No.1115075

知られたくなかった。[文スト]

知られたくなかった。




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2023-02-27 11:18:13 投稿 / 全20ページ    総閲覧数:228   閲覧ユーザー数:228

名前 四ノ宮 翠 (シノミヤ ミドリ)

身長 172㎝

年齢 17歳

性別 男

目の色 緑

容姿 制服を着ていて、本と雫のついた鍵のネックレスをつけている。

 

元ポートマフィアの幹部。今は武装探偵社の事務員をしている。異能をもっているが、過去に起こったことにより、隠している。過去について触れられると異能が暴走してしまう。

 

異能については別で言います。

『国木田さん、資料の確認お願いします。』

 

「嗚呼、分かった」

 

パラパラ…

 

「完璧だ。」

 

『ありがとうございます。』

 

俺は武装探偵社の事務員だ。どんな仕事も完璧に、それが俺の目標だ。

 

俺は国木田さんに言うことを思い出し、仕事をしている国木田さんに言った。

 

『国木田さん、俺今日昼から用事あるので早めに上がらせてくれませんか?』

 

「分かった。昼からだな?」

 

『はい。』

 

俺は昼になるまで音楽を聴こうと思い、イヤホンを探した。

 

すると、俺のポケットから何かが落ちた。それはソーダ飴だった。俺のお気に入りのソーダ飴。俺は

 

それを拾い飴を口の中に入れた。広がるソーダの味。俺は飴を口の中で飴を転がしながらこれをくれ

 

たあの人のことを思い出した。あの人はもう死んでしまった。いつでも優しかったあの人。俺はあの

 

人と過ごした思い出を振り返っていた。そして呟いた。

 

『会いたいよ―――。』

 

その声は誰にも聞こえなかった。

昼になると俺は急いで探偵社を出た。少し走った先に路地裏があり、そこを通る。路地裏はそこそこ 

 

長く、薄暗い。

 

そう思っていると路地裏を抜けた。俺はあの人の墓まで行き、呟いた。

 

『会いに来たよ。……織田作』

 

俺は織田作の墓の前に花を添え、路地裏へ戻る。路地裏を歩いていると、前に人が見えた。後ろにも

 

いる。俺はすぐに気づいた。

 

『チッ……ポートマフィアかよっ』

 

「いたぞ四ノ宮翠!」

 

「捕まえろ!」

 

俺は向かって来るポートマフィアに向けて身構えた。だがそれは一言の声で遮られた。

 

「待て」

 

その瞬間俺は黒色の布で縛られた。

 

『ぐぁっ…』

 

「四ノ宮翠、ポートマフィアに来てもらう」

 

芥川はそれだけ言って俺を締め付けた。

 

『おだ、さく……』

 

俺はあっという間に意識を手放してしまった。

目を覚ますとそこはポートマフィアの医務室だった。辺りを見回すと、手紙があった。

 

『中也から……?』

 

中也はポートマフィアの頃からの友人だった。手紙にはこう書いてある。

 

[起きたら首領の所に来い。手前の異能力でしっかり姿は消しとけよ?]

 

異能力、か。

 

『……使いたくないけど』

 

俺は首につけているネックレスから本のチャームを取り外した。本のチャームはどんどん大きくな

 

り、やがて本物の本になった。俺は本を開き、言った。

 

『異能力、複写。透明人間』

 

俺は近くにあった鏡を見る。鏡には誰も映っていない。

 

『……よし』

 

俺は首領の所へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

設定追加

 

異能力名 複写

 

異能力者全員の異能力を使える。

首領室に着くと、誰もいなかった。俺は意を決して入る

 

『失礼しま――』

 

「翠ーーっ!」

 

俺の声は少女の声と抱きつきによって消えた。

 

『うぐっ…エ、エリス。きつい……』

 

「会いたかったわ翠!どこに行ってたの!」

 

『ご、ごめん…で、森さんは?』

 

「リンタロウならおでかけよ。帰ってくるまで遊びましょう!」

 

『分かった、分かったから離して……』

 

