No.127618

真・恋姫 頑張れ郝昭さん!18

きゅうりさん

反董卓連合ですね
さようならかくしょうさん…

2010-03-02 10:51:48 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:3358   閲覧ユーザー数:2793

 

 

張郃との死闘を繰り広げているうちにも軍議が終了したのか、公孫瓚が戻ってきた。

公孫瓚さんは溜息をついて、何か考え事をしている。

軍議で何かあったのか、先鋒でも任されてしまったのか。

 

「郝昭」

ご指名入りました。

 

「何ですか?」

 

「悪いんだが、兵5000を率いて…」

えーッ!?

まさかの先鋒なの?マジで?

もっと適役とかいるでしょう、趙雲さんとか。

光の速さで考えを巡らせる。意味のない考えを。

 

「兵5000を率いて桃香のところに加勢してやってくれないか?」

火星?探査機どうなったんだろうね。

 

「桃香が袁紹に先鋒を任されてしまってな…。友人として手を貸してやりたいんだ。」

加勢、か。どうやら先鋒を任されるってわけじゃあなさそうだ。

いや、でも劉備さんが先鋒でそれの加勢ってことはそれに変わりないのか?

 

「張郃も連れていくと良い。何、お前達なら大丈夫だろう。…ところで何で張郃は元気がないんだ?」

張郃さんを連れてけ、と。そう言った後に疑問に思ったのか質問される。

張郃さんに元気がないのは俺が天幕でひぃひぃ鳴かせてやったからなんだぜ!

とか言っても強ち間違いではないが、語弊がある。

 

「ええ、……ちょっと天幕に問題がありまして」

誤解を招いても後々どうなるかわからないので適当に誤魔化しておく。

何故張郃さんに元気がないのか?

実はあのプロレスで張郃さんを屈服させたからだ。

目には目を、虚言には虚言を!

俺はロックされた後も、希望を失わずに抵抗した。

ロックを解かせるような言葉を投げかけ続け、解いたところで反撃開始だ。

正直素手の接近戦なら負ける気がしない。

見事に屈服させたので、張郃さんには元気がないのだ。

 

「そうか…、まぁ深くは追求しないさ」

何かを察したのか、公孫瓚さんはそのまま納得した。

 

 

 

 

その後、俺は予定通り兵を引き連れ前線の劉備軍へと足を運んだ。

まだ張郃さんに回復の兆しは見られない。

…ま、そのうち元に戻るだろう。

劉備軍の陣地へ着くと、関羽さんに出迎えられた。

 

「おお、郝昭殿!どうしたのですか、このような所に兵など引き連れて」

 

「公孫瓚さんに加勢するように頼まれましてね。これからよろしくお願いしますよ、愛紗さん。」

挨拶を交わしているというのにまだ生気が戻らない張郃さん。

 

「ほら、張郃さん元気出してくださいよ。」

そう声をかけると、ハッとしたのか意識を確かにする。

今まで無意識に歩いてたのか?

意識を取り戻すと、辺りを見回している張郃さん。

すると、目の前の関羽さんと視線が合い、そのまま停止する。

 

「どうなされたのですか、張郃殿」

至って普通の笑顔だ。

関羽さんがそう質問すると

 

「いえ、何でもないですよ。さぁ、先を急ぐぞ郝昭」

と言って連行されていく。

ってどこに行くのか知ってるのか?

とりあえずは劉備さんに挨拶にいかなくちゃあいけない。

 

 

 

「桃香さん、公孫瓚さんに加勢するよう頼まれましたので参上しましたよ。

先鋒を任されたそうで、お気の毒です。」

とりあえず経緯を説明する。

 

「お兄さんが加勢に来てくれるなんて…、とっても頼りになるね!」

と、こんなことを言われた。

 

「大変だけど…、これも平和な世を築くための試練だと思うの。ここで名をあげて

有名にならなくちゃいけない!」

 

そうなんですか、頑張ってくださいね。

なんて言えるわけがない。

 

暫くは談笑が続いたりしたが、一応今回の戦の先鋒である。

あまり悠長にはしてられないが、俺はあくまで加勢なので

ちょっと余裕をもってたりもする。

 

 

 

 

 

 

汜水関攻め。俺はてっきり虎牢関も続けて攻めるものだと思っていた。

しかし、虎牢関と汜水関は離れている場所に設置されているそうで

まずは汜水関から攻め落とす、とのことであった。

 

汜水関の守将は華雄。董卓軍の猛将だ。

きっと女性なんだろうけど、それでも猛将は猛将だ。

汜水関攻めの先鋒ということで、軍を前線へと押し上げる。

 

 

暫くすると、汜水関から敵が打って出てきた。

この状況で打って出てくるのは中々勇気がある。無謀ともいうのか?

