楓のばらされたくない秘密とか、過去の失敗談とか、
探そうったって出てくるもんじゃない。
「むぅ~~~」
「ん? ちょっとえりか、どうしたの?」
「ホントに。倉橋さんどうしたの?」
い、いかん、どうやら本格的に悩みモードになってたらしい…
「え、えっと…ちょっと、脳内の過去を漁ってたんだけど…」
「過去の何を漁るっての。全く」
「あ、分かった。楓さんの情報でしょ。さっきの仕返し的な」
おぉ、鋭い。
「なんで分かったの?」
「だって、話の流れと態度と…たまーにちらちら楓さんの方見てたのと…」
「ちょっとえりか、なんてもんを漁ってたのさ。私に恥ずかしい過去なんてない!」
そうだったかなぁ…
「あ、一個思い出した」
「何々? 教えて教えて!」
興味津々のこの態度。多分、友達になって日の浅い木谷さんだ、
好奇心がデータを吸収しようと必死になってるんだろうな。
「忘れ物の話なんだけど…」
「ほうほう」
「そ、そんなのあったか? 私忘れ物は人並みにしか…」
おぉおぉ、脳内を検索しておる検索しておる。忘れてるな?
「ふふふん♪ 楓とは、中二の頃一緒のクラスだったんだけど、
なぜか美術の時間だけ忘れ物女王で」
「ほうほう」
「あーっ!」
お、思い出したね? キヒヒヒヒ♪
「ちょっと楓、叫ぶと周りの迷惑だよ。んでね、忘れ物女王で、
いっつも絵筆やら絵の具やら、色々忘れてたんだけど」
「ちょっと、そこから先は言わなくていい、言わなくて」
「楓さん、私は聞きたいけど」
ほほほ、いい風向きだ。
「というわけで、話すからね」
「ぐぐぐ…」
はっはっは、心地いい流れだ♪
私は、意気揚々と続きを語り始めた。
~つづく~
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第18回