No.1004937

真・恋姫†夢想 異伝 「最後の選択者」 零章 第一幕

Jack Tlamさん

今回は物語への導入となります。

外史での出来事、そして現在の現代世界での出来事。

時間軸が入り混じっています。

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2019-09-19 18:30:01 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3977   閲覧ユーザー数:3339

 

□???(No side)

 

――それは、おそらく一瞬にも満たなかった出来事。永遠にも等しく感じられた筈の、一瞬にも満たなかった刹那の記憶。

 

「死■、■■■――!!」

 

「ぐっ――!!」

 

青年は、智の才に優れた賢者などではなかった。

 

「■■■……■■■『天■■■■』■■■■■■!!」

 

「お前が認めたくないだけだろう!!」

 

「勝■■■■■■■■!!『天■■■■』■■!■■■主!■■様■■■■――!!」

 

青年は、武の才に恵まれた豪傑などではなかった。

 

「どの口が言うんだ!!折角乱世も終わったのに、こんな真似しやがって……一体、どれだけの人間を悲しませれば気が済む!?」

 

「■■■■!終■■■■■イ■■!!■■■討■!■■■■チ!■■■■■■■■王■、■■■■理■■、■想■――■■■!!」

 

ただ懸命に、生きた。ある日突然落着した、右も左もわからないこの世界で。

 

生まれ育った世界に帰る術すらも定かではなく、家族を、友を、居場所を――凡そ一人の人間が失い得るもの、その大半を失って。

 

「くっ……おおおっ!!」

 

それでも、青年は生きるために戦い続けた。

 

特別な力など何一つ無い、こんな自分を拾い、居場所をくれた。頼れる朋友となってくれた。そして、愛する家族となってくれた。

 

自らを『天の御遣い』と呼び、慕ってくれる人々も増えていった。

 

その恩義に報いるため、出来ることなら、なんでもやった。そして、遂には国を支える柱石として申し分無い傑物に成長した。

 

「乱■■終■■■■■■■ヌ!■■■テ■■■■ヌ!■■■■御心■■解■■■■■■■、知■■ヨ■■■ヲ■■■■■■!!」

 

だが――それが今になって、仇になってしまうとは。

 

青年は、当然といえば当然ながら、あまりといえばあまりな報いに目を背けたくなった。それさえ許されぬと知りながらも。

 

こことは別の、全く時代背景の異なる世界から落ちてきた異邦人。流星と共に現れ、輝く純白の衣を纏う青年は『天の御遣い』と

 

称された。その名こそ、生き延びるために必要な手段だった。今やそれは、確かな権威を持つ名として大陸に広まっている。

 

しかし、何事も良いことばかりではない。現に、その呼び名こそが激しい敵意を呼んでしまったのだから。

 

己と刃を交えている狂戦士。狂える刃。血濡れた亡者。この者がこのようなことをしている理由は、明々白々だ。

 

 

 

――己が夢想に耽溺し、己が夢想にのみ狂う者。

 

 

 

――掲げた理想も、主君の名も、その心も、すべてはその夢想を護るための鎧。夢想に浸され偽りに堕した、叶うべくも無い理想。

 

 

 

――当然だ。掲げたその理想とは、この者だけに限らず、掲げる者の心を護るためにこそ、今もなお掲げられているのだから。

 

 

 

この者は「乱世を終わらせる」ために、乱世を終わらせることを拒んだのだ。己の夢想より出ずる妄執にこそ狂ったのだ。

 

この者の眼は曇る。漸く終わった乱世も、そのために尽力した人々も、そこにある数多の想いも、全てが主君への侮辱と映るのだ。

 

例えそれが、主君の望みであろうとも。

 

「ほざいたな……その有様で代弁者を騙るとは!」

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!!」

 

刃と刃が衝突する。耳を劈く剣戟音、そして激しく散る火花。猛る炎に支配された空間、その中央で、決意と暴虐が喰らい合う。

 

青年は、この者に仲間を奪われた。家族を殺された。戦場でのことならば努めて恨むまい、しかしそれは戦場でない場所でのこと。

 

だが、それでも今、この者への憎しみは無い。既に死んだ者には、向けるべき憎しみなど無いのだ。

 

復讐を考えたことも無かった。この者は正当に裁かれ、然る後に正当に処断されたのだから。

 

この者は、既に死んだ。大きな罪を犯し、然るべき刑に処された。その筈だった。そうでなければならなかったのだ。

 

「要■■■!■■■イ!!天■二■■■■ナ■!!!■■様■■■天■■滅■■!!!!!」

 

そうだろうとは思っていた。この者が主と仰ぐ人物が、如何なる理由でも身内を処断出来る筈が無い。わかっていたことだ。

 

「それが本心か!そんなことで、どれだけの人を巻き込んだと思っている!!」

 

