No.1111336

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第149話

2023-01-11 01:17:33 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1855   閲覧ユーザー数:1469

 

~鳳翼館・ロビー~

 

「ぼ、僕達が”空の女神(エイドス)様による試練を乗り越える”事ですか……?」

「ちなみにその”試練”の内容ってどんなのなの~?」

エイドスが口にした”もう一つの依頼であるゼムリア連合の調印式に空の女神自身も立ち会う事”についての条件をを聞いて不穏な空気を感じ取ったマキアスは不安そうな表情で訊ね返し、ミリアムは真剣な表情でエイドスに訊ねた。

「”新たな時代が訪れる事になるゼムリアの恒久的な平和の為にゼムリアにとっては唯一神である空の女神(わたし)を立ち会わせる資格が今のゼムリアの人々にあるかどうかを確かめる為”に貴方達が現代のゼムリアの人々を代表して貴方達自身の”力”もそうですが”絆”を空の女神(わたし)に示す事――――――要は空の女神(わたし)による貴方達への”力試し”です。」

「ふえっ!?エイドスさんによるわたし達への”力試し”って事は……!」

「ま、まさかとは思いますけど……私達がエイドスさんと実際に戦って、エイドスさんに私達の”勝利”を認められろって事ですか……!?」

エイドスの説明を聞いて状況を察したアリサ達がそれぞれ血相を変えている中ティータは驚きの表情で声を上げ、アネラスは信じられない表情でエイドスに確認した。

 

「ええ。――――――ちなみに”人数制限はありません”から、貴方達の”全て”を出しつくして空の女神(わたし)に挑んでくださって結構ですよ。」

「に、”人数制限はない”って事はエイドス様御一人で私達全員と戦われるという事ですか……!?」

「早とちりはしない方がいいわよ。――――――”空の女神は空の女神のみでアタシ達と戦う事までは明言していない”から、そっちの星杯騎士達もそうだけど空の女神の両親や先祖も相手になるかもしれないわよ。」

エイドスが口にした更なる驚愕の条件にアリサ達が再び驚いている中信じられない表情で確認したエマにセリーヌは目を細めて忠告して警戒の表情を浮かべてセルナート総長達を見回し

「私の言葉をどう受け取るかは貴方達の自由です。――――――ですがアインさんに関しましては”審判を務めてもらう事は確実”である事はこの場で明言しておきます。」

「ア、”アインさんに関しては審判を務める事が確実”って事は僕達もエイドスと共にオリビエさん達と戦う可能性があるという事か……」

「私達は正直遠慮したいのですけど……今回の場合は仕方ないですね。」

「フフ、そうね。」

エイドスの説明を聞いてある事に気づいたアドルは表情を引き攣らせ、フィーナの言葉にクレハは苦笑しながら答え

「何だか”影の国”の”試練”を思い出しますね。」

「アハハ、そうですね。まさか今度は自分自身が”試練”の相手を務める事になるとは思いませんでしたが。」

「私はできれば遠慮したいの……」

エレナとナユタが互いの顔を見合わせて苦笑している中、ノイは疲れた表情で呟いた。

 

「フッ、トマス達やバルクホルン老が目にかけている噂の”紅き翼”の実力には興味があったのだが、我らが主神直々の指名とあらば仕方ないな。」

「いや~、君らマジでよかったな~。”最強の星杯騎士”にして君らも知っている”鋼の聖女”とも互角にやり合える総長を相手にする必要がないだけ、まだマシやで?」

「そうね。言葉通り”女神の御慈悲”ね。」

セルナート総長が若干残念がっている中ケビンとルフィナは苦笑し

「フフ、けど僕達の事を甘く見て貰っては困るよ?」

「私達―――七耀教会が崇める存在にして真の主である”空の女神”直々の勅命とあらば、”星杯騎士”として全力で皆さんの試練の相手を務めさせて頂きます。」

ワジは口元に笑みを浮かべてリィン達を見つめ、リースは静かな表情で答えた。

 

