けて発射する。

井上「ハッ!」

ジャンプでブウロの背後に回り、赤色の光に包まれて赤のクウガ、マイティフォームに変わると烈火のパンチをブウロに当てようとする。ところがその直後にブウロは右へ転がるように避け吹き矢を構えた。

ブウロ「グビガシダ!」

井上「!?ぐあっ!!」

吹き矢を受けてダメージを負う井上。格闘向けである赤のクウガでは対抗しにくいのか、井上は周りを見渡しながらもブウロから距離を空けると、鉄パイプが落ちているのを確認した。

井上「超変身!」

井上は青のクウガになって鉄パイプを手にするとドラゴンロッドへ変化する。クウガは物質を己の武器に変えて戦い、スピードの高い分、パワーの低い青のクウガにはこのドラゴンロッドを使って戦うのである。井上はブウロの放つ吹き矢の針をドラゴンロッドを回しながら弾き、一気にブウロへ接近すると必殺の「スプラッシュドラゴン」を叩き込む。

ブウロ「グオオオッ!?」

井上「オオオオオオオオッ!!!」

ブウロの腹に封印のマークが現れ、直後にブウロが爆発する。しかし変身を解いて今まで被っていたヘルメットを取る井上には勝利よりも悲しいことが起きている。

 

娘達が焼け死んだ。井上は脳内に浮かび出る彼女達の言葉が流れ、やがては爆発による炎で焼かれていく。

 

マナ『お父さん!』

ナコ『お父さん!』

ミル『お父さん!』

 

3人『だ~い好き・・・!』

 

 

 

井上「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 

 

ビルの屋上にて、井上の泣き叫ぶ声が空へ飛んでいった・・・。

 

===================================================

 

2ヵ月後、彼女達の墓が作られ井上は何度も拝み続けた。日曜の日に必ずやってきて、1週間で仕事してきた内容を全て話す井上は悲しみを背負いながらも、自宅から墓へと行ったり着たりの日が続いていく。

そんなある日のこと、井上はいつもどおりに墓参りを終えて帰ろうとしている途中、突如霧に覆われる。

井上(霧だと?この時期に霧なんてありえないというのに・・・)

兎に角はスピードを落として前方に注意しつつ進んでいくと、今度は井上の体がガタガタと揺れだした。否、バイク自体が道路ではなく、何故か草原を走っているのである。

井上(どういうことだ!?道に迷ったとでも言うのか!?)

すぐに停止してヘルメットを取り、バイクから降りた直後に霧が晴れるが、そこはなんと道路ではなく森の中だった。何時から森の中にいたのだろうか・・・全く訳の分からないことに井上は頭をかいた次の瞬間、

 

?「いやあああああぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

少女の悲鳴が聞こえ、井上は声のしたところに向かってみるとそこには、黒い影が3人の少女に襲いかかろうとする様子があった。大変だと井上はアークルを出現させ、ポーズをとる。

井上「変身!!」

 

===================================================

 

?1「あーあ、今日も失敗ねぇ・・・」

?2「今回の作戦はとっておきだったのに・・・」

?3「スター、ルナ、諦めるのは早いわ!リベンジのために次の作戦を考えるのよ!」

3人の中で2人にやる気を与える少女、サニーミルクは執念に燃えていた。彼女達はこの魔法の森に住む悪戯好きな妖精で、今回は博麗神社にて、風船を大量炸裂させようとしたのだが、来る前に突然風船が炸裂し、自滅という結果でかつ、神社の主である巫女に見つかってボコボコにされてしまったのだ。

サニーからやる気を受け取ったスターサフアイヤ、ルナチャイルドは立ち直り、彼女達の家である「果てしなく前から立っている大木」にあるドアを開けて中に入る3人。するとリビングにある机にはアタッシュケースが置かれており、サニーが一番先に見つける。

サニー「ねぇちょっと、これ何なの?」

スター「?これが何なの?」

サニー「これって、私達が出かけているときには置いてあった覚えある?」

ルナ「そういえばこんなもの置いてはいなかったような・・・だとしたらこれは一体・・・?」

サニーはアタッシュケースの回りを確認する。彼女には初めて見る光景に恐る恐ると手に触れるがそれで何にも起きるわけがない。だけど何かが入っているということは理解しているので、中身を開けようとするのだが開かなかった。なぜならケースのフックを解除しなければならないというのに、それに気づいていないからだ。