エリスは俺のことをお兄ちゃんと思っているらしい……だからちゃん付けしなくていいらしい。俺は

 

暫くエリスとおままごとをして遊んだ。1時間ほど遊んでいたら、ようやく森さんが帰ってきた。

 

「……森さん」

 

森さんはエリスに隣室のいるよう促し、やがて二人だけになった。森さんが口を開く。

 

「……四ノ宮君。君に頼みがある。」

 

 

『…はい』

 

森さんは少し間を開けて言う。

 

「ポートマフィアに戻ってきてくれないかい?」

『――え?』

 

俺は自分の耳を疑った。森さんは続いて言う。

 

「ポートマフィアには君の力が必要なんだ。だからもう一度言うよ。」

 

「戻ってきてくれないかい?」

 

『……俺は』

 

俺は自分のために選ぶ。

 

『分かりました』

 

これでいいんだ。森さん、いや、首領は笑って言った。

 

「君ならやってくれると思ったよ」

 

―太宰side―

 

翠君がいない。みんな気にしていない様だけど――

 

『翠君、無事でいてね』

 

その前に国木田君に言われた事件を解決させてからだ。

 

――――黒フードの殺人。何人もの被害者が出ている。その犯人が黒色のパーカーを着ているらしい

 

暫く考え込んでいると、声をかけられた。振り返るとそれは黒フードの殺人の犯人だった。顔は見

 

えない。

 

「太宰だな」

―太宰sideー

 

「付いてこい」

 

それだけ言われて男は歩いた。私も黙ってついていく。やがて男は路地裏の途中で止まった。私は言 

 

った。

 

『私を殺すつもりかい?』

 

「俺は顔を見せたいだけだよ」

 

男は苦笑する。そしてフードの手をかけ、外した。顔が見えた。

 

『君は…』

 

緑色の目、首に下げたネックレス……男の正体は翠君だった。

 

「お久しぶりです。…太宰さん」

 

『何故こんな事をしたんだい?』

 

翠君は言う。

 

「俺は、変わった。もう探偵社にはいられない。」

 

『何故だい?君は探偵社の人員だ。』

 

翠君は悲しそうに笑って、暗闇へと足を向けた。

 

「俺はポートマフィアに戻ったんです。さよなら、太宰さん」

 

『待って、翠君っ!』

 

雨が降り始めると同時に翠君はいなくなった。雨が降っている中で俺は言った。

 

『――、ごめん』

 

その声は雨音に吸収された。

 

ポートマフィアのビルに戻ると、中也がいた。俺に気付くと直ぐに走り寄って来る。

 

「翠!ずぶ濡れじゃねえか」

 

『大丈夫、でも太宰さんに会った』

 

「青鯖にか?ま、取り敢えず風呂入ってこい!」

 

『うん、分かった』

 

俺はその場を後にした。そして呟いた。

 

『中也、あの時のこと、覚えているのかな』

 

俺はそのあと風呂に入ってすぐに寝た。次の日に用事があったから。

 

~次の日~

 

俺は起きて直ぐに、あるバーに行った。織田作が行っていたバー。ドアを開けるといつもの席に目的

 

の人がいた。隣に座り、話しかけた。

 

『久しぶりですね……安吾さん』

『久しぶりですね……安吾さん』

 

丸眼鏡をつけた彼…安吾さんは、少しだけ微笑み、

 

「ええ、最後に会ったのはいつでしたか。」

 

と言った。安吾さんは続ける。

 

「太宰君もそろそろ来ると思いますが……」

 

そう言っている内に、再びドアを開ける音が聞こえた。振り返ると太宰さんがいた。

 

「やあ、安吾。調子はどうだ……その子、誰だい?」

 

やっぱり分からないか。それもそのはず、俺は髪型も洋服も太宰さんに知られないように変えた。

 

俺の、本来の姿。俺は言った。

 

『こんにちは。私は理玖と申します。お見知りおきを』

 

「随分と丁寧だね。私は太宰だよ」

 

やっぱり、気づいてないのか。そう思った途端、太宰さんが言った。

 

「よろしくね、四ノ宮翠君」

 

