No.1144744

ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~ 22.リーダー! 真脇 達美!

リューガさん

「わんだふるぷりきゅあ」にはまってます
犬飼夫妻にも受け入れられて、よかった!
これでミラクルライトふってもらえますね!

2024-05-20 23:38:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:103   閲覧ユーザー数:103

 私はベンチにすわらされた。

 逆らうつもりもないけど、逆らえない。

 相手は180キロある金属ボディーだから。

「うさぎ、『何が忘れられたのか』よかったよ」

 並ぶ達美さんが微笑んだ。

 血の繋がりはない、そもそも種族も違うけど。

 達美さんは、ボルケーナ先輩の旦那さんの妹さん。

 そのお兄さんの手で脳に併設された量子コンピュータが、ネットワーク上のあらゆる情報にアクセスできる。

 その達美さんに言われたなら、ちゃんと見たんだろう。

「でも、今日はチューもなしですか?」

 思いっきり顔をよせてみる。

 いつもなら抱きつかれてホッペにチューぐらいするのに。

 私のアイドルは遠ざかった。

 微笑みに寂しさをにじませて。

 達美さんのしっぽがバタバタ降れている。

 不機嫌なネコの特性が。

 フカフカモフモフの赤い毛でおおわれたしっぽ。

 そのなかにも重く固いフレームがある。

 当たるといたい。

 

 私は背筋をのばして、礼を返す。

「ありがとうございます」

 だけど、ここでほめられたくなかったな。

 この仕事についてイヤなこと。

 それは自分の経験が、イヤな記憶のイメージで上書きされていくことだよ。

「あんまりよかったから、今アーリンくんに見てもらってる」

 たとえ誰に見てもらっても、この日を思いだすんだろう。

 私を無視して、それにファントム・ショットゲーマー九尾 朱墨の監督も無視して、勝手に飛びだしてつかまったアーリンくんを尋問する今日を・・・・・・アレ?

「なんで勝手に見せてるんですか」

 何となく予想はつくけど。

「うちの店のデジタル緞帳、アレってシャイニー☆シャウツがなにか更新するとお知らせがでるでしょ。

 それに興味をもった」

 やっぱりだよ。

 だけどムカついた。

「こっちの世界を知ってもらうよい教材だと思ってね。

 もともと、そのつもりだったでしょ」

「そうですけど、総理大臣がオカルトな謎をそのままにする話しなんて、あの・・・・・・マズイことになりませんか?」

 達美さんの表情に、活気が戻ってきた。

「人の苦境をバカにする奴なら、このまま切っても問題ないと思うよ」

 その誘惑には、引かれるものがあるけど。

「引かれる必要はないみたいだよ。

 本人は、君と朱墨ちゃんたちのためにやりたかったことみたい」

 私たちのため?

 あのロボルケーナで何を……私たちに力を示したかったとか?

「たぶんね。

 でもそれは教えてくれなかった」

 そうですか、そう言えば。

「そもそもあれ、15分の動画です。

 行かないとマズイんじゃ?」

 腰を浮かしかける。

 でも。

「私の店でパティシエがいないことなどありません。

 それに、タケくんが細かい説明をしてる頃だと思うよ」

 全自動こん棒つなぎマシンを、食い入るように見ていたアーリンくん。

 その姿は、本当にメカが好きと言うパワーがあった。

 タケくんとは、鷲矢 武志さん。

 達美さんの彼氏で、ピアニスト。

 そして、達美さんとほぼ同じ型のサイボーグ。

「それなら、時間は問題ないですね。

 今日の戦闘については、車のなかでだいたい見ました。

 他に覚えておくことは?」

「あるよ。今夜の妖菓子鬼茶天タイムは、アーリンくんにやってもらうから」

 妖菓子鬼茶天タイム。

 あやかしきっさてんたいむ。

 ここ、グロリオススメで使うことができる、達美さんの最強形態。

 ボルケーナ先輩が認めた神の力を、依頼人の願いの力を糧に使うことができる。

 ただし、店のなか限定で。

 依頼人は、「丸い角砂糖ください」と言えば・・・・・・アレ?

「じゃあ、私の依頼は?」

「アーリンくんの依頼と同じだった。

 あんたが店に入ったら、実行するよ」

 そういって立ち上がった。

 ・・・・・・朱墨ちゃんに会いたかった?

 ロボルケーナのことで、なにか話があるのかしら。

 私も立ちあがり、エスカレーターで上に向かう。

「そうそう、あのロボルケーナ、パーフェクト朱墨って言うんだって」

 へぇ~~。ええ~~?!

 


 
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