僕らは子供の頃にこんな風に習った。「西洋人が初めてオーストラリア大陸に上陸したとき、現住民にカンガルーをさして『あの動物は何と言うのか？』と訊ねたら、西洋人の言葉を理解できない原住民は『何を言っているのかわからない』という意味の『カンガルー』と答えたそうだ。すると 訊ねた側は『あの動物は“カンガルー”という名前なんだ』と誤解してこの動物の名前となった。」だがしかし、今ではカンガルー は先住民族であるアボリジニの言語で クロカンガルーを指す言葉の"gangurru"が変化したものであると考えられているそうだ。これは直接的には「跳ぶもの」を指しているらしい。「カンガルー」という語がはじめて記録された ジェームズ・クックの最初の航海を王立協会会長ジョセフ・バンクスが記述した文章には"Kangaru"と綴られていて、これは元々はハイイロカンガルーの意味だったらしいが すぐにカンガルー全体を示す英語として使われるようになったようだ。そんな「跳ぶもの」達はとても種類が多くて 55種類もいるという。なかでもアカカンガルーのキックボクシングは強力で有名だが、1500万年前には肉食のツヨハオオネズミカンガルーという絶滅したカンガルーもいたそうだ。想像するとキックボクシングの強い肉食のカンガルー、いや 跳ねる巨大なネズミなんて とても恐ろしい。僕の妄想は膨らみ やがて頭のなかでは跳びはねて、お腹に袋のあるヴェロキラプトルのように変化していったのだ。