【総評】
今回のコンテストは、応募総数や平均クオリティの高さなどにおいて、
開催側の予想を大きく上回る展開となりました。
皆様、たくさんのご応募、本当にありがとうございました!
選考はとても難航したのですが、「衣装デザインコンテスト」という名目上、
衣装デザインの奇抜さや、発想の面白さに選考基準を絞り、下記のような結果となりました。
どの作品も甲乙付けがたく、また、プロ級のハイレベルな作品を泣く泣く見送らねばならないシーンも多くあり、まさに、嬉しい悲鳴を響かせながらの選考となりました……。
この冬にマール社から発行予定のコスチュームメイキング技法書には、
今回、入賞された皆様の素晴らしい作品を収録します。
その他にも、別のモチーフとの組み合わせ、さまざまなアレンジ方法など、あらゆる面で実用的なコスチュームメイキングのノウハウを、オールカラーで紹介する予定です。
発売まで、どうぞ楽しみにお待ちください!
【選考基準】
- ベース×モチーフ(何を描いているか)が、明確に分かる
- デザインの独創性
- テクスチャーの質感表現(布、金属などの素材)
- 衣装の見栄え、衣装に魅力があるか
- 技法書用のコンテストなので、他の人が見た時に参考になる、お手本にできる、真似したくなる要素がある
水森みけ さん
形の無い「風」というモチーフを、曲線の模様やフワッとした服の素材で表していますね。
透ける素材の塗り方も上手く、清涼感を感じさせるデザインです。
統一感ある配色の中で、胸元や帽子の飾りが、さりげなくアクセントを利かせているところも素敵です。
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ekm さん
まず、パッと見て、スカートのギア(歯車)が目に飛び込んでくるという、思い切ったデザインが良いですね。
背中の大きなギアも、リボンのようでかわいい!
帽子の飾りやタイツ、ジャケットのボタンのデザインなど、細部も凝っていて見応えがあります。
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音月もづく さん
「土」と聞くと地味になりがちな印象ですが、茶色をベースにしつつ、ゴージャス感が出ています。
宝石の配色や、スカートの隙間から見える青い布など、差し色の使い方がとても上手い!
鉱石をかたどったフリルなど、細かくて自由なアレンジも面白いですね。
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灯章 さん
ネイティブ・アメリカンの特徴的な民族衣装に、尾長鶏のトサカや羽が違和感なく融合していて、
こんな合わせ方があるんだ! と驚かされた一作です。
鶏の足跡のアクセサリーやベルトなど、小物使いも上手くて、参考になります。
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nasako さん
クジャクの色をメインに据えたことで、シンプルなデザインながら、モチーフが明確にわかります。
羽根の重さと軽さを感じさせる、曲線の描写も見事!
飾り羽根=オスという、動物の生態に基づいた設定も面白いですね。
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深山キリ さん
あえて土の色を全面に押し出すことで、シックなゴスロリの雰囲気を際立たせているところが素晴らしいと思いました。
鉱物の金をアクセサリーとして取り入れることで、地味さを感じさせない工夫も良いですね。
ドレスそのもののデザイン性の高さも、大きなポイントだと思います。
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形状 さん
紅白たすきの大胆なサイズが、とても印象に残りますね。
片袖と頭の飾りで、左右のバランスを取っているところも見事です。
メカ部分も少しくすんだ色で、和服や全体の雰囲気になじんでおり、全体的にすごく統一感のあるデザインだと思いました。
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しいな さん
ペンギンの特徴的なモノトーン配色と、あの可愛い歩き方を思わせるポージングなど、
モチーフの魅力をそのままキャラの魅力にうまく生かしていますね。
マリンモチーフや、ゴムっぽい素材感の使い方にも、物語性があって面白いです。
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有村 さん
ちょっとマニアックな(?)イヌワシというモチーフで、ゴスロリの雰囲気を上手く引き立てていて面白いな〜と思いました。
リボン使いなど、ゴスロリ衣装そのものデザイン性も高く、シンメトリー(対称的)とアシンメトリー(非対称的)の使い分けも上手いですね。
ドレスをデザインする時の参考になると思います。
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cha さん
キャラの細身の体型と、ごつごつしたメカの対比に、ドキッとさせられた作品です。
メカをアクセサリー感覚で身に着けている感じも、新鮮でした。
制服そのもののデザインも、シンプルながら凝っていて、袖の広がりや、
赤いネクタイがアクセントになっていますね。
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仲原 さん
水の紋様を数パターン、衣装のパーツそれぞれに合った場所に配置しているセンスに惹かれました。
一見、無関係そうな「東欧」と「水」という2つのテーマが上手く混ぜ合わさっていて、
どこか海の近くにこんな国がありそう、と思わせる魅力がありますね。
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ウツヒラ さん
サンゴのツノ、岩のような下駄などから、竜宮城を思わせる衣装ですね。
水の表現は、雫や波など、流線系を使ったデザインが多かったなか、
それらを使わずとも、海の深さや水の透明感をうまく表現していて、魅せ方の巧さを感じます。
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musubi さん
お洋服屋さんで売っていてもおかしくないおしゃれなデザインだな〜と思いました。
化石や鉱物をさりげなくアクセントにしていたり、細かいところにこだわりがあって、
落ち着きのある中にも、華のある衣装ですね。
土器型のブーツと手袋も独創的ですし、帽子の埴輪や双葉もかわいい!
