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徐州
州牧陶謙が治める豊かな土地
しかし北に袁紹、南に袁術という大勢力に囲まれており、名のある将もおらず兵もわずか数千といった有様、そして陶謙自身もが病気で伏せがちになると今後の事で論議が行われ、董卓との戦いで名をあげた劉備を州牧にという声があがる、かの者には関羽、張飛といった猛将の配下がおり徐州の爪牙となるであろうと、反論する者もいたが陶謙自身が今後の徐州の為にとそれを望み劉備は徐州へと招かれる事となる
その頃劉備こと桃香は平原の相であったが徐州の招きを受け平原を離れ徐州へと出立する
孔明、鳳統はこの招きは陶謙が徐州州牧を桃香に託すものだと予想していた為強くそれを推したからだ、事実陶謙は桃香に徐州州牧を譲ろうとするが桃香は断る、その後桃香達は小沛の城を頂くのみとなる、そして袁術軍が徐州に攻め入ると徐州軍と引き連れてきた軍で応戦をする
「張飛隊が李豊を撃破!関羽隊は楽就隊を撃破!追撃をかけるとの事です」
「北には梁剛隊がいるはずです、守備隊は苦戦してますからそちらに救護に向かってください!」
劉備軍の頭脳とも言われる孔明こと朱里は寡兵の兵を上手く使い袁術軍の大軍と互角以上の戦いをしていた。
「朱里ちゃんお疲れ様、何倍もの袁術さんの軍相手に皆頑張ってくれてるね」
「はい、かなり無茶な作戦でしたが皆さんよく奮戦して守りきってくださいました」
「今攻めてきてる袁術軍を何とかできたら徐州を守りきれるかな」
「そうですね、情報によれば袁術さんが皇帝を名乗った為に今あの国は分裂状態に陥ってると聞きます、そしてこの好機を誰よりも待っていた孫策さんがおそらく孫呉復興の為に蠢動すると思いますので徐州どころではなくなるかと」
「そうか、じゃああともう一踏ん張りだね、大変だけど皆にももう少し頑張ってもらおうね」
その後、戦いから戻ってきた関羽(真名は愛紗)と、張飛(真名は鈴々)と合流し、
今後の対策を練っていた時趙雲(真名は星)が鳳統(真名は雛里)をかかえ早馬に乗ってやってくる、普段滅多に慌てない星が必死の形相でやってきた事に桃香達は何か大きな事態が起こった事を感じる
「星ちゃん何かあったの!?」
「どうもこうもない、陶謙殿がお亡くなりになられた!」
「「「陶謙様が!」」」
陶謙は病弱でいつ死なれるかという状態であったのは確かだった、しかしそれだけでこの慌てようは少しおかしいなと思う桃香達、そんな事を思ってると雛里がこてんって感じで馬から降り立つと
「あ、あわわ、あの、ですね、その後に世継ぎとなられた陶商様が、その…袁紹さんに降伏しちゃったんです」
その言葉に皆が愕然とする、理由を聞くとこうだ
陶謙亡き後世継ぎとなった陶商が今後の方針を検討していた時、北より袁紹の軍が徐州へとむけて進発したとの報告が入る、どうやら袁術に徐州を独り占めされるのが急に惜しくなったと思われる。
その報を受け徐州の面々は狼狽する、公孫賛を破り大勢力となった袁紹はいずれ天下を取るだろうと臣下達は言い出しそれに逆らうべきではないと。
元々君主たる器のない陶商はその言葉に及び腰となり、戦わず袁紹の傘下になる道を選んだと言うのだ
「すでに袁紹の軍は徐州へと入りつつある、このままではここにくるのも時間の問題だ、
徐州の奴らは我等を袁紹に売る可能性もある、早急にどうするかを考えた方が良い」」
星の言葉に皆は沈黙する、時間をかけすぎると袁術軍も再度侵攻の恐れもある
「朱里ちゃん、何かいい策はある?」
「そうですね、徐州が降伏した以上袁紹さんと戦えば徐州の人達とも敵対する可能性があります、
そうなると選択肢は二つしかありません、袁紹さんに降るか、それか…
「袁紹さんに降伏する訳には行かない、袁紹さんのやり方は絶対間違ってると思うから、でもここに残ったら徐州の人とも戦うかもしれない、だとしたら残る道は一つ、この徐州から離れるしかない、そうだよね、朱里ちゃん」
その言葉に愛紗などは「は?」と驚くが朱里と雛里などは
「はい、それしかないと思います、そしてどこかで力を蓄えて再び機会を待つのが上策かと思います」と
「ま、待て、戦わず逃げるなどと!第一逃げると言ってもどこに逃げるのだ!」
愛紗の言葉に桃香が
「一刀さんの所はどうかな、きっと力になってくれると思うんだ」
と、嬉しそうに語る桃香、しかし愛紗は一刀という言葉に反応し、それはいけませんと反対する、