敵の兵数は数千と少ないが、こちらも多いとはいえない。

劉備軍では、てっきり敵は篭城するのだろうと思っていたらしく、策を用意していたのだが

予想外にも敵は打って出てきたのだ。それも少数の兵で。

汜水関には数万と守兵がいるのに、そのうちの数千だ。

小手調べのつもりなのかどうかは知らないが、とりあえず迎え撃たなくてはならない。

俺は迎撃に志願する。俺にやらせてくれ!っと。

ここで働いとけば後々楽ができるよね…ね?

 

 

 

敵将の名は不明だが、華雄ではないとのことだ。

それならば話は早い、俺が討ち取ってこよう!なんつったりして。

俺は公孫瓚さんから預かった兵で敵を迎え撃つ。

 

 

「ふはは、連合軍といえど所詮は烏合の衆!」

 

敵を迎え撃つと、一気に激戦となる。

敵の将は胡軫。董卓軍の中でも中々の猛将なのだが、あまり有名ではない。

呂布や華雄の影に隠れてしまうからだ。

 

俺は馬上から弓を射りながらも、しっかりと近くの敵も対処しながら敵将を探す。

こういった戦は敵将を討ち取るのが一番手っ取り早い。

辺りを見回すと、敵将らしき人物はすぐに見つかった。

向こうも俺を将とでも思ったのか、周りの兵を蹴散らしながらもこちらに近づいてきた。

 

 

「我こそは董卓軍が将、胡軫なり!敵将、勝負勝負!」

 

そう言いながら此方へと槍を構えて突撃してきた。

俺は馬上から敵将に向かって矢を放つ。

すると相手の動きは止まった、驚いたのだろうかその場で警戒しだした。

 

「貴様、馬上から矢を射るとは。しかも中々の腕と見受ける。」

 

そう言うと、男は突然馬をおりた。何を考えているんだ?

 

「一騎討ち所望する!願わくば地上での勝負としたい!」

 

そう高々と叫ぶ。

これは、一騎討ちを申し込まれたのか。

周りの兵はそれに気付くと、こちらへと意識を向け始める。

 

断るわけにはいかないな、士気にも影響するだろうし。

 

 

 

 

 

「お主、中々の腕と見受ける。」

 

そう言って槍を構える。

対するこちらは小太刀だ。

間合いからいうと不利であるが、一騎討ちならば戦い方次第だ。

 

「郝昭だ。……劉備軍のな。」

 

公孫瓚の名前を出そうと思ったが、色々と面倒臭い事になりそうだったので

あえて劉備の名前を出した。

一応、劉備軍って事だからなぁ。

 

「我こそは胡軫!いざ参るぞ!」

 

男はそう叫んで斬りかかってくる。

張郃さんや趙雲さんなんかと比べると全然遅い。

 

「せいッ!」

 

胡軫は掛け声を上げて斬りかかってくる。

しかし、俺はそれを避ける避ける。

 

「はぁッ!!」

 

まだまだ避ける避ける。

 

「ふん、逃げてるだけじゃあ勝てんぞ?」

 

そう言って男は更に斬りかかってきた。

しかし、その瞬間だ。

胡軫の一瞬の動き、槍をもつ右腕がほんの一瞬動いたのがわかる。

胡軫は突きを放ったのだ。

それが初動で理解できた。

敵の一瞬の動きで、その後どのような行動に出るのか。

動きの始めを見ることで、その続きである仮定を予想する。

そして結果に結びつける。そうする事で、相手の一歩先を行く。

 

俺は初動の時点で既に動き始めていた。

槍を突く、という一連の動作を3段階に分けるのであれば

まず槍を突くために一瞬後ろへと腕を動かそうとする。それが今回の初動だ。

次に、後ろへと腕をもっていき、腕に助走をつけることで槍を前に突き出す。これが仮定だ

最後に残る結果が、槍を突いた、という事だ。

 

