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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第64話

2020-01-31 21:47:48 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1664   閲覧ユーザー数:1441

町を出て峡谷を歩いていたトワ達は峡谷の途中にある休憩用のロッジを見つけ、一端休憩する為にロッジに入り、ロビーで休憩していた。

 

~休憩ロッジ”ノーチェ”~

 

「ふう……落ち着いたぁ。」

「ミルサンテからは休み抜きだったからね。おまけに山道だったから、疲労が知らず知らずのうちに蓄積していたんだろうね。」

「受付の爺さんに聞いたがここは山道の中間地点だそうだから、アルスターまでは後小一時間ほどらしいぜ。」

「そういやアルスター方面にはノーザンブリアに向かう道もあったな。確かノーザンブリアは、バレスタインの故郷だったか?」

一息ついたトワの言葉にアンゼリカは苦笑しながら答え、クロウの話を聞いてある事を思い出したアッシュはフィーに確認した。

「ん、そだね。状況がわかれば、戻った時に教えてあげたいけど……」

「ノーザンブリアか。クロスベルの皇帝から話を聞いたトワ達によるとノーザンブリアは内戦の件でメンフィルとエレボニアによって存亡の危機に陥っているらしいが………メンフィルはこの戦争でエレボニアに勝った後はノーザンブリアに侵略する算段か?」

確認されたフィーは静かな表情で答え、考え込んでいたクロウは目を細めてレンに問いかけた。

「うふふ、幾ら”協力者”とはいえ皇太子の件とは完全に無関係であるノーザンブリアの件について教えるつもりはないわよ。――――――ま、ノーザンブリアがユミルの件でメンフィルに謝罪するつもりがないのだったら…………クスクス、その時はノーザンブリアの大地が血に染まる事になるでしょうね――――――”ノーザンブリアにとっての英雄達”の血によって。」

「”ノーザンブリアにとっての英雄”って、もしかして…………」

「”北の猟兵”か…………」

「ん。しかも”ノーザンブリアの地が北の猟兵の血によって染まる”って言い方をしたって事は、メンフィルは”北の猟兵”を文字通り”皆殺し”にする事を考えているようだね。」

残虐な笑みを浮かべて答えたレンの説明を聞いて察しがついたトワは不安そうな表情をし、アンゼリカは重々しい様子を纏って呟き、フィーは厳しい表情でレンを見つめた。

 

「―――あら、貴方がた…………」

するとその時二人のスーツ姿の女性がトワ達に近づいた。

「……………………」

「(綺麗な人……)えっと、こんにちは。」

二人の女性の内の金髪の女性の美貌さにアンゼリカと共に見惚れていたトワは戸惑いの表情で女性達に声をかけた。

「ふふ、こんにちは。急に声をかけてごめんなさいね。学生さん……かしら?こんなご時世に山歩きでも?」

「……ああ、この近くに住むダチを訪ねる途中だ。」

「フフ……そういうお姉さん達――――――いえ、お姉さんとオバさんは外国人のようね。」

金髪の女性の問いかけにクロウは咄嗟に思いついた嘘で答え、レンは意味ありげな笑みを浮かべて自分にとっては見覚えのあるもう一人の女性に視線を向けた。

 

「…………そういう貴女も他人の事は言えなくて?」

レンの言葉に顔に青筋を立て口元を僅かにヒクつかせたもう一人の女性はすぐに気を取り直してレンに指摘し

「ふふ、ノーザンブリア方面から導力車で来ていてね。ちょっとした仕事というか――――――」

「ふう、そのあたりで。(ルーシーさん、困ります。相談なしに現地民と接触されては。)」

金髪の女性は自分達の事情を説明しかけたがもう一人の女性に小声で制止された。

 

(フフ、そうだったわね。でもこの子達ちょっと気になるというか…………)

「えっと…………?」

「ノーザンブリア”方面”ねぇ……それに表にあった豪勢な車となると。……更に隣にあるレミフェリアから来たってトコか?」

小声で相談している二人の様子をトワが不思議そうな表情をしている中アッシュは二人に問いかけた。

「へぇ?」

「……!?」

「あら……フフ、正解よ。先程も言ったように仕事でエレボニアに来たばかりで。ハリアスクにも用事があったからこのルートでエレボニア入りしたの。」

アッシュの問いかけにレンが興味ありげな表情を、もう一人の女性が驚いている中金髪の女性は苦笑しながら答えた。

 

「ハリアスク――――――確かノーザンブリアの首府だったね。」

「えっと…………随分とロングドライブですね。」

「しかしこの近くとなると”アルスター”になるけど……確かあの町はエレボニア帝国政府の発表によると”アルスターの民達は王国軍の関係者によって虐殺されて今は廃墟の町”となったそうだけど。友人が住んでいると先程口にしていたけど、一体どういう知り合いなのかしら?」

