No.112678

恋姫無双~天の御使いの守護者~ 第1話

鴉丸さん

第一話です


しかし、やっぱりデータが消えると凹みますね

続きを表示

2009-12-17 01:51:15 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2957   閲覧ユーザー数:2655

 

 

『真・恋姫無双異聞録』についてですが、データが復活してもこの話を終わらせてから・もしくはこの話が終わった後に、以前書いた仮面ライダー響鬼とのクロスを書き直したものを投稿してからだと思われます まあ、多分これが終わった頃に異聞録が完成していると思うので、異聞録の後に響鬼とのクロスの書き直しを投稿するはずです

 

 

いや、本当に駄目な作者で申し訳ないです^^;

 

 

 

 

Side 狂骨

 

 

「見えたぞ……蜀の首都の成都だ」

 

 

傍らに立つ大剣を背負った男「刑天」の言葉に頷き、前を見る狂骨 やはり、割り切ったつもりでも幾分かの感傷があるのか成都を眺める目は寂しげだ

 

 

「狂骨殿……」

 

 

刑天の従者でもある聖(太史慈)が心配そうに見てくる 刑天は聖のおかげで、落ち着く事ができた だが、狂骨にはそのような存在がいない となるといつ狂うか分からない

 

 

「大丈夫だ……」

 

 

刑天は狂骨が危ういところにいるのに気づく だが、自分のようにはさせない 友誼を結んだだけではない 自分のように狂えば待っているのは破滅のみ 自分はギリギリの所で救われた 同じ思いを狂骨にさせるわけには行かない

 

 

「……まあ、成都に入り情報を集めるぞ」

 

 

「ああ」

 

 

「はい」

 

 

Side 成都城

 

 

成都城では、蜀に逃げ込んだ幽州軍を率いる一刀が高齢のために隠居した劉璋に代わり政務を執り行っていた

 

 

「ふう……幽州にいた頃とは大違いの忙しさだな」

 

 

政務がひと段落して、月が入れてくれたお茶を飲む一刀 周りでは朱里や雛里も詠にお茶を入れてもらい一息ついている

 

 

「それはまあ……幽州とは違って、領土も広いですからね」

 

 

朱里が一刀を労いながらそう結論付ける やはり幽州にいた頃とは違い、領土も広い上に生産品なども違うので慣れない内は、忙しいと感じてしまうらしい

 

 

「それより……雛里 アンタどうしたの?」

 

 

詠が先ほどから何かを考えている顔の雛里を見ながら問いかける その様子に部屋の中に居た一刀たちも雛里の方を向く

 

 

「いえ……なんで曹操軍は撤退したのかと思って」

 

 

「それだったら、橋が落ちたからじゃないの? 鈴々が殿を務めたんでしょ? あの子が落としたんじゃないの?」

 

 

詠は確か鈴々が殿を務めていた事を思い出しそう返した

 

 

「いえ……確かに雛里ちゃんの言うとおり、変なんです」

 

 

朱里が雛里の言葉を肯定する 確かに鈴々が殿を務めていた でも、橋を落とした覚えは無いと言っていた 部下にも聞いてみたけど誰も落としていないらしい

 

 

「……偶然橋が落ちた?」

 

 

一刀が呟くが、そんな偶然が都合よく起こる筈がない だが、それ以外に説明がつかない よって、腑に落ちない部分はあるがそう結論付けた だが、雛里は納得していないようでずっと考え込んでいる

 

 

「何か……大切な事を忘れている……とても大切な事を」

 

 

普段の様子とは違い、真剣に考え込んでいる雛里 しかし、詠があまり考え込まないように注意して、お茶のお代わりを出した

 

 

「まあ、政務の続きをしよう そんなに大切な事ならいずれ思い出すよ」

 

 

一刀が空気を変えるようにそう言い、朱里も政務の続きを始めた

 

 

(なんだっけ……忘れちゃ駄目なのに……)

 

 

雛里も政務の続きを始めたが、その胸中では必死に思い出そうとしていた 思いを通じ合った男の記憶を―――

 

 

 

 

「モグモグ……それで? これからどうするんだ?」

 

 

「モグモグ……とりあえずは、ここで情報収集して戦闘があったら介入って感じで行こうかと」

 

 

皿を積み上げながら狂骨と刑天が向き合って今後の行動を話し合っていた 聖? 彼女はどんどん二人の胃の中に消えていく大量の食べ物を見て満腹になりました

 

 

「ふむ……それなら狂骨 お前は少し街を見て回れ 気分転換でもして来い」

 

 

「……「お前……自分の顔を鏡で見て来い 酷いぞ」……ああ」

 

 

狂骨の顔 それは普通に見えるが、顔を突き合わせていればどれだけ酷いか勘のいいものならすぐに気付く 狂骨は、席を立ち外に向かって歩き出した

 

 

「せめて、かつての仲間が一人でも思い出せば……可能性は低いが、ありえない話じゃあない」

 

 

結局のところ、自分や聖がいくら頑張っても最後の一線を越えるかどうかは自分を愛してくれる存在だと思う 自分は聖がいてくれたからよかった そんな事を考えていると

 

 

「あの~お客さん 代金をいただきたいんですけど」

 

 

「ん?」

 

 

周りを見渡すと、狂骨も聖もいなくなっていた つまり―――

 

 

「逃げたか?」

 

 

まあ、最後まで残っていた自分が悪いと考え、代金を払い店を出た

 

 

「ふ~む……まあ、統治はしっかりしているのか?」

 

 

「そのようですよ?」

 

 

独り言に返答が来た 横を向くと聖が立っていた

 

 

「……どこに居た?」

 

 

「……だって、アレだけの量を食べているのを見ると……気持ち悪くなりまして」

 

