争いの世界を救うため、光と闇を打ち倒す最終決戦が始まっていた。
ベヨネッタを解放した一行は、この先にいるクレイジーハンドと戦う準備をしていた。
「この先から、ただならぬ気配を感じます」
「ドリィ……」
クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィはごくりと唾をのんだ。
「ラ・ナチュ・マ・ギ・デ・スカト」
ドリィは念のため、防御魔法を味方全員にかける。
相手の攻撃は強力なので、それに備えるためだ。
そして、六人が一歩踏み出すと、クレイジーハンドが目の前に現れる。
「……来ますよ!」
「アアアアアァァァァァァァァ!!」
クレイジーハンドは叫び声を上げながら、ゼルダ達に襲い掛かってきた。
「やぁっ!」
ゼルダは力の女神ディンの力を借り、炎を発生させて攻撃する。
クレイジーハンドはドリルのようにクッパに突っ込んでいった。
「おらぁぁ!」
クッパは渾身の一撃で反撃するが、クレイジーハンドには当たらなかった。
「くそっ、オレは空が苦手なんだ……」
リトルマックは、空中に浮くクレイジーハンドが苦手だった。
その時、ベルがリトルマックの身体に手を触れる。
「力をあげるわ」
「サンキュー! ロングアッパー!」
リトルマックはベルの魔力により一時的に能力が上がり、遠い間合いから突き上げるように拳を放った。
メタナイトは空を飛び、素早く剣で切り刻んだ。
「オアアアアアアアアア!!」
「どうか、正気に戻ってください……。クレイジーハンド様……!」
クレイジーハンドは五本の指から青い炎を放った。
ドリィの防御魔法の効果でダメージは大した事がなかったが、主の裏切りはドリィの心に傷をつけた。
「邪魔するんじゃないわよ! ナイトメア!」
ベルは鎌を勢いよく投げつける。
クレイジーハンドの指を切り裂いたが、指はすぐに再生しかすり傷に留まった。
「勇気の女神フロルよ、彼の者に勇気を与えたまえ」
ゼルダはフロルの力を借りてドリィに優しく追い風を吹かせ、その行動を補助する。
余裕ができたドリィは杖を振り、魔法の矢を飛ばして攻撃した。
「グゥゥ……ドリィヨ、ナゼワタシニサカラウノダ」
「クレイジーハンド様はそのような事は言わない……だから私《わたくし》は迷わない! あなたを助けます!」
「我輩はここで負けるわけにはいかないのだ!」
「はああぁっ!」
ドリィは防御するクレイジーハンドに、魔法の矢を乱射して攻撃する。
クッパは回転しながら突っ込んでいき、リトルマックもロングアッパーで追撃する。
ベルも大鎌を振り、クレイジーハンドを切り刻む。
猛攻によりクレイジーハンドは瀕死になっていた。
「今ですよ、ドリィさん!」
「クレイジーハンド様、どうかお戻りください。ラ・ナチュ・ド・ステラ・マ・ギ・ド・ヴェン!」
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
追尾する魔力弾を乱射し、クレイジーハンドを連続で打ち据える。
まともに攻撃を食らい続けたクレイジーハンドは悶絶し、暴れ出す。
やがてクレイジーハンドは完全に戦意を喪失。
ドリィ達はこの戦いに、勝利したのだった。
「うぐぅぅっ! うあぁぁぁぁぁ!」
クレイジーハンドはのたうち回っていたが、しばらくすると、彼の身体から黒いオーラが消えていく。
そして、大人しくなったクレイジーハンドは宙に浮き上がり、正気に戻る。
ドリィは確信した、彼が本物のクレイジーハンドなのだと。
ベル達は、クレイジーハンドをダーズの支配から解放したのだ。
正気に戻ったクレイジーハンドは左右に動き、ようやく、完全に落ち着きを取り戻した。
「……私はなんて事をしてしまったんだ……」
「元に戻ったのですね、クレイジーハンド様」
ドリィは寂しそうな顔で、クレイジーハンドに抱き着いた。
ファイター達と違い、クレイジーハンドは操られた時の記憶をはっきり覚えているようで、戦った六人に謝罪した。
「後はマスターさえ解放すれば、キーラとダーズを倒すための道が開く。だが、そのためには、光と闇を均等に……」
「それは分かっております。クレイジーハンド様はもうお休みください。後はスマブラメンバーが、道を開きます」
ドリィはクレイジーハンドにそう誓った。
クレイジーハンドがテレポートで姿を消すと、光の勢いが増していった。
「残るはマスターハンド様ですわね」
「ファイターも解放せねば、な」
一行は再び開始地点に戻り、左に進み、ミドナを倒した場所から右に進んだ。
ムムカ、ダークマインドを解放し、分かれ道を右に進み、マグナ、シャノアを解放する。
すると、偽クレイジーハンドの群れと、黒い身体を持つサムスが宙に浮いていた。
彼女はフェイゾンから生まれたダークサムスだ。
「ダークサムス! ……不快ね」
サムスはパワードスーツ越しにダークサムスの姿を見て、不快になる。
「はっ。そりゃそうだろうねぇ。自分と同じ姿の敵がいたら、不快になるさ」
ダークサムスはサムスを嘲笑する。
だが、視線をすぐにカービィとストームに向けた。
「でも、今の私はアンタに用はない。そこにいる球体をいたぶりたいよ」
「何ですって」
「ダークサムス……僕とカービィと戦いたいのか?」
「そうさ。こいつらをサムスの前で消してから、サムスに苦しみを与えてやるよ」