「そ、それは…………」

「何でただの旅行者の俺達の行き先や目的が気になってんだ?」

金髪の女性の独断専行に呆れたもう一人の女性は真剣な表情でトワ達に問いかけ、その問いかけに答えられないトワが答えを濁している中クロウは真剣な表情で訊ね返した。

「こう言ってはなんだけど貴方達は”普通”には見えなくて。このご時世、列車も車も使わずに魔獣も出る山道を徒歩で6人連れ……フフ、まるで人目を忍んで移動しているみたいに見えるわよ。」

「ハッ、開き直るじゃねぇか。」

「その質問をした時点でそっちも普通じゃない事を言っているようなものじゃねぇか?」

もう一人の女性の指摘にアッシュは鼻を鳴らし、クロウは意味ありげな笑みを浮かべて指摘した。

 

「あら、そんな事はなくて?レミフェリアのパスポートもある。正規の手続きでエレボニア入りしたのは間違いないわ。」

(っ……)

(目的が読めないね……一体どういう……)

「”レミフェリア”のパスポートに”正規”の手続き……やけに強調したね、そのあたり。」

「ッ……!」

「ふぅん、なるほど……?そっちの超絶美人は確かにレミフェリア人っぽいが……」

「もう一人の女性はまさか――――――」

フィーの指摘にもう一人の女性が驚いている中察しがついたアッシュは意味ありげな笑みを浮かべ、トワは驚きの表情を浮かべた。

(……ゴメンなさい。一本取らせちゃったわね?)

「(取られていません。)――――――”大人”として”子供である貴方達に忠告”よ。好奇心は程々にしておかないと、自分達の身を滅ぼす事になるわよ。」

申し訳なさそうな表情をした金髪の女性の謝罪に静かな表情で答えたもう一人の女性は目を細めてトワ達に忠告し

「うふふ、わざわざ忠告をしてくれてありがとう♪――その”意趣返し”という訳ではないけど、ハリアスクを経由して入国しているのだったら早めに帰国しないと、”帰国できない状態、最悪は巻き込まれる”かもしれないから、仕事が終わったらすぐに祖国に帰国する事をお勧めするわ♪」

「!!」

「!まさか……でもどうして貴女はそんな事を知っているのかしら?」

意味ありげな笑みを浮かべたレンの答えにもう一人の女性と共に驚いていた金髪の女性は真剣な表情でレンを見つめ

(ルーシーさん、そちらの菫色の髪の少女はメンフィルの”殲滅天使”です。)

「(!!彼女があの…………でも、どうして彼女がここに……)……ふふ、忠告もお互い様だったようね。機会があれば貴女達とはゆっくりと話し合ってみたいわね。――――――それじゃあ、私達はそろそろ失礼するわ。無事に友達と会えるといいわね。」

「フン……失礼するわ。」

もう一人の女性に小声でレンの正体を教えられた金髪の女性は目を見開いて真剣な表情でレンを見つめたがすぐに温和な笑みを浮かべてもう一人の女性と共にロッジから出てロッジの外に駐車していたリムジンに乗って去って行った。

 

「……行ったみたいだね。」

「今の人達は一体何者だったんだろうね……?」

「それも気になるけど……”殲滅天使”はあの二人に『ハリアスクを経由して入国しているのだったら早めに帰国しないと、帰国できない状態、最悪は巻き込まれるかもしれないから、仕事が終わったらすぐに祖国に帰国する事をお勧めする』って言っていたよね。…………もしかして、メンフィルはエレボニアとの戦争後どころか、”エレボニアとの戦争の間にノーザンブリアを制圧するつもり”なの?」

二人が去るのを見送ったアンゼリカは静かな表情で呟き、トワが考え込んでいる中フィーは真剣な表情でレンを見つめて問いかけ

「クスクス、さっきも言ったように”ノーザンブリアの件は皇太子の件とは完全に無関係だから教えられないわ。”それにノーザンブリアの件じゃなくても当面の目標から逸れる事は止めた方がいいわよ。”二兎を追う者は一兎をも得ず”という諺もあるでしょう?」

「それは……」

「ハッ、その意見に関しては俺も賛成だ。――――――俺達が今できる事の為にもまずは”アルスター”に向かおうぜ。」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの指摘に反論できないトワが複雑そうな表情で答えを濁している中クロウは鼻を鳴らした後気を取り直してトワ達に先に進むように促した。

 

その後ロッジを出て山道を進み、街道を抜けて廃墟となっているアルスターを抜けたトワ達はアルスターの北にある盆地――――――”オスギリアス盆地”を探索していると、大量の黒焔のプレロマ草が咲いている場所に飛行艇が一機停泊しているのを見つけた。

 

~オスギリアス盆地~

 

「あ、あれは……!」

「パンダグリュエルに搭載された揚陸艇か。」

「ハッ……あの赤黒い花も咲き乱れてやがるな。そして――――――予想外の邂逅ってヤツか。」

飛行艇――――――パンダグリュエルに搭載されている揚陸艇を見つけたトワは驚き、クロウは真剣な表情で呟き、周囲を見回して鼻を鳴らしたアッシュはミュゼとオーレリア将軍に視線を向けた。そしてトワ達はミュゼ達に近づいてミュゼ達と対峙した。