『っ!気づいていましたか……』

 

「最初から、ね」

「最初から、ね」

 

『そうてしたか…』

 

――もっと、頑張らなけらば。そう思っている、電話がなった。俺は掛けている人を確認した。

 

『森さん…?』

 

俺は電話に応答した。

 

『…はい』

 

「四ノ宮君?仕事を頼みたいのだけど」

 

『要件を』

 

「――――探偵社を、潰して」

 

探偵社を、潰す?俺は考え、言った。

 

『分かりました。』

 

今は、ポートマフィアの方が大事だ。

俺は電話を切り、隣に座っていた二人に言った。

 

『急用が出来たので、これで失礼します。』

 

ついでに太宰さんに小声で言った。

 

『……太宰さんは早く探偵社に戻った方がいいですよ』

 

「っ如何いうこと…?」

 

俺はそれに答えずに店を出ていった。

 

~太宰side~

 

『っ安吾、如何いうことか分かったかい?』

 

「いえ、分かりません。ただ――」

 

少し間を開けて安吾は言う。

 

「探偵社を潰せという言葉が聞こえました」

 

『探偵社、襲撃……』

 

私は翠君が耳打ちした理由が分かり、直ぐに店を出た。

 

「ちょっと、太宰君!?」

 

早くしないと、

 

探偵社が、危ない。

翠(理玖)side

 

探偵社、久しぶりだな。

 

俺はドアを思い切り開けた。

 

『こんにちは。探偵社の皆様。』

 

すぐさま国木田さんが反応した。俺に向けて銃を向けてくる。

 

「誰だ貴様、ポートマフィアか……!」

 

他にいる皆も体制を構えてくる。

 

『いかにも、私はポートマフィアの理玖と申します。あなた方探偵社を潰しに参りました』

 

俺は微笑んだ。その微笑みに皆たじろぐ。それと同時に太宰さんが入ってきた。

 

「み……理玖」

 

『おや、もう戻ってきたのですね』

 

「太宰、こいつ知っているのか?」

 

太宰さんは真剣な表情で喋る。

 

「この人のことは皆知っているよ。」

 

「何?」

 

太宰さんがこちらを向く。

 

「言ってあげたらどうだい?」

 

俺は少し考えてから言った。

 

『俺の本当の名前は四ノ宮翠ですよ。』

 

社内のみんながざわつき始めた。

「これは……」

 

檻の中にいる誰かが呟く。

 

『…俺は異能力を持っています。能力名は複写。詳細はお教え致しません』

 

……皆驚いていた。乱歩さんが問う。

 

「その鍵は何?」

 

…何で、分からないんだ?俺は思ったことを口にした。

 

『乱歩さんなら分かるんじゃないですか?』

 

乱歩さんは眼鏡をかけ、黙ってた。やっと口を開く。

 

「――分からないよ。情報が少なすぎるんだ。ねえ、教えてよ。」

 

「過去のこと」

 

顔の何処かでひびの入る音がした。

 

『辞めろ、触れるな』

 

『もう、人を傷つけたくない』

 

その瞬間、檻は消えた。

 

代わりに俺の目にはひびが入り始めていた。

まずい。俺はまた、人を傷つけるのか?――――あの時みたいに。

 

「駄目だよ、翠君」

 

何処からか声がした。そして動けなくなった俺の体に手を置かれた。

 

その瞬間、俺の顔に出来ていたひびは消え、体に力が入らなくなった。

 

『…っだ、ざいさん』

 

倒れかかる俺の体を受け止めてくれた太宰さんは、少し悲しそうな顔をしていた。

 

ありがとう、と言いたいが瞼が段々重くなる。そのまま俺は眠りについてしまった。

 

太宰side

 

『……翠君』

 

こんなに無理をしていたのかい?何故、言ってくれなかったんだい?

 

私は翠君に聞きたいことがたくさんあった。特に気になったことは

 

翠君。何故ポートマフィアに入ったんだい?

