No.99841

連載小説23

水希さん

第23回

2009-10-09 11:11:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:371   閲覧ユーザー数:371

夕飯が終わると、我が家じゃ勉強タイムだ。

親が厳しかったから。

おかげで、今でもテレビを見る習慣はあんまりないし。

 

「勉強って言ってもなぁ…」

 まだ授業始まって日にち浅いし、する事ないんだよなぁ…

 

チリンチリーン♪ チリンチリーン♪

 

 真新しい教科書を前に唸っていたら、メール着信を知らせる鈴の音が。

「この音は…木谷さん?」

 一応、友人は着メロを分けているのだ。依存症を自覚するくらいだからね、

使いこなしてるってわけさ。

「ん、なんだろ」

 ピピッとメールを開いて確認する。ちょうどいい時間稼ぎが出来たね。

『今日はありがとう』

 タイトルは平凡。まぁ、今日の事を考えれば、来てもおかしくはないか。

こっちから送ってもいいんだろうけど、特に理由はない。

『今日は楽しい時間をありがとう。

短い時間だったけど、いつもよりながく二人といられて楽しかった。

というか、わがまま聞いてくれてありがとう。

 

あの後、無事に乗り換えて帰れたよ。

日本の交通網は偉大だね。

 

じゃ、また明日。

 

文芸部の見学、よろしく』

 

 うーん、木谷さんらしいっていうか。

「さて、なんて返信しようかな。つーか、普通でいいか」

 よし。まずはタイトル…さすがに『Re:』てのはね…

『こっちこそ』

 こんなもんか。

『こっちこそ楽しい時間をありがとう。

いきなり言われた時は驚いたけど、ああいうのもいいね。

 

でも、時間とお金が余分に掛かったんじゃない?

無理はしないでね。

 

じゃ、明日学校で』

 

 ふむ、こんなもんか。

 とはいえ、本文だけじゃ面白くないし、今の自分写メを付けてやった。

 

ピローン♪

 

 静かな部屋に、盗撮対策用のシャッター音(設定変えてるけど)が響く。

 

「よーし、添付っと♪」

 さて、行って来~い♪

 

 っと、さて、また教科書とにらめっこするか…

 

 って!

 

 私はふと思い出した。確か、部活案内の冊子をもらってたんだ。

「バッグの奥底に眠ってるはず…」

 がさごそと漁ると、それらしいのが出て来た。

「うはっ、こりゃ随分立派だあ…」

 立派な作りだと、とりあえず読むのが楽しみになる。

「何々?」

 

結局この夜は、部活案内の冊子を読んで更けて行った…

 

 

~つづく~


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択