サニー「ああもうっ!何で開かないのよ!」

ルナ「・・・あ、分かった!これじゃない?」

ルナはケースのフックに気づい解除するとケースが開くが、その中身を見たときにまた謎が現れる。

白のラインをした黒いベルトとグリップ、そしてビデオカメラ・・・3人にはこれがどういうものかは当然分かってはいない。3人は頭に「?」のマークを立てながら考えていると、ドアの方からノックの音が鳴った。

サニー「あれ?誰だろう?」

ルナ「ちょっと見てくるね」

ルナはドアの方に向かい、ドアをゆっくりと開けて外にいる誰かを覗いてみる。するとそこにいるのは、なにやら慌てている様子でいる男性がドアの前に立っていて、男性は次のように言う。

男性「た、頼む、匿ってくれ!!オルフェノクに追われているんだ!!」

ルナ「?いきなり何を・・・」

男性「いいから早く入れてくれ!!すぐそこまで来てやがるんだし、俺はまだ死にたくは無いんだぉ・・・!!」

泣き喚くようにルナに申す男性。ルナは少し可哀想に見えたのか、男性を兎に角中へ入れようと戸を開けると素早く男性は入り込み、同時にルナはドアを閉めて鍵を掛けた。

男性は恐る恐るもドアに耳をあてると、奇妙な足音が聞こえてきた。恐らくは男性を殺そうとして追いかけていた化け物だろうと思われるが、化け物はそのまま通り過ぎていくように大木から遠ざかっていく。

男性「・・・ふぅ・・・助かったぁ・・・」

男性は息を吐いて安心する。

ルナ「んじゃ、助かったのならすぐに出て行ってください。ここはおじさんのいるような場所じゃないですから・・・」

男性「ああ、それじゃあ失礼・・・ん?それって・・・」

男性は立ち去る前に、サニーとスターが見ているケースを見た瞬間に目つきを変えて近寄る。

男性「・・・何処でこれを手に入れたんだ?」

サニー「何処でって・・・私達がここへ戻ってきた時にあったのよ。・・・っていうか何よ、人のモノを勝手に見ないでくれる!?」

サニーは男性とっとと帰れと言いつけるように睨むが、男性は焦りながらも事情を説明する。

男性「違う!違うんだ!俺はこのベルトの落とし主なんだよ!」

スター「落とし主?それよりもこれ、ベルトなんですか!?」

男性は頷き、さっとケースを回収して男性の手に渡る。

男性「お騒がせしたね。俺はこのベルトを守らなきゃいけないんだよ」

サニー「なんでなの?」

男性「あまり知らないほうがいいんだが、これが悪い奴等の手に渡ってしまうと大変なんだ。言うなれば危険な道具・・・といいたいけど、どうやって森から出るか・・・地図なんてないし・・・」

スター「それじゃあ一部だけ私達が案内を・・・」

サニー「スター!?こんな人を案内する気なの!?」

スター「でも最近、変な妖怪が出て依頼にあまり外に出れる様子もないじゃないの。この人を一応助けてあげないと・・・」

サニー「う~・・・仕方ないわねぇ」

ルナ「私もスターに同意するわ」

男性「悪いねぇ、これで森から出られるよ」

安心した男性はケースを持ちながら外へ出る。

男性「もうオルフェノクの気配は無いね。今のうちに頼むよ・・・」

スター「はい。けど、そのオルフェノクって何ですか?」

ルナ「そういえば、あの時でもそう言ってたような・・・」

男性「それのことか。オルフェノクっていうのは人類の進化種族のこと、もっと簡単に言えば死んだ人間だ」

サニー「し、死んだ人間!?なんで!?」

男性「一度死ぬと、そいつに覚醒するんだよ。本当はこのことを外に知らせてはいけないことなんだけど、内緒にしていてくれ」

男性は自分がいた故郷のことも話す。聞くたびに楽しさも増えてきたサニー達は話の続きを聞きたがるが、どうやらそう長くはいられないようだ。スターは一旦立ち止まる。

スター「この先を真っ直ぐ進めば森を出られるはずです」

男性「ありがとう、これで何とか行けそうだ。じゃあ・・・」

男性はサニー達に感謝し、手口に繋がる道へ進み始めたその時だった。

 

