No.111959 鬼畜王文台 蘇りし虎は桃園を荒らす 03 第十三章三節2009-12-13 06:24:53 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:6186 閲覧ユーザー数:4603 |
第十三章
-3-
【大徳と江東の虎】
曹魏が孫堅率いる孫呉の手によって滅ぼされ、
建業に劉備軍の一団がやってきて間もないころ。
桃香こと劉備は最初、力で曹魏を下した孫呉を良く思っていなかった。
これは劉備が孫堅を話し合いで以って説得するために
徐州から建業までやってきたときの一コマである。
劉備「孫堅さん…やっぱりあなたのやり方は間違っていると思います。
人を大勢殺して力で相手を無理やり屈服させるなんて、私はそんな方法認められません!!」
煌蓮「あん? んなもんあたしらに先にドンパチ仕掛けおった曹操の奴に言ってくんな。
あたしゃ連中が喧嘩売ってきて、あたしの娘の策を半殺しにしよったから、
その報いとして連中を叩き潰してやっただけさね」
劉備「でも、だからといって、そこまでするのはやりすぎだと思うんです!
そんなの正義でも何でもありません、あまりにも身勝手すきます!!」
煌蓮「身勝手だとおおおぉぉぉ!!!???」
ズドオオォォォォオオオオンンンンン!!!!!!
劉備「ひっ……!!!」
煌蓮「さっきから聞いてりゃこんの甘ちゃんの小娘ぁ……
テメェの理想だけポンポンポンポン一丁前に抜かしおってからに、
オドレぁ血と恐怖が流れる戦場で今まで一体何をしていた!!?
あたしや娘共のように、最前線に立って剣を振るって戦ったか!?
反董卓連合の時にゃ、ただ後方で黙って見ているだけだったと
曹操ちゃんから聞いたぞ!!?」
劉備「そ…それは……」
煌蓮「うちの公謹や北郷のように、知を駆使して戦線を支えたか!!?
志を託して死んでいった同胞たちのことを、
このあたしが何とも思っちゃおらんとでも思ってんのかああぁぁ!!??
戦死した遺族たちの苦しみや悲しみのことを、うちの坊主みてぇに
まるで自分のことのように涙を流したことがオンドレにゃ一度でもあんのかぁ!?」
劉備「………」
煌蓮「夢見心地のお花畑の腑抜けたトサカで理想なんか語ったって、何の足しにもなりゃせんわ!!
あたしが孫呉の天下を目指すのはどうしてだか、貴様は考えたか!?
考えて、考え抜いた末に、このあたしに向かって文句垂れてんのか!? えぇ!!?
まさか、考えなしに頭ごなしで話し合いで解決しろだの戦をやめろだの
馬鹿臭い戯言を抜かしにノコノコ建業までやって来たんじゃないだろうね?
もし仮にあたしが今言ったとおりなんだとしたら、徐州の大徳が聞いて呆れるわぁ、
うぬぁ州牧の王として失格じゃぁ、劉玄徳!!!
今すぐこの場でお前ら全員を生け捕りにして、
明日の朝一で徐州に特攻(ブッコ)んで城のてっぺんにある劉旗を燃しに行ってくるよ!!?」
孫堅は劉備の理想を追い求める姿勢に対して容赦がなかった。
彼女は劉備とは対照的に、徹底した現実主義者だからである。
そのシビアなものの考え方は、彼女の娘たちにも脈々と受け継がれている。
誰にも頼れず、頼らず、裸一貫で孫家をここまで大きくし、
その家庭で酸いも甘いも噛み分けてきた彼女だからこそ言えることである。
孫堅にとって劉備の主張は、単なる夢見心地の甘言でしかなかった。
対して劉備は、孫堅の激烈な剣幕に圧され何も言えない。
なぜなら彼女は孫堅の指摘するとおり、孫呉が覇道を目指す理由など
よく考えもせずに建業までやって来てしまったからである。
これは彼女にとって、完全な誤算であった。
煌蓮「分かったのなら、まずはお前さんのそのお花畑の頭を締め上げて
このあたしが一から徹底的に鍛えなおしてくれるわ、覚悟おし!!
まず竹筒を一日百巻!! その後うちの坊主と打ち合い千本!!
その後孫子・呉子・老子・孔子・釈迦・天道……」
劉備「うえぇ~~ん、ごめんなさぁ~い孫堅さぁーん……」
こうして劉備は孫堅に降伏し、徹底的に将としての再教育を受ける羽目になった。
その後、建業の城内からは、時折謎の悲鳴が聞こえてきたと、民たちは噂したという…。
第十三章三節終了
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