「ハハ……七耀教会の使い手達に遥か昔の”英雄”達、そして空の女神自身が相手か。最後の最後にとんでもない”壁”が立ちはだかってきたね。」

「ですが、僕達が一丸となれば超えられるはずです。」

「はい!私達ならきっと大丈夫です!」

「へっ、空の女神自身に俺達の”勝ち”を認めさせるなんて面白ぇじゃねぇかっ!」

「ああ……!散々難癖をつけて俺達に無茶な条件を呑ませた事も含めて倍返しにしてやろうぜ!」

「ハハ、まさか”空の女神”に挑む機会が訪れる事になるとは夢にも思わなかったな。」

「……問題は今の私達の戦力だけでエイドス様に認められる事ができるかですね……」

「そうね……こんなことになるのだったら、エステル達にも声をかけてあたし達に同行してもらうべきだったわね。実力が完全に未知数で”女神”のエイドスさんに対抗する為には同じ”女神”であるフェミリンスさんや”神”の力を宿すエステルが必要だと思うし……」

苦笑しながら呟いたオリヴァルト皇子の言葉に決意の表情を浮かべて答えたセドリックの言葉にトワは力強く頷き、アガットとアッシュは不敵な笑みを浮かべ、ジンは苦笑し、静かな表情で呟いたエレインの言葉に頷いたシェラザードは疲れた表情で溜息を吐いた。

「―――――では準備が整ったら私に話しかけてください。”試練”を行う場所へと案内しますので。」

その後準備を整え、更にカレイジャスから援軍としてパトリック達”騎士団”の面々も呼んで来たアリサ達はエイドスに準備を終えた事を伝えた。

 

「―――――どうやら準備が整ったようですね。一応念の為に確認しておきますが、私の”試練”に挑む為の貴方達が動員できるメンバーはそれで”全て”ですか?」

「はい、”現在はそうなります。”」

「………?」

「ほう?まさか星杯騎士(われわれ)の同胞まで放蕩皇子達と共に”空の女神”であるエイドスに挑むつもりとはな。」

「皆さんから話には伺ってはいましたが、まさかグラハム卿とヘミスフィア卿に加えてセルナート総長までいらっしゃっているなんて……」

エイドスの確認に対してトワは頷き、トワの答えのある部分が気になったルフィナが眉を顰めている中セルナート総長は興味ありげな表情でアリサ達と共にいるトマスとロジーヌへと視線を向け、視線を向けられたロジーヌは表情を引き攣らせながらセルナート総長を見つめて呟き

「総長もご存じのように、今の私とロジーヌ君の”星杯騎士”としての権限は凍結されていますからね。それにエイドス様は”現代のゼムリアの人々の絆”も確かめようとされているとの事ですから、”ゼムリアに生きる人”でもある私達も彼らと共にエイドス様に挑む事は決して”星杯騎士”として間違った行動ではありませんよ。」

「フフッ、物は言いようだね♪」

「ハハ、相変わらず食えない人やな、副長。」

トマスの説明を聞いたワジは静かな笑みを浮かべ、ケビンは苦笑していた。

「その様子では何やら”策”を練ってきた御様子ですが、果たしてその”策”が私の”これ”に通じますかね?」

アリサ達を見回して口元に笑みを浮かべたエイドスは指を鳴らした。するとその場にいる全員は一瞬で謎の空間へと転移させられた!

 

~???~

 

「こいつは………」

「”月の霊場”で僕が暴走した時にテスタロッサが僕達を転位させた空間に似ているようですけど……」

「まあ、アンタならこんな”奇蹟”すらも造作も無い事なのでしょうね……」

突然の出来事に仲間達が驚いている中クロウとセドリックは驚き、セリーヌは目を細めてエイドスを見つめた。

「さて、”試練”の内容について説明させてもらいます。――――――と言っても大した内容ではありませんが。」

「虹色の魔法陣……?」

「直径は約20アージュって所ね。」

そしてエイドスはアリサ達からある程度離れた場所へと移動した後自身を中心に虹色に輝く巨大な光の魔法陣を展開し、それを見たガイウスは呆けた表情で呟き、サラは魔法陣の大きさを分析した。

