No.131294

魏√風END 璃々編  後編

魏√風END 璃々編の後編を投稿します。
色々と持たれる感想が分かれると思いますが私が考えた一刀と璃々にとってのベストな終わり方を書いたつもりです。
よろしければ率直な感想を聞かせて頂けたら幸いです。

2010-03-21 01:32:26 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8620   閲覧ユーザー数:6842

五胡撃退の祝勝会の翌日。

 

本来なら全員が休みを満喫してるはずが蜀の将の全員が集まっていた。

 

「ううっ、頭が痛い。さすがに飲みすぎたか」

 

「ぐう、まだねむいのだぁ」

 

「あのぉ、桃香様。今日は皆休みのはずですがなぜ集められたのですか?」

 

「ううん、それがね。実は集まってもらったのは璃々ちゃんに頼まれたからだよ」

 

「えっ、璃々がですか?」

 

「うん。じゃあ璃々ちゃん話してくれるかな?」

 

「うん。あのね「ちょっと待ってくれ、璃々」」

 

「どうしたの?焔耶ちゃん」

 

「すみません桃香様。ですがお館の姿がないのですが?」

 

「はわわ、そういえばいらっしゃいません。先ほどお呼びに行った時には部屋にはいらっしゃらなかったのですっかり先にこられてるものかと」

 

「本当だぁ。どうしちゃったのだろうね、ご主人さ「ご主人様ならもういないよ」えっ?」

璃々の言葉に皆が一斉に璃々のほうを向いた。一部の者は璃々の発した言葉の意味に気付き顔を強張らせていた。

 

「ねぇ、璃々。それはどういう意味なの?」

 

「うんっとね、あのねお母さん。昨日の祝勝会の時璃々がご主人様を探しに行ったの覚えてる?」

 

「ええ、そういえばその後から元気がなかったわね。まさかその時に何かあったの璃々?」

 

「・・・うん。あのね、ごしゅじんさまを河原で見つけたの。それでね、ごしゅじんさまとお話していると突然ごしゅじんさまのからだがひかりだしたの」

 

「!?そっそれで?」

 

「そのことをごしゅじんさまに聞いたらね「どうやら俺の『天の御使い』としての役目が終わってしまったみたいなんだ」だって・・・」

 

「そっそんな!?それじゃあご主人様はまさか?」

 

「・・・お空へ帰っていっちゃたの。でもね、ごしゅじんさまは約束してくれたんだよ。必ず帰ってくるって。だから璃々は璃々もね、泣かずに泣かずにずっと待ってるって約束したの」

 

「・・・・・・」

 

その言葉にみんな驚愕していた。

天の御使いである北郷一刀が天に帰った。

その事実にショックを受けていない者などいなかった。だがそれ以上にその事実を伝えたこの幼き少女が涙目になりはしていても一刀と再会の約束をしたといったその顔はこの場の誰よりも美しいとさえ思える満面の笑みを浮かべていた。

「うんとね、それとね。もうひとつごしゅじんさまと約束したんだよ。璃々ね、大きくなったらお母さん達みたいに平和になったこの国でみんなのためにはたらくんだって。だから皆さん、ご教授のほどよろしくおねがいします」

 

「すごいのだ。璃々はえらいのだ。平和になったから必要なくなるかもしれないけど戦い方は鈴々に任せるのだ」

 

「はわわ、璃々ちゃんはおりこうさんです」

 

「あわわ、朱里ちゃん。璃々ちゃんのお勉強の為の教材を探さないと」

 

「私はどっちも自信が無いからな~。そうだ、騎馬なら教えられるかも。いいよね、お姉さま」

 

「当たり前だろ蒲公英。私達に任せとけ璃々。皆璃々の為に協力するからな」

 

皆が璃々の言葉に感銘を受けていた。

いったいこの幼き少女のどこからこれほどの決意の言葉が出てくるのだろう。

だからこそ皆の思いが一つになった。

平和になったこの国で今度はこの幼き、されど懸命に一刀との約束を果たそうとする少女を支えていこうと。

 

その日から璃々は訓練や勉強に真剣に取り組んだ。

一刀との再会のときに少しでもりっぱな自分であろうと。

そして時は過ぎ15年後。

 

兵の中には北郷一刀の顔を知らない者も出てきたそんなある日・・・

 

「そこはそのようにやっていって貰えますか?」

 

「畏まりました」

 

「では、ここまでにしておきましょうか?では周倉さん。申し訳ありませんが後のことはよろしくお願いできますか?」

 

「はっ。そういえば今日は『あの日』でしたね。大事は無いと思いますがお気をつけて、黄叙(こうじょ)様」

 