ダークサムスはアームキャノンを二人に向ける。
「なんて事を……」
「サム姉をいじめちゃダメ! 黒サム姉は、僕達がやっつける!!」
「油断大敵、という言葉を教えてやろう」
「相手は天使じゃないけど……私を楽しませてくれるかしらね」
「サア、ミナサン、ヤミヲハライマショウ!!」
「……言っておくけど、バランスは取ってよ」
「キーラとダーズは両方やっつけるんだからね」
カービィ、ストーム、ウォッチ、ロックマン、ベヨネッタ、トゥーンリンクが身構える。
次の瞬間、ダークサムスと偽クレイジーハンドの群れが襲い掛かってきた。
「汚れな!」
「うわぁ!」
ダークサムスはフェイゾンエネルギーを物体を破壊する力に変えてカービィに放つ。
まともに食らったカービィは、体力が大きく減る。
ストームは十分に距離を取った後、集中力を極限まで高め、必中の矢を放つ。
「ロックバスター!」
「そんなもの!」
ロックマンはチャージショットを放つが、ダークサムスはフェイゾンを盾に抵抗する。
「やぁっ!」
「えい! それ! うわぁぁっ!」
「グリーンハウス!」
ベヨネッタがスライディングを繰り出した後、スカボロウフェアで連続攻撃する。
カービィはパンチとキックで偽クレイジーハンドを攻撃するが、ミサイルで反撃される。
ウォッチもグリーンハウスで攻撃するが、カービィ同様に反撃を受けた。
「こいつらは近距離から攻撃すると反撃するみたい。だから、飛び道具で攻撃するのよ」
「そっか! じゃあ、これで!」
トゥーンリンクは勇者の弓に矢を番え、偽クレイジーハンドを貫いた。
ロックマンはボンバーマンの特殊武装、ハイパーボムを投げて周りの偽クレイジーハンドごと爆発に巻き込む。
「固まりなぁ!」
「させるか!」
ダークサムスはフェイゾンでトゥーンリンクを束縛しようとするが、ストームが矢を放って打ち消した。
「うふふ、さようなら」
ベヨネッタは大事な部分を手で隠した後、スーツを髪に戻し偽クレイジーハンドを切り裂く。
偽クレイジーハンドは黒い煙になって消滅した。
「鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァ!!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
そして、カービィが炎を纏ったハンマーをダークサムスに振り下ろし、場外に吹っ飛ばした。
ダークサムスが倒された以上、残った偽クレイジーハンドを倒すのは容易だった。
こうして、ダークサムスとの戦いは呆気なく終わりを告げるのだった。
「……ベルベル、黒サム姉はどうするの? やっぱり、倒しちゃうの?」
カービィが倒れているダークサムスを見ながらベルに言うと、ベルは首を横に振った。
「倒さないわ。この世界は、誰も死ななくていいやさしい世界よ。たとえ、善人でも悪人でも、ね。だから、ダークサムスは戦力として使うわ」
クッパも、ジュニアも、キングクルールも、ガノンドロフも、リドリーも、ウルフも、
そして微妙だがミュウツーとワリオも、皆、同じスマッシュブラザーズなのだ。
ダークサムスを除け者にしていいわけがない。
ベルはダークサムスを戦力として加えるのだった。
「これで、クレイジーハンドは全て敗れたか。ふふ……感謝するぞ、スマッシュブラザーズよ」
ダークサムスと偽クレイジーハンドを倒した事で、光が闇を打ち消し、ダーズを追い詰めた。
キーラは今がチャンス、と一際強く光り輝く。
すると、光に包まれたマスターハンドと、光の鎖で縛られたパルテナが現れた。
「パ、パルテナ様……」
「マスターハンドまでいるぜ……」
ピットとブラックピットがそう呟く中、ベルは真剣な表情で二人を見ていた。
カービィもごくりと唾を飲んでいる。
「……こいつが最後の、捕まっているファイターね。この戦いももうすぐ終わるわ。それでも、気を抜いちゃダメよ」
「キーラは感謝するなんて言ってたけど、感謝なんてするものか。お前も絶対に、僕達がやっつけてやる」
スマッシュブラザーズの長い長い戦いは、もうすぐ、終わりを迎えようとしていた。
~ベルのスピリッツ名鑑~
ムムカ
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:男性
ダンバン達の元戦友で、狡猾だが腕の立つ戦士。
爪状の武器を使う。しかし、その正体は……。
ダークマインド
出身世界:鏡の世界
性別:不明だが、男性的
鏡の大迷宮異変を起こした張本人。
願いを叶える力を持った鏡の国の秘宝「ディメンションミラー」を暴走させ、鏡の国を悪心で溢れさせた。
マグナ
出身世界:天空界
性別:男性
人類最強の剣士で、身の丈ほどの大剣を振るう。
地上で傭兵をしており、粗暴で自己中心的だが、その陰には何か秘密があるようだ。
シャノア
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ドラキュラに対抗するための組織「エクレシア」に所属する女性。
戦闘では背中の刻印や飛行能力を駆使して戦う。
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クレイジーハンド救出回です。
彼を助けるのは、やっぱり彼女じゃないとね!