「ルールは至って簡単です。私を今光っている魔法陣の範囲外から出す事です。そうすれば、試練は”合格”とみなします。」

「エイドス様を魔法陣の範囲外に……」

「という事はエイドスさんを無力化する必要はないって事ですよね……?」

「どうやらそのようだな。だが………」

「どうせ紅耀石(カーネリア)以外の星杯騎士や空の女神の親族達がボク達を阻むんだよね~?」

「それにその魔法陣も何か仕掛けがあるんじゃないの?」

エイドスの説明を聞いたラウラは真剣な表情で呟き、ある事に気づいたティータは安堵の表情を浮かべ、ティータの言葉に頷いた後ある懸念を抱いたジンは真剣な表情でケビン達を見つめ、ミリアムとフィーはそれぞれ指摘した。

 

「―――――その通りです。」

「オリビエさん達には申し訳ないけど、ケビンさん達もそうだけど僕達も全員でエイドスを守らせてもらうよ。」

ミリアムの言葉にリースとアドルが答えた後セルナート総長以外の星杯騎士達とアドル達とナユタ達がエイドスの前へと移動してそれぞれの武装を構え

「勿論私自身も魔法陣の範囲外に出されない為に”迎撃”をさせて頂きます。」

「神父達から聞いていた通り、空の女神の得物は”槍”か。」

「それも”劫焔”が振るっていた”魔剣”やサンドロット卿の得物である”騎兵槍(ランス)”のように尋常ならざる気配を感じる事からして、何らかの力が宿った”魔装”の類なのであろう。」

異空間から取り出して構えたエイドスの神槍を目にしたミュラーは真剣な表情で呟き、アルゼイド子爵はエイドスが持つ神槍を分析していた。

「ちなみにフィーさん疑っていたこの魔法陣の”仕掛け”は私がこの魔法陣を通じてゼムリア大陸の霊力を供給する為のものです。」

「エ、”エイドス様がゼムリア大陸の霊力を供給する為の魔法陣”って事は……!」

「エイドス様があの魔法陣の中にい続ける事でエイドス様の霊力に限界はないという事ですわね。」

「つまりはエイドス様の霊力は常に供給され続ける事で、エイドス様は魔法(アーツ)を撃ち放題する事が可能である事もそうだけど霊力切れによる疲労や魔法(アーツ)を封じる事は不可能という事でしょうね。」

「おいおい、マジかよ……」

「冗談抜きで”影の国”でフェミリンスさんと戦った時以来の激戦になるかもしれないわね……」

エイドスの説明を聞いた仲間達がそれぞれ驚いている中アリサは信じられない表情で呟き、シャロンとエレインは真剣な表情で分析し、アガットは表情を引き攣らせながら呟き、シェラザードは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「ハッ、数はこっちが圧倒的に上なんだから数の差に任せて押し切ってやればいいだけだろうが。」

「フフ………意気込むのは結構ですが、”たったそれだけの戦力だけ”では私どころか”お父様達の元に辿り着く事すらも難しいと思いますよ?”」

「そ、それはどういう事ですか……!?」

「どうやらその口ぶりだと、そちらの戦力はまだいるようだな?」

鼻を鳴らした後意気込むアッシュに静かな笑みを浮かべて指摘したエイドスの不穏な言葉が気になったエマは不安そうな表情で訊ね、ある事に気づいたユーシスは厳しい表情でエイドスに問いかけた。

「その通りです。」

ユーシスの言葉に答えたエイドスが再び指を鳴らすと7色の球体のような存在がエイドス達とアリサ達の間のちょうど中央に当たる位置に現れた。

「7色の球体……?」

「はわわっ!?色は違いますけどあの”魔物”って確か”影の国”で出て来た……!」

「”グリモア”か……!」

初めて目にする存在にガイウスが首を傾げている中球体に見覚えがあるティータは驚きの表情で声を上げ、ミュラーは厳しい表情で声を上げた。

 

「”グリモア”って何なんですか……!?」

「ティータ君は”魔物”と言っていましたが……」

「”グリモア”とは私やシェラ君達が巻き込まれた”影の国”事件で戦った変身能力がある魔物でね。ケビン神父達の話によると”グリモア”も”聖典”に記されている”煉獄に落とされた魂の成れの果て”との事だ。」