「ミュゼ君……それにオーレリア将軍も……」

「フッ、まさかこのような形で其方達と邂逅することになるとはな――――――有角の若獅子たちよ。」

「ふふっ、なるほど。やはりこの辺りが例の”特異点”ですか。――――――レン皇女殿下に関しましてはお初にお目にかかりますわね。わたくしはミルディーヌ――――――ミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエン。暫定エレボニア側のカイエン公爵家当主にしてヴァイスラント新生軍のスポンサーです。このような形にはなりますがお会いできて光栄ですわ。以後お見知りおきください。」

アンゼリカが複雑そうな表情でミュゼ達を見つめている中オーレリア将軍は静かな笑みを浮かべ、周囲に咲き乱れている黒焔のプレロマ草を見回して事情を察したミュゼは静かな笑みを浮かべた後レンに視線を向けて上品な会釈をして自己紹介をした。

「うふふ、レンも内戦の敗戦や前カイエン公の逮捕等で風前の灯だった貴族連合軍を僅かな期間で立て直して、ユミルの件でメンフィルの印象が最悪だった貴族連合軍とメンフィル・クロスベル連合に同盟関係にする事ができた”ユーディット嬢を遥かに超えるカイエン公爵家の真の才媛”たる貴女と会えて光栄ね♪」

「いえいえ、ユーディお姉様と比べればわたくし等まだまだ小娘ですわ。」

レンの言葉に対してミュゼは謙遜した様子で答えた後自分の事について語り始めた。

 

「ミュゼというのは幼い頃の愛称……亡き両親が呼んでいたものでした。ですが両親が事故で亡くなって跡継ぎが叔父クロワールに代わり……叔父がカイエン公を継ぐにあたり、わたくしは帝都に遠ざけられました。アストライアの初等科に封じ込められ10年近くを過ごしたんです。――――――いずれ叔父が帝国で内戦を引き起こすであろうことを予感しながら。」

「え……」

「な…………」

「そんなガキの時分から去年の内戦を読んでたのか!?」

ミュゼが口にした驚愕の事実に血相を変えたトワは呆けた声を出し、アンゼリカは絶句し、アッシュは信じられない表情で声を上げた。

「はい、叔父の本質にカイエンの財力。他の四大名門やRFグループの状況……クロスベルや共和国、メンフィルとの関係、そして鉄血宰相ギリアス・オズボーン。ふふ、”結社”や”騎神”、それにメンフィルや”六銃士”――――――いえ、”異世界ディル=リフィーナ”なんていう不可思議な要素もありましたが……革新派の台頭を抑えきれない貴族派が力ずくで押さえ込む局面は見えました。そしてそれがカイエン公――――――叔父クロワールの破滅とメンフィル帝国との戦争勃発の引き金を引く事で終わる事も。」

「………………」

「……ハッタリじゃ無さそうだね。こと君に関しては。」

ミュゼの話を聞いたトワは驚きのあまり呆然とし、アンゼリカは真剣な表情でミュゼを見つめた。

 

「私が公女から連絡を受けたのは内戦が終わってすぐのことでな。幼少よりイーグレット伯の縁で顔見知りの娘ではあったが……メンフィル帝国との戦争勃発へ至る流れと、クロスベル帝国の建国、そしてメンフィル帝国との連合まで予見したことで心を決めたのだ。あの強欲なバラッド候でもなく、才や性格は文句なしでも他国に帰属する事を決められたユーディット・キュア姉妹でもなく……この方を次期カイエン公と仰ごうと。しかし、国家総動員法に、共和国の滅亡、エレボニアで何かの”呪い”が発動する可能性まで――――――”半年前の時点で全て予見していた”のは今更ながらに驚愕を禁じ得ないがな。」

オーレリア将軍は自分がミュゼに忠誠を誓った経緯を語った後苦笑しながらミュゼに視線を向けた。

「……そ、れは……」

「……化物かよ…………」

「半年前……なるほどね。そういえばその頃は例の”教団”の事件によって”六銃士”がクロスベル警察、警備隊の上層部に就任してクロスベルに根を下ろした頃だったわね。」

「未来予知……ううん、違うのか。」

オーレリア将軍の話を聞いたトワとクロウは信じられない表情でミュゼを見つめ、ある事に気づいたレンは意味ありげな笑みを浮かべ、フィーは真剣な表情でミュゼの事について推測した。

 

