翠、蒲公英、霞を仲間に加えて、一刀達は成都へと目指していた。
「ここから成都まで、いくつぐらいお城があるのかなぁ?」
「新しい本城である諷陵は、益州でも端の端にありますから、成都まではあと二十個ぐらいお城を落とさないとたどり着けないです」
「二十っ!? うへぇ~…多すぎだよ」
「まあ大陸の四分の一が益州だからな。城の数は多いさ。(もっとも俺たちと戦闘する城はそんなに多くないと思うけど…)」
実は朱里達軍師は諷陵入場の際に劉璋に使者を送り、正当性を主張したとの事。
といっても正当性は零なのだが、劉璋はそうとは思わず簡単に許してしまい、その事もあって朱里達だけでなく益州の民も劉璋を無能だと思っているのだ。
とはいえ、劉璋は無能でも兵の数は多く、将も何人か有能なのが居るとのこと。
おまけに今、一刀達が成都への道のために向かっている城には黄忠が居るとのこと。
「(黄忠か……かなり手ごわそうだな)ところで雛里、その黄忠さんの居るところまでどのくらいかかる?」
「あと一日ほどですね。状況が状況ですから、すでに黄忠さんの放った斥候に、捕捉されていると考えるのが妥当かと」
「という事は夜襲を警戒しておかないといけないな」
「そうだな。少し進んだら野営でも作るか」
そして翌日になり、一刀達は野営から出陣した。
「現在、敵城からの出撃は確認されていません。黄忠さんは籠城を選んだ可能性が高いです」
雛里が敵情報告をする。
「籠城か…。電王も響鬼も籠城してるところを攻めるにはあまり向いてないな…」
「兵も将も揃っている我が軍の唯一の弱点は兵站だ。籠城し、我らの兵糧が尽きた頃に逆撃するつもりだろう」
「我らの弱点を的確に見抜いているということか。…油断できんな」
「攻城戦はつまらないからイヤなのだぁ~…」
「俺も同じだぜ」
「贅沢言ってんなぁ」
「つってもやらなきゃいけないんからな。とりあえずすばやく勝つことだな」
「あとは相手に出方次第ですね」
「黄忠を説得するのは無理なのかな?」
翠が一刀の頭の中で考えていた事を口にした。
「出来ると思うけど、いきなりは無理だろうな」
「ウチみたい勝ってみせるんか?」
「いや、籠城してる以上、霞みたいに一騎打ちになるのは難しいだろう」
「我らの力を示してみれば、説得も可能になるだろう」
「そういうこと。説得の過程がどうあれ力を見せる必要はあるからな」
「ご主人様は黄忠を説得するつもりなのですか?」
「話せば分かるはずだ」
「相変わらずお兄ちゃんは甘いのだ」
「甘いのは分かってるよ。だけど、黄忠なら俺は必ず説得できると信じてる」
「どういうこと?」
「天の勘だ。(歴史だと劉備の仲間になりますなんて言えないよな…)」
「あてにならない勘ですのー」
「俺の勘はたまに当たる。今回は当たる」
「んー…じゃあ黄忠さんを説得するっていうのも基本方針にしよっか」
黄忠説得とすばやい勝利を基本方針にし、劉備軍は黄忠の居る城へと迫った。
敵は六万で劉備軍は五万。攻城戦にしてはあまり向いていないが、今回は城内の混乱を引き起こそうとするため、あまり気にしなくてもよいとの事。
今回は攻城戦なので、一刀は本陣で待機する事にした。
そして黄忠の籠城している城の城門が開いた。そこから出てきた人達は白旗を持っているが、警戒のため先に愛紗と星が対応する事にした。
出てきたのは黄忠であり、白旗を掲げているのは降参したわけではなく、戦いを一時中断して、話を聞こうと思ったためらしい。
黄忠は誇りのために死ぬか、大義のために生きるかを決めるとの事。
「尋ねたい事は一つ。劉備さんは益州を平定し、一体何を目指そうというのか。
返答によっては…命尽きるまで、あなたたちに抵抗するでしょう」
「そういうことか……」
いつのまにか一刀と桃香がやってきていた。
「ご主人様っ!?」
「ふっ…。素直に後ろに下がったときから、来るとは思っていたが…」
「ごめんね、星ちゃん」
「構いません、お好きなようにすれば良い」
「はぁ…仕方ありませんね。もう…」
愛紗はもう諦めたようにため息をつく。
そして桃香と一刀は黄忠と話をする。話をしているうちに城内に居た民達が黄忠の助命を懇願しに城壁に駆け寄ってきたのだ。
「凄い人気ですね」
「ええ…素直に嬉しく思います」
「そんなあなただからこそ…俺はあなたが欲しい。ダメかな?」
「ふふっ」
「? 何か変なこと言った?」
「いいえ。まるで口説き文句のように仰るものだからおかしくて」
「う~ん、そうだな…(デンオウベルト出してないのウラタロス状態になってのか?