「ちなみに俺達がやり合った時は俺達の仲間そっくりに化けてクラフトや魔法もそいつが使える同じものをそっくりそのまま使ってきやがったんだ。」

「た、”魂の成れの果て”って……」

「不吉な響きですね。」

「し、しかも誰かに化けてその人物と同じクラフトをアーツを使えるなんて変身した人物次第ではとんでもなく厄介な相手になるんじゃないのか……!?」

「ええ。それも”空の女神”であられるエイドス様が召喚した事も考えると、その”グリモア”という魔物以上の力を持っている可能性は高いのは確実かと。」

不安そうな表情で声を上げたマキアスと真剣な表情で呟いたアンゼリカの疑問に答えたオリヴァルト皇子の説明を聞いたフェリスは不安そうな表情で呟き、サリファは真剣な表情で呟き、ある事に気づいて表情を引き攣らせて声を上げたパトリックの推測に頷いたセレスタンは警戒の表情で7色の球体を見つめた。

「!ま、待って下さい……!あの”グリモア”らしき存在の色は”7色”である事を考えると……!」

「まさか……七の至宝(セプト=テリオン)とも関係があるのか?」

ある事に気づいたアネラスは信じられない表情で声を上げ、ジンは真剣な表情でエイドスに問いかけた。

 

「正解です。その7色の”グリモア”に似ている存在は私が七の至宝(セプト=テリオン)を作る際にそれぞれの至宝にとって余分な力があり、私がそれを除去して保管した力をそれぞれの属性へと凝縮したもの――――――要するに”至宝の成れの果て”と言うべき存在です。名前はそうですね………”グリモア”に似ている事から”セプト=グリモア”とでも名付けておきましょうか。」

「し、”至宝の成れの果て”って……」

「ちょっ、何気にとんでもない存在なんじゃないの!?」

エイドスの説明を聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中エリオットは不安そうな表情で呟き、ミリアムは表情を引き攣らせながら声を上げて指摘した。

「心配しなくてもそれらには大した力はありません。――――――”セプト=グリモア”の力とは”グリモア”と同じく変身能力ですけど、それぞれの属性に応じた存在にしか変身できません。ただし、変身する存在は”貴方達が今まで出会った貴方達にとっては強敵に当たる存在です。”」

「何ですって!?」

「!みんな見て、赤色の球体が……!」

そしてエイドスが苦笑しながら説明し、それを聞いたサラが厳しい表情で声を上げ、紅色に輝く球体が光を放つと球体に気づいたトワが声を上げると紅色の球体は執行者――――――”劫焔”マクバーンへと変身し、更にマクバーンに変身した球体は”火焔魔人”と化した。

 

「なあっ!?あの男は……!」

「”結社最強の執行者”――――――”劫焔”のマクバーン……!」

「まさか”火焔魔人化”もコピーするとはな……」

マクバーンへと変身したセプト=グリモアを目にしたマキアスは信じられない表情で声を上げ、フィーは厳しい表情で声を上げ、ミュラーは警戒の表情でマクバーンに変身したセプト=グリモアを睨んだ。紅色のセプト=グリモアの変身に続くように翡翠色に輝くセプト=グリモアは光を放つとルーファス・アルバレアへと変身した。

「”劫焔”の次はルーファスさんか……!」

「兄上……………ッ!偽物とはいえ、既に死んだ者達に戦闘を強要する等、それが”女神”のやる事か……!?」

ルーファスの姿へと変身したセプト=グリモアを目にしたガイウスは真剣な表情で声を上げ、辛そうな表情でルーファスの姿をしたセプト=グリモアを見つめたユーシスは唇を噛みしめた後怒りの表情でエイドスに問いかけた。

「何故彼はあんなに怒っているんだ……?」

「”ルーファス”………――――――!なるほど、あのセプト=グリモアが変身した男性は”ルーファス・アルバレア”のようね。」

「”ルーファス・アルバレア”はエイドス様に対して怒りの声を上げた先程の少年――――――ユーシス・アルバレアにとっては”兄”である人物ですからエイドス様に対して怒りの声を上げたのでしょうね。」

「確か”ルーファス・アルバレア”は今回の戦争の序盤――――――エレボニア帝国軍によるクロスベル侵攻の際の連合による迎撃戦で”灰色の騎士”に討たれたという話やったな……」