「■レ■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

 

――生きていた。意外なことではなかったが、まさかこうして再び世に憚り、剰え無用の殺意と破壊を撒き散らすとは。

 

力量では青年を上回るのに妙に捨て鉢な印象を受けるが、それで良いのだろう。この者自身は捨て鉢で良いのだ。この者が此処で

 

落命しても、この者が依拠する国が、その主君が、この者を殺した相手を許す筈も、見逃す筈も無い。

 

最早、この大陸には二大勢力が残るのみ。後顧の憂いなど既に無く、全力で軍を動かせるのだ。動かしてしまえるのだ。よしんば

 

青年が勝利したとしても、こうも炎上していては脱出が難しい。もしも青年が命を落としてしまえば、それこそ戦いを止める術が

 

無くなる。今度という今度こそ、泥沼の大戦が始まってしまうかもしれない。然らば、多くの命が消え果てよう。

 

此処で己が斃れても、夢は必ず実現されるであろう。全ては己が望んだように、己が主君がこの大陸を今度こそ平定するであろう。

 

――そう考えていなければ、もう生きてもいられないほどに追い詰められているのだ。

 

青年は、全てを理解した。理解して――思い出した。嗚呼、これが憎悪か。訳の分からない理屈で命を踏み躙る者への、憎悪か。

 

「……(いや)。そうはさせるものかよ」

 

だが、それは青年の心を支配することをしなかった――否。呪いに浸された心は、逆に憎悪を支配するまでに至っていた。

 

「(――肉を切らせて、骨を断つ……『必勝』、即ち是、『必生』の極意也――!)」

 

思い出す。最早、剣が意味をなさなくなった時代に在っても、剣者なれば誰もが心得るべき教えを。

 

剣を振るうからには、勝つべし。生きて帰らなければ、剣を抜く意味など無い。青年は剣を抜いたのだ、然るに、生きて帰るべし。

 

この身を、この心を浸す呪い(ねがい)。それを果たさんと望むのならば。

 

「(来い――!!)」

 

――嗚呼、心が冷えていく。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」

 

「ふっ――!!」

 

血濡れた得物を振り翳し、狂える刃が迫り来る。傷多く、言うことを聞かぬ躰を駆り立て、青年は敢えてその間合いへと飛び込む。

 

狂える刃が青年を捉え、その右腕に深々と食い込む。骨をも砕き斬られ、凄まじい痛みが全身を貫き、青年の意識が飛びかける。

 

――否。

 

「捕、まえ……たぁぁぁああああッ!!」

 

敵の刃を捕えた。飛び込む際に左手に持ち替え、下段に構えた刀を振り上げ――敵の片腕を斬り飛ばす。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」

 

苦痛による絶叫でなく、憤怒による咆哮。片腕を失った敵は力に任せ、下段から青年の首を狙う――憤怒が、狙いを狂わせた。

 

「ぐぅっ!!」

 

青年の右頬を捉えた刃は、そのまま上に向かって顔面を切り裂く。衝撃と激痛が迸り、熱湯が如き鮮血が飛び散る。

 

瞼にも創を受けはしたが、眼球が斬られた感覚は無い。それでも一時は隻眼を強いられようが、最早青年が敵を見失うことは無い。

 

ここに至るまでの打ち合いもまた、狂える刃の狙いを狂わせた。青年の思わぬ強さに、苛立ちと疲労が少しずつ蓄積していたのだ。

 

今が勝機。青年の眼から光が迸る――!

 

「おあぁッッ!!」

 

斬られた衝撃で仰け反りそうになる躰を強引に制御し、さらに踏み込んで刀を打ち下ろし――残る腕ごと、得物を斬り落とす。

 

敵は仰け反り、躰の平衡を一時失う。腕を失ったせいであろうか――しかし、流石の武辺者。数歩離れるうちに体勢を立て直した。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」

 

「ぐっ……!!」

 

青年にはその距離が遠い。たった数歩、その距離が遠い。敵は青年の首を噛み砕かんばかりに猛り、今にも飛び掛からんと吼える。

 

だが、それが青年を阻むことは無い。青年は決意と共に剣を執った――故に、然り。何をも斬り伏せてこその剣者なれば。

 

「うおおおっ……!!!!!」

 

刀の鋒を敵に向け、恰も弓を引くが如く、それを思い切り後ろに引いて。右脚を踏み出し、仇敵に向かって地面を蹴る――!!!