?「ハッハッハッ!それがウワサのライダーギアって奴か!」

 

不気味な笑い声を聞いて後ろを振り向くと、そこにはオックスオルフェノクがサニー達を捕らえているではないか。

男性「オルフェノク・・・!」

サニー「ちょっと何よ、離しなさいってば!!」

オックス「おいおい、言い方ぐらいで変わることがあるんだぜ?最悪ならお前達をオルフェノクにしてやるからよ・・・。その代わり、ライダーギアを渡してくれるってんなら離してもかまわないけどな」

どちらにしろとも失うということが起きるが、男性には彼女を助けることを決める。ケースを開けるとビデオカメラをつけたベルトを取り出して腰にセットする。

男性「変身!」

 

≪STANDING BY≫

 

グリップを耳元に当てて変身と叫ぶと音声が認識され、待機音が鳴り出す。そのままビデオカメラに接続すると「COMPLETE」の音声で男性は水色のフォトンストリームに包まれる。するとそこには男性ではなく、仮面ライダーデルタの姿が立っていた。

男性「うあああああああああああああああっ!!!」

男性はデルタへ変身した直後に大声を上げながら突撃する。その様子は我を忘れたかのようなことで、オックスオルフェノクは武器である鉄球をデルタにぶつけて返り討ちにする。

男性「ぐっ・・・がぁぁっ・・・はぁ、はぁ・・・っ!」

デルタは強制的に変身が解除され、男性の姿に戻る。

オックス「ぐはははは!抵抗するとは笑止千万!こいつ等の命よりもライダーギアをとるということなら、望みどおりにこいつらの命をいただくぜっ!!」

サニー「いやあああああぁぁぁぁぁっ!!!!」

男性は成す術ないままにサニー達に起きる惨劇を目の当たりにするのかと悔しがる。男性がそう思っていたその時だった、

 

?「変身!!」

 

男性の後ろから声がしたかと思うと赤い光が男性を通り過ぎ、オックスオルフェノクの右肩にチョップを叩きつけてサニー達を解放する。

男性「な、なんだ、あれは・・・?」

光が止むとそこには、赤色の体をした戦士。井上 隆次郎こと仮面ライダークウガの姿があった。

オックス「お前はクウガ・・・!」

井上「うおおおっ!!」

見覚えのあるオックスオルフェノクに対し、井上は烈火のパンチを相手の胸部分に叩き込む。しかしオックスオルフェノクにはそんな攻撃が通用せず、余裕の様子で笑いつつ井上にパンチを与えて押し返す。

オックス「今度はこっちの番だぜ、クウガ!!」

オックスオルフェノクは男性と同じように井上を吹き飛ばそうと鉄球を投げつけた。避けようとしてもスピードが速く、受けざるを得ないと決めた井上は覚悟を決めて構える。

井上「超変身!」

赤のクウガは姿を変えて紫のクウガ、タイタンフォームになる。このクウガはパワーを主体としたフォームで、この腕力を利用して鉄球を止めようとしているのだ。両手を前に出して鉄球を上手くキャッチするが、反動が予想以上に強いせいで地面に倒れて怯みながらも大ダメージを阻止する。

オックス「鉄球を止めたのは見事だが、隙有りだぜクウガ!」

オックスオルフェノクは隙だらけな井上を襲おうと片方の右拳でパンチを仕掛ける。井上は集中力をキープしながら赤のクウガになって足を起き上がらせると、オックスオルフェノクの右拳に狙いを合わせて必殺技の「マイティキック」を繰り出す。結果、オックスオルフェノクの右拳はマイティキックによって返され、今度は相手が怯んでしまう。

オックス「しぶとい奴め・・・次で倒す・・・!」

男性「そうは行かない!Check!!」

 

≪EXCEED CHARGE≫

 