「そ、それは………」

「エイドス……幾ら何でもやりすぎじゃないかしら?」

「家族の目の前で死んだ家族を再現した挙句戦わせるなんて鬼畜の所業なの。」

ユーシスの反応にアドルが困惑している中ガイウスが声を上げた際に聞こえて来たルーファスの名前からルーファスが何者かを思い出したルフィナは静かな表情で呟き、事情を察したリースとケビンは複雑そうな表情で呟き、二人の話を聞いたエレナは表情を引き攣らせながら言葉を濁し、フィーナは責めるような視線で、ノイはジト目でエイドスを見つめて指摘した。

 

「私が意図的に変身させている訳じゃありませんよ!?セプト=グリモアがあの姿に変身したのは彼らの”因果”が関係していますから、相手が彼らでなく別の相手なら別の姿に変身します!」

「”因果”……へえ?”至宝の成れの果て”だけあって、それぞれの”至宝”が関係している力を利用しているのかい、セプト=グリモアは。」

フィーナとノイの指摘に対して必死な様子で反論と共に説明をしたエイドスの話を聞いてある事に気づいたワジは興味ありげな表情で自身の推測を口にした。

「あら、中々鋭いですね。――――――ちなみに”変身する対象は人限定ではありませんよ?”」

ワジの推測に感心した様子で答えたエイドスが苦笑しながら呟いたその時蒼色に輝くセプト=グリモアが光を放つと何と”蒼の騎神”――――――オルディーネへと変身した。

「えええええええっ!?あ、あの”騎士人形”って……!」

「オルディーネだとっ!?」

「ま、まさか”騎神”にも変身するなんて………」

オルディーネの姿に変身したセプト=グリモアを目にしたエリオットは驚きの表情でクロウは血相を変えてそれぞれ声を上げ、トワが不安そうな表情で呟くと琥珀色に輝くセプト=グリモアは光を放ち、巨大な竜へと変身した。

 

「あれはまさか……”竜”……!?」

「オイオイ、勘弁してくれよ……”結社最強の執行者”に”鉄血の子供達(アイアンブリード)の筆頭”、”騎神”の次は”竜”でまだ変身していないのが3体残っているとか、俺達じゃどう考えても無理なレベルだろ……」

巨大な竜を目にしたメアリー教官は信じられない表情で声を上げ、マカロフ教官は疲れた表情で呟いた後厳しい表情でセプト=グリモア達を見回した。

「あんな化物、俺は今までやり合った事がない事からしてパイセン達がやり合った竜か……!?」

「いえ……あたし達も初めて目にする竜なんだけど……」

「気のせいかしら……?どこかで見た事があるような気がするんだけど……」

「ぼ、僕もです……」

「”竜”と言えば私達には何体か心当たりがありますけど……」

「レグナートやクーでもなければ、”真の姿”を解放したミントやツーヤの姿でもねぇな。」

「もしかしてツーヤちゃんの妹のセレーネちゃんが”真の姿”を解放した時の姿でしょうか……?」

「いえ……セレーネが”真の姿”を解放した時の姿を知っているサラ達も初めて見る様子もそうだけど、彼女はツーヤの双子の妹でもあるのだからツーヤが”真の姿”を解放した時の姿と全く似ていないのだから違うでしょうね。」

アッシュの推測に答えたサラと共にアリサやセドリックはそれぞれ戸惑いの表情を浮かべ、困惑の表情で呟いたアネラスの言葉にアガットは真剣な表情で答え、ティータの推測にシェラザードは静かな表情で違う事を口にした。

「セプト=グリモアは俺達が今まで出会って来た相手に変身し、この中の誰もが初めて見る相手でありながらⅦ組や皇太子殿下にはどことなく見覚えがある………――――――!」

「まさか……”呪い”の大半をその身に引き受け、自らを封じ込めていた”聖獣”……!?」

ある仮説に気づいたジンは目を見開き、ジンと同じ仮説に気づいたエレインは真剣な表情で竜の正体を声を上げて口にした。

 

「―――――その通りです。その竜の名は”アルグレス”。ティータさん達が出会ったレグナートやオリヴァルト皇子達にとっては”協力者”の一人でもあるローゼリア――――――いえ、”二代目ローゼリア”にとっては”同胞”に当たる”大地の聖獣”です。」