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

 

咆哮する。遠かった筈の僅かな距離は、しかし不思議と一瞬で詰まり。青年は、残る全ての力を以て、刃を――。

 

 

 

 

零章 第一幕、『灰色の燬憶(きおく)

 

 

 

 

□現代日本・某所 / 一刀と朱里の家 / 一刀の部屋(side:一刀)

 

「――っ!?」

 

俺は、飛び跳ねるようにして起き上がった。それに遅れること数瞬、物凄い頭痛が襲ってくる。

 

「っ……痛ぇ……!」

 

片頭痛なんてもんじゃない。全体が痛む。そのせいで、普段ならすっと起きられる筈の躰が重い。目の奥の視神経が震えて、目の

 

焦点が上手く定まらない。そこに眩しい朝日が――幸いにして本日は曇天なり。全く眩しくなかったので助かった。

 

全力で歯を食いしばり、精神力で起き上がる。布団の中は寝汗でじっとりと湿っており、二度寝する気は起きなかった。

 

「(駄目だ……足がふらつく。今の状態で、階段から落ちたら受け身を取れる自信が無いぞ……)」

 

俺は寝台から降り、重心が定まり切らない足取りで部屋を出た。

 

 

 

□一刀と朱里の家 / リビング

 

――俺は手すりに身体を預けながらどうにか一階まで降り、リビングのドアを開けた。

 

「はっ……」

 

思わず、変な呼吸をしてしまう。一段と頭痛は酷くなり、眩暈がして倒れそうになる。それはすぐに収まったが、頭痛は消えない。

 

俺は食器棚のコップをむんずと掴み、蛇口を開いて水を注ぎ、それをゆっくりと飲み干す。すると、頭痛が少し治まった。

 

それに伴って視界もはっきりしてきたので、キッチンの置き時計を見遣る――午前五時三十七分。

 

「(朱里もそろそろ起きてくる時間だな。米くらいは研げる……よし)」

 

炊飯器から釜を引っ張り出し、米櫃からいつもの適量を取り出して釜に投入。ざっと研いで、研ぎ汁を回収してから炊飯器に戻す。

 

躰はもう怠過ぎてやばいが、意外といけるものだ――ルーティンワークだからかもしれないけどな。

 

「――おはよう……ござい、ます」

 

そこに、寝間着姿の朱里がふらふらとした足取りで現れた。朝には強い朱里がここまでふらついているとは。寝不足だろうか?

 

「おはよう、朱里……どうしたんだ?」

 

「うぅぅ……頭が、痛い、です」

 

「……君もか」

 

どうやら、俺と同じく頭痛で起こされたようだ。重そうに頭を抱え、見るからに辛そうだ。

 

肌は若干青白くなっており、やや病的な雰囲気を漂わせている。元々色素の薄い朱里だが、それでもはっきり青白くなっていると

 

わかるので、相当具合が悪いらしい。俺もキッチンにある鏡で自分の顔を確認するが、朱里同様に青白かった。

 

幸い、炊飯器のスイッチを入れる直前だったため、俺は釜をもう一度取り出し、水を多めに入れる。これで炊き上がれば粥になる。

 

咀嚼も辛いから、粥の方が良い。味付けは梅干を解して混ぜるか、溶き卵でも良いだろうか。塩だけというのも。

 

俺は古くからこの日本に伝わる梅干の薬効に期待しようと決め、少し前に実家から貰った白干梅の壷を引っ張り出した。

 

「一刀様も、頭痛ですか?」

 

「それで起こされたようなものだよ……炊けるまで時間があるけど、どうする?」

 

「このままここにいます……二度寝したら、余計に痛くなりそうなので」

 

「……それなら」

 

俺は戸棚からマグカップとほうじ茶の缶、急須を取り出し、電気ケトルに浄水器の水を注いでセットする。

 

日本ではほんの数年前に発売され、普及した電気ケトル。電気ポットに比べれば、容量は明らかに少ないが、保温機能が無いぶん

 

即応性が極めて優れている。一分足らずでお湯が沸いてしまうのだ。向こうでお湯を沸かすとなったら、先ずは薪を割ることから

 

始めなければならない。それが、此方では一分足らずだ。頭が痛いのに薪割りするというのは、向こうの人でも辛いらしい。

 

便利であろうがなかろうが、人がやることというのは今も昔もあまり変わらないのは、俺も朱里も物凄く実感しているが。

 

「ほうじ茶飲む?」

 

「はい……ありがとうございます、一刀様。ご飯も、炊いてくれたんですね」

 

「正直、俺も食欲が無いどころの話じゃないんだ。吐き気がするくらい、頭が痛い。だからもう粥にしてしまおうと思ったわけだ」

 

「いいですね。お粥なら食べやすいですし……一刀様?」

 

「……ああ……駄目だ、吐き気が」

 

話している間に吐き気が込み上げてきた。もう食道の途中までせり上がってきているような感覚だ。これは駄目だ、吐く。

 

「洗面所……或いはトイレに行ってきては?もうここは思い切って吐いてしまった方が……私は幸い、吐き気が無いので」

 

「ああ……」

 