それともベルト使わなくても自然にモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの性格が出てくるようになったのかな? まあ何にしてもその性格が染み込んでるみたいだな)」
「分かりました。この身、あなた方にお預けしましょう」
そう言うと、黄忠は懐から取り出した短剣を捨てた。
「なるほど…。俺達が愚か者だったら刺す気だったって事か…」
「はい…刺し違えてでもと思いました」
「まあ刺されたくらいだと俺は響鬼になれば少しくらいは回復出来るけど……」
こうして黄忠は降り、黄忠は真名である紫苑を皆に預け、皆もまた紫苑に真名を預けた。
紫苑の居た城で兵士や自分達を休めさせ、紫苑の意見により、巴郡にいる厳顔、魏延を桃香に引き合わせたいとのこと。
厳顔と魏延の二人を説得できれば、成都までの道にある城は簡単に桃香のものになるが、厳顔も魏延も力を示さないと説得に応じない性格と聞いた。
「俺にはちょうどいいな。今日戦わなかった分をぶつけれるし……」
それから二日後、一刀達は次の目的地巴郡へと向かった。
厳顔、魏延は何と城があるにもかかわらず、野戦で挑んできたというのだ。
「なるほど、拳で語り合おうってやつか!」
一刀はデンオウベルトを腰につける。
「俺、そういうの好きだぜ」
「ウチもや。それで一刀に惚れたしな」
そんな時、愛紗と翠の鋭い視線が一刀に刺さる。
「……ま、いいか」
一刀は赤いボタンを押す。
「敵が突っ込んでくるなら、俺も突っ込んでやるぜ!」
一刀は敵陣に向かって走る。
「変身!」
「ソードフォーム」
一刀は電王ソードフォームに変身した。
「行くぜ! 行くぜ! 行くぜ!」
一刀はデンガッシャーを思いっきり敵に向かって振り回す。
敵陣は崩れていき、一刀はまっすぐに突っ込んでいると…。
「うん? あれは……」
一刀が思いっきり走っていると、なにやら紫苑と同じくらいの歳の女性がなにやらでかい砲台を持っている。
しかもその狙いは電王であった。
「俺かよ!」
一刀は思いっきりその直線状からダイブするようにして避けた。
「おいおい、パイルバンカーかよ……」
「童っぱ。名は何と言う」
「俺は北郷一刀だ」
「ほう、お主が噂の天の御遣いか……。そしてその姿が別の噂である仮面ライダーと言うものか」
「ああ、そうだ。仮面ライダー電王。あんたは?」
「我が名は厳顔」
「厳顔。あんたがか……。しかし凄い武器を持ってるな」
「この豪天砲が珍しいか?」
「武器としては知ってるが、それを戦場で思いっきり使う人がいるなんて思わなかったからな。さっきはびびったぜ」
「そうか……。では今度こそ、必殺の豪天砲を喰らえ!」
厳顔はそういうと、一刀に向かって今度は三発撃ってきた。
「どぅわぁ!」
一刀は何とか転がるようにして避けた。
「危なかったぜ」
「また避けおったか。だがまだまだ。これで終わりとは思うなよ」
「まだ弾があるのか…。いいぜ、一発撃ってこいよ。俺がその一発を打ち返してやるぜ!」
一刀がデンガッシャーをバットに様に持って、野球でバットを振る体勢になる。
「来い!」
「ゆくぞ!」
厳顔がでかい弾を一刀に向けて発射する。
「俺の必殺技!」
「フルチャージ」
一刀はやってくる直前にライダーパスを真ん中に通し、オーラエネルギーがデンガッシャーに溜まる。
「おおおおおおおりゃぁぁぁああああああああ!!」
デンガッシャーと豪天砲の弾が激しくぶつかり合う。火花を散らしあい勝ったのは……。
