ここはとある路地裏
何を勘違いしたのかパイロンを帽子代わりにかぶった子猫がノラ猫に追い詰められていた
「いや・・・こっちこないで・・・・・・
う、撃つわよ!魔法撃っちゃうわよ?!」
「へっへっへ・・・撃てるもんなら撃ってみろよ」
「サカナイッパイ・ユメイッパイ・カツオブシブシ・・・きゃーーーーーーーーー」
浮かび上がった青白い光が急速にしぼんでいく
「へっ、魔法なんざ呪文さえ止めてしまえば発動できないんじゃねぇか」
「野郎ども、やっちまいな!!」
リーダ格と思われる猫が号令をかけると周りのノラたちが一斉に襲いかかる
「いただきっ!!」
先陣を切ったノラの剣が子猫をとらえた
と思われたその時・・・・・・
ガキイィィィィィン
気付けばノラの剣は何か固いもの、そう別の剣に遮られていた
「誰だおま・・・」
「弱い者いじめは許さないぞ!!」
そう叫ぶや、剣の主は剣をすりあげ相手の獲物を弾くと、そのまま振りおろした
ノラは声もあげずに膝から崩れ落ちた
剣の主はすぐさま呆気に取られている周りのノラ達に突っ込んだかと思うと剣を一閃
足元には2匹のノラが白目をむいて転がっていた
その段になってやっとリーダーのノラが我に返り叫んだ
「たかが一匹の放浪者なんぞさっさとやっちまえ!!」
その叫び声に周りのノラ達も我に返り獲物を振り上げ口々にわめき散らしながら彼へと殺到した
順調に敵を倒していくかれだったがそこは多勢に無勢
10合20合と打ち合う内に疲れが見えはじめてきた
剣の主が12匹目のノラを斬り伏せた時、ついに一匹のノラの剣が彼の剣を弾き飛ばした
その隙を逃さず後ろにいたノラが彼の右肩に一撃を加えた
「くっ・・・」
短くうめき声を上げると彼は膝から崩れ落ちた
「・・・・・・」
追撃が来ないことに彼が疑問を持ち始めたころ、目の前のノラ達が退きリーダーと思しきノラが目の前にやってきた
「おまえ、名をなんと言う?」
「・・・チロ、オレの名前はチロだ!」
チロと名乗った猫は歯噛みしながら睨みつけながら叫んだ
「さっさと殺せ!!」
「まだ殺さん」
リーダーはそう答えると静かにこう告げた
「交渉といこうか・・・」
「我が軍門に下れ、チロよ」
「ふざけるな!!オレは騎士だ!!死んでもお前なんかの仲間になるものか!!」
チロがそう叫ぶとリーダーは呟いた
「そうか・・・あれほどまでに腕の立つお前ならば幹部に推薦してやってもいいと思ったのだが・・・・・・残念だ」
「オレは俺の騎士道を貫く!!」
「なるほどな・・・仲間にならぬと言うなら我が主トニー様の障害になりかねん」
そう告げると、リーダーはゆっくりと剣を振りかぶった
「非常に残念なことだが・・・その下らん騎士道とやらを胸に抱いて散り逝け」
チロは己の無力を悔いながら固く目を閉じた
リーダーがその剣を振りおろした
(オレの騎士道はこんなところで終わるのか・・・・・・)
ガキィィィィィィィィィン
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ちょっと行き詰ったので前・後編に分けることに・・・
後編は明日更新予定