朱里に促され、俺はやや急ぎ足に洗面所に向かった。

 

 

 

□一刀と朱里の家 / 洗面所

 

――歩く度に頭が痛み、吐き気もあってもう目が回りそうだ。

 

胃から込み上げる何かの、強烈な酸味。それが余計に吐き気を催させ、一刻も早く吐かねば窒息しかねないとの危機感まで感じる。

 

調節すら億劫だ。俺は蛇口を全開にし、水を勢い良く噴出させ――ここでとうとう限界が来た。

 

「う……ぅ、おええぇえぇえぇええええ……ぇっっ……!!」

 

蛇口から盛大に吹き出る水が、吐いたモノを即座に洗い流していく。実体は少ない。ほとんど、真っ黄色な胃酸だ。

 

昨晩の分は既に腸の中だ、胃の中にはあまり残っていない。故に胃酸が主体になったのだろうか。お陰で食道が焼けるように痛い。

 

口の中は悍ましいほどの酸味と酸臭で満たされ、それが鼻腔を抜けていくので、さらに吐き気を催して吐き出す。

 

「はっ、はぁっ……はぁっ……はっ……!!」

 

息が切れる。口腔、鼻腔、食道、そして肺を満たす強烈な酸臭。新鮮な酸素を求め、喘ぐようにして呼吸する。

 

「が……ふっ、あ……ぐぅ、うぅぅ……!!」

 

目がチカチカする。その一瞬の光芒に、いつかの悪夢のような出来事をフラッシュバックのように幻視する。そして、また吐く。

 

悪夢などでは決してない、現実にあった光景。はっきりと覚えている。その時に俺の五感が知覚したものは今でも全てはっきりと

 

思い出すことが出来る。何かが焼ける臭いも、噎せ返るような血の臭いも、なにもかもが。

 

――そうだ。

 

「あ……あ……がふっ!!」

 

その光景が現実のものとなってしまった、その原因は俺なのだから。実感が無ければおかしい。

 

「ぎ……ぐぅ……!」

 

かといって、俺にはどうしようもない理由でそうなったのだ。実感こそあれ、あれは本当に夢のような――悪夢のような出来事だ。

 

「……はぁ……ふぅ……はっ」

 

そんな悪夢は、いつまでも俺に纏わりついて離れない。

 

あの時のこと自体に、苦悩や後悔は既に無い。俺自身の意志で選び抜いた選択、それを実行した結果そうなっただけのことだから。

 

ただ、肉体的な実感として残るあの時の記憶は、今でも俺を苦しめる。

 

「……」

 

一頻り吐いた俺は、思い切り洗面器の縁を掴んでいた左の掌を見る。

 

夢とは別に、たまに掌に甦る感覚があった。この手に握った剣で、敵の躰を打ち、その肉を切り裂き、心臓を貫いて斃した感覚だ。

 

戦乱の世に生きて幾星霜、人を殺す機会などごまんとあった。殺さなければ生き延びられなかった。

 

「……っ」

 

最初に人を殺したのがいつだったのか、今でも思い出せる。

 

初めて人を殺した時。顔も知らない、名前など知る筈も無い賊の一人。それでも確かに生きた人間だ。獣などと揶揄する気も無い。

 

俺は間違い無く人間を殺した。それもまた悍ましい体験だったが、あの時はもっと――いや、是非も無いことだ。

 

「……ふぅ」

 

漸く、吐き気が収まる。蛇口を捻り、水の勢いを弱め、自分用のコップを鷲掴みにして水を入れ、口を何度も漱ぐ。

 

久方振りだったな、夢にまで出てくるのは。外史から帰って来たばかりの頃は何度もあったが――まだ、俺を追いかけて来るのか。

 

「……」

 

あの戦いに、後悔など全く無い。強がりなどではなく、本当に無いのだ。だから、これは単なる悪夢だ。何かの拍子に現れる幻だ。

 

そして、俺を追いかけて来て良いのはお前じゃない。お前達じゃない。疾く失せろ。

 

「……戻るか」

 

頭痛は益々酷くなったが、どうにか口の中と気分は落ち着いた。リビングに戻って茶を飲もう――。

 

 

□一刀と朱里の家 / リビング

 

――リビングに戻ると、既に電気ケトルからは湯気が湧き出ていた。

 

朱里はリビングのソファに沈み込み、非常に重そうに頭を抱えている。起きているのが辛い筈だろうに、敢えて座ったままでいた。

 

「(……茶を飲んで、少し落ち着いてからなら、あれが使えるな)」

 

俺達には己の傷病を自力で迅速に治療する手段がある。それを使うには先ず、落ち着く必要がある。熱い茶を飲めば落ち着けよう。

 

俺は急須の茶漉しにほうじ茶の茶葉を入れ、そこにケトルの熱湯を注ぎ込む。正直言って雑になりそうだが、そこはちゃんとな。

 

「よし……」

 

暫し待ってから、マグカップに茶を注いでいく。この手軽さ、文明とは恐ろしい――。

 

いやはや、この程度のことで感動を覚えるとはな。自分で思っている以上に、向こうでの生活の感覚が染み付いていて抜けないな。

 

ほうじ茶特有の香ばしい香りが立ち上り、それが気分を落ち着かせてくれる。自分で言っていてなんだが、年寄り臭いかな?