 

どんどん積み上げられていく皿 二人の男の中に消えていく大量の料理 それを見ているだけで満腹になる 聖は悪いと思いながらも店から出た それが真実

 

 

「……それはすまん」

 

 

確かにその光景を見ていたら食欲無くするよな~と思いながら、二人で街を歩いていた すると、前の方から見た事ある姿が何人かやってきた

 

 

「……北郷一刀か」

 

 

桃香や愛紗と言った主要メンバーを連れて歩いてくる一刀 人数が増えているのは蜀に着いてから合流した武将だろう

 

 

「―――だから考えすぎだよ~」

 

 

桃香の少し暢気な声が聞こえてきた どうやら、全員雛里に注目しているようである

 

 

「旦那様……まさか、鳳統は……」

 

 

「……おぼろげながら憶えていると言うわけか? まあ、可能性はゼロではないからな」

 

 

そして、すれ違おうとしていたとき―――

 

 

「む? もし、そこの方」

 

 

勘の良さに定評があるかは分からないが、星が刑天たちに話しかけてきた

 

 

 

 

「……何か?」

 

 

内心は「面倒だ 何故話しかけてくる?」と毒を吐く刑天 顔に出さないのは、やはり年の功だろう

 

 

「いえ、旅のお方とお見受けするが……とても強い武をお持ちのようで そちらのお連れの女性も」

 

 

(……勘がいいというか、目ざといと言うか……ん? 用法はあっていたか?)

 

 

「えっと……それで何か?」

 

 

考えが別の方向にシフトした刑天に気付いた聖は、星に聞き返した

 

 

「いえ……出来れば手合わせを願いたいと思いまして」

 

 

「え!?」

 

 

一刀が星の言葉に驚いて声を上げた 星は結構頭がよく無意味な戦闘などはしないと思っていたからだ でも、後ろの方には自分の部下でも好戦的な面子(ぶっちゃけ紫苑以外の武官)が同じような雰囲気を出していた

 

 

「……こういう人たちを旦那様が『バトルジャンキー』と言っていたような……」

 

 

「!?」

 

 

一刀は、聖の言葉に先ほどとは比べ物にならないほど驚いた 何故、どう見てもこの世界の人間である彼女が『バトルジャンキー』という言葉を知っているのか 言葉の意味などどうでもいい その言葉を知っていると言うだけで衝撃だった

 

 

「……行くぞ、聖 狂骨からの合図があった “来る”らしい」

 

 

「狂骨殿から? 分かりました、旦那様」

 

 

「あ、ちょっ!」

 

 

星はなんとなく言ってみただけだが、愛紗などが思いのほか乗ってきてしまったので、どうしようか迷っていたが、刑天がどこかに行こうとしていたのでよかったと思っていたら、一刀が異常に驚いていた

 

 

「主? さっきの二人がどうしたのですか?」

 

 

「少し気になる事を言っていたんだ……」

 

 

「ご主人様?」

 

 

桃香が心配そうに眺めているが、一刀は目を瞑り何かを考えている

 

 

「やっぱり、気になる! 今の二人を追う!」

 

 

そういって走り出してしまった その場に居た武将も一瞬呆けてしまったが、すぐに全員で走り出した

 

 

 

 

Side 狂骨

 

 

「野党の大群?」

 

 

それは、街から外に出て少し走ってみるかと思って荒野に足を踏み出した瞬間に見えた 遠くに見える土ぼこり 人から体が変わったおかげで五感も強化されていたので目を凝らしてみれば、数にして大体1,000ほどの野党の大群だった

 

 

「……まずいな」

 

 

いくら、愛紗たちが一騎当千と言えども奇襲を仕掛けられれば太刀打ちは難しい だから、自分がやるしかない そう思い、刑天に合図を送った 言ってしまえば無線のようなもの

 

 

『刑天……街の東側から野党の大群らしき連中が来ている』

 

 

『分かった すぐにそっちに向かうから、それまで持たせろ まだお前は体に慣れていない』

 

 

先達の言う事は聞いておいたほうがいいと判断し、刑天たちが来るまでは専守防衛に努めようと考え、火薬を精製し着火させる準備を整えた

 

 

「……結局俺は、迷惑を掛けてばかりと言う訳か?」

 

 

今は刑天たちに、人間だったころは雛里を初めとした仲間に迷惑を掛けていると考え、自己嫌悪に陥る狂骨

 

 

「それでも……俺は」

 

 

「あまり、考え込むな そうしていると狂いやすくなるぞ?」

 

 

いつの間に来たのか刑天が横に居た 聖がいないのは、先行してきたからだろう まあ、刑天の事だから目印を残しているはずだ

 

 

「……俺は「いっそのこと泣いてしまえば楽になるかもな?」……」

 

 

そう言いながら、背中に背負った大剣『餓虎』を蜻蛉に構え大地を踏みしめる

 

 

「だとしても……泣くのは後だ」

 

 

狂骨も童子切を抜き、蜻蛉に構えた後上半身を捻り、右肩に刀の背を乗せた独特の構えを取り、迫ってくる野党に眼を向けた

 

 

「「……参る!」」

 

 

そして、同時に駆け出した 街の方から走って来るのは、聖と一刀たち 若干人数が足りないのは、城に戻り兵を連れてきている途中なのか

 

 

「雛里?」

 

 

一刀が隣を走る雛里に顔を向けると、涙を流していた

 

 

「雛里ちゃん!?」

 

 

朱里や桃香も雛里を見て驚いているが、雛里は何故泣いているのか分かっていないようだ

 

 

「あれ? なんで……なんでこんなに……?」

 

 

それは、一つの奇跡

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
18
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択