それらの一連の動作のうちの初動で、この男がこれからどう動くのかを

全ては感覚で理解し、動く。

相手の一撃の間合いへと入る為に。

 

「な、っ…なん…だと……」

 

肉を斬る感触が伝わってきた。

恐らく、この男はもう助からないだろう。

相手の攻撃と同時に、懐へと潜り込み必殺の一撃を浴びせる。

カウンターのようなものなんだろうが、計り知れない事であった。

突然こんな事ができたわけじゃない。

前々から思っていたのだ、よく相手を観察してみると共通点が見つかった。

相手が攻撃を繰り出す瞬間に、一瞬緊張が見て伺える。

そこからである。ほんの少し、ほんの少しだが相手の動きが遅く見えるのだ。

世界が止まって見える、なんてものじゃない。

相手の動作がわかるのだ。そしてそこからの動きが予想できた。

こいつは、恐らくだが、突いてくる、かもしれない。

頭の中で考えて導き出してるわけじゃあない。感覚がそう訴えているのだ。

いうなれば野性の本能という奴なのかもしれない。

 

 

胡軫はゆっくりとその場から崩れ落ちた。

 

本当に一瞬だった。俺はただ、突きが来ると思い行動した。ただそれだけだ。

それらを他の人よりも一瞬、理解するのが早いというだけなのかもしれない。

辺りからは一騎討ちを見届けていた兵達から歓声と、一気に逃げ出す敵兵の声が聞こえてきた。

味方の兵が近づいてくる。

足を上げた、という事は此方に近づいてくるのだろうか。

と思って少しすると、その兵が此方へと近づいてくる。

………この能力を俺は凄いとは思っていないし、特殊だとも思えない。

それらは全て感覚だからだ。

訓練して身に付いたのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

まぁ、細かい事は良いのかもしれない。感覚とは計り知れないものだと思った。

 

打って出てきた敵軍を見事に蹴散らし、帰陣する郝昭。

まだまだ戦いは始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

出鼻を挫かれてしまった董卓軍は、汜水関に閉じこもってしまった。

このままでは埒があかない。

まぁ、元々汜水関に篭られるのを前提にして戦いに臨んでいたので問題はない。

相手を汜水関から誘い出す作戦も既に用意してある。

さすがは天下の伏龍さんだぜ!俺には思いつかないことを平然とやってのける!

 

 

…それほど凄い策というわけじゃあないが。

汜水関は華雄が固めている。華雄は生粋の武人という事だ。

早い話は、挑発して出てきたところを叩く、という事なのだが

劉備軍では全軍で打って出て来られると被害がたまったもんじゃあない。

という事で、敵を周りの諸侯にも押し付けてしまおう、という事なのだ。

ちなみに最後の案を提案したのはなんと劉備さんだ。

穏やかな外見をして中々腹黒いぜちくしょう!

 

この作戦を主に担当するのは関羽さんだ。

俺は諸侯に押し付けたあとに、敵と戦うことになっている。

劉備軍に食いついた敵兵の掃討というわけだ。

 

俺は後方で待機している事になったので、汜水関の様子はわからない。

しかし、暫く経っても敵が出てくる様子は見えない。

すると、前方から前進しろ、との事で軍を前に出す事になる。

まさか、このまま直接攻めるなんて事はないよなぁ。

不安に駆られるも、すぐに後退せよ、と再度指示が飛んでくる。

軍を寄せてまで挑発してたのか…。

 

 

 

敵は頭に血が上っているのか、怒涛の勢いで攻め寄せてくる。

諸侯に敵を分散させることにはとりあえず成功だ。

ただ、問題なのは一つ小さな問題があった。

敵将の華雄が此方へと向かっているのがわかる。

中央を空けたのだから、連合軍の本陣へと向かうのかと思ったが左右に別れた

劉備軍へと突撃をしている。もちろん中央へと向かう将もいたのだが。

 

 

「徐栄、お前は連合の本陣目掛けて突撃しろ!」

 

「はっ…華雄様はどうなさるおつもりで…」

 