 

「朱里、お茶が入ったよ」

 

「……ありがとうございます」

 

ソファ前のテーブルに朱里の青いマグを置き、彼女の隣に座る。そうすれば、ごく自然に朱里が俺に寄り添ってくれる。

 

「……また、随分と吐いていましたね」

 

「口の中がもう、胃酸塗れで酸っぱいよ。喉も荒れそうだな……朱里、もうちょっとこっちに」

 

「はい」

 

マグを右手に持ち、左手を朱里の肩に回して抱き寄せる。朱里はかなりの寂しがりだが、人肌を恋しく思うのは俺とて同じ。

 

折れそうなほどに小さく華奢だった朱里の体躯は、あれから三年の時を経た今、女性的なしなやかさを十分に備えたものになって

 

いた。それでいて、未だ少女らしい嫋やかさも十分以上に残しているし、顔立ちにも幼さが残っている。

 

こうして抱いている時の感触は、昔のそれとは違う――それでも、温もりだけは変わらない。この、確かな温もりだけは。

 

「……」

 

「……」

 

暫くの間、会話は無かった。こうしているだけでも頭痛がなんとなく和らぐ気がして、離れる気にはならない。

 

「……一刀様」

 

「うん?」

 

「頭を、撫でて頂けますか?」

 

「ああ……」

 

俺は、朱里の頭に手を伸ばした。随分長く鋏を入れていない、癖の無い薄い金色の髪を、時折指で梳いてやりながら頭を撫でる。

 

この家には俺達二人で住んでいるので、それはもう堂々とイチャつける。最初から最後まで、人目を憚らずにな。

 

出会ったばかりの頃、朱里は異性との接触を苦手としていた。職務上のことであれば兎も角、プライベートでの接触は避けていた

 

ように思う。年齢が近い俺に対してすらそうだったし。付き合いが長くなってくると流石に打ち解けてくれたが、それでも互いの

 

想いが通じ合うまでには時間がかかった。互いの地位が明確に違う外史では、恋愛一つするにも難儀することが多かったから。

 

今は、こうして対等な関係にある。朱里は今でも俺を様付けで呼んでいるものの、それは長年の癖のようなもので、義兄と義妹と

 

いうある種の上下関係を除けば、対等な関係性だ。こうして甘えてくれる時もあるが、容赦が無い時はとことん容赦が無い。

 

「昔は、何を言わずとも一刀様に頭を撫でて頂いていましたね」

 

「俺が勝手に撫でてただけだがね。子供扱いしているつもりは無かったが、最初は割と嫌がられた記憶がある」

 

「口だけです。実際は全く嫌じゃありませんでした」

 

言いながら、朱里は俺の手に頭を強く押し付けてくる。それに応じ、俺も髪を梳きながら軽く爪を立ててやる。

 

「んぅ……」

 

爪を立てるとはいっても本当に軽く、擽るようなものだ。痛みを感じさせるようなことはしたくない。

 

すっかり慣れた行為。朱里が甘えてくる時は、いつもこうしている。朱里が心地良いと感じる力加減も心得ているし、擽り方にも

 

変化を付ける。そうすると、朱里はいつも擽ったがって軽く身を捩る――俺は、その仕草にかつての面影を垣間見ていた。

 

「……少し、落ち着いてきました」

 

「そうだな……あれをやろうか、朱里。少し気分が落ち着いたら、思い出したんだ」

 

「はい……んっ……!」

 

俺達が持つ、傷病を自力で迅速に治療する手段――北郷一門に伝わる、北郷流兵法。その核心を構成するうちの一つ、癒療術。

 

華佗の『五斗米道』と基本原理を同じくする、操氣医療技術だ。通常は他者の治療に使用するが、自己治療にも使えるのが華佗の

 

技との違いだ。反面、五斗米道ほどの即効性は無い。一瞬で治療出来る五斗米道とは違い、そこそこの時間が必要になる。

 

俺と朱里は抱擁し、接触を通じて互いの氣を循環させる。こうすることで、一人でやるよりも効率が段違いとなるからだ。さらに

 

効率を高めるために、俺達は唇を重ねる――頭痛が急速に消えていくが、タイミングを誤るとアレが目を覚ましかねん。

 

光る粒子が無数に舞い散り、流れを成す――余剰した氣が物質化したものだ――頭痛が完全に消えた段階で、俺達は躰を離した。

 

