「うぅ~~~、疲れたぁ~~~~」
怒濤の、嵐のような50分だった。
国語の授業って、あんな? イケメン先生って、あんな?
「倉橋さんには、苦痛だったかもね…私はあれくらいでも平気だけど…」
「木谷さん、実は勉強できるでしょ…あの先生、明らかにこの学校の先生じゃないよ…」
初日からいきなり進みすぎ。うちらへの質問高度過ぎ。もうぐっだぐだだよ。
「私が勉強できるなんてのはあり得ないけど…高校だったら普通じゃないの?」
「だって、進学校じゃないんだよ? もうちょっと和気あいあいとしててもよくない?」
確かに他の高校の進行具合は分からないけど、他の授業との比較はできる。
あれは明らかに早い。雰囲気もぴりぴりしてたし。
「みんな、イケメンで騒ぐ余裕無かったし…」
「確かに顔はよかったね。倉橋さんじゃなくてもそれは分かる。けど、
勉強が本分なんだし、顔はさぁ…」
う!
「き、木谷さん…なんですかその正論。私には通じませんよ? 例え先生でも、
イケメンはイケメン! 顔はいいにこした事ぁない!」
「力説されても…私には倉橋さんの方が注目に値するからなぁ」
むぐっ! こ、この言葉は…もしや…
「木谷さん…レズ?」
「ちょ、冗談! 彼氏がいない=レズって図式? それは困るんだけど…」
えぇ? そうなるの? そういう意味で言ったんじゃないのに。
これはちょっと補足しないと。こっちが変な認識持ちと思われちゃう。
「そういう意味じゃないって。私の方が注目に値するとか、髪を触りまくるとか、
言動が怪しいんだってば」
「そう? 女の子同士のコミュニケーションとしては普通でしょ」
普通かぁ? 私は怪訝なまなざしを送ってやった。
「ちょっと、何その目は。私は正常だって。これくらいじゃ勘違いにもならないでしょ」
「するっての! だって、その執着…」
い、いかんいかん。どんなに言っても勝てないんだった…
「ん? 執着がどうしたの? 続きは?」
「い、いいです。あなたはレズじゃないです…」
はぁ。疲れる。
「そ、よかった。それより、次の授業、何かなぁ…」
木谷さんは機嫌良くしてる。こっちが非を認めたような感じだからなぁ。
「次は数学です」
「なぬっ!」
ん? 血の気が引いたぞ?
「わ、私…数学苦手なんだ…ど、どうしよう…」
「どうしようって、んな大げさな~。私だって得意じゃないし~」
と笑ってみせるけど、木谷さんの顔はこわばったままだ。
「そ、そんな次元じゃないの。本当に…当時めちゃくちゃ先生に…」
「指導された? 怒られた?」
激しい勢いで頷きまくってる。こ、こりゃあやばいな…
「っと、そろそろチャイムだ」
「あぁぁぁぁぁ~~~~~~、すうがくがぁぁ~~~~~~~っ」
悲観する木谷さん。よし、弱点ゲットだ。数学苦手なのは私も同じだけど。
「さ、授業だね」
~つづく~
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
第13回