「私は左右の劉備軍を蹴散らしてから向かう!あの小生意気な娘、生かしておけん!」

 

「はっ?…あ、か、華雄さまーっ!」

 

こんな話しがあったそうな。

 

 

「華雄が直接蹴散らしにきたんですか」

 

「うむ、そのようだ」

 

俺は張郃さんと会話をしながら戦場を見渡す。

まぁ演義じゃ関羽が華雄を討ち取ったって話しだからな。

そうこう話してるうちに接敵する。

敵の兵力は此方より上だが、これでもよく分散できたほうである。

俺達は後ろに布陣しているので敵と多く接触するわけじゃあない。

 

「まぁ、大丈夫でしょう。さすがにここまで斬り込んで来るわけないですよ」

 

「そうだな。ま、私達はどっしりと構えていれば良いさ」

 

戦いは暫く続いた。

ここまでやってくる敵兵はちらほら見かけたが、すぐに討ち取られてしまう。

そろそろ勝敗がつくかな、と思って改めて戦場を見渡す。

すると、俺の目には巨大な斧をもった銀髪の女性が映った。

 

 

 

 

 

「くそっ、あの劉備とかいう奴の本陣はまだか!」

 

そう言いながらも、兵士を切り伏せていく。

どうやら華雄は劉備を探している様子だ。

軍の大将なのだから当然なのだろうが、何か私的な面も含まれている。

 

「あれってもしや…」

 

この世界で強い人の定義は決まっている。

それは女性である事だ。見たことのない女の人が味方の兵を倒しているのが見て解かる。

見るからに強そうな武器…斧を振り回している。

 

何故こんなところにいるのだろうか。劉備さんなら反対側ですよ…

しかし、目撃してしまったのなら戦わざるをえない。

最初から気持ちで負けてしまっては勝てるものには勝てなくなってしまう。

…よし、行くしかないか!

と思って武器を手に取った時であった。

 

「華雄将軍と見受ける!」

 

凛々しい声が響き渡る。

おお、あれぞまさしく関雲長!

関羽さんが華雄と接触したのだ。

 

「我が名は関雲長!お主の首、貰い受ける!」

 

「ふはは、義勇軍の田舎武者如きが我が首を狙うなぞ、笑止千万!」

 

どうやら華雄は関羽さんの実力を知らないようだ。

華雄は関羽と数合渡り合ったが、それだけでどちらが有利なのかが解かる。

やっぱり関羽さんは凄く強かった。

 

華雄は命からがら離脱するも、もう残存戦力が残っていない。

辺りから徐々に敵兵の姿が消えていく。

討ち取られたものや逃げ出したもの等、行方は数知れず。

劉備軍は自分達の取り分をきっちり抑え、汜水関を目指して行軍していく。

周りの諸侯たちもキチンと対処制圧を終えたようだ。

 

汜水関は案外すんなりと制圧できたな…。

戦いはこれからなんだろう、まだ虎牢関と呂布がいるし。

ああ、あと張遼なんてのもいたか。まあ曹操軍が何とかしてくれるのだろう。

恐らく虎牢関攻めも任されるのだろうな、加勢だし…。

 

 

 

 

 

 

華雄を討ち取ることはできなかったが、見事に汜水関を制圧した連合軍。

先手は文句なしの大成功、連合の士気も上昇するのだろう。

できる事ならこの勢いを保ったまま次の虎牢関へと攻めたいものだが

何せ連合軍の総大将は袁紹なのだ。

彼女の優柔不断さは天下一品ともいえよう。

しかし、この世界の袁紹は更に欠点を抱えている。

 

どうやら次の虎牢関攻めも任されてしまった劉備軍。

虎牢関は汜水関ほど狭いというわけじゃあないので、いくつかの諸侯も軍を展開するのだが。

どの諸侯も一番に洛陽入りを果たしたいと思っているのだろうか、ここで大事な

戦力を失うわけにはいけないと思っているのだろう。

 