「……ふう。これで良し。朝飯を食った後はどうしようか?」

 

朱里にこの後のことを訊ねる。俺はこのまま起きていても良いのだが、朱里の頬に赤みが差している――これは。

 

「じゃあ……一刀様と一緒の寝台に入って……添い寝、しちゃいます」

 

「……」

 

「……はぅ」

 

自分で言ってて恥ずかしくなったのか、朱里が耳を真っ赤にして俺の胸に顔を埋めてしまう。なんとも乙女チックな反応というか。

 

「そい」

 

「抓らないでください~……」

 

からかい半分で朱里の耳を抓れば、朱里の力無い抗議はくぐもって――うむ、役得。可愛いは正義である。

 

そうして、粥が炊けるまでの残り時間三十分ほど、俺達はイチャついていた――。

 

 

 

□一刀と朱里の家 / 一刀の部屋(side:朱里)

 

――添い寝をするなんて、あまり無いことだから、気分が高揚してしまう。氣を二人の間で循環させたせいもあるけれど。

 

勿論、夜の営みの後は一緒に寝るけれど、抑々そう頻繁にはしていない。こうして生活を共にし、なんでもないようで素晴らしく

 

尊い日々を共に送るというだけでも、私の心は充足している。故に、折に触れて肉体の繋がりを確かめるだけ。

 

――確かに、行為の後はいつもよりもっと充実しているけれど。

 

「♪」

 

純粋にただ添い寝する、というのが随分久しぶりに思える。毎日のことじゃないから、余計に嬉しいのかもしれない。

 

気分の高揚自体は、治療の副作用だ。私達の関係性もあり、添い寝だけでは到底治まらないのだけれど、自重してそれだけにした。

 

「ご機嫌だね、朱里……」

 

「だって、嬉しいんですもの」

 

「はは、乙女だなあ」

 

私の後頭部に回した手で、一刀様が頭を撫でてくれる。それで益々嬉しくなって、耳が熱くなって、また一刀様の胸に顔を埋める。

 

我ながら、生娘みたいな反応だと思う。だけど、良いよね。御義母様だって、御義父様のことになると同じような反応をするし。

 

「……眠れそうか?」

 

「はい」

 

私はもう、意識を保つのが難しくなりつつあった。無理に保つ必要など皆無なのに、何故か私はそうしていたかった。

 

理由は簡単――愛する人が眠りに落ちる時の表情が見たいから。

 

右頬から額にまで至る、大きな傷痕が残った一刀様の顔。痛ましいけれど、眠りに落ちる時の彼の表情はとても穏やかで。どこか

 

噛み合わないその組み合わせが、一刀様の魅力を増しているように思えて――こういうのを、ギャップ萌えと言うのだっけ?

 

「――」

 

「あ」

 

やった。一刀様の方が先に寝落ちしてくれた。見たいものが見れたので、私も愈々限界になってくる。もう良いか。

 

「……ぁふ」

 

もう、私は抵抗しなかった。目を閉じれば、一気に眠りへと落ちていく。最愛のぬくもりが傍にあることに、ひどく安心しながら。

 

「――」

 

ああ、良い大人は気取らない、ってこういう意味なんですね、先生――そこで、私の意識は途切れた。

 

 

□???(No side)

 

――少女は一人、山道を進んでいた。

 

「……」

 

この道を一人で歩くことなど、無かった筈なのに。道は完全に記憶しているので迷うことは無いが、師は一人で歩かないようにと

 

教え子達に言い聞かせていたので、師の許を離れて何年も経つ今となっても、気が咎めた。それでも、少女は歩を進めた。

 

「……」

 

木々が微風に揺られ、葉が擦れ合う音が細波のように少女の耳を打つ。静やかなその音は、此処を巣立ったあの日と変わらない。

 

「……」

 

いつも彼女の隣を歩いていた筈の誰かは、一緒に巣立った筈の誰かは、今は彼女の隣にいない。生きてはいるが、其処にはいない。

 

その手はもう、振り解いていたから。一歩を踏み出すため、振り解くしかなかったから。踏み出すことを、自ら択んだのだから。

 

あの頃のことが、否応無く鮮やかな痛みと共に想起される。

 

「……っ」

 

少女は、両手で胸をきつく押さえる。胸の痛みに耐えるために。

 

外套を風に靡かせ、ただ只管に前だけを見て進んで行く。胸元の鈴が揺れても、本来の軽やかな音色が奏でられることはもうない。

 

数年に渡る長い旅の中、風雨に晒され、泥を浴び、時として返り血さえ被ってきたその鈴は、既に傷付き果てていたから。

 

いつ頃からだろう?この鈴を胸元に着けるようになったのは。動機は単純だ。少女なりの御洒落だった。重い意味を持つものでは

 