「!!それじゃあ、あの姿が”黒き聖獣”が”呪い”に蝕まれていない姿………」

「道理で私達や皇太子殿下にとってはどことなく見覚えがあった訳だね……」

「そ、そんな……”騎神”どころか”空の女神の眷属”にまで変身するなんて……」

「不味いわね………四属性であんな相手に変身したって事は、四属性の上位に当たる”上位三属性”のセプト=グリモアはもっととんでもない相手に変身するかもしれないわよ!?」

「ちょっ、それって”フラグ”になるから言わないでよ~!」

エイドスの説明を聞いてアリサ達と共に血相を変えたセドリックは辛そうな表情で竜――――――”空の女神の眷属”である”大地の聖獣”アルグレスに変身したセプト=グリモアを見つめて呟き、アンゼリカは疲れた表情で呟き、エマは不安そうな表情で呟き、厳しい表情で呟いたセリーヌの推測を聞いたミリアムが表情を引き攣らせて指摘したその時、白銀に輝くセプト=グリモアと漆黒に輝くセプト=グリモアがそれぞれ光を放つと白銀のセプト=グリモアはシズナに、漆黒のセプト=グリモアはリィンの姿へと変身し、更にそれぞれのセプト=グリモアは”神気合一”を発動した姿になった。

「”白銀の剣聖”……!」

「そ、そんな……どうしてリィンの姿に……!?」

「リィン様は”剣聖に至った”上鬼――――――いえ、”慈悲の女神”たるアイドス様の力をその身に宿している事から”剣聖”にして子爵閣下とも互角に渡り合える使い手であるシズナ様と”同格”とみなされたのかもしれませんわね……そうなるとわたくし達と関わりがある金耀(コルト)の”強敵”は”あのお二方”のどちらかに絞られますわね……」

「我らと関りがある金耀(コルト)………――――――!!まさかその二人は……!」

それぞれに変身したセプト=グリモアを目にしたフィーは厳しい表情で声を上げ、信じられない表情で声を上げたアリサの疑問に自身の推測で答えたシャロンは警戒の表情で唯一まだ変身していない黄金に輝くセプト=グリモアを睨み、シャロンの推測を聞いて心当たりのある二人の人物を思い浮かべたラウラが真剣な表情で声をあげたその時黄金に輝くセプト=グリモアは光を放ち、リアンヌの姿へと変身した。

 

「黄金に輝く髪をなびかせる騎兵槍(ランス)使いの女性騎士………ま、まさか……!?」

「”槍の聖女”――――――リアンヌ・サンドロット卿………!」

「まさか空の女神どころか偽物とはいえ、あの”槍の聖女”に挑める日が来るとはね……!」

「へっ、最高に面白い展開じゃねぇか……!」

「いや、どこが面白い展開なんですか……!?」

「”黄金の羅刹”と称され、黄金の闘気を身に纏うオーレリアの可能性が高いと思っていたが、サンドロット卿の方が現代のゼムリアの人々を代表する私達の”試練”の相手に相応しいと判断したようだな……」

リアンヌの姿へと変身したセプト=グリモアを目にしたテレジアは信じられない表情で声を上げ、ランベルトは真剣な表情で声を上げ、それぞれ好戦的な笑みを浮かべたフリーデルとロギンスの言葉を聞いたアランは表情を引き攣らせながら二人に突っ込み、アルゼイド子爵は真剣な表情で推測した。

「ハハ……”空の女神”であるエイドス様が現代のゼムリアの人々を代表した私達に科した”試練”だけあって、今まで経験したどんな戦いよりも厳しい戦いになりそうだね……」