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ネコ太郎 さん
ブーツの装飾の、なめらかに動く炎のようなデザインが印象に残りました。
スカートの裏地に、火の粉が飛んでいるようなテクスチャを取り入れているのも斬新です。
重ね着のスカートなど、制服のデザインも素敵ですね。
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inari さん
リーフシードラゴンという変わったモチーフを生かして、本来はシンプルな学ランを、
迫力のあるボリューミーな印象にしているのが、思い切りがあっていいな、と思いました。
キャラクターの背景に、物語が見えてくる感じです。グラデーションも綺麗ですね。
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ふかみどり さん
植物モチーフを、たくさん散りばめつつも、統一感を持って上品にまとめているところが良いですね〜。
衣装のデザイン性を壊さないように、モチーフ(植物)をしっかり際立たせる、
そのバランスの取り方が、とても上手いと思います。
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mochi さん
和服の構造を上手く活かして、変型させているのが面白いですね。
配色、キャラのポーズ、モチーフの使い方、全てが絶妙になじんでいる感じがします。
キャラクター自体が、モチーフと一体化したような面白い印象を受けました。
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小日向らいち さん
座り込んだポーズが、落ち葉風のスカートを一層、印象づける構図ですね。
全体の枯れ葉っぽい配色もキレイですが、
ポーズによって衣装を映えさせるという意味でも、目からウロコが落ちた作品でした。
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ツキカゲ さん
チロリアンテープを施した民族衣装のネイティブな持ち味と、
モチーフ(ホッキョクギツネ)の毛皮の温かい感じをうまく融合させたデザインだと思います。
毛皮部分に、ホワイトとオフホワイトの2種類の白色を使うことで、単調にならないようにする工夫も面白いですね。
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murach さん
雲紋様、頭の飾り(吹き流し)、風車、風鈴、扇子など、「風」から連想されるモチーフを、
適材適所でうまく配置しているなぁ〜と思いました。
色遣いやキャラのポーズ等も含め、全身から「風」を感じることができる一枚です。
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hariko さん
絵としてのインパクトという点で、全応募作品の中でも高い存在感を放っていました。
シンプルに見えてアンシンメトリーなスカートはもちろん、スカーフや髪飾りにも、
大胆にアレンジを加えているところに、高いデザインセンスを感じます。
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灯章 さん
抜き加工になっている花のマントの可愛さが、審査時に高い支持を得ました。
民族衣装らしさを残しつつ、広く応用が利きそうな、良いアイデアですね。
木の根のようなブーツのデザインも面白いです。
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あも さん
水玉・水滴・ブルーの配色と、要素をふんだんに使いつつも、全くしつこさのない良いデザインですね。
濃い青を使う部分を限定することで、メリハリを利かせているのかな? と思いました。
傘の先や足下に紺色を持ってきているのも、安定感が出ていいですね。
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ゆえなつき さん
タンチョウヅルというモチーフの持つ可憐なイメージを、
配色、衣装のシルエット、キャラのポーズなどの総合的な面で、見事に再現していると思いました。
一見、モノトーンでシンプルな印象ですが、細部にこだわりの見えるデザインで、物足りなさを感じさせません。
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くれ さん
燕尾服=ツバメという発想に戻してから、ゴスロリに取り入れる、という展開が面白いデザインです。
空色のレース、モノトーンの配色、赤いスカーフからも、自然とツバメを連想できます。
黒いドレスでも暗くならず、軽やかな印象を受けた一枚でした。
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茶波 さん
「扇のモニター」というアイデアが、新旧文化の同居という感じで目を引きました。
セクシーなサイバー風の芸妓さんという、キャラクター設定もしっかりしていて良いですね。
ブーツの機械パーツも面白いです。
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天満 さん
巫女さんの袴に、電子回路の柄をはめこんであるのが面白いエフェクト(効果)だなと思いました。