なく、単に気に入ったから着けていただけだ。師の許で学んでいた生徒達は皆が同じ意匠の服を着ており、その制約の中で個性を

 

控えめに主張出来る、ちょっとした御洒落。手入れを怠ったせいだろう、もう鳴らなくなってしまった。

 

過ぎ去った年月の長さも、歩んで来た旅路の過酷さも。愛用し続けたこの鈴が音色を喪うのには、十分だったのだ。

 

「……」

 

その背に小さく弱い体躯には不釣り合いな刀と、背嚢を背負って。少女は凸凹の山道を歩いて行く。

 

「……」

 

暫く、人が入った形跡は無い。ここ数年は、誰一人として此処には立ち入っていないのだ。道に雑草が繁茂しているのがその証だ。

 

この先には、少女がもう一度は来ておきたかった場所がある。色々あって今迄来れず、今日になってやっと訪れることが出来た。

 

かつてと較べて随分と早くなった足で、およそ半刻ほどは歩いただろうか。やがて、少女は目的の場所に辿り着いた――

 

 

 

「――っ」

 

 

 

――少女は、奥歯を噛み締めた。

 

孤児であった少女が学び、育った場所。出生の地すらも霞むほどの、慕わしき故郷。数年前、訪れたきりだった故郷は、今や。

 

「……緑が……」

 

緑に、覆われていた。背の高い草が生え、蔓が張り付き、小さい野花が数多咲く。もう、これほどの時が経ったのか。

 

懐かしき学舎も、それを示す看板も。小さいながらも少女達が体を動かすには十分だった庭も、少女が住んでいた離れも。全てが。

 

「……っ」

 

胸が痛む。小さからぬ、否、胸を刺すが如き激痛。全身に刻まれた傷痕が疼く。唇は震えて言の葉を紡げず、涙ばかりが溢れ出る。

 

嗚呼、本当に――本当に、時というのはなんと惨酷であろうか。

 

「うっ……く……ぅ!」

 

砕けた看板。荒れた庭。焼け落ちた学舎と離れ。朽ち果て、緑に覆われ、かつての面影を僅かに留めるのみとなった廃墟。

 

「っくぅ……!」

 

膝から崩れ落ちる。膝で地を打つ痛みは鈍く、胸の痛みは鋭いばかり。己が腕で胸を引き裂くかのように、力一杯爪を突き立てる。

 

食い縛った口の中に血の味が滲み、やがて口元からその一滴が地に落ちる。躰を震わせ、少女は無尽の苦痛に喘いだ。

 

「っ……っ!」

 

時間にして、一刻ほど。日が傾き、空が少しずつ赤色を帯び始めるまで、少女は独り慟哭し――立ち上がり、歩み出した。

 

最後に訪れた、あの日から数年。此処の主は既に亡く、その貴き人格と業績を称えた、小さいながらも立派な祠が、この奥に在る。

 

少女の友人であり、近傍に領地を持つ豪族が、建立の費用を出してくれた。その時既に、少女はそれを用立てられる立場にはなく、

 

それが出来る状況でもなかった。先日別れを済ませた彼女は、「僅かながらの罪滅ぼし」と言ってくれたが。

 

此処の主は、このような祠が築かれることを望まなかっただろう。至極小さな墓さえあれば、それで良しとしてくれた筈だ。

 

それでも、少女は祠を建立した。

 

「……」

 

それは、少女の偉大なる師でもあった此処の主への表敬であり。

 

「……」

 

それは、少女の最愛なる母でもあった此処の主への贖罪であったから。

 

「……」

 

救えなかったから。

 

「……」

 

願いを裏切ったから。

 

「……」

 

もう、二度と此処には来れないから。

 

「……先生」

 

――少女は、其処に眠る人に声を掛けた。

 

「今日は、お別れを……しに来ました」

 

返答がある筈も無い。既に、少女のその言葉を向けられた者はいないのだから。

 

だが、不思議と少女には感じられた。この地に残る、師の残り香が――紙と本と墨の匂いばかりする――少しだけ、苦笑する。

 

出会ったばかりの頃は、そんな師の匂いに怯えたこともあった。無理も無かった。少女は物心つく前に両親を亡くし、剰え親類を

 

盥回しにされた挙句に此処に流れ着いたのだから。厳密には師が引き取ってくれたのだが、あの頃は知る由も無かったのだ。

 

「やっと来たかと思ったら、いきなり可笑しなことを言うでしょう?此処にいるのだから、またいつでも来れば良いと……」

 

幾度の輪廻を経ても、変わらず己が師であり母であった人。定められたことだったにしても、それは紛れも無く幸福なことだった。

 

「ですが……私はもう、二度とあなたに会いに来ることが出来なくなります」

 