井上が戦っている間に変身していた男性がデルタムーバーにエクシードチャージをしてトリガーを引くと水色のポインターが発射され、オックスオルフェノクに命中と同時にロックオンした。

オックス「うおっ、しまった・・・!?」

男性「行くぜ、赤いライダー・・・」

男性の声に井上は頷き身をかがめながら力を貯める。するとアークルに電流が走り出して黒の金のクウガ、アメイジングマイティへと姿を変える。

男性も井上の横に並ぶと同時に走り出し、同じタイミングでジャンプしてとび蹴りの体勢を取る。

井上「はああああああああああっ!!」

男性「だああああああああああっ!!」

2人のライダーはロックオンしたポインターに吸い込まれ、ドリルの如くにオックスオルフェノクを貫いた。

オックス「お・・・おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

オックスオルフェノクは2人の必殺技である「アメイジングマイティキック」と「ルシファーズハンマー」を受けた直後に紫で三角のマークが現れ、赤い炎に包まれながら灰と化す。

男性「くっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

男性は着地すると同時にうつ伏せに倒れて元の姿に戻る。サニー達が男性の元に近づくと、男性は彼女達を見て息を切らしながら小声で言う。

男性「・・・へへっ・・・無事だった、みたいだな・・・」

スター「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

男性「悪い・・・俺はもう・・・限界に達してる・・・俺もう、死ぬんだ・・・」

ルナ「そんな、なんで・・・!」

男性「・・・デルタギアは・・・適合しない者の脳を・・・刺激する・・・それが最悪の場合なら、死に至るベルトなんだ・・・俺はこれに相応しい奴を探していた・・・だが、俺にはその役目は無理だった・・・」

サニー「いや・・・いや・・・っ!」

井上「・・・・・・」

涙を流すサニーは首を横に振る。その直後に男性の体に青い炎が燃え始めた。男性は残された力で井上に顔を向ける。

男性「そこのライダー・・・名前は・・・?」

井上「井上だ、お前は?」

男性「・・・末崎さ・・・どうか、このベルトを代わりに持っていてくれるか・・・?井上なら、できるかもしれないしさ・・・」

井上は頷きながらも彼の最後の姿を眼にする。

末崎「それじゃあ・・・ね・・・・・・」

末崎は目を閉じ、体が灰となって崩れ落ちてしまった。今ここで人間の命が消えてしまった彼女達は涙を流し、井上も自らの変身を解いて彼女達の肩を軽く叩く。

井上「彼はやることをしたんだ。人間は必ず、役目を果たして散っていく・・・それは仕方ないことさ。だからそれ以上は・・・な?」

サニー「グスッ・・・ううっ・・・」

そうも泣き止む様子がない3人だが、サニーが特にそうだった。井上は仕方なくもサニーに次のことを話す。

井上「実はおじさんも、君みたいに泣いていた事があったんだ」

サニー「・・・?」

ぐしょぐしょの顔になっているサニーは井上に顔を向けた。

井上「2ヶ月前、おじさんが可愛がっていた3人の娘が爆発事故で死んでしまったんだ。その時はとてもショックで、思いっきり泣いてしまった・・・だがそれでできることは無理なんだ。タイムマシンで生きていた時代に行っても、神様に生き返らせてもらうことも絶対無理なこと・・・だけどそれを全てひっくるめて、死んだ娘達の思い心が俺の体に宿っている。泣くというのは、心の中にいるその者をよく見ていない証拠だ」

スター「心の中・・・」

井上「それに・・・君達の顔が娘達とそっくりだ」

サニー「私達・・・が・・・?」

井上「ああ。顔立ちが良く似ている・・・俺が仕事から帰ってきたときにでも、娘達は俺を待っていてくれていた。俺が事故で入院していたときでも、ちょっぴり泣いていたところはあったが、それほどでもなかったさ。なぜなら娘達には大切にしてくれている俺の心を受け入れてくれているから泣かないんだよ。もし、君達が娘達と同じだというのなら・・・そんなに泣くことはない筈だ・・・」