メカ要素を、アクセサリー的に楽しんで使っている感じが良いですね〜。
キャラの動きや表情などにも華があり、見栄えのする作品です。
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Nia さん
スカートの形と植物模様がとても良くマッチしていて、破綻のない、
一貫した雰囲気のもとによく練られたデザインという感じがしました。
素材の描写に透明感があり、暗めの配色でも重く見えないのがすごいですね。
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神木せな さん
ナスカの地上絵や土器の柄という土モチーフの発想が、なるほど! という感じで、斬新でした。
ストールのグラデーションや宝石の表現もキレイで、落ち着いた雰囲気の中にも華がありますね。
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かるもん さん
服の柄、髪の毛、腰の帯などで「風の流れ」を徹底して表現していて、統一感があっていいですね。
風に乗って暗躍する忍者の姿が目に浮かぶようです。
袴の浅葱色も綺麗ですし、紅色の巻き物と風車のアクセントも利いていると思います。
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akito さん
メカ感を出しつつも、ごつごつした感じのないスタイリッシュなデザインで、
キャラクターの可愛らしさが引き立っていていいなと思いました。
円形モニターもハイセンスですし、服やメカの立体感が分かる描写力も見事です。
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れいら さん
炎のように見えるバラ、炎を逆さにしたような縦長のフリル、傘のボリューミーな装飾など、
炎を連想させるイメージで一貫してまとめてあるのが、分かりやすくていいですね。
グラデーションも凝っていて、審査時に高い評価を受けた作品です。
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ネコタ さん
デザインもかわいいのですが、袖の裏や折り返し、靴の立体感などの描写が丁寧で、
ファンタジーの中にリアリティを感じさせる力量に感動しました。
裾や袖口に使われた羽根の素材も、風の軽やかさを感じさせますね。
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つのつき さん
狐=巫女・油揚げ・稲荷・神社・紙垂(しで)など、連想ゲームのように、
発想を広げて作ったデザインが斬新でした。
巫女(袴)の要素を制服に取り入れたデザインも、面白いですね。
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葉月結 さん
ベース(和服)を自在にトランスフォーム(変型)させるという意味で、強烈な印象を残した作品でした。
カエルの水かき、舌、蝿、蓮の葉など、モチーフの取り込み方も独創的で良いですね。
キャラの表情にも、世界観の一貫性を感じます。
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高橋陸 さん
歯車を横に倒してスカートの骨組みのようにするという、立体的な発想にハッとさせられました。
白と金をベースカラーにした、高貴感のある仕上がりもいいですね。
キャラクターの表情とポーズも含め、とても目を引きました。
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色s さん
メカを、暖かみのある有機的な色で描写するという、固定概念にとらわれない配色が面白いですね。
髪飾りもかわいいですし、民族衣装×メカという難しい組み合わせでも違和感のない、
なじみのいいデザインだと思います。
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準 さん
和服の袖の袂(たもと)をギミック化するという、着眼点がユニークです。
メカ部分の厚みがないのが、折り紙を連想させて面白いですね。
メカアレンジで、かつ和服が引き立つという驚きのアレンジでした。
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水海碧 さん
モニター風のスカートが斬新で、選考時、とても印象に残りました。
キャラクターの手を隠すほどの袖、顔を覆う詰め襟など、良い意味でモヤッとするような
引っかかりポイントも多く、エッジが利いている作品という感じがします。
ゴールドの金属パーツも、配色上のアクセントとして目を引きますね。
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骨軒 さん
服に水の柄を取り入れるデザインはいくつかありましたが、
服自体を水面のように波打たせて遊ばせるデザインが独創的だったのと、
女性の身体のラインがきれいに出た、アオザイの表現に惹かれました。
モチーフ(金魚)に対する愛情もにじみ出ていて、心温まる作品ですね。
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