「ええ、ただわたくしは”盤面”が見えるだけです。現在の局面、そこに至る過去と無数に展開しうる未来の局面が。―――何よりも、それを現在、動かしている”何者か”の狙いが。”盤面”を動かしているのは間違いなくオズボーン宰相でした。オリヴァルト殿下もそれに気づき、色々な手を打たれていましたが……あと一歩、宰相の深い所までは見通せていないように思えたんです。そこで私は布石を打ちました。内戦終結直後にオーレリア将軍とユーディお姉様に連絡を取り、メンフィル・クロスベル連合との会談の手筈を整えて頂き、ハイアームズ候にはわたくしのお祖父様――――――イーグレット伯の手筈での会談でわたくしの同志になって頂いて密かにヴァイスラント決起軍の有志達を集めて頂き……そして”黄昏”は起き――――――ヴァイスラント決起軍は成りました。宰相による”大地の竜(ヨルムンガンド)”作戦を食い止めるための足場とするために。―――最も、わたくしが見えた”盤面”すらにも見えなかった想定外(イレギュラー)がいくつかありましたが。」

「それって……」

「鉄血宰相による”余りにも早すぎるエレボニアとメンフィル・クロスベル連合との開戦”、リィン達のトールズからの決別やアルフィン皇女の出奔、エリスが金の騎神の起動者(ライザー)に選ばれた事?」

ミュゼの話を聞いてある事に気づいたトワは目を丸くし、フィーは真剣な表情で問いかけた。

「はい。――――――最もその想定外(イレギュラー)はオズボーン宰相達もそうですが”Ⅶ組(あなたたち)にとっても悪い意味の想定外(イレギュラー)”になってしまったでしょうが、”私にとっては良い意味での想定外(イレギュラー)”となってくれました――――――いえ、このような状況になった今では”リィン大佐達自身にとっても良い意味での想定外(イレギュラー)”になったと言っても過言ではないでしょうね。」

「……ッ。」

「ハッ、それをⅦ組(俺達)の目の前で言うとはさすがはあのカイエンのオッサンの姪だけあって、面の皮が厚い嬢ちゃんだぜ。」

自分の問いかけに対して意味ありげな笑みを浮かべて肯定したミュゼの答えにフィーが唇を噛み締めている中クロウは鼻を鳴らしてミュゼを厳しい表情で睨んだ。

 

「ミュゼ君……やはり君は”本気”なんだね……徴兵によって激増している帝国正規軍そのものと……オズボーン宰相達を叩き潰し、ユーゲント皇帝陛下を玉座から引きずり降ろす事で”エレボニアの滅亡もしくは衰退”というリスクを背負ってまで”呪いに侵されたエレボニアを浄化(リセット)すると共に、現エレボニア帝国政府を解体してエレボニアの地に新たなる秩序――――――メンフィル・クロスベル連合もしくはヴァイスラント新生軍による秩序を築き上げる事を。”」

「”はい、その通りです。”」

アンゼリカの推測にミュゼは笑顔を浮かべて肯定し

「……!」

「……その布石となるのがさっき会った二人の女性……レミフェリア公国と―――”メンフィル・クロスベル連合やレミフェリアではない別の国”の関係者なんだね?」

「クスクス、ちなみに金髪のお姉さんの隣にいた女性の名前はカノーネ・アマルティア元大尉。かつてはリベールでクーデターを起こした主犯であるアラン・リシャール元大佐の副官を務めていてクーデター阻止後は残党を率いて逃亡生活を送っていたけど”リベールの異変”が起こる少し前に残党と共に王国軍に逮捕された後は、”王都への護送中の際に起こった結社による襲撃に巻き込まれた際に市街を守った上王国軍を救援した事”で恩赦が出た事によってカノーネ元大尉やリシャール元大佐を含めた情報部の人達は全員釈放されて、釈放後はリシャール元大佐が立ち上げた民間調査企業の所長であるリシャール所長の秘書として務めているわよ。」

ミュゼの答えを聞いたフィーは目を見開き、トワは真剣な表情で問いかけ、レンは意味ありげな笑みを浮かべてもう一人の女性――――――カノーネの事を語った。

「ええっ!?さっきのもう一人の女性が……!?」

「しかも”民間調査企業”に務めている人か…………今の状況を考えると彼女の背後には間違いなくリベール王国政府が関係しているんだろうね……」

「というかその人の事を”殲滅天使”は最初から知っていたって事になるから、わたし達に対して意図的にその人の情報を隠していたって事になるよね?」

レンの話を聞いたトワは驚き、アンゼリカは考え込み、フィーはジト目でレンを見つめて指摘した。

 

「フフ、そなたらと会ったとはまた何か巡り合わせを感じるが……正解だ―――昨夜この場所で布石についての打診をした所でな。クク…………今頃それぞれの国に暗号通信を飛ばしてるやもしれぬ。」

「ハッ、どうやらボンヤリと何を狙ってるか見えてきたが……」

「多分それは修羅の道……」

「成功しても、凄まじい数の犠牲者が出るような選択なんじゃない?」

「はい、最低でも数十万人以上。―――最悪の場合、民間人も入れて数百万人規模の犠牲者が出るでしょう。――――――当然、”最もその犠牲者を出す事になるのはエレボニア帝国自身になる盤面”ですが。」

ミュゼが語った推測を聞いたトワ達はそれぞれ血相を変えた。

 

