ローラはおばあさんの家まで付いて行くと荷物をまとめるのを手伝いました。スラム街の一角にゴミを集めて作った家に住んでいます。積み上げたゴミが今にも崩れそうでした。
「こんなところに住んでいたんですね…」
「役所で毎月もらえる少ない支援金で生活してたんだが家賃を払う余裕がなくてね」
「マルヴェールまでは遠いので荷物は私が持ちますね」
「ありがとう。助かるよ?マルヴェールはええところなのかい」
「空気と水は綺麗ですね。私のお母さんが治めてる国なんです」
「ん?あんた女王陛下の娘だったのかい」
「お母さんは女王って言っても普通の国民と何も変わらないですけどね。護衛も付けずに歩き回ってますし…」
「女王陛下が護衛も付けずに?あり得ない!」
「平等を謳っているので女王でも国民とほぼ同じ立場なんです」
「それであんたは王族とは思えないほど普通の娘みたいに育ったんだねぇ」
「王族だと言われても実感はないんです。お父さんも庶民の生活をしてたから、私もそれが当たり前だったし」
「まあアラヴェスタではマルヴェールのお姫様なんて顔も知らないから、普通の娘と同じだがね」
「身分なんて人間が勝手に作ったものだから必要ないってお父さんは言ってました」
「お母さんが亡くなったら、あんたが次の女王になるのかい?」
「いいえ、世襲制度はお父さんが廃止にしたらしくて、私は継がなくても良いそうです」
「王族が世襲制度を廃止にするなんて聞いた事もないよ?」
「能力の高い人が次の国王になるから、国民の意思を聞いて決めるってお父さんは言ってました」
「なんだか聞いてた話と全然違って国民を大事にする国なんだねぇ。おっかない獣人にこき使われて苦しめられるって噂を聞いてたよ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第361話。