だから、時が迫る中でも此処に来た。恩師に最後の別れを告げるために。

 

少女は間も無く、この世界から退去する。死ぬわけでは無く、新たな世界へと旅立つのだ。己の居場所を打ち棄てて、数年に渡る

 

旅をしてきた少女は、此処でその旅を終える。そして、此処からまた新しい旅を始めるのだ。そのために、此処に来た。

 

「……私は新しい世界に旅立ちます。此処とは違う、遠い世界に。なので、これらは置いていきます」

 

少女は、背嚢から一つの包みを取り出した。包みを開き、その中身――畳まれた服と羽扇、そして短刀――を、師の墓前に供える。

 

胸元に着けていた鈴も外し、服の上に置いた。

 

かつて少女が此処を離れる時、身に付けていたもの。ほとんどは既に処分したが、これらは今日に至るまでずっと持ち続けていた。

 

それらを置いていくことで、愈々少女は全ての柵を棄て去ることになる――最後にもう一つ、置き去りにしなければならない。

 

「……先生の弟子である、諸葛孔明は死にました。この名も、此処に置いていきます」

 

それを告げる。その名が己を繋ぐ『軛』でしかなかったことも、既に少女は知っている。だから、置いていくことに躊躇いは無い。

 

「それを、『好』としてくれますか?」

 

此処に眠る師に、訊ねる。少女は目を閉じ、私塾を旅立つ時、見送ってくれた時の師の姿に想いを馳せる。

 

目蓋の裏に、在りし日の師の姿が浮かぶ――私塾を出ると言った時も、いつもと全く同じように、穏やかに「好」と言ってくれた。

 

此処から始める新しい旅のことも、或いは態々言葉にしなくとも、師は最初から全てを承知しているのかもしれない――

 

 

 

――(ハオ)

 

 

 

――そう、聞こえた気がした。言葉にして伝えたからこそ、師が答えを返してくれたのだと思えた。

 

「ありがとうございます……さようなら、先生」

 

少女はすっくと立ち上がり、最後に一礼だけして、踵を返した――。

 

 

□あとがき(という名の言い訳)

 

――皆様ごきげんよう、Jack Tlamです。

 

零章はそれぞれ短めのお話を幾つかやっていきたいと思っています。全て現代世界が舞台です。まだ外史の扉は開いていません。

 

その割にはいきなり殺伐とした場面から始まりましたが……あの伏字はやり過ぎたかな。

 

 

 

ちなみに、我が家に電気ケトルなんて洒落た代物はありません。未だにガスレンジのやかんが甲高い悲鳴を上げております。

 

 

 

今回は、休日に自宅で過ごす二人の、それぞれの眠りの中で見た夢でした。

 

平和を日常として受け容れることが出来たとはいえ、過去はいつまでも現在の自分を追って来るもの。二人の苦痛が消えることは

 

無いでしょう。普段は意識せずにいられても、ちょっとしたことで血が噴き出すような。そんな傷痕を抱え続けるのでしょう。

 

 

 

尚、文中で一刀が朱里の頭髪について言及した部分ですが、違和感を覚えた方がいらっしゃると存じます。

 

文中では「随分と長く鋏を入れていない、癖の無い薄い金色の髪」となっていますが、御存知のように朱里の髪は肩にかからない

 

程度の長さです。色はそのままでも、長さで言えば……そうですね。流石に髪を切る前の蓮華ほどではない(蓮華は王位を継ぐ前、

 

脹脛の半ばまで毛先が届く超ロングヘアでした)ですが、臀部は完全に覆われ、太腿の半ばまでは届いてしまうようなロングヘア

 

というイメージです。普段は一本の大きな三つ編みお下げに纏めています(某ルーラーの如く)。

 

色々あったのと、流石に時間経過もそこそこあったので、朱里の容姿は原作のそれとは随分違っています。面影はあるし、幼さが

 

残る顔立ちですが、彼女と親しい間柄の恋姫でも、言われなければすぐには気付けないレベルで別人です。

 

一発で気付けるとしたら、おそらくは……。

 

こうなった理由についてはいずれ作中で判明します。

 

 

 

……胸はどうなったかって?取り敢えず、桂花は間違い無くキレますね。後は……華琳が『絶』の柄に手を掛けることは確実かと。

 

プロフィールは零章が終わったら出します。流石に体重は非公開(乙女の秘密)ですが、身長と3サイズは出します。

 

 

 

嘔吐するシーンの描写の難しさを痛感した次第。これを文字だけでやろうとするとキツいです。

 

 

 

次回は朱里がメインとなるお話になります。お楽しみに。

 

 

 

 

 

追記(2019/09/20)

 

 

旧版は残します。今思うと粗ばかりの旧版ですが、この改訂版の叩き台になっているのも事実なので、残します。

 

 
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