「そこまでとはね……」

「クスクス、だけどそこまでしないとかつては大陸最大にして最強を誇った帝国正規軍を――――――そして鉄血宰相達を止められないものねぇ?」

我に返ったアンゼリカは厳しい表情で呟き、レンは小悪魔な笑みを浮かべてミュゼを見つめた。

「はい……レン皇女殿下も仰ったように”エレボニア帝国軍がもはや止められないからです。”元より大陸最大の軍事国家――――――内戦終結直後の疲弊の影響が残っているとはいえ、徴兵によって更に巨大化しています。物量と技術的優位性はメンフィル・クロスベル連合が有利、エレボニア帝国が従えた”結社”という”裏の世界”最大の組織も”盟主”を始めとした過半数の最高幹部クラスが討たれて残党になったとはいえ……”黄昏”という呪いの影響によって闘争に駆り立てられた人々には”厭戦”や”和解”という概念は無縁でしょう。今はまだ、突発的に煽られただけで理性を取り戻す人も多いようですが……確実に、後戻りできないほどのエレボニア全てが”闘争”に染まりつつある。―――ですからわたくしは”選択”を突き付けることにしました。このままエレボニアという暗黒に呑み込まれ、”呪いの一部として黄昏に染まるか”――――――それとも、”いかなる犠牲を払ってでも世界の終わりに諍う”かを。……それが昨夜のお二人や、”それ以外の各方面”に打診した内容です。」

「………………」

「それ以外という事は……レミフェリアと”メンフィル・クロスベル連合以外にもエレボニアとの戦争勃発寸前の状態になっているあの国”以外も……」

「クスクス、やるわね。レンとルイーネお姉さんでも”エレボニア帝国政府に協力しない事を約束させる事までしかできなかったのに。”」

「……てめえ……しかも過去形で語りやがったな?」

「チッ……あのカイエンのオッサン以上にイカれてやがるな……」

ミュゼの狙いを知ったトワは呆然とし、アンゼリカは厳しい表情をし、レンは意味ありげな笑みを浮かべてミュゼを見つめ、アッシュとクロウは目を細めてミュゼを睨んだ。

 

「はい―――”大地の竜”と同様、もう、わたくしの仕掛けは止まりません。仮にわたくしが死んだとしても各方面は”選択”を迫られるでしょう。ふふ、果たしてどちらが選ばれるか、”予見”は差し控えておきますけど……人は愚かでありながらも誇り高く、窮地にあって力強さを見せる生き物です。それが決め手となるでしょうね。」

「……ッ。」

「………………」

「……なんて覚悟……しかもそこまで見越すんだ。」

「……ようやく理解できたよ。何故メンフィル・クロスベル連合が”エレボニア皇帝や帝位継承者でもなく、宰相でもない君との交渉で和解条約の内容の一部変更に応じたかを。”――――――メンフィル・クロスベル連合は君のその”盤面の指し手”たる能力を評価し、君がその能力でメンフィルとクロスベル、それぞれの今後――――――いや、”戦後の盤面を予見する事を引き換えにクロスベルの迎撃戦で奪われたパンダグリュエルの返還もしくは貸与を含めたヴァイスラント決起軍への様々な援助や和解条約の一部変更”に応じたんだね?」

ミュゼの説明を聞いたトワは息を呑み、アッシュは目を細めて黙り込み、フィーは真剣な表情でミュゼを見つめ、アンゼリカは重々しい様子を纏って推測を口にした。

「大正解♪しかもミルディーヌ公女は”自分があからさまに新メンフィル派である事も自らの行動で証明しようとしている事”もパパやヴァイスお兄さんとの交渉で宣言したから、パパを含めたメンフィル帝国政府もミルディー公女を信じる事にしたのよ♪」

「ミュゼちゃんが”自分があからさまに新メンフィル派である事も自らの行動で証明しようとしている事”ってもしかして…………」

「ミュゼがリィンの側室の一人になる件だね。」

アンゼリカの推測に意味ありげな笑みを浮かべて答えたレンの説明を聞いてある事に気づいたトワは複雑そうな表情をし、フィーは真剣な表情で続きを口にした。

 

「ハッ、いくらあのリア充野郎でも、最初から自分を利用する事が目的とわかっていたら相手にしないんじゃねぇのか?」

「それにエリゼもそうだけど、ミュゼの事をよく知っているエリスやアルフィン皇女もそんな事、許さないんじゃないの?」

「フフ、その件に関しての心配は無用ですわ。――――――”リィン大佐達には既にわたくしの目的を打ち明けた上でわたくしがリィン大佐の側室の一人にして頂く事を希望している事も既にお伝えし、リィン大佐やエリゼさんもそうですがエリス先輩達もそれを知ってもなお、わたくしによるリィン大佐へのアプローチも黙認してくれていますわ。”」

「ええっ!?エ、エリゼちゃん達が!?」

「クスクス、一体どうやってエリゼお姉さん達を説得したのか、個人的には気になるけど…………”邪魔者”が来ちゃったから、お話はここまでね。」

「何…………ッ!?」

クロウとフィーの指摘に対して答えたミュゼの驚愕の答えにトワは驚きの声を上げ、レンはからかいの表情でミュゼを見つめたがすぐに意味ありげな笑みを浮かべてトワ達にとって驚愕の言葉を口にし、それを聞いたアッシュが驚きの声を上げて周囲を見回したその時

「――――――今だ!奴らを包囲せよ!!」

「イエス・サー!!」

男性の号令の元、軍人達や機甲兵がトワ達を中心とした全方位から現れてトワ達を包囲した!