ここから虎牢関まではそう遠くないので、数日後に虎牢関へと向けて進撃するそうだ。

俺は劉備さんから袁紹の作戦とやらを聞いて絶望していた。

雄雄しく、勇ましく、華麗に前進。正直、意味がわからなかった。

袁紹ってどんな人物なんだろう、一度見てみたくなった。

それよりも、こんな袁紹に滅ぼされる公孫瓚さんは気の毒だ…。

・・・・まぁ、こっちには天下の軍師様達がついているから作戦のほうは大丈夫だろうが、

数日の休息を今は大事にしよう。武具の手入れも怠らないように。

ここからが根性の見せ所ってやつなのかもしれない。

 

 

俺の目の前には呂布がいた。

張郃さんは呂布の部下と交戦中であり、関羽さん達にはまだ呂布が突撃してきた報告が入っていない。

虎牢関には広く布陣していたのだが、呂布が少数の兵で突撃を仕掛けてきたのだ。

呂布だけでなく、どうやら張遼などの将も同時に攻撃を仕掛けてきたようなのだが

運悪く、呂布が此方へと突撃してきただけだ。

何を考えて突撃を仕掛けてきたのかはわからないが、これだけは解かる。

俺は今、人生最大の窮地に陥っていると!

 

 

呂布が此方をじっと見据える。

俺を将軍とは認識しているようだが、名乗りなどは一切ない。

単に無口なだけなのか、それとも名乗るほどでもないと思われているのか。

呂布の武器は方天画戟だ。恐ろしく大きい。

対する俺は小太刀。なんだか今日はちんまりとして見える。

しかし、遭遇してしまったのであれば、やらなければ此方がやられてしまう。

願わくば、援軍が来てくれる事を祈るのみ!

 

 

「呂布さんとお見受けいたします。できれば退いて……」

 

と言いおえる前に斬りかかってきた。なんて恐ろしい子なの!?

物凄く早い一撃が襲ってきた。

俺は小太刀で受けよう、なんて馬鹿な真似はしないで身をかわす。

 

呂布は何も喋らない。やっぱりただの雑魚とでも思われているのか。

小太刀と方天画戟…正直話にならない。

相手が武器を所持している以上、間合いを保たなければならないな。

俺は弓を手に取り、矢を放つ。

 

ちなみに地上戦だ。呂布が攻めてきました、と情報が入って天幕を出た時には

もう呂布がいた。少数の兵だったので、幸いにも被害は大きくないが

狙いは将である俺なのだろうか。

将軍である俺は倒せば、指揮系統の一部が混乱するうえに、士気も下げられる。

恐らく呂布は、将軍のみにポイントを合わせて突撃をしているのだろう。

これぞまさに無双をされている気分だ。

武将のみを倒しにかかる…ちくしょう、俺は能力が上がるアイテムなんて落とさないぜ!

 

 

俺が放った矢は、あっさりと弾かれる。

続けざまに数本射るが、それらも全て弾き落とされた。

最後の1本を弾いてすぐに、俺に向かって突っ込んできた。

気付いた時には横手から方天画戟が襲ってきていた。

 

「……ちっ!」

 

辛うじて避けるが、更に呂布はその遠心力でもう一撃攻撃を仕掛けてくる。

それも何とか避けて、間合いを空ける。

 

「………お前、中々やる…」

 

初めて口を開いた呂布。

しかし、今の俺にはそんなことはどうでもいい。

戦いにおいて、まず一番にすべき事は観察だ。

相手の癖やら武器の特徴なんかを把握しておく。そうすれば後から良い攻撃方法が

思い浮かぶかもしれない。

呂布の武器は、方天画戟といえども薙刀のようにも見える。

しかし、刃の部分が二箇所あり、刃にギザギザの部分がある。

そして武器には布がくくりつけられていた。

 

俺は喋る余裕なんかないし、そんな暇があるなら逃げ出したいところだ。

距離をとれば、勝てる勝てないに関係なく有利なのは俺だ。

できればこの距離を保ち続けたい。

 

 

 

 

俺は懐からあるものを取り出す。

短弓の設計図!……じゃなくて短剣だ。

剣といっても、投げやすいように刃の部分は薄くなっている。

こんなもので方天画戟を受けようものならば結末は見えている。

俺はそれを呂布に投げつける。

しかし、矢を弾けるのだから、こんなものは簡単に弾かれた。

俺はあてるために投げたのでなく、弾道などを確認したのだ。

 

呂布は、距離を空けたら自分に不利なことをすぐに理解する。

そして方天画戟を持って首を刎ねる為に前進。

物凄い一撃が飛んでくる。

俺は方天画戟を小太刀で受け流していくが

 