他の者にも意見を聞く桃香、きっと賛同してくれると思ったが返ってきた反応は
「私も愛紗さんに賛成です、第一に北郷さんは近く袁紹さんと雌雄を決する為に戦う事になると思います、そうなれば私達も巻き込まれる可能性がある事、第二に北郷さんはこの国を一つにしようと考えてると思います、北郷さんの所にいると桃香様は自由を奪われるかもしれません」
「朱里の言葉には私も同意見です、あの者は確かに国を憂いてるかもしれませんが目指してるのは桃香様と似て非なるものでしょう」
賛同者がいない事に落ち込む桃香、結局荊州の劉表を頼る事でその場は収まる、劉表は反董卓での活躍や、同じ劉性という事でかねてより桃香を荊州へと招いていたからだ、そしてそこへ向かう為の道程を調べる朱里と雛里、袁紹の領内を突っ切り北郷領に入った後荊州へと向かう、危険な道程ではあるがそれが最善の道。
問題は追手、そして一刀の対応であった、桃香は「一刀さんなら大丈夫だよ」と楽観視してたが朱里と雛里は不安な気持ちでいっぱいだった
”ただで通してくれるだろうか”と
そして桃香達は徐州を離れる準備をし、いざ出立という時、”ある出来事”が起こる。
許
王座の間では桂花さんが皆からせめられていた、理由は前回”袁紹は徐州にはこないで北郷領を目指してくる”
と自信満々に言ったのに袁紹が徐州に攻め入った事について。
「あれだけ自信満々に言ってたのになー、なーんかはっずかしいなぁー」と霞
「恥ずかしい奴め!はっはっは!」と春蘭
「姉者、わかって言ってるのか?」と秋蘭
「まぁ桂花ちゃんも色々大変でしたしねぇ~、間違う事もありますよ(ニヤリ)」と風
「だから言ったのですよ」と稟
「な、何よ何よ!あんな馬鹿女の考える事が私にわかる訳ないでしょーーーー!!」と半泣きの桂花
いや、それ言っちゃダメなんじゃないかな、とか思う一刀はその様子を頭を抱えて見ていた、しかし皆からせめられる桂花に助け舟を出そうと
「皆、桂花をあんまりせめるなよ、誰にだって間違いや勘違いはあるさ、な、桂花」
「うるさーーーーい!!!!」
どかあっ!と桂花は持ってた竹簡を一刀に叩きつける、…あっれー、俺かばったんだけどなーーー そう思いながら顔にめり込んだ竹簡と共に崩れ落ちる一刀
「はぁ、おにーさんはしょうがないですね~」
そう言って倒れこんだ一刀の顔にめり込んだ竹簡をさらにめりこませる風さん、いや、助けてくださいよ。
そんなやりとりのいつもの北郷陣営の会議、まぁさすがにそればっかりという訳にもいかず、ようやく真面目な話になる、その間一刻(2時間)くらい
「それで、徐州の様子だけど、結局どういう感じになったの?」
鼻にばんそーこーのようなものをつけた一刀の問いに稟が答える
「はい、まず徐州に侵攻した袁術軍ですが、徐州軍の抵抗、というよりはそこに呼ばれていた劉備軍の活躍でほぼ撃退されたといってもよいでしょう、さらに袁術が皇帝を僭称した事での揚州の混乱でおそらく袁術はもう徐州へと手を出す事はないと思われます、その隙を突いたのが袁紹軍、かの国は徐州の軍が袁術にかかりっきりなのを突いて侵攻の気配みせます、この時対応できていれば未だ徐州は健在だったかもしれません、しかし」
「陶謙さんの死、か」
「はい、そのせいで徐州上層部は混乱、跡を陶謙の息子陶商に譲ったのが裏目に出ました、かの者は袁紹に恐れ、戦う事すらせず降伏を決めました、反対する者もいたそうですが大多数の意見が降伏を支持した為結局袁紹はほぼ無傷で徐州を手に入れる事に成功しました」
「戦わず降伏とは情けない奴らだ!」
「よく言えば民を巻き添えにせず英断したともとれるがな」
そんな風にやりとりする面々、そんな皆をよそに俺はある気になってる事を稟に問う
「桃香…劉備軍はどうなったんだ?」
「はい、新規に送った細作の情報はまだですが袁紹が侵攻してきたと同時に袁術との戦いを切り上げ、陶謙殿より頂いていた居城の小沛の城に篭ったとの事です、その後の動きはまだ調査中といった所です」
「そうか」
心配、というよりは今後の動きが気になる一刀、知ってる三国志では劉備は今後は荊州、そして益州に向かい蜀を建国する、いずれ俺たちを脅かす存在になるかもしれないと、しかしそんな一刀の想いとは裏腹に
「おっやぁ~、一刀はあの桃色の巨乳っ子が気になってしょうがないゆう感じか~♪」
と霞がなんかおちょくってくる、その言葉に皆が俺を睨んだり
「い、いや違うって、俺はただ…「「「ただ?」」」
焦る俺に凄い睨んでくる皆、あ、あれっ?何で急にこんな殺伐とした雰囲気になんのかな?かな?