 

全部聞くから、今は。

 

生きて、翠君。

 

そうして私は翠君に手を伸ばした。

『……ん』

 

目を覚ますと探偵社の医務室にいた。俺は――そうか、異能が暴走して……

 

そう思っているとドアがいきなり開いた。……大きな声と共に。

 

「翠っ!」

 

この声は――

 

『乱歩さん?』

 

乱歩さんは俺に走り寄ってきた。

 

「翠、ごめんね」

 

…そう言えば、俺はある事を思い出した。

 

『少し、過去の話をしましょう。』

 

すると急に乱歩さんは神妙な顔になった。それを俺は気にせず、話し始めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

あれは、俺が9歳のころのことです。俺は弥生という親友と何時も一緒にいた。その証として俺たちは

 

雫のチャームを付けていたんです。でも、その数ヶ月後……

 

 

 

俺に異能力があるのが分かりました。そこからです。壊れ始めたのは。

「翠!」

 

弥生はいつものように話しかけてきた。

 

『や、弥生……来ないで』

 

その時の俺は、異能の制御が出来ていなかった。そして弥生に向かって異能が発動してしまった。

 

「痛いよ、翠……みどり……」

 

俺はそんな弥生を助けようとせずに逃げた。

 

『う、うわあああああああっ』

 

弥生は助けを求めていたのに。

 

それから俺たちは会うこともなく、弥生は引っ越した。

 

俺はポートマフィアに入り、幹部になった。だけどまた、傷つけた。だから探偵社で異能力を隠して

 

来ました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『これが俺の過去です。』

 

そして俺は本のチャームを取り出し、言った。

 

『複写、塗料。異能力を使えなくしろ』

 

そういうと谷崎さんの異能力で見えなかった皆が出てきた。

 

 

 

 

複写、塗料

 

新しく異能力が作れる。変わった目の色によって、自分への代償が変わる。

「な、何故分かったの?四ノ宮さん…あと、その目の色っ」

 

中島君が問う。近くにあった鏡を見ると、俺の目の色は――赤色になっていた。

 

『そうですねえ…気配、視線、それと乱歩さんの顔つきですね。』

 

ふと腕に痛みが走ったが、気にせずに言った。

 

「あなた方は俺の情報を集めていない。異能力についても。何も知らないのも当然ですっ」

 

そこでもうだめだった。腕に来る激痛が俺を苦しませる。

 

『ぐっ…何で、こんな時にっ…!』

 

「翠っ!」

 

みんなが叫ぶ。腕からは血が溢れ、床にしみを作った。

 

『与謝野、さんを呼んで…』

 

「太宰!これ、止められないの!?」

 

『止められない…これは、塗料の代償だから…』

 

そう言った瞬間、腕が千切れた。痛みに耐えきれず、俺は気を失った。

目を覚ますと、そこは病室のようなところだった。隣には中島さんがいた。

 

「あ、起きたんですね!」

 

「ここは……」

 

「探偵社の医務室ですよ」

 

「……ありがとうございます」

 

「いえいえ、お礼なんていいんですよ」

 

そんなことを話しているうちに扉が開かれた。そこにいたのは国木田さんだ。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「はい、まあ何とか」

 

「良かった。ところでお前は何者なんだ?」

 

「何者とは?」

 

「あの時、目が赤色になっただろう。それに異能について詳しい。一体どういうことだ?」

 

「ああ、あれですか……それはですね……………………ってことなんですよ」

 

「……そうなのか。すまない、疑ったりしてしまって」

 

「いえ、仕方ないことなので」

 

「そうだ、お前の腕はどうしたんだ?」

 

「ああ、それならもう生えましたよ」

 

「はぁ!?」

 

「えっと……こうやって……」

 

自分の腕から手を出し、元に戻す。それを見ていた中島さんは目を見開いて驚いている。

 

中島さんの表情を見て、少しだけ満足感に浸った。

 

それから数日間、探偵社では質問攻めにされた。だが、俺が答えることはなかった。それでも、み

 

んなに優しくしてもらった。

 

そしてある日、中島さんに呼び止められた。

「四ノ宮さん、ちょっといいですか?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「聞きたいことがあるのですが……」

 

「なんでも聞いてください」

 

