張遼隊が城から打って出てくれたおかげで何とか黄巾党を追い払う事が出来た。 今は賈駆さんに案内され玉座向かっている。
椿「詠ちゃん久しぶりね~」
椿さんが歩きながら前を歩く賈駆さんに話し掛ける。 今の椿さんは仕事モードじゃない……。 毎日仕事以外の時はこの状態で会っているはずなのに無性にこの言葉を贈りたい。
一刀「……お久しぶりです」
菖蒲「何を言っとるんじゃヌシは?」
賈駆さんは俺達のやり取りを訝しげに見ながら椿さんに答える。
賈駆「お久しぶりでございます馬騰様、まさか馬騰様が来て頂けるとは思いませんでした」
椿「詠ちゃん?」
賈駆「は、はい何でしょうか?」
椿「真名を授けたじゃない~、何で呼んでくれないの~?」
そう言いながら賈駆さんに詰め寄る椿さん……もう…ホントに……
一刀「お久しぶりです……」
菖蒲「だから何がじゃ?」
賈駆「しかしですね馬騰様……」
椿「椿」
賈駆「いや……あの……」
椿「つ~ば~き~!!」
楓「諦めよ詠殿……疲れるだけだ…」
賈駆「…………椿様」
椿「よろしい♪」
諦めた様に椿さんを真名で呼んだ賈駆さんに椿さんは満面の笑みで答える。 やはりこの言葉を贈らねばならないだろう……
一刀「おひさ……」
ガツ!!!!
一刀「痛っ!!」
菖蒲「ヌシは少し黙っとれ」
菖蒲さんにいつも持っている扇子で殴られた。
賈駆「では董卓を呼んで参りますのでこちらでお待ちください」
玉座に通された俺達に賈駆さんはそう言い奥へ消えていく。
董卓………帝すら利用し暴虐の限りを尽くした三国志きっての大悪党。 最後は親子の契りを結んだ呂布に暗殺された。 この世界でもおそらく女性だろう……三国志の知識を知っているだけに不安になる。
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董卓「助かったわ馬騰。 ここの将はほとんど出払ってて危なかったのよ」
椿「構わないわよ私とあなたの仲じゃない」
董卓「助けてもらったついでに一つお願いがあるんだけど」
椿「何かしら?」
董卓「そこにいる男……今噂になっている天の御使いよね?」
椿「えぇ」
董卓「いい男ね……貰うわ」
そう言いながら周りにいた兵達が椿さん達に武器を向ける。
星「なっ!? 貴様何を言うか!!」
董卓「あなたには聞いてないわ。 いいでしょ馬騰?」
椿「いいわけないでしょう!! 何を言っているのあなた!!」
董卓「訂正するわ……あなたにも聞いてないわ。 調度ウチの将も帰ってきたし……見送りなさい!! 命の恩人のお帰りよ!!」
無理やり玉座の間から追い出される椿さん達。
一刀「みんな!!」
追いかけ様とするが董卓に腕を掴まれ阻まれる。
董卓「あははははは!! 天の御使いも手中にした……私はもっと高みに行くわ!!」
一刀「離せ!! 俺はお前の言いなりにはならない!!」
俺の罵倒にも柳に風で妖艶な笑みを浮かべながら……
董卓「あん…つれない事言わないで天の御使い様……これからじっくり快楽に溺れて頂いて私無しでは生きられなくして差し上げますから……あははははははははは!!」
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一刀「(くっ……俺はなんて無力なんだ!!)」
菖蒲「あやつは何であんな苦々しい顔をしとるんじゃ?」
星「何か思う所があるのでしょう……」
一刀「(しかし妖艶なお姉様……いい!!)」
菖蒲「何て顔しとるんじゃあやつは……」
星「こうも考えてる事が分かると逆に清々しいですな……」
俺は今言葉を失っている。 賈駆さんが連れて来た董卓さんはとても儚げな少女だった。 俺が想像(←× ○→妄想)していた人物とは似ても似つかない人物だった。
董卓「助かりました椿様。 ここの将は今張遼さんしか居ませんでしたので……」
椿「構わないわよ私とあなたの仲じゃない。 無事でよかったわ」
董卓「へぅ……ありがとうございます。 しかし驚きました、椿様御自身が来て頂けるなんて…楓さんまで……それにそちらにいらっしゃるのは韓遂様ですよね?」