「そういや腹減ったなぁ、皆もそろそろ食事にしようぜっ!」ビシィ!
って感じに決めた後逃げ出す俺、その速さはまさに神速! …を、皆が追い回す、そして桂花が
「八門金鎖の陣よ!あの変態孕ませ男を捕まえるのよ!」
「ちょ、こんな所でそんな有名な陣形使うな!!!」
俺確かここで一番偉い人じゃなかったっけなぁとか思いながら逃げ回る一刀だった
徐州降伏からしばらくしたある日、放っていた細作から報告がやってくる、曰く
「劉備軍、小沛の城を捨て西に移動中」と
その報告を玉座の間で聞いた一刀達は今後の劉備軍について会議をする
「おそらく劉備は荊州の劉表殿の所に転がり込むのではないかと推測されます、劉表殿はかねてより同じ劉性の劉備殿に関心を寄せており何度も呼び寄せようとしていたと聞いております」
「徐州に続いて荊州にも呼ばれていたのか、何か人気者だな桃香、さすがは中山靖王劉勝の末裔、仁徳の王といった感じだね」
「荊州に向かう道程は袁紹の勢力圏内を突っ切って、さらに我等が領内を抜けない限りたどりつけません」
「劉備達がこの国に入ってきたらどうするの?」
桂花の質問に一刀は
「荊州に行きたいなら行かせるつもりだけどその前に少し協力してもらおうかなと思ってるんだ、
あそこには関羽、張飛、趙雲という一騎当千の武将に加え孔明、鳳統といった天下の大軍師が二人もいる、
戦力にできれば袁紹との戦いが少しは楽になると思うんだ」
「確かにあの戦力を加える事ができれば袁紹との戦いも少しは楽になるかもしれませんが、劉備がそれを承諾するでしょうか?」
「そこはそれ、大将の種馬力でどーんって劉備はんを堕としたったらあっちゅう間やないんか?にひひ」
と、イキナリ何言い出すんだ真桜!ほらほらほら!またここが修羅の住処の如き状態になっちゃったじゃないかよ!
「い、いや、ほら、俺たち反董卓連合でも一緒に戦ったしさ、そこはあれだよ、仲良くやってこーって感じで…」
焦れば焦るほどなんか皆の視線がきつくなってきます、ま、真桜てめぇのせいだ!と見ると、なんか真桜いなくなってるし!
「あ、み、皆さんそろそろ食事「「それは前回聞きました!」」…そ、そうですか」
いかん、なんか退路が絶たれてきた、何か、何か考えないと、ってか俺いつも追い詰められてないか!
そんな風に諦めかけた時、兵士が新しい報告を持ってくる、よし!君二階級特進!ボーナスもつけちゃうよ!!
「ちっ!命拾いしたな北郷」
ちょ!春蘭俺殺す気でしたかっ!なんか冷や汗を流しつつも兵士の報告を聞く
「東よりやってくる集団に劉の牙門旗を確認、他にも関、張、趙も確認、現在国境付近まで近づいております」と
「来たか、使者を出して桃香達と連絡を…」
「その数、およそ一万!」
言いかけた一刀、そして軍師達がその兵士の言葉に怪訝な表情をする、”一万?”
