マーカス・ポップ:「オヴァルプロセスは公開しないよ……(要約)」
があーん! そんな……楽しみにしてたのに……。「これを使えば、誰もがオヴァルになることが可能なんだ」……その言葉ずっと信じていたのに……。オヴァルプロセス専用機にマッキントッシュ“G4”用意しておいたのに……貯めといたお年玉ぜーんぶ使って!
佐々木敦:「オヴァルプロセスのインスタレーション、しばらくドイツ文化会館におかせてもらえることになりました(要約)」
ええっ、うそっ、もしかしてビッグチャンス? わたし行きます……取材に!
臨時企画
「オヴァルになりたいっ!」レポート
日時:5月30日(水)
会場:ドイツ文化会館一階ホワイエ
というわけでわたしはインスタレーション“skotodesk”の前に立っています。はじめて対面するインタラクティヴ・コンテンツの姿は、すこしスケルトン仕様の透明な箱で、よく見るとたしかにマッキントッシュが積み込まれてます。高そうです。ベルリンのポツダム広場から、アメリカ中を旅して、ようやく東京まで辿りついたわりにはかなりきれいです。さっそく写真を撮らなくては……。
……カ、カメラを忘れちゃいました! なんという失態、許されざるミステイクです。画像が載せられないぶん、なにか臨場感を再現しなくてはなりません。……苦手なのに……とほー。
はい、まず“skotodesk”はわたしの腰より上まであります。四角いです。左半分にディスプレイがあって、右にはボタンとトラックボールがあります。透明な箱の内部にはマッキントッシュがスピーカーごと入っているみたいですね。さっきからオヴァルサウンドをうわんうわん鳴らしてますが、ここ一階ホワイエは残念なことに無人です。というか、ホワイエって何ですか?
インターフェイス・ディスプレイはここを見てもらえると、いろんなことがほとんどすべてわかるようになっています。簡単に捕捉しておくと、オヴァルプロセスには「メトロノーム、テンポ、BPM、スケール、構造、時間軸」の要素は含まれていません。これはマーカス・ポップの意図だそうです。代わりに左右のスピーカーと上下の「loud/soft」を軸とした空間があって、そこにサンプル音源をドラッグ&ドロップしながら、各種エデイター機能を使って音響を構築していくのです。
わたしも試してみましょう。れっつめざせオヴァルサウンドッ!
……「ごぉー」サンプルをブラウズすると「ごぉー」すでにオヴァルサウンドです!……「ごごぉー」これだけですでにオヴァルに「ごごぉー」なった気になれます。お手軽すぎます“skotodesk”
(十分経過)
……けっこう奥が深いようです。いまループ機能を自分で設定することをおぼえたところですが、これがなかなかどうしてオヴァルです。目標にしてるサウンドは、最近の『オヴァルプロセス』的な「ごごぉーごごぉー」というあれです。いまだ一階ホワイエは不気味なくらい無人で、ひとりで盛りあがってます。「ごごぉーごぉー」 ……オヴァル!
(さらに十分経過)
だんだん「ごごぉー」にあきてきました。音源を変えて“94 diskont”の頃すきだった教会音楽みたいな神聖サウンドを目指します。……「ほぇー」……おおっ、ぴったりのサンプル発見しました! 「ほぇー」「ほぇぇー」……音を多層的にしていくと、いつのまにか、どことなく“do while”に近づきつつあります。……うーん、プロセス!
(そして三十分が経過)
いやー、とんでもなーい!“do while”version 2.……はてしなく遠いです! 音そのものがちょっと小さくて……は理由になりませんか、ポップ先生!
……さてさて、「オヴァルになりたいっ!」という想いをかなえるためにおこなわれたこの企画。結果からいうと「かなりなれた気がした」レベルです。これは思いのほか、高い評価なのではないでしょうか。“do while”version 2.……はさすがに無理があるとしても、いま以上に高度な戦略で構築すれば、オヴァルになることは全然夢じゃないと思いました。
無人のホワイエにもようやく人が集まりはじめました。そしてわたしが“skotodesk”とグッバイするのを静かに待っているようです。どうやら三十分は遊びすぎたみたいですか?
……ええ、それでは6月8日まで開催されているこのインスタレーション展示、読者のみなさんもぜひチャレンジしてみてください。……“Be OVAL!”◆
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オヴァルプロセスのインタラクティブ・インスタレーション版の展示
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会期:
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5月29日(火)〜6月8日(金) (月曜日-金曜日:9時から20時まで、土曜日は9時から17時まで、ただし最終日8日は15時まで、日曜日閉館) |
会場:
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ドイツ文化会館1階ホワイエ
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