ルナ「そういえば・・・なんだか泣き止んできたかも・・・」

スター「あ、ほんとだ・・・」

3人は驚くことに、知らぬ間に泣き止んでいたのだった。井上は笑顔でサニーの頭を撫でる。

井上「やればできるじゃないか。やっぱり娘とそっくりだ・・・」

サニー「け、けどおじさん!私達は悪戯好きな三月精なのよ!?それだけで似ているって言わないでよ!」

井上「すまんすまん、あまりにも似ていたものだからつい・・・」

井上は気を引き締め、灰に残っていたデルタギアを拾う。

井上「話を変えるが、このベルトは君達が持ってはいけないものみたいだ。恐らくは悪用する奴がいるのだろうな・・・」

スター「どうしてわかるんですか?」

井上「さっきの怪人だけが狙っているようじゃ、どうも変すぎる。まだ他にもいるはずだし、君達が持っているようでは確実に命を奪われてしまう」

ルナ「! もしかして、おじさんがもって行くつもりなの!?」

スター「そんな無茶な!」

井上「おじさんもやらなきゃいけない・・・今度こそ、娘達・・・いや、君達を守らなきゃいけないからな。おじさんは前から難攻不落な試練を乗り越えてきたんだし、このベルトだって守り抜いてやるさ」

心配ないと3人に言う井上は、放置されていたアタッシュケースのもとへ戻ろうと向かったその時、

 

「そのギアは僕がもらいます」

 

井上「!?」

目の前にオルフェノクが出現する。しかもその正体は、ブラック将軍の命令を受けていたドラゴンオルフェノクこと、漣であるのだ。

漣「そのギアは僕たちにとって必要なものなんです。壊すとかのふざけた真似をしたら、貴方をオルフェノクにするまでもありませんよ?」

サニー「な、なんなのあれ・・・?」

サニーは漣から溢れ出るオーラに膝をついてしまう。

漣「さぁ、デルタギアを僕に・・・」

井上「断る!このベルトを渡すわけには行かない!(どうせならこのベルトを使ってみてもいいかもしれない・・・クウガの力を持つ俺なら・・・!)」

試す価値のある井上はデルタギアを腰に装着した。が、井上はここで痛恨のミスを犯してしまう。

井上(しまった!どうやれば変身できるか聞いてなかった!)

漣「まさか、変身の方法が分からないのですか?困ったものですね・・・それじゃあ遠慮なく死んでもらいます」

漣は井上に向かって突撃してきた。万事休すと鳴るかと思われる井上だが、ルナが井上に叫ぶ。

ルナ「おじさん!その黒い奴に『変身』って叫んで!」

井上「黒い奴!?・・・これか!」

井上はルナに言われたとおりにデルタフォンを口元に近づける。

井上「変身!」

 

≪STANDING BY≫

≪COMPLETE≫

 

デルタムーバーにセットした井上に光が発され、デルタへと変身した井上はキックで漣を押し返した。

漣「!(この男、適合者なのか・・・)」

井上(この力、赤のクウガと紫のクウガの両方が交えた感じだ・・・いける!)

早速攻撃を仕掛ける井上は、マズ最初に飛びつきながらのパンチで漣の顔面を狙う。すかさず両腕でガードする漣はブンッと両腕を振るって井上を払い除けるが、スーツアクターの腕前を活かして受身を取りつつデルタムーバーを取り出す。

井上「これでどうだ!」

デルタムーバーから光弾が発射され、漣には痛い程のダメージが当たる。

漣「・・・見事な腕前です。だけど僕は、まだ本気にはなっていませんよ?」

井上「何?」

漣「見せてあげましょう、僕の能力・・・龍人態の力を!」

するとドラゴンオルフェノクのゴツゴツとした体が砂のように崩れたかと思いきや、身軽そうな体へと変えて井上に襲い掛かる。しかも漣の動きが信じられないほどの速さになっており、井上は気づかずに漣の反撃を受けてしまった。その拍子にデルタギアが吹き飛ばされたことで変身が解除されてしまう。

井上「な・・・なんだ・・・物凄く速くなった・・・!?」

漣「僕は超高速で動けるのさ。最もオルフェノクの中で僕は最強な故、巨大組織スーパーショッカーの幹部なんだからね・・・」

漣はデルタギアを拾うと腰に装着した。

漣「変身」

 