「ちょっと多すぎないかそれ?、確か桃香の軍はせいぜい三千、徐州の軍も連れてきたとかはないと思うけど」
「はい、劉備の手勢は増えてはいません、平原より付き従ってきたのは三千と聞いております、
それも袁術との戦いで半減したと報告も」
「もしかして袁紹の追手に食いつかれてるのか!?」
一刀の言葉に兵士は首を振る、戦闘のようなものは行われておらず、行軍速度も遅いと、”遅い?”その言葉に軍師達が
「まさかとは思いますが…」と稟
「そうでしょうね~」と風
「ありえない、一体何考えてるのよ!」と桂花
そして幾人かもそれを考え、一刀自身もその考えに行き着く、そういえば、俺の知ってる三国志の劉備は…
「桃香達の所に行く」
一刀の普段とは違う様子に皆が少し戸惑う、そして止めようとするがそれを振り切り外に向かう。
あきらかに変だと感じた皆は一刀と共に劉備軍が待つ場所へと向かう
一刀に付き従うは春蘭、霞、凪、真桜、沙和、風、稟の7人、そして兵六千を率いていく
袁紹との国境付近に来た一刀達が見たものは家財を持った多くの民達だった、その数は報告どおりほぼ一万
この人達は桃香達が徐州を離れると知って追従してきた徐州の民衆達だった、彼らは桃香を慕い、彼女に惹かれた者達、
桃香はそんな彼らの願いを断る事ができず、一緒に荊州への道を歩む事を決めたのだ、
これが桃香達が徐州を離れる際に起こった”ある出来事”
その人達を見る一刀はただ呆然とする、そしてある感情が沸き起こってくる、
その集団の先頭に劉の牙門旗、桃香が一刀を見つけたのか馬を駆けて来る
付き従うは愛紗、鈴々、星、朱里、雛里の劉備軍のほぼ中枢メンバー全員、桃香が一刀達の前まで来ると
「か、一刀さん、お久しぶりです!」
嬉しそうに話しかける桃香、しかし一刀は答えない、その態度に違和感を感じたものの聞こえなかったのかなと思った桃香
「あ、あの一刀さん、洛陽で別れて以来ですね、あの…また会えて私、とても嬉しいです」
少し大きめの声で再び話しかける桃香、しかし一刀は答えない、戸惑う桃香を見た愛紗が不満げに
「北郷殿!桃香様が話しかけておられるのにその態度はないであろう!何かお答えください!」
「あ、愛紗ちゃんいいんだよ、私達が急に来ちゃったのが悪いんだから…、あの、一刀さん、今日はお願いがあって来ました、私達荊州に行きたいんです、ですから一刀さんの領内を通してほしいんです」
桃香は一刀にここに来た目的を話す、それは北郷達が想像してた通りの理由と目的であった。
その言葉を聞いても一刀は何も話さない、さすがに様子が変だと思い始める桃香、
その脇で危機感を感じる朱里と雛里、そして星
「一刀…さん、あの…」
「この人達は…」
ついて来たであろう民衆をみてようやくという感じで言葉を発した一刀、
その言葉はとても小さく、しかしとても突き放すような言葉
桃香は知っている一刀とは違う雰囲気を感じたものの、問いかけに答える
「え、えとこの人達は徐州の人達です、私達が荊州に向かうのを知ってついて来られた方々です」
「どうして…連れてきたんだ?」
さっきと同じような一刀の言葉、それに今度は愛紗が答える
「桃香様の志に感銘し運命を共にする覚悟を決めてついて来たのだ、それにこれから徐州は袁紹が統治する場所となる、袁紹は民に重税を課すと言う、領内では官匪が蔓延して潤うのは貴族のみという有様、そのような者が支配する所にいるよりは志高い桃香様と共について来たいと思うのは当然の事でありましょう」
愛紗の言葉、それが本当なのだろうかと自問する一刀、様々の事を考えてしまう、そして沸き起こる感情
一刀のその様子に気付いたのか星が桃香の傍に駆け寄る、朱里と雛里も傍に駆けて来る
「桃香様、お気をつけ下さい」
星の言葉に桃香はそれが何に対してなのか分からない、
「何……」
一刀が何か言葉を発したように思えたがよく聞き取れなかった桃香達、しかし次の瞬間
「何考えてんだよ!」
今まで聞いた事のないような大声に桃香はたじろぐ
「桃香、君は一体何考えてんだ!何故こんな事をした!」
一刀の問いに怯え戸惑う桃香
「君は、一体何の為に軍を起こしたんだ!!」
一刀の言葉に桃香はどう言っていいのかわからないといった感じだった
「君も弱い人達が傷つき、無念を抱いて倒れる事に我慢できなくて軍を起こしたんじゃなかったのか!」
その言葉にようやく我に返る桃香、一刀が何に対して怒っているのかはまだ理解していなかったが”弱い人達”という単語に反応したのか
「は、はいっ、私はこの国で困ってる弱い人達を助ける為に「じゃあ何で徐州の人達を連れてきた!」」
言い終わる前に一刀がそれを制す、さらに傍の孔明達に向き
「諸葛亮!鳳統!伏龍鳳雛とまで言われる君達がついていながら何故これを防げなかった!
