No.1080548 おとボク2SS 「3月の練習曲(エチュード)」はすみんさん 2021-12-26 10:57:55 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:761 閲覧ユーザー数:761 |
「ひなた おはよう」
「あ、おはよう!優雨ちゃん」
私の名前は宮藤(くどう)陽向
この春から、ついに聖應女学園の3年になる
ピチピチ?の女子高生だ。
かといって、私ははっきりいって凡人で
アニメや漫画は得意だけど、
このお嬢様学校には不釣り合いな趣味で
正直、学校でも浮いているような気がする……
でも、そんな私にも、親友がいるんだ。
それは同じ寮に暮らしている、柏木優雨ちゃん。
背は小さく、幼い言葉遣いに
一見、同じ高校生には見えないけど、
そのミステリアスな雰囲気に、最近は
隠れた下級生のファンまでついているみたい。
まあ、本人はぜんぜん、そんな認識はしてなさ
そうなんだけどね。
そして、今日は私が紅茶を淹れ、彼女と
二つ分、テーブルに出してあげた。
香織里お姉さまは、とっくに卒業してしまわれたけど
お茶の淹れ方は、お姉さまにとことん仕込まれたので私は得意なのだ。
この間まで、史お姉さまが淹れてくれていたので
それには、やっぱり敵わないのだけどね。
本当にこの寮にはすごい人達しかいなかったから
時より気後れしちゃいます。
私はまだまだだな~って。
そんなこんなで、今日も午後のひと時を優雨ちゃんと過ごしている。
「ついに、この寮も二人だけになっちゃったわね」
「うん、ひなた。でも、ひなたがいるから大丈夫だよ」
優雨ちゃんは、ときより、天然でこんな事を言ってくるから
ときどき、私はドキっとしてしまう、
でも、裏表なく、なんでも話してくれる、優雨ちゃんは
私にとって、かけがいのない『親友』なんだ。
そして、この日は史さまも退寮され、2人きりになってしまった
この寮で、3月も半ばとなり、とくにやる事もなく、
私は優雨ちゃんと一緒に寮の食堂で創作活動に取り組んでいた。
といっても、優雨ちゃんは趣味の絵画で、
私はというと、好きな漫画の二次創作なんだけどね。
でも、ひとりで部屋で籠ってするよりは、
こうして、優雨ちゃんと他愛のない会話をして
まったりと、過ごすのがとても心地いいんだ。
外は、少し暖かくなり、それが眠気を誘うような
朝のひと時、優雨ちゃんが私に、こんな相談を投げかけてきたのである。
「ねぇ、ひなた、私どうしたら、普通に喋れるかな?」
「えっ優雨ちゃんは、そのままでいいんじゃない?
私はなんとも思ってないよ?むしろ、優雨ちゃんが、
香織里お姉さまみたいになったら、私、困るよ~~ ウ、梅干しは勘弁……」
ある、トラウマが呼び覚まされて、可笑しな顔をすると
すかさず、優雨ちゃんが私の真似をしてきた。
「ひなた、おもしろい、私ひなたみたいになる」
「えーーやめてくださいよ!私なんかの真似しちゃダメです。
そうだ、優雨ちゃんは千早お姉さまが、理想なんですよね?
千早お姉さまを目指してみてはどうかな?」
「それはむりー、ちはやはてんし様だもん」
「あは、やっぱり今でもそうなんだ。じゃあ、薫子お姉さまは?」
「ひなたちゃん、トランプしない?みんなで勝負しよっ!」
「あは、似てる~、それ薫子お姉さま、よく言ってた」
「どうしよう?ひなた」
「う~ん、じゃあ、やっぱり、初音お姉さまみたいに、だって優雨ちゃんは
初音さまの妹だもん」
「ひなたちゃん、お勉強ちゃんとしてますか?わからない事が
あったら、私、教えてあげましょうか?」
「うーお勉強はご勘弁~って!それ初音お姉さまっぽい!やっぱり、
優雨ちゃんは、初音さまの妹ですよね、その路線でいきましょう!」
「わーい、わたしははつね!」
「あら、いつもの優雨ちゃんに戻っちゃいましたか、でもそれが
いいと思うよ、ちょっとずつみんなのよいとこ、真似するといいよ。
だってこの寮にはいっぱい、お手本がいたのですからね!」
「うん、そうする!」
「優雨ちゃん、えらいえらい、じゃあ朝ごはんの
お片付けの手伝いお願いしますね」
「あは、いまのひなた、とってもはつねみたいだった」
「あはは」
そんな、春のいぶきが聞こえてきた初春のある日。
寮の中はたった二人だけど、4月になると、
新入生や転入生が入って来るかもしれない。
それまでに優雨ちゃんと私はお姉さまらしくなれるのでしょうか?
まだまだ私には、修行が必要なのは確かみたいだけど……
今年も櫻の季節は、つい、そこまで迫っている。
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おとボクの初代アニメがBlu-ray化されると言う事で
懐かしくなって、一晩で書きました。(史っぽく・笑)
でも、舞台は2です(汗)
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