≪STANDING BY≫

≪COMPLETE≫

 

デルタへ変身した漣はクスクスと笑う。すると彼の後ろにオーラが出現し、漣の体が吸い込まれていく。

井上「待て!逃げる気か!?」

漣「僕はあと2つのライダーギアが欲しいだけだよ。それじゃあごきげんよう・・・」

漣はオーラの中へ消え、別の場所へと移動していった。

井上「くそっ!まずいことになってしまった・・・!」

スター「おじさん!」

スターは井上に声を掛けた。

スター「おじさん・・・もういいんです。これで、もう襲ってくることは無いと思いますから・・・」

井上「だけど、何時何処で暴れるか・・・」

ルナ「ううん、ここは皆が平和に暮らす場所。だから、この世界にいるみーんなが・・・いや、あの貧乏巫女が!」

サニー「そうよ!あの貧乏巫女と魔法使いがガツンとやっつけちゃうわ!あー見えていろんなことを解決してきたらしいわよ!」

井上「・・・そこまでいうのなら、それでいいか・・・分かったよ、君達」

井上は3人に手を差し伸べる。

井上「俺は井上、井上 隆次郎だ。よろしく頼むよ」

サニー「サニーミルクよ!」

スター「スターサファイヤです」

ルナ「私はルナチャイルド、よろしく!」

ハイタッチでお互い仲良くなる一同。井上は彼女たちから幻想郷のことと森の出口を教えてもらうとビートチェイサーに乗り込む。

井上「驚いたのは、ここが別の世界ってこと・・・戻れる方法は無いのか?」

サニー「貧乏巫女なら元の世界に戻せるって聞くわ!けど、この世界を少し見回ってもいいんじゃない?」

井上「・・・そうかもな・・・たった今、俺は娘達に会えた気がしたから・・・」

エンジンをかけ、ヘルメットを被ると3人にシュッと人差し指と中指を重ねて挨拶をした。

井上「気が向いたら君たちの所へまた来るよ。それまで元気にしているようにな!また会おう!」

アクセルを入れてビートチェイサーは森の出口に向かって走り出した。3人は去っていく井上の姿を何時までも手を振り続け、やがては森の向こうに差す光の仲へと消えていったのであった。

第9話の完成だ!

今回はオッサンの熱い物語ということで30歳代(設定上では38歳)というシリアスな肩が変身する仮面ライダークウガを登場させました。

世の中には似たものが3人いるそうなので、井上には娘と三月精と似た者ということにしています。今後でも井上と三月精は大目に登場・・・するかもしれないです(ぇ

 

【ライダーデータ】

◇仮面ライダークウガ

登場作品:仮面ライダークウガ

備考:スーツアクターを務める井上 隆次郎が変身するライダー。自然の物質をフォームによって武器に変え、それぞれの能力を駆使して戦うのがクウガの特徴である。

基本はバランスの良い格闘タイプのマイティフォーム、通称赤のクウガで戦闘を行い、素早い敵ならスピードタイプのドラゴンフォーム、通称青のクウガ。空を舞う敵なら聴視覚に特化したペガサスフォーム、通称緑のクウガ。そして強固な防御を持つ相手ならパワー主体のタイタンフォーム、通称紫のクウガに変身する。

最も多く使われる必殺技は赤のクウガによる「マイティキック」で、威力は25tと計算されている。

 

 

◇仮面ライダークウガ アメイジングマイティフォーム

登場作品:仮面ライダークウガ

備考:アークルに納められている石、アマダムに雷の力を与えてパワーアップするのがライジングフォームであるが、このアメイジングマイティはその中で最強のフォームとされている。

但しこの形態は30秒間しか保てず、限界を超えると最弱形態であるグローイングフォームになってしまう。さらにこの状態およびライジングフォームでグロンギを倒してしまうと、半径3キロ内に大規模な爆発が発生して非常に危険である。

しかしそのリスクの分に威力が高く、このフォームでは75tという脅威の威力を誇る。

必殺技はマイティキックと同じように封印エネルギーを足に執着して蹴りをかます「アメイジングマイティキック」。


 
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