「…クッ、重いうえに、速い!」

 

いつまでも受け流せるはずがない。

隙を衝いて、蹴りをお見舞いしてやったが、方天画戟で受け止められてしまう。

 

呂布は柄の部分で郝昭をふっ飛ばす。

間合いをとるためなのかは知らないが、一度状況が振り出しに戻る。

 

…いつまでも小賢しく受け流してもられないな。

呂布はまだ本気じゃないのか、じっと構えている。

このまま矢や、ナイフを投げ続けてもいつかなくなってしまう。

それならば接近戦でなんとかするしかないが…

 

・・・・・やるしかないな、一か八かだが!

郝昭はそう思い、呂布に向かって突撃していく。

呂布はとっさに身構え、郝昭の攻撃に備えていた。

 

呂布の武器には、中心の部分にちょっとした隙間がある。

刃の組み合わせで偶然できてしまった隙間なのだろうが、それを利用するしかない。

 

俺は呂布に向かって、ではなく呂布の武器である方天画戟に向かって攻撃を始める。

その隙間を利用するには、動きを読まなくてはいけない。

俺は切り結びながらも集中する。

そして軌道を見極めて、その隙間に小太刀を通す!

 

「……ッ!」

 

武器を引き戻そうとした呂布が、違和感を覚える。

郝昭の小太刀が、方天画戟の中心の隙間部分に収まっていたのだ。

そのせいで、普段どおりに武器を戻そうとしたが、思わぬ力で一瞬体勢が崩れる。

 

俺はその隙を逃すまいと、ナイフを数本投げつける。

しかし呂布は何とそれを避けたのだ。武器を放さずに。

確実に手傷は負わせられるだろうと思ったが、とんだ勘違いであった。

 

呂布は、乱暴に、少しだけ方天画戟を動かして小太刀を抜きとる。

郝昭は思いもよらぬその力に、思わず体勢を崩した。

当然、それを見逃すような呂布ではなかった。

方天画戟は郝昭の胴体を目掛けて振り下ろされる。

郝昭も、遂に終わりかと思った。

 

 

 

 

方天画戟が振り下ろされる。

郝昭にはそれを避ける術がなかった。

完全に体勢を崩していたからだ。

 

方天画戟が、郝昭を目掛けて振り下ろされるが、途中で止まった。

正確には、振り上げた時に止まったのだが。

 

「……もしかして、狙った?」

 

呂布が訊ねてくる。

 

「…ああ、だけど死ぬかと思った、本当に。ここで終わってしまうのかと思ったよ。」

 

呂布の武器を振る速度は尋常じゃない。振れば旋風が巻き起こるし、

叩けば恐らく地面が砕けるのだろうか。

 

「あの短剣は呂布を狙ったんじゃあない。その武器の布きれを狙ったんだ。」

 

郝昭が投げたナイフは、呂布ではなく布に向かってのものだ。

布きれに刺さったナイフは、方天画戟が乱暴に振り回されると、振り回している

呂布目掛けて飛んでくる。布がそうするように、だ。

 

呂布は一旦間合いを図る。

刺さったナイフを抜く為にだ。しかし、それを許すわけにはいかない。

 

郝昭は弓を構えて、間合いを図った呂布に向けて射掛ける。

呂布は、なるべく刃のほうを動かさぬようにして柄の部分で矢を弾く。

やる事なす事全てが尋常じゃあない。イカれているのかとも思った。

しかし、それが呂布の才能なのだろう。持って生まれた、というやつだ。

 

飛んでくる矢に、柄で弾く呂布だがこのままではろくに抜けない。

埒があかなくなったのか、呂布は乱暴に布を引きちぎった。

俺はそんな事は構わずに矢を射る。しかし、それが間違いであった。

 

「……なっ!?」

 

呂布は、引きちぎった布きれを投げつけてきた。

当然、ナイフが刺さっているからそれも一緒に飛んでくる。

俺は既に弓を構え、矢を射ってしまった。

それがいけなかった。俺には避ける事ができない。

俺は咄嗟に腕で致命傷を避けるべく、防御した。

 

「……ッ!」

 

痛みで顔が引きつる。

飛んできたナイフは見事に俺の左腕に刺さる。

意識して利き腕じゃないほうでガードしたが、それがまずかった。

弓を射る事ができなくなった。

痛みでうまく弓を支えられない。

支えられたとしても、だ。果たしてその矢は呂布にまで到達できるのだろうか。

 

事態は最悪だ。

もう間もなく討ち取られるのであろうか。

しかし、俺はまだ死ぬわけにはいかない。

もっとこの世界を知りたいと思っている。

状況をなんとか打開しなければいけない。

あの呂布相手に何ができるんだ?