「ええ。それでは、皆さん、先に失礼致しますわ」

 

「「「お疲れ様でした」」」

 

兵に言葉を掛けて黄叙は部屋を出て行った。

 

「あのぅ、周倉副隊長。今日は何か特別な日なのですか?」

 

「なんだ。貴様はそんなことも・・・おっとお前は新人だったな。それなら知らなくてもしょうがないか」

 

「すっすみません」

 

「ああ、気にするな。今のは俺にも非がある。よしいい機会だ。他の奴にも今日の事を知らない者もいるだろう。すまないが隊の者を集められるだけ集めてくれ。それから話すとしよう」

 

「はっ、了解しました」

 

「おおっと、そうだ。城内にいるものだけでいいぞ。非番の者まで集める事はない」

 

「了解です」

 

兵は隊の者を集めに出て行った。

 

「・・・そうか。もう『あの日』から15年もたつのか」

訓練場の一つに黄叙隊の者が集まっていた。

 

「皆を集め終わりました。それで今日は一体どういった日なのですか?」

 

「ああ、皆の中には、もうその姿を北郷一刀様を見たこと無い者もいるだろう。その者達は知らないかもしれんが今日は黄叙様には特別な日なのだ」

 

「あの、という事は今日は黄叙将軍と天の御使い様にとって特別な日と?」

 

「ああ。今日は北郷様が天に帰られた日と同じ日にちだ。正式には天に変えられたのは年一回の三国会談が行われる日だがな。そして黄叙様にとっては20歳の誕生日でもある。それでだ。黄叙様はな、毎年三国会談とご自身の誕生日の日に北郷様が天へと変えられた河原へと訪ねていらっしゃるのだ。なんでも黄叙様一人だけが北郷様を見送る事が出来たそうなんだ」

 

「そっそれじゃあ、将軍は」

 

「ああ、恐らく待たれておられるのだろう。北郷様がお帰りなされるのを」

黄叙は一人、あの河原へと訪れていた。

 

「ご主人様、御久し振りです。今日で私は20歳になりました。あの日から私は桃香様達の支えの下、ご主人様との約束を叶えようと頑張って参りました。ご主人様、果たして私はあの日の誓いに応えられるような将へとなれたでしょうか?」

 

その時、バキッと枝を踏み潰す音が聞こえた。

 

「!!そこにいるのは誰ですか?」

 

「その声は紫苑・・・いや違うかひょっとして璃々ちゃんかい?」

 

そこには真っ白い見たことも無い服を着たされどどこか見た覚えのある面影をした男性が立っていた。

 

「ああっ、そんな。まさか貴方様は、ご主人様!?」

 

「やっぱり璃々ちゃんだったか。どうやらこっちの世界も俺のいた世界も時間の進み方は一緒だったみたいだね。綺麗になったね、璃々ちゃん」

 

「ううっ、ご主人様。ご主人さまぁ~」

 

近くに着た男性が一刀であることがわかった黄叙、いや璃々は迷わずに一刀へと駆け寄り抱きついた。

 

「今までゴメンね璃々ちゃん。あらゆる手を尽くしてもこっちへと戻ってくる手段が見つからなくてね。15年も長い月日を待たせてしまったね」

 

「いいえ、わたしは・・・璃々は信じてました。例えどんな月日が経とうともご主人様は帰ってきてくださると。だからね、璃々は璃々は頑張ったんだよ。鈴々お姉ちゃんや蒲公英お姉ちゃんに鍛えてもらったり。朱里お姉ちゃん達にいっぱいお勉強させてもらったんだよ」

 

「そうか、頑張ったんだね璃々ちゃんは。俺との約束を守るために。有難う璃々ちゃん」

 

「うっうわぁん。ご主人さまぁ~」

 

今、長き月日の下遂に二人は再会した。

今や、蜀を代表するほどの将となったかつての璃々、黄叙はただひたすら泣いていた。

まるであの日のかつての少女へと戻ったように。

ただひたすら再会を喜んで泣いていた。

あとがき

 

いかがだったでしょうか?

これにて魏√風END 璃々編は完結となります。

この後編が出来上がってから友達に見せた所意見が分かれました。

ですので率直な感想をお聞かせいただければ幸いです。

 

後、一応今回の璃々編はアフターを考えてはいますがどうしましょうか。

ご希望される方がいらっしゃったら頑張ってみようと思います。

 

次回はどうしようかな?

呉は好きだが話が思いつきません。

 

 

・・・トラあたりやってみるかってオイッ

 


 
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