タニグチリウイチの出没!
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タニグチリウイチの出没!
タニグチリウイチ

子供達はいま何で遊ぶか

テレビが映画にとってかわって“娯楽の王様”ともてはやされ、小説よりもマンガが“読書”の主流になってしまった歴史になぞらえて、子供の娯楽も昔ながらのおもちゃから、コンピューターを使ったTVゲームがこれからは中心になるんじゃないか、なんてことが言われてる。新型ゲーム機の発表会がテレビのトップニュースに流れたり、一般の雑誌にゲームを紹介するコーナーがレギュラーで登場するようになったりと、メディアのTVゲームに対する関心も高まる一方。情報がメディアを通じて入ってくる以上、もはやゲーム以外の子供の娯楽は衰退するばかりだ、なんて錯覚を覚える大人がいたって不思議じゃない。

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PSと「iモード」の接続を発表する会見も毎度まいどの大にぎわい

もちろんその流れは今も続いていて、任天堂のゲーム「ポケットモンスター金・銀」は出ればたちまちミリオンヒット。コナミのカード対戦型ゲーム「遊戯王デュエルモンスターズ」も第3弾が出て快調に売上を伸ばしている。8月末に迫った「ドラゴンクエスト7」にもきっと行列が出来るだろう。前の作品が出てから5年以上も経過した「ドラクエ」に果たして子供たちが関心を持つのか? という疑問もあるけどそこはさすがに堀井雄二、TVコマーシャルはSMAPを使って大人の関心を惹きつつ舞台を小学校にしてしっかり子供達にアピールしてる。

「ポケットモンスター」の間隙を縫って出たゲームボーイ用ソフト「ドラクエモンスターズ」も、収集・育成・交換の「ポケモン」フォーマットを巧みに取り入れて子供達に大受け。古くからのファンにはちょっぴり残念だけど、「ドラクエ7」をその“続編”として買う子供達は多そう。と聞いて「なーんだ、やっぱり子供の娯楽の中心はTVゲームじゃないか」と思われても今の段階では仕方がない。そんな状況に「TVゲームばかりやる子供は現実とゲームが区別つかなくなるんじゃないか」といった具合に、危機感をもって煽る大人やメディアもある。最近立て続けに起こった事件でも、TVゲームの影響がまことしやかにささやかれている。

もちろん「相関関係はあっても因果関係は明らかになっていない」と反論は可能だけど、そういった問題についての議論が戦わせている大人達の思惑を横目に、子供達の関心はゲームから離れようとしているんじゃないか、といった思いが浮かんで来る。大勢集まるイベント会場なんかをのぞくと、子供たちの娯楽が決してゲーム「だけ」じゃない、というよりゲームよりも熱中していそうなものが実にたくさん存在しているのだ。

“脱”TVゲーム

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「ミニ四駆」に続くタミヤの新機軸「ダンガンレーサー」、モーターのついたボブスレーみたいなもの?

「次世代ワールドホビーフェア」というイベントがある。小学館のマンガ誌「コロコロコミック」で紹介されているゲームやおもちゃを展示して遊んでもらおうという趣旨で開催されているイベントで、最初の頃は小学館の「コロコロ」ファン感謝イベントショーのようなものだったけど、「ミニ4駆」から「ポケットモンスター」「ハイパーヨーヨー」と続いた子供たちの流行のすべてが、この雑誌発信だったりしたことから、集まる子供たちの数は年々ふくらんで、今では夏と冬の年2回、東京地区では「幕張メッセ」で大々的に開催されるようになった。

すごいのは「東京ゲームショウ」には出展しない任天堂がしっかり出展していることで、ソニー・コンピュータエンタテインメント、セガ・エンタープライゼスとあわせて、世界に冠たる日本のゲーム機メーカー3社が揃い踏みする、日本で唯一のイベントとしてゲームファンからも注目されている。それほどまでにゲーム会社が力を入れているんだから、子供達もゲーム機に飛びついて新作ソフトを遊んでいるかというとさにあらず。長蛇の列を作っているのはカードやおもちゃの限定品、先行品を販売するコーナーだし、床に座り込んで組み立てているのはタミヤが「ミニ四駆」の栄光よもう1度、といった感じで投入して来た「ダンガンレーサー」だったりする。

とりわけカード類の人気はすさまじい。中心になっているのは「コロコロ」のイベントらしく「ポケモン」のカードだったりするけれど、6月末の暑くなり始めの空の下を何時間も待ってはカードを手に入れ勇んで返るその姿を見ていると、今は30代の大人達が子供の頃に熱中した「仮面ライダーカード」の人気を思い出す。ただし当時と違うのは、カードはただコレクションするだけでは楽しくないということ。「ポケモンカード」は対戦したり、交換するといった他人とのコミュニケーションがあって、その楽しさをすべて味わえるように作られているトレーディングカードだからだ。>>次頁

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