「では、単刀直入に言います。あなたの目はいつ治るのですか?」

 

「……なぜそれを?」

 

「実は前に見たことがありまして……その時の瞳の色がとても綺麗だったので覚えていたんです」

 

「そうだったんですか。でも安心してください。一週間後には戻りますから」

 

「本当ですか?よかったです……」

 

ほっとしたような顔を見せた後、「じゃあ失礼します」と言って去って行った。そして、一週間が

 

経った。いつも通り出勤すると、中島さんが駆け寄ってきた。

 

「おはようございます!四ノ宮さん!」

 

「おはようございます」

 

「あの……その、瞳の色戻ったんですね!」

 

「はい、戻っていると思いますけど……」

 

「良かったです!」

 

「心配かけてすみません」

 

「いえ、全然平気です!」

 

「それより何かあったんですか?」

 

「え?あ、はい。そうなんです。今日は僕と一緒に依頼に行くことになったんです」

 

「どんな依頼ですか?」

 

「この人を見つけて欲しいと」

 

中島さんに写真を貰うと、俺は写っている人物に目を見張った。

 

その人は過去の親友、弥生だった。

「どうして……お前がここにっ……」

 

弥生はわらい、俺にナイフを向けた。

 

「弥生……お前、何を考えているんだ?」

 

「何って……復讐だよ。私の大切なものを壊したあんたをねっ!」

 

そういうと、ナイフが振りかざされた。間一髪で避けると、後ろにあった木に大きな傷跡がついた。

 

「お前、本当に何やってんだよ!」

 

「うるさい!黙れ!」

 

何度もナイフを振り回してくる。それを必死になって避けていると、中島さんが俺の前に出た。

 

「四ノ宮さん!下がっていて下さい!」

 

中島さんが異能力を発動させ、攻撃をし始めた。しかし、中島さんの攻撃は避けられてしまう。

 

中島さんは続けて攻撃を仕掛けるが、弥生はそれを簡単にかわしていく。

 

中島さんは隙を見て弥生を殴ろうとするが、それさえも簡単にかわされてしまう。

 

「中島さん!」

 

「四ノ宮さん、危ないですよ!」

 

中島さんは攻撃を止めて俺の方に戻ってきた。俺は中島さんに肩を貸しながら逃げようとするが、弥

 

生はそんな俺たちを追いかけてくる。

 

『仕方ないか……』

 

覚悟を決めて弥生の方を向く。すると、中島さんは驚いたように俺を見た。

 

「四ノ宮さん!危な――「大丈夫です。気絶させるだけなので。」

 

そう言って俺は前髪を上げる。

 

「うわああああ!」

 

向かってくる弥生を避け、俺は腹を強めに殴った。あっけなく弥生は倒れた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい……」

 

「とりあえずここから離れましょう。中島さんも来てくれますか?」

 

「もちろんです」

 

「では行きましょう」

 

中島さんは困惑した様子だったが、何も言わずに付いてきてくれた。

 

その後、中島さんと別れ、俺はある決意をした。

 

「もう、いいかな」

 

次の日、俺は屋上へ向かい、塀に立った。死ぬためだ。重心を前に傾けようとしたとき扉が開いた。

 

太宰さんだった。

 

「本気で死ぬ気かい?」

 

「……いいんです。もう。この苦しさから解放されたい。」

太宰side

 

翠君の足は後ろに下がっていく。

 

「翠君……やめるんだ。君は…」

 

「もうっ!!」

 

「もう、異能力で皆を傷つけたくない……!」

 

それと同時に翠君の体は宙に浮かんだ。

 

私はその手を――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掴めなかった。

 

チェーンの切れる音がした。

 

落ちていく時、翠君は言った。

 

「―――これで、あえる」

 

広がる悲鳴。集まる人。手の中にはチェーンの切れた翠君のネックレスがあった。私は1人呟いた。

 

「……救えなかった」

 

この瞬間、翠君は死んだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

No side

 

四ノ宮翠の死から1ヶ月後、織田作之助の墓の隣に新しい墓が作られていた。名前は――

 


 
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