椿「えぇそうよ、ちょっと思う所があってね……その事は後で説明するわ。 その前に紹介したい人がいるの…今噂になっている天の御使いよ」
椿さんは俺に目配せして俺に自己紹介する様に促す。 いつまでも呆けている訳にもいかないので一歩前に出る。
一刀「初めまして董卓さん、北郷一刀と言います。 字と真名はないので好きに呼んでください。 一応天の御使いと言う事になっています」
賈駆「はぁ!? 一応!? そうなのかそうじゃないのかどっちなのよ!!」
董卓「詠ちゃん!! 失礼だよ……初めまして北郷様、この城の主の董卓と申します、よろしくお願いします」
この後俺がこの世界に来た経緯を説明し、この世界の為に天の御使いを名乗っていると言うと真名を授けてくれた。 賈駆さんは最後まで反対していたが董卓さんの説得に折れて自分の真名まで授けてくれた。
椿「それでさっきの話だけど……私達が来たのは翠達に勉強をさせようと思ってね」
月「勉強……ですか?」
椿「えぇ……近い将来群雄割拠の世になるでしょう、今回の賊の様なのが至る所で暴れてるのがいい証拠。 私が何時倒れてもいい様に今の内に学ばせておかないと……武だけでは生き残る事は出来ないわ」
月「なるほど……」
椿「それでお願いがあるんだけど……」
詠「すぐに帰るんじゃなくて期間をおきたいと言う事ですね?」
椿「そう言う事……翠達には適当に理由付けるからしばらくここに置いてほしいのよ」
月「わかりました、好きなだけ滞在してください……今日はささやかですが宴を開かせて頂きます、部屋を用意しますので宴の時間までお休みください」
~椿の部屋~
椿「ふぅ……」
楓「椿よ……話があるのだがいいだろうか?」
私が一息ついていると扉の向こうから楓の声が聞こえてくる。
椿「いいわよ~入って~」
楓「失礼する……」
楓が入って来て椅子に座る私も座る。
椿「それで話って~?」
楓「回りくどく言っても時間の無駄だから端的に言わせて貰う……本当の理由は何だ?」
親友の言葉に一瞬固まってしまう。
椿「何の事~? 意味がよくわからな……」
楓「誤魔化すな……何年傍に居ると思ってる」
楓の強い瞳に私は観念する。
椿「……参ったわね、あなたに隠し事は出来ないわ」
菖蒲「もちろん我にもだ」
声のする方を見ると姉さんが腕を組んで立っていた。
椿「姉さんもですか……私の事を分かってくれると喜ぶべきか、隠し事が出来ないと嘆くべきか……」
菖蒲「そんな事はどうでもいい、さっさと話せ」
椿「体がね……思う様に動かないのよ……」
楓「病か……?」
椿「おそらくね…」
菖蒲「おそらくとは何だ? 医者には?」
椿「診せました……でも原因が分からないらしいそうです」
楓「なぜ言わなかった?」
椿「機会がなかっただけよ……城に帰ったら言うつもりだったし……」
楓「嘘だな」
菖蒲「嘘じゃの」
椿「何ですか二人して……」
菖蒲「それよりもこれからの事じゃ」
椿「そうですねこれからは翠を軸に……」
菖蒲「そんな事を言っているんじゃないわ馬鹿者!! 我より先に逝くなど許さん!! 我の妹ならば最後まで足掻け!!」
楓「その通りだ……後継の事など考えるな…私達を導くのはお前だ……椿」
椿「言ってくれるわね……わかったわ…弱音はやめる、最後の最後まで足掻くわ。 私に力を貸して」
楓「無論だ」
菖蒲「言われるまでもない」
どうも茶々零です。
第9話いかがだったでしょうか?
前半は……反省はしていますが後悔はしていない!!
後半はいよいよこの物語の主軸の一つである馬騰病気フラグが建ちました。
いろいろ書く内に結構長くなりました、もし読みにくくてもお許しを……
椿と楓の掛け合いを書いてて雪蓮と冥琳に重なったのは言ってはいけない。
読者の皆様も思っても言ってはいけない……言わないで;;
でわまた第10話でお会いしましょう。
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第9話です。
笑い半分シリアス半分です。