「ああ……下手をすれば”影の国”で最も激戦を繰り広げたフェミリンス殿との戦いよりも厳しい戦いになるかもしれん……!」

「というかあんな戦力、”無理ゲー”と言っても過言でもないレベルの戦力じゃないか~!」

「セプト=グリモアが変身した相手の戦闘能力を考えたら、分散しての各個撃破は相当厳しいけど、無視する訳にもいかないね……!」

疲れた表情で呟いたオリヴァルト皇子の言葉に同意したミュラーは厳しい表情で呟き、ミリアムはエイドスを睨んで文句を口にし、フィーは厳しい表情で呟いた。

「二人とも、”騎神”は呼べるかしら!?」

「ああ……!オルディーネと”繋がっている”感覚はあるから、大丈夫のはずだ!デカブツは俺達で対処するぜ、皇太子殿下!来い――――――”蒼の騎神”オルディーネ!!」

「はい!出でよ――――――”紅の騎神”テスタロッサ!!」

サラの問いかけに答えたクロウはオルディーネの名を呼び、セドリックも続くようにテスタロッサの名を呼ぶとそれぞれの騎神達が転移で現れ、クロウとセドリックはそれぞれの騎神の操縦席へと転移した後オルディーネはオルディーネに変身したセプト=グリモアと、テスタロッサはアルグレスへと変身したセプト=グリモアと対峙した。

「ったく、まさかオルディーネ自身とやり合う日が来るとはな……しかも空の女神によるものだから、言葉通りまさしく”女神(エイドス)による運命の悪戯”じゃねぇか……!」

「偽物とはいえ僕が手にかけてしまった貴方と戦う事は本意ではありませんが……こんな僕の為に協力してくれる兄上やトールズ、そして協力者の皆さん、何よりも僕達を信じてくれている父上やアリシア女王陛下達の為にも何としても乗り越えさせてもらいます……!」

「風よ、女神よ……どうかオレ達に力を……!」

「いや、その女神(エイドス)が僕達が乗り越えなければならない相手なんだが……―――――それはともかく、例え相手が化物揃いでも何としても絶対に乗り越えるぞ……!」

「――――――みんな!確かに相手はどれも強力だけど、”こういう事態も想定した上での援軍は既に手配したから”、今は耐える事に専念して!」

「おおっ!!」

それぞれの相手と対峙したクロウとセドリックは決意の表情で声を上げ、戦闘前の祈りを口にしたガイウスにジト目で指摘したマキアスは決意の表情で声を上げ、トワは仲間達に激励をかけた。

「エ、エイドスさん……幾ら何でもセプト=グリモアによる戦力が過剰過ぎませんか?アルグレスさんを除けば全て初対面ですけど、全て”影の国”の”試練”の相手と同格かそれ以上の実力なのは僕でもわかりますし……あれじゃあ、”オリビエさん達だけでは絶対に僕達の元にすら辿り着けませんよ?”」

「……多分だけど、エイドスが”彼らに示して欲しいエイドス自身の真の意図”の為にもあれ程の相手を用意したのだと思うわ。」

「(フフ、さすが私のご先祖様だけあってクレハさんは既に気づいているようですね。)――――――アインさん、号令を。」

一方冷や汗をかいて表情を引き攣らせながら呟いたナユタの懸念に対して静かな表情で答えたクレハの答えを聞いたエイドスは苦笑した後セルナート総長へと視線を向けて戦闘開始の号令を促し

「ハッ。――――――それではこれより”空の女神”エイドスによる”試練”を始める。――――――双方、戦闘開始!!」

エイドスの言葉に答えたセルナート総長が戦闘開始の号令をかけると、アリサ達はそれぞれ分散してそれぞれの相手へと向かい、戦闘を開始した。

 

Ⅶ組に加えてオリヴァルト皇子達紅き翼の協力者やリベールからの協力者達、そして義勇隊のフルメンバーで挑んだアリサ達紅き翼だったが、セプト=グリモアが変身した相手は1体1体がアリサ達が全員で挑まなければならない”化物”クラスの相手だった為、紅き翼の面々は勝利の活路を見出す事ができず、疲弊や満身創痍の状態に陥っていた――――――

 

 

今回の戦闘BGMは閃4の”Unlikely Combination”だと思って下さい。まあ、次回の話で戦闘BGMは変わる事にはなるんですけどね……ちなみにセプト=グリモアですが実はアルグレスではなく、ヴァンを含めたアークライド事務所メンバー全員(ベルガルドを除く)に変身させる事も考えたのですが、それをしたら下手すれば黎の歴史改変になりかねないので自重しましたw


 
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