何故教えてあげなかった!何で誰も桃香を助けてやらなかった!」
悲壮感すら漂う一刀の言葉に未だ戸惑う桃香、そこを愛紗が
「それは先ほど言ったでありましょう!この者達は桃香様を慕い、桃香様と運命を共にする為について来たと!
残れば袁紹の悪政に苦しむ事がわかっているからこそその地を離れたのだと!」
「そんな理由で今まで住み、暮らし続けてきた地を捨てさせたのか」
一刀の言葉に桃香は呆然とし、愛紗はさらにつっかかる
「そんな理由とは聞き捨てならん!誰よりも民の事を考えてるからこそ桃香様は領民達と共に旅立つ事を決めたのだ!
お主の様な輩に桃香様の志がわかろうはずもない!」
「愛紗ちゃん!」
二人のやりとりにようやく落ち着き始めた桃香が愛紗を制する、そして一刀に向きなおし
「一刀さん、私はこの国で困ってる人達を救う為に、皆の力になる為に軍を起こしました、それは嘘じゃありません!そして今ここに付いてきてくれている人達は徐州に残ればきっと酷い事をされてしまうって不安だったんです、だから私達はこの人達を助けてあげたいって思ったんです、信じてください!」
桃香の言葉には嘘はないだろう、本当にこの人達を心配し、助けたいと心から思っている、
なのに、その事に気付かないのか!
「桃香、君はこの国をどんな国にしたいんだ?」
一刀の質問に桃香は答える、それはずっと心に誓い、それを信じ、そして行動してきた言葉
「私は、この大陸を誰しもが笑顔で過ごせる平和な国にしたいと思ってます」
そのあまりにも理想で現実味のない言葉、でもこの子はそれを成せると信じている、きっと、でもそれならば…
「じゃあ桃香、君が連れてきた徐州の人達、そして君の兵士達を見てみるといい…」
「…笑顔の…人はいるのか?」
その言葉に桃香は”はっ!”と気付く、そして恐る恐る振り向く、来るまでにもそれは感じていた、しかし今は我慢して欲しい、そんな想いがあったのかもしれない、だからこそ見えなかったもの、一刀の言葉の意味をかみしめつつそこに見えたものは…
”肩を寄せ合い恐怖と不安から必死で耐えようとする人々、長旅に慣れず傷つき疲労し力尽きようとしてる人々の姿”
その姿を見た瞬間桃香は一刀の言いたい事に気付く、そして自分が行ってしまった事にも
「わ、たしは…皆を…幸せになってほしくて…」
震え、立ってる事もできなくなってきた桃香を愛紗が支える、
ようやく自分がやった事に気付き始めるそんな桃香に一刀は止めのような言葉をかける
「この人達はもう徐州には帰れない、帰ればきっと酷い扱い、罰がまっている、
袁紹軍の追手が迫っている可能性もある以上ここに留まらせる事もできない、
荊州に行くと行ったがこの人達全てを受け入れ食料を確保できる地を君は用意できているのか?」
おそらく出来てはいまい、確かに劉表が桃香を呼び寄せたのだから城の一つも与えるかもしれない、だが民衆まで呼び寄せてはないはずだ。
「稟、荊州へつくまでにどのくらいの人達が脱落すると思う?」
一刀の言葉に桃香がびくっとする
「そうですね、この行軍速度、規模、地形、袁紹袁術野盗の襲撃などを考慮するとあと数日はかかると考え、糧食の残りなども計算すると半数は脱落すると思われます、もちろんその間に略奪などで食料等を確保すればもう少し数は減るでしょうが」
その言葉に一刀は落胆すると同時にふと疑問が浮かぶ、孔明、鳳統がいながらなぜこんな事を強行したのかと、桃香を止めれなかったというのも理由の一つだろうがこんな強行軍で民衆を失えば桃香の風評は悪化する、そしてたどり着いた結論は
