漫画的男子しばたの生涯一読者
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漫画的男子しばたの生涯一読者

■エニックス激震? 〜雑誌

9月の雑誌シーンで注目を集めたのがエニックスの動き。エニックスといえば、ここ数年、「少年ガンガン」を核としたオタク系月刊少年漫画誌群で売上を伸ばし、漫画界の一大勢力となりつつあったのだが、このところちょっと雲行きが怪しくなっている。といってもエニックスがメインフィールドとしているオタク系月刊少年漫画誌は、正直いって筆者的には弱点的ジャンルで、あまりチェックしていなかった。エニックス唯一の少女漫画誌である「ステンシル」しか読んでなかったくらい。

まあそんなわけで詳しい事情についてはまったく分からないのだが、このところエニックス系雑誌で人気作品の最終回ラッシュが突然起きた。しかもこれが別に人気のなかった作品ではなく、どう見ても雑誌の主力であろうと思われるものばかりだった。いちいち数え上げるのが面倒なくらいの作家が、この流れの中で各誌から離脱している。浅野りん、森永あい、斎藤カズサ、天野こずえ、桜野みねね、箱田真紀、藤野もやむ……。一説には「ガンガンWING」の元編集長がスピンアウトして立ち上げたマックガーデンから出る新雑誌と関連した動きだとの噂もある。このあたり、とくに離脱した作家のファンにとっては引き続き要注目といえそうだ。

「コミック天誅」 (ホーム社)
コミック天誅
「コミック天誅」
ホーム社
いきなり堅苦しい話から入ってしまったが、9月創刊の新雑誌を一つ紹介しておこう。コミック天誅は、第15回で紹介した「コミック特盛」の11月増刊号扱いで創刊された新雑誌である。特盛はジャンプ系の作品の再録雑誌ということで、厳しい評価をしてしまったが、このコミック天誅のほうはちゃんと新作でかつ執筆陣もなかなか豪華。創刊号の執筆陣は、えんどコイチ、あだちつよし、作:池上司+画:柴山薫、松本零士、泉昌之、ならやたかし、宮崎克+坂口いく、若林健次、ほりのぶゆき、東坂前二+桑澤篤夫、八潮路つとむ、ちばてつや、森雅之。この中で注目は、なんといってもならやたかし「帰ってきたケンペーくん」。「ケンペーくん」は、憲兵姿の男が現代の日本に怒り、腑抜けた若僧共を刀でバッサバッサ斬って捨てるという非常に刺激的でカルトな作品だった。主張の極端さ、右に偏りまくった身もふたもないアプローチには驚かされるばかり。まさかそれがこうして蘇ることがあろうとは……。コレを読むためだけでもコミック天誅は買う価値ありだと断言しておきます。 >>次頁
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