 

「あの軍服は……!」

「TMP――――――”鉄道憲兵隊”……!」

「ど、どうして”鉄道憲兵隊”がこんな所に……」

軍人達の軍服を見て軍人達が鉄道憲兵隊である事に気づいたアンゼリカとフィーは厳しい表情を浮かべ、トワは不安そうな表情をし

「鉄道憲兵隊……ああ、そういえば本来の歴史の時も”黄昏”後はトールズ本校側についた元第Ⅱ分校の主任教官にして鉄道憲兵隊所属のミハイル少佐も皇太子達と共に現れた話もあったわね。それを考えると赤い星座だけじゃなく、鉄道憲兵隊が現れてもおかしくなかったわね♪」

「それをもっと早く言えっつーの!?」

「フフ、内戦でも見た顔だな。――――――確か名はミハイル・アーヴィング大尉――――いや、今は”少佐”に昇進したのだったな?」

鉄道憲兵隊を見回して呟いたレンの言葉を聞いたトワ達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中クロウは顔に青筋を立ててレンに指摘し、オーレリア将軍は静かな笑みを浮かべて指揮官らしき男性を見つて問いかけた。

 

「ええ、オーレリア・ルグィン元将軍どの。紅き翼ともども、無駄な抵抗はやめていただきましょう。」

オーレリア将軍の問いかけに答えた男性――――――ミハイル・アーヴィング少佐はスナイパーライフルを構えてオーレリア将軍達に忠告した。

「フッ……」

「……情報局の連絡通り、揃い踏みですね。」

「ああ…………皇帝暗殺未遂班、アッシュ・カーバイドと重要参考人である紅き翼と帝国解放戦線リーダー、クロウ・アームブラスト、メンフィル帝国皇女”殲滅天使”レン・H・マーシルン。そして武装蜂起の疑いで指名手配中のミルディーヌ公女。全員騒乱、反逆等の数多の罪状により捕えさせてもらう。――――――先に言っておくが幾ら”蒼の騎神”を呼ぼうと、呼んだ瞬間に撃墜の用意がある。」

オーレリア将軍が余裕の笑みを浮かべている中部下の一人が呟いた言葉に頷いたミハイル少佐が宣言すると機甲兵達が一斉に銃を構え、更に別の方向から現れた鉄道憲兵隊が一斉にスナイパーライフルを構えた。

 

「ミハイル少佐達と機甲兵を含めた別働隊の狙撃部隊による二段構えか……」

「チッ……あれじゃあ、オルディーネ達を呼んだ瞬間蜂の巣になるのは目に見えているな。」

周囲を見回したオーレリア将軍が不敵な笑みを浮かべている中クロウは舌打ちをし

「付近の極秘路線にTMPによる高射砲も展開している。その揚陸艇で脱出しようとしても逃走は不可能だと考えて頂こう。……騎神と機甲兵を協力させたとしてもな。」

「流石にバレてるようだね……」

ミハイル少佐の宣言にアンゼリカは厳しい表情をした。

「フフ…………そろそろ頃合いのようですね。」

「信号弾だと――――――!?」

そして意味ありげな笑みを浮かべたミュゼが自身の得物である魔導騎銃で空に信号弾を打ち上げ、それを見たミハイル少佐が驚いたその時、ヴァイスリッターとエル・プラド―が突如機甲兵達の背後に現れてそれぞれ奇襲した!

 

「六の型――――――竜破斬!!」

「崩れなさい――――――ブレイクニードル!!」

「え――――――」

「ガフッ!?」

ヴァイスリッターに奇襲された機甲兵は操縦席があるヘッドの部分が一刀両断され、エル・プラドーに奇襲された機甲兵は鋭い突きによって操縦席ごと貫かれてそれぞれの操縦者は絶命した!