「そうか、俺が手を差し伸べる事を計算に入れたのか…」
小さく出たその言葉に気付いたのは何人いたろうか、確かにこんな有様を見て放って置けるわけがない、そして追撃してくる袁紹軍がこの人達を追って北郷領内に入った場合それを迎撃しないわけにはいかない、袁紹を俺達に当ててるその隙に桃香達は荊州へ向かう、徐州の民が今後の行軍で脱落する者がいてもそれは袁紹と俺との戦いで巻き込まれたと喧伝すれば桃香の風評は落ちない、考えて悪辣だなぁとか思う半分それしか策がなかったんだろうなと思う一刀、
しかしそれに従う道理はない。
「稟、ここにいる徐州の人達を俺達の国で保護できるかな?」
「難しいですね、まず数が多すぎます、それに我等は今から袁紹と大きな戦いがあります、糧食の確保などを考えますと余分に放出できる物資は限られます、とはいえできない事はありません、ですが問題なのはこの者達は劉備を慕いここまでついて来た者、いずれは劉備の元に戻るであろう者達を保護するのは如何なものかと」
「そうか、じゃあ桃香がいなければここにいる人達を保護するのに何の障害もないんだね」
その言葉に劉備軍の面々、そして稟までも驚く、予想外の言葉と言う感じだ
「そ、そうですね、支えとする存在がなければ別の支えを探すしかないですから、ですが…」
「わかった、桃香、悪いけどここで君を討たせてもらうよ」
その言葉に双方の面々が驚く、討つ、殺すという事だ、一刀は劉備軍と戦おうと言っている、その言葉に桃香が悲痛な叫びで
「ま、待ってください一刀さん、待って、お願いです!、私達は一刀さんと争いたくありません、
きっと話せばわかりあえます、だから、お願いです」
「悪いけどあまり時間をかけるわけにはいかない、君を討ってここにいる人達は俺達が保護する」
「一刀さん!」
「貴様!これ以上の無礼は許さんぞ!天の御遣いだなんだと祭り上げられ調子に乗ったか!」
愛紗の非難の声にも動じない一刀、ただまっすぐ桃香を見つめる、涙が溢れ出しどうしていいかわからなくなってくる桃香に朱里と雛里がかけより桃香に言葉を投げかける、きっと今すぐここを離れると言っているのだろう、しかしそんな時放った細作の一人が戻ってくる
「袁紹軍接近中、その数二万!」
「桃香、時間切れだ」
「一刀さん、待っ「春蘭!霞!」」
言い終わる前に一刀が春蘭と霞を呼ぶ、そして二人は一刀の左右に馬を進める
「春蘭、霞、ごめんな…、こんなくだらない戦いに二人を使って、でも兵だけじゃきっと被害が大きくなるから、だから、ごめん…」
普段とは違う一刀に少し戸惑いながらも二人はそれに従う
「北郷、言ったはずだ、お前はただ命令すればいい、そうすれば私は貴様の為に剣を振るうと!」
「まぁうちもあの嬢ちゃんにはちょいイラってきてたからええよ、それにうち関羽とやりおうてみたかったしな!」
臨戦態勢に入り北郷の兵が動き始める、それに対して円陣を指示する朱里、桃香は必死で一刀に語りかける
「一刀さん待ってください、お願いです!話を聞いてください!」
しかし一刀は大きく右手を上げる、それが振り下ろされると攻撃開始を意味する
「一刀さん!」
「待たれいっ!」
一刀が今まさに手を下ろそうとした所に澄み、凛とした綺麗な声が響き渡る、声の主は劉備軍の星
「この戦この趙子龍が預かる!」
星の言葉に唖然とする霞と春蘭、劉備軍の面々も面食らった感じ、ただ一人一刀だけが
「趙雲、悪いがそれはできない、俺はここにいる人達の為にも桃香を討たなければいけない」
「今双方が戦っても益なし!