 

 

 

「…もうお前、お終い」

 

呂布がじわじわと近づいてきた。

こうなったら、正々堂々斬り結んで、潔く散るのもまた華という奴かもしれない。

俺は小太刀を握り締めて、覚悟を決める。

 

 

呂布が方天画激で薙いでくる。

俺はそれを避ける。

袈裟懸けに斬ってきた攻撃に対して、小太刀で受け止める。

俺は渾身の力でそれを受け止め、なんとか押し返そうとする。

しかし、ビクともしない。だが押されもしなかった。

この状態で、左腕をうまく使えればナイフを当てられたかもしれない。

もう左腕にはあまり感覚がなかった。うまいところに刺さったもんだ。

 

俺は鍔迫り合いから一気に勝負に出た。

力を振り絞り、相手の武器を押しのけた。

見事に押しのけることができた。たまらず呂布の武器は左上へと滑らかに弧を描いた。

隙ができた胴体に向かって、小太刀を切り下そうとしたのだが

 

「…ぐっ、がハッ……」

 

何をされたのだ?相手の武器は完璧に押しのけたはずだ。

事実、相手の武器が…

と、そこまで考えて、考えるのを止めた。

正直、今回は相手が悪かったとしかいえない。

 

呂布はわざと押し負けたふりをしたのだ。

そしてそのまま一回転し、郝昭の胴体に袈裟斬りをしたのだ。

完璧に食らってしまった、もう助からないかもしれない。

斬られた時に、思い切り蹴り飛ばされた。どうやらふっ飛んだようだ。

 

まだ、まだ死にたくはない。

俺の最後の希望は1つ、援軍だ。

始めに呂布に攻められていると、兵に伝令を頼んでいた。

関羽さんならきっと、此方へと向かってくるだろう。

とどめを刺される前に、時間をできるだけ稼ぐ。

それだけでいい、援軍が来ればこの状況を打開することができるだろう。

そう思って、郝昭は仰向けのまま、呂布を睨みつけた。

 

 

 

一方、関羽のところでも戦闘が起きていた。

関羽のところにも敵兵が押し寄せていた。

 

「…くっ、郝昭殿の下へ行かねばならぬが…、まずはこいつらを一掃せねば!」

 

関羽のところには郭汜という武将が攻め寄せていた。

将に能力があるとはいえないが、それでもその人なりに頑張っているのだろうか

それに兵数も劉備軍を上回っているのだ。

一体何故まばらに突撃を仕掛けてくるのか、今はわからない。

 

 

 

 

どうもどーもー

 

色々と曖昧な表現がありますが、基本的に郝昭さん視点だったりしますのであまり突っ込まないで!

 

今回はコシンさんと戦ってるシーンがありますね。

 

戦い終わったあとに何だか訳のわからないこと言っておりますが、要は郝昭君が成長したって事を

私なりに表そうとしたんですよ!

そしてこれからも今回のような判りにくい表現が出てくると思いますが、察して頂けると嬉しいです。

 

それと、呂布と戦ってますね

 

布がどうとか言っておりますが、もう今回に限ってはこじつけの様になってしまった!

 

危ないよね!刃物が刺さった布を振り回すのは!

でもよく考えてみると危ないのは郝昭君だったりします。

肉体で勝てなきゃあ精神力で勝てばいいんだ! 郝昭伯道

 

最後に、更新遅くなるとか言っておきながら書き進めておりますが、

私の中で、これを書けるのはガチで3月中だと思ってたりします。

4月からはどうなるか…。と危惧したので、できる限り書いていこうとも思っています。

 

それではまた次回作でお会いしましょう

 

最後まで読んで頂いてありがとうございますー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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