「好きな子がいるんだ」
「で?」
ああ、冬は嫌い。寒いのは大嫌いだ!3月だというのに、暦上では春だというのに、なんとも今日という日は寒い日なのだろうか。どれもこれも地球温暖化のせいだ。温暖化だなんて名前だけ暖かそうな名前をしやがって、馬鹿にしているとしか思えない。名前負けだって言われたくないのであればもっと暖かくなれば良いのに、ああ、冬は嫌い。寒いのは大嫌いだ!それなのに、やっぱり吐く息は白くて、冷たくなった手は真っ赤になって、ああ…冬は嫌い。寒いのは大嫌いだ!
「だからさ、相談乗ってよ」
「嫌だよ、何で私が」
「お前にしか出来ないんだって!な?」
「相談一分につき命令一つ聞いてくれるなら」
「何だよそれー!」
「嫌なら良いけど?」
「むぐ……んじゃあ、俺に出来る事なら」
「うし」
私の席は一番後ろである。ストーブは前の方にあるからこの席には温かい風が運ばれる事がない。ちくしょう前の席に行きたかった。あ、でも前の席だと寝れないから前もやだ。ああもう、ストーブが後ろにあれば良かったのに。どうせあれでしょ?先生が温まりたいから前の席にあるんでしょ?そうなんでしょ?あーあーちくしょう悔しい。更にこの席は扉の前なので、教室を出て行った生徒がちゃんと閉めてくれないと物凄く寒い。寒い寒い。しかも閉めてくれる人少ないったら。何これイジメ?そうなの?なんて思ってしまいたいくらいに本当に少ない。だからいつも面倒くさいけれど寒さをしのぐ為に扉を閉めるのは私の仕事になってしまっていた。…それで、私の前の席は赤染さんのはずなんだけど、何でこいつがいるんだ?と思ったら冒頭の会話に発展した。意味が分からない。何故それを私に言う?まぁ今目の前に存在するこの男と私は中学からの仲な訳だが、そういうのって普通女子に相談する事なのか?他の仲の良い男子に言えば良いのに。…というか、何で私なの?本当に。意味が分からない。――私があんたを好きだって事知って言ってんのそれ?
「で、どんな子?」
「ブサイク」
「消えれば良いと思う。あんたが」
「ちょ、待て!違うんだよ聞いてくれって。性格がな、性格!」
「どっちも変わらん。一変死んでこい」
好きな子をブサイクだなんて呼ぶ人間、この世に存在するのだろうか。否今目の前にいるのだから居るのだろうが、何だこいつは。歪んだ愛の持ち主だ。今流行りのヤンデレとか言うやつ?近藤が言ってただけだから詳しく知らないけど、これがヤンデレなのか?…まぁ別に何でも良いけど。
「何組?同じクラス?」
「うん、このクラス。席離れてるけど」
「え、マジで?誰よ」
「それは内緒。お前口軽いから絶対言うもん」
「じゃあ相談しなきゃいいのに」
「嘘ですごめんなさい」
「お前にしか相談出来ないんだよー」なんて手を合わせて目の前で頼み込んでくるこの男。ああ、このセリフが「勉強教えてくれ」とかだったら素直に首を縦に振ってやらない事もないのに(多分)、何でよりにもよって恋愛相談だなんて。何が悲しくて自分の好きな相手の恋愛相談に乗らなきゃいけないのよ。ああ煩わしいったら!
「で何を相談したいの」
「付き合いたいんだけどさ、どういう告白がいいのかなーって」
「はぁ?」
「ほら、"こういう告白されたい!"とか、そんな感じ。あるでしょ?」
あるでしょ?じゃねぇ。と内心で怒鳴り散らす。好きな人から恋愛相談をされるような告白じゃなければ何でも良いんじゃないかな、本当に。ていうかそんなの他の女子に聞け。私に聞くな。…あ、一分経った。何を命令しようかな。
「別に、私はどんなでも良いけどね」
「それじゃ困るんだって!な?何でも良いからこんな感じっての!」
「あーもーじゃあ逆立ちして学校の周り3周した状態で告白すれば良いんじゃない?きっと向こうもその努力に免じてOKしてくれると思うよ」
「よっしじゃあ今から行ってきます☆」
「え、ちょっ星…え、あちょっと!」
……なんだったんだろうかあの馬鹿野郎は。本当に行ってしまった。まだ昼休みなんだけど、午後授業あるんだけど、何あの子、サボり?………私、関係ないよね?悪くないよね?…知ーらない。
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続きはサイトにてどうぞ!
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好きな人にわざと恋愛相談する人って、居ますよね?