北郷殿は近く袁紹との決戦を控えてると聞き及ぶ、今ここで夏候惇、張遼を失うのは如何なものか!」
その言葉に春蘭、霞は大激怒、戦えば自分たちが討たれるといっているのだから当然だ、しかし一刀はそんな二人を制し
「時間がない、回りくどい事はやめにしよう趙雲、それで君はどうしたいって言うんだ?」
「この趙子龍を貴殿の配下に加えていただきたい!」
その言葉に双方が驚く、一刀もさすがにその言葉には唖然としてしまう、そんな人々をよそに星は続ける
「我が槍は必ず袁紹を打ち倒す力となりましょう、
代わりに糧食、そして桃香様、劉備軍、そして徐州の人々の安全と領土通過をお許し願いたい!」
「桃香達を見逃す代わりの代償、通行料になると言うのか?」
「いかにも!」
その言葉に桃香、愛紗、朱里、雛里、鈴々は必死で反対する
「君にそれだけの価値があるのか?」
「試してみますか?夏候惇、張遼、いずれかの首を獲れば我が武を認めるというのであればそれもよろしかろう」
「あんたええ加減にしとかんとマジでぶっ殺すで!」「貴様ぁ!!」
今にも星に襲い掛からんとする霞と春蘭を制す一刀
「今ここにいる人達がさらに苦しむ事になるかもしれないんだぞ」
「桃香様ならその苦しみから皆を救い、そして皆が望む世を作り出してくれると信じております」
その言葉、そして星の覚悟と桃香への想いを感じ取った一刀は
「わかった、趙子龍の申し出受けよう」
その言葉に春蘭と霞などはつっかかるが一刀の尋常ならざる雰囲気に渋々それに従う、そして星は桃香の元に一旦戻り
「桃香様、今までありがとうございました、この子龍貴方の為に槍をふるえた事を誇りに思っております」
「星ちゃんダメだよ!誰かを犠牲にするとかダメだよ!
私がみんな悪いの、私がもっとしっかりしてたらよかったの、だから行かないで!」
「星!あんな奴らの言う通りになる事はない、私と鈴々、それに貴様が武をふるえば奴らを退ける事も造作ない!」
「愛紗よ、我等だけならそれもいい、だが後ろからは袁紹の軍が来ているのだぞ、今戦えば連れてきた民に被害が及ぶ」
星の言葉に愛紗はそれ以上いえなくなる、そして星は
「朱里、雛里、皆を頼む、これからは交渉が重要になってくるであろう、荊州の劉表殿から搾り取れるだけ搾り取るのだぞ」
「は、はい!」「はひっ!」
その様子を見た星はにこりと微笑み、一刀の元へと向かう、後からは桃香の悲痛な叫びだけが聞こえる
「お待たせいたした、今より我が趙子龍の槍、北郷殿の為にふるう事を誓う!」
「わかった、これからよろしく頼むよ趙子龍、凪、真桜、沙和、劉備軍と徐州の人達が安全に荊州へ行けるよう誘導してやってくれ、あとこちらから兵糧と薬、出せるだけ分け与えてあげてやって」
「御意!」
そして北郷の軍勢は迫り来る袁紹軍に対して陣を整える、去ろうとする一刀に桃香が
「一刀さん!私、私は…「劉備玄徳、連れてきた人達は必ず守ってくれ」
何かを伝えようとする桃香が言い終わる前に一刀が言葉を発する、そして真名を呼ばなかった一刀は桃香に
「それから、俺はもう二度と君の真名を呼ばない」
その言葉に真っ白になってしまう桃香、さらに一刀が続ける
「君がもしこの先今のままなら…俺は君を必ず滅ぼす」
一刀から桃香への宣戦布告
桃香は何かを言おうとしたが言葉が出てこない、いや出せない、そしていつしか一刀は見えなくなる
「星ちゃんお久しぶりですね~」
「お元気そうでなによりです星」
風と稟が星に挨拶をする、聞くとこの三人は仕官する前に一緒に旅をしていたそうだ
「風、稟、久しぶりだな、よもやこのような形でまた一緒になるとは思わなかった」
「そうですね~、でも星ちゃんが味方になってくれるのはとても心強いのですよ~」
その言葉に少し寂しそうな表情をする星、二人に挨拶した星は一刀の方に歩み寄ってくる、
横で警戒する春蘭と、なんか面白くないといった感じの霞
「我が真名は星、これより我が主となられる北郷殿に真名を預けます、どうぞ星とおよびください」
「わかった星、改めてよろしく、早速で悪いんだけど徐州の人達を追っかけてきてる袁紹軍にひと当てしたいんだけど手伝ってくれるかな」
一刀の言葉に春蘭と霞はなんか文句を言う、今まで殺そうとしてた相手と共に戦えというのだから当然の反応ではあるのだが
「私の忠誠心を見せろと言うのですな、さてさて新しい主は中々に人使いが荒いお方だ」
「そう言う訳でもないんだけどね、でも頼むよ、
春蘭と霞も星はもう仲間なんだから一緒に頑張ってくれ、稟、悪いけど指揮を頼むよ」
「御意!」