「な――――――」

「神機に金の騎神――――――エリゼとエリスだと……!?」

「いや――――――」

突然の出来事にミハイル少佐が絶句している中クロウは驚きの声を上げ、何かに気づいたアンゼリカがある方向に視線を向けるとユリーシャの転位魔術によってクルト、アルフィン、アルティナ、メサイアがユリーシャと共に狙撃部隊の背後に現れた。

「ブリューナク起動、照射!!」

「――――――!!」

「光よ――――――イノセントレイ!!」

「裁きを――――――光焔!!」

「ぐあっ!?」

「ががっ!?」

「くっ……目が……っ!?」

アルティナの指示によってクラウ=ソラスは収束したレーザーを放って撃部隊にダメージを与えると共に怯ませ、更にそこにアルフィンが放った浄化の光を敵の頭上から落とすクラフトとユリーシャの高熱の聖なる光を降り注がせる魔術によって狙撃部隊はダメージを受けると共に目が眩み、その隙にメサイアとクルトが一気に詰め寄ってそれぞれクラフトを放った。

「闇よ、切り裂け――――――斬闇!!」

「ハァァァァァァ…………そこだっ!!」

「ぎゃあああああっ!?」

「ぐああああああっ!?」

「がああああああっ!?」

メサイアの暗黒の魔力を纏った一閃、クルトの怒涛に繰り出される連続斬撃――――――レインスラッシュで全身を滅多斬りにされてそれぞれ”止め”を刺された狙撃部隊は絶命した!

 

「この――――――!」

「よくも仲間を――――――」

「待て、皇女殿下まで巻き込むつもりか……!?」

それを見たまだ無事な機甲兵達の一部は銃をクルト達に向け、アルフィンがいる事に気づいた為銃を降ろした機甲兵の操縦者はクルト達に銃を向けた機甲兵達に制止の声を上げるといつの間にか転位魔術によって銃を構えた機甲兵達の頭上に現れたベルフェゴールが魔術を発動した。

「業火に呑まれなさい――――――メルカーナの轟炎!!」

「「ぐぎゃあああああああああ…………ッ!?」」

ベルフェゴールが発動した上位火炎魔術を受けた銃を構えた機甲兵達は操縦席にいた操縦者は焼死し、機甲兵自身はドロドロに溶けて無残な姿になり

「枢孔――――――身妖舞!!」

「ぁ――――――」

更に別の機甲兵の背後に転位魔術で現れたアイドスは高速剣による奇襲で一瞬で機甲兵をバラバラにし、機甲兵がバラバラになる際に全身を切り裂かれた操縦者は絶命した!

 

「なあああああああっ!?」

「生身で機甲兵をあのような有様にするだと!?」

「し、しかもあの白い人形と金色の人形はまさか…………!?」

「バカな…………金色の騎士―――――新たなる”騎神”に結社の”神機”に加えて生身で機甲兵を撃破する程の使い手だと!?クッ…………何故情報局はあれ程の存在についての情報を我々に回さな――――――いや、まさか今までメンフィル・クロスベル連合によって意図的に秘匿されていたというのか……!?」

「おいおい…………話には聞いていたが、マジで生身で機甲兵をあんなザマにするとか化物過ぎだろ、リィンの新しい使い魔連中は……!?」

「ん…………確かにあんな”力”が”戦場”で振るわれる事になれば、相手は一方的に”蹂躙”された上で”虐殺”されるのがオチだろうね。」

驚愕の出来事の連続にまだ生き残っている機甲兵の操縦者や鉄道憲兵隊の隊員たちが驚いている中ミハイル少佐は信じられない表情で声を上げ、表情を引き攣らせて声を上げたクロウの言葉に頷いたフィーは真剣な表情でベルフェゴールとアイドスを見つめた。

「うふふ、これは良い事を聞いたわよねぇ?」

「はい♪お陰様でメンフィル・クロスベル連合に今回の作戦で知る事ができた意外な朗報を報告できますわ♪」

一方ミハイル少佐の言葉を聞いてエレボニア帝国政府がヴァイスリッターやエル・プラドーがメンフィル・クロスベル連合側であるという情報を把握していない事実に気づいて意味ありげな笑みを浮かべたレンに問いかけられたミュゼは笑顔で答え

「さ、”作戦”ってまさか…………」

「最初から鉄道憲兵隊(れんちゅう)を嵌める為にてめぇ自らが”囮”になってこんな所にいたっていうのか!?」

ミュゼの話を聞いてある事を察したトワが不安そうな表情をしている中、アッシュは驚きの表情でミュゼに問いかけた。

 

「フフ、さすがに鉄道憲兵隊を狙っていた訳ではありませんが。」

アッシュの問いかけに苦笑しながら答えたミュゼが片手を空に掲げると片手から魔法陣が現れて空に向かって広がり、魔法陣からはパンダグリュエルが現れた!

「なっ――――――!?」

「あれは……ッ!」

「パ、”パンダグリュエル”……!それもいきなり現れるなんて一体どうなっているの……!?」

「ったく…………独自で行動するとか言っていたが、まさか連中に手を貸しているとか、相変わらず腹の底が読めねぇ女だぜ――――――ヴィータ!!」

パンダグリュエルの登場にミハイル少佐が絶句している中アンゼリカは真剣な表情で、トワが困惑の表情でパンダグリュエルを見つめている中、既に事情を察したクロウは疲れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情でパンダグリュエルを見つめて声を上げると空中にクロチルダの幻影が現れた!