「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁあああああ!!」
豪天砲の弾は見事に一刀に打ち返され、空の果てに飛んでいった。
「ホームランバージョン」
一刀がかっこよく決めたようにポーズと台詞を言う。
「やりおるな…」
「中々重い弾だったが、俺の思いはもっと重いぜ。俺は力の無い弱い人間のために戦う。そして皆を笑顔にしたい。それが俺の思いであり覚悟だ!」
一刀がデンガッシャーをホームラン予告のように厳顔に向ける。
「私はその決意に心を打たれたのよ」
一刀の元に紫苑がやって来た。
「紫苑っ! この裏切り者め! 良くもわしの前に顔を出せたな!」
「それあんたの本心じゃねえだろ。さっきの弾を打ち返して、伝わったぜ」
「ふん。そうでも言わんとわしの気が済まんわい」
「そう。じゃあもう気が済んだ?」
「ああ。この男にわしの豪天砲が打ち返されたのと、言葉の刃に魂を討ち取られた」
「へっ……」
一刀がベルトを外して、変身を解く。
「それじゃあ……いこうか……」
「行く必要はないよ」
すると今度は桃香がやって来た。
「なんじゃお主は」
「私の名前は劉玄徳。よろしくね、厳顔さん」
「このお譲ちゃんが劉備だと?」
厳顔は桃香が劉備と知るや、少々驚かれた様子であったが、色々話しているうちに厳顔は桃香達の仲間になる事を決意し、厳顔は真名の桔梗を教えた。
そんな時、蒲公英がやって来て、数分後捕まえた魏延を桃香達の所に連れてきた。
連れてこられた魏延はどうも不満そうであり、桔梗が降る事や、一刀達に力を貸す事を言ってもどうも納得してくれないようなので桔梗が桃香に説得を頼んで、
魏延に会った途端、魏延は簡単に仲間になることを承諾した。おまけにその一言が…。
「ワタシは劉備様のシモベになります!」
「い、いや、シモベにはならなくて良いんだけど」
(こいつ…一目惚れしたな……曹操一派に行ってもいいよな?)
一刀はそう思いながら、大笑いをした。そして魏延は真名を焔耶と言い、それを皆に教え、一刀には嫌々教えた。
その後、一刀達は成都に到着、戦いは簡単に一刀達の勝利で終わり、桃香達は成都を治める事になった。
おまけ
作者「今回の仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 第6章どうかな?」
一刀「電王で、しかもソードフォームがパイルバンカーの弾を打ち返しちまったけど…」
作者「良いんだよ。電王はノリがいい方が勝つみたいなことだから、ノリで書いた」
一刀「またノリかよ!」
作者「それにあれくらいした方がソードフォームつうかモモタロス的な性格が現せれると思ったからな」
一刀「まあ、わからんでもないけど…」
作者「次回の第7章は響鬼が大活躍!?」
一刀「何だその曖昧な表現は……」
作者「大活躍かどうかは読者が決めることくらいの感じで書いたから…。それではまた…」
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基本的には真・恋姫†無双の蜀ルートの話ですが、もしも北郷一刀が仮面ライダーの力を手に入れたらという妄想から生まれました。
そして流れも基本的に原作のままですが、仮面ライダーの力があるためセリフや一刀の態度が違うところや話そのものが大きく違うところも出てきたりします。
そのためそんなの嫌だという方は閲覧をご遠慮願います。
先に言いますが一刀が手に入れる仮面ライダーの力は全部で3つです。何が出るかはお楽しみ。