そう言うと納得してないという春蘭と霞、てきぱきと稟の指示を受ける星は国境付近へと向かう、その様子を見届けた一刀はどっと座り込む
「大丈夫ですか、おにーさん」
「うん、大丈夫、少し疲れただけだから…ちょっと頭にきて我を忘れちゃったかもしれない、似合わない事はしない方がいいな」
疲労困憊といった感じで疲れ切って座り込んだ一刀の横にちょこんと座る風、静かな時間が過ぎる、話を始めたのは一刀
「桃香は…、ほんとに国の事、民衆の事を考えてるんだよな…、きっと誰よりも、俺なんかよりもっと…」
「何故そう思うのですか?」
「先の事が見えなくなってただろ、きっと徐州の人達をなんとかしたいってそれだけを想ってここまで来たんだよ、
俺にはそこまでできないよ」
「でもあの方は徐州の人達を危険にさらしてしまいましたよ~」
「誰かが助言してあげればよかったんだ、桃香には諸葛亮、鳳統という二人の大軍師がいた、関羽、張飛、趙雲、それに他にもいたはずだ、そして彼女達もきっとそれは言ったはずだ、でもその言葉は桃香には届かなかった、力ずくでもなんでもいいから届かせるべきだった」
「もし劉備さんの所におにーさんがいたらどうしてましたか?」
「説得する、どんな事をしてでも、それでも聞かなかったら桃香を気絶させてその間に民衆を説得して脱出するとか」
「乱暴ですね」
「乱暴者なんだよ俺は」
「ところでおにーさん、さっきから劉備さんの真名を呼んでいますよ、もう言わなかったんじゃないんですか?」
「……聞かなかった事にして」
「美味しいお饅頭10個で手を打ちましょう~」
そんなやりとりをしてると凪達が帰ってくる、劉備軍、徐州の人達は無事荊州への道へ向かったと報告してくる
「お疲れ様、少し休んだらでいいから春蘭達の増援に行ってあげてね」
一刀はそう命令するとしばらく黙る、ふと見ると凪達がなにやら言いたそうにこっちをずっと見ている
「どうしたの?」
「あの、北郷様、私達は北郷様を裏切ったりはしません、ずっとついていきます!」「なの~」「ほんまやからな!」
と、凪、沙和、真桜がそう言ってくる、星がこっちに来た事を言ってるのか一刀の事を心配してなのか、
それになんか嬉しくなってくる
「ありがと、三人共頼りにしてるよ、これからもよろしくね」
「「「はい!」」」
元気になった三人は春蘭達の増援に向かう、一刀はそれを見届けた後再び黙り込む、すると頭を撫でられる感覚
「風?」
「おにーさんあまり無理をなさらないでくださいね、
おにーさんは太陽なのですから陰ってしまうと風達は寒くなってしまうのです」
「…うん、でも今は夜だからさ、太陽も少しだけ眠らせてくれないか」
「仕方ありませんね、ぽんぽん」
そう言うと風は膝にどうぞって感じに手招きする、普段なら恥ずかしくて避ける所だけど今日は何かそこで眠りたくなった、色々あって疲れ切った一刀は座ってる風の膝に頭をのせると
「明日になったら…晴れるから…」
「はい、おやすみなさい、太陽さん」
優しい声、優しく頭を撫でられ一刀はそのまま眠りに落ちる
その後徐州から追撃してきた袁紹軍は北郷領内に入った所を春蘭、霞、星の三人に迎撃されほぼ壊滅状態で撤退していく、この戦いでは星が大活躍する、そのせいか帰って来た時には春蘭と霞と仲良くなってたり、二人とも単純なんでよかったよかった。
そして劉備軍と徐州の人達も無事荊州に入り、夏口の城をまかせられる、
最前線の危険な場所ではあったが、すぐに民を休ませる場所を得た事は孔明、鳳統の手腕だったとも言える。
そして、北では袁紹軍本隊が動き出す、
その数30万、あちこちから集めた寄せ集めの軍とはいえその数は脅威であった、
これは反董卓連合軍の時の連合軍総数とほぼ同数であり、それに対する北郷軍は7万、
彼我兵力差はほぼ4倍であった。
あとがきのようなもの、ちょっと長め
説教ネタですが華琳様がいないもので魏√と蜀√の流れを使いました。
ちょっと長くなってしまったのはここまで一刀と桃香は仲良しな感じでしたがこれを境に敵対関係になるという流れにしたかったからです。
しかしどうもこういうのは苦手です
できるだけ恋姫のキャラを壊さないようにと頑張ったんですが桃香さんには嫌な役回りをさせちゃいましたねぇ、
基本魏√なので仕方ないのかもしれないんですが。
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はじめに、蜀のキャラは大好きです、アニメとか可愛かったしね、なのでこんな事になっちゃってすみません
二次創作の難しさを痛感しはじめてます…