 

「魔女殿――――――ご苦労だった。」

「ふふっ、人使いが荒いわね。――――――”不撓(ふとう)”の少佐に関しては初めましてね。こちらはいつでも始められますが、どうされますか?」

オーレリア将軍の言葉に苦笑しながら答えたクロチルダがミハイル少佐に意味ありげな笑みを浮かべて視線を向けて声をかけるとパンダグリュエルから機甲兵達が次々と落下して着地して鉄道憲兵隊を包囲した!

「くっ……作戦は失敗!これより戦域からの撤退を開始――――――ぐあっ!?」

一方それを見たミハイル少佐は部下達に指示をしかけたが狙撃による不意打ちによる衝撃で持っていたライフルを地面に落とした。

「”狙撃”って事はまさか……!?」

「――――――動かないでください。こちらの指示もなく動けば、次は頭を撃ちます。」

ミハイル少佐が狙撃される様子を見たトワが揚陸艇へと振り向くと揚陸艇の屋根に身体を伏せて潜んでいたステラが立ち上がって姿を見せると同時にスナイパーライフルを構えてミハイル少佐達に警告した。

「フフ、それと先程仰っていた高射砲による援護は期待しない方がいいですわよ?」

「何……ッ!?」

意味ありげな笑みを浮かべて答えたミュゼの忠告にミハイル少佐が驚いたその時遠くから爆発音が聞こえた後、爆発音がした方角に煙が上がっていた。

 

「あの方角はまさか…………!?く…………ッ!なっ!?何故通信が繋がらない……ッ!?」

爆発音に驚いたミハイル少佐は煙が上がっている場所を見てすぐに煙の発生元が高射砲を待機させている場所である事に気づくとARCUSを取り出して通信をしようとしたが、通信が通じなかった。

「通信妨害……まさか。」

「シュミットの爺が開発して内戦中はノルドの監視塔に設置されていた例の妨害装置か。」

一方ミハイル少佐の様子を見て事情を察したフィーは真剣な表情をし、クロウは目を細めて呟いた。

 

「ふふっ、今は亡きルーファス卿が将来に想定していたメンフィルや旧共和国との戦争に備えて空中戦での優位を取る手段としてパンダグリュエルにもシュミット博士が開発した通信妨害装置を予め設置していたお陰ですわ♪――――――さてと。ご覧の通り、鉄道憲兵隊(あなたたち)にとっての頼みの綱である高射砲や援軍として控えている別働隊にはゼクス将軍閣下率いる別働隊とリィン大佐率いるリィン隊の主力部隊が奇襲していますから、助けを期待しても無駄ですわよ?」

「……く…………ッ!」

「リィン君達が近くに……」

「……それでミュゼ君、彼らをどうするんだい?――――――まさかとは思うが、”皆殺し”にするつもりなのかい?」

意味ありげな笑みを浮かべて宣言したミュゼの言葉にミハイル少佐が悔しさのあまり唇を噛み締めてミュゼを睨んでいる中、トワは複雑そうな表情をし、アンゼリカは真剣な表情でミュゼに問いかけた。

「いえいえ、この場には姫様もいらっしゃるのですから可能な限りは”捕縛”に留めておきたいですし、何よりも”今回の作戦の目的はわたくしの身を狙って襲撃する帝国正規軍の関係者達の捕縛なのですから、勝敗が決まった以上これ以上の死者を出すつもりはありませんわ。”――――――さてと。一応念の為に確認しておきますがこの戦力差でもその二つ名通りご自身や部下の方々の命と引き換えにしてまでまだやり合うおつもりですか、”不撓(ふとう)”のミハイル少佐?」

「……………ッ………!…………国際法に基づき、捕虜としての待遇を要求する。――――――総員、武器を捨ててヴァイスラント新生軍に投降せよ。……これ以上戦っても、こちら側に無駄な犠牲者が出るだけだ。」

「ミハイル少佐…………」

「く…………ッ!」

アンゼリカの問いかけに苦笑しながら答えたミュゼは意味ありげな笑みを浮かべてミハイル少佐に問いかけ、問いかけられたミハイル少佐は悔しさのあまり唇を噛み締めて身体を震わせた後ミュゼに投降を宣言して戦術オーブメントや自身の得物である導力銃を懐から出して地面に投げ捨てて部下達に投降を指示して両手を挙げ、ミハイル少佐の指示に鉄道憲兵隊は様々な思いを抱えてその場で武器や戦術オーブメントを捨てて両手を上げた。

 

その後……ミハイル少佐を始めとした鉄道憲兵隊が投降後に次々と離陸してきた揚陸艇に連行されている中、トワ達は転位魔術で現れたクロチルダにクロチルダがヴァイスラント新生軍に協力している理由を訊ねていた。

 

 

 

今回の話でミハイル少佐が登場と同時にミュゼの策略で速攻で捕まり、戦争から退場させられることになりました(爆笑)そしてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、今回の話で空シリーズのカノーネが超久しぶりに登場しましたwwちなみにもしかしたら、カノーネもそうですがリシャールもクロスベル編が終わった後にする予定のリィン達とジェダル達が登場、活躍する外伝で登場するかもしれません。まあ、まだ未定ですが(苦笑)

 


 
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