穢れたオーラを漂わせながら奥さんは喚き散らしています。
「だからマルヴェール出身の娘なんか雇うんじゃないよって私は言ったんだ!」
「ああ、こんな事になるなら、この娘がマルヴェール出身だとわかった時点でクビにしておけば良かった…。この娘は疫病神だ!」
「どこまでも腐り切った思考の人たちだな…」
ルークが呆れているとローラは泣きじゃくりながら訴えました。
「ごめんなさい…。私のせいでこんな事に…。私だけ捕まえてください…。店長は悪くないんです…」
「君のせいじゃないよ?目を覚まして…。この二人は君に全ての罪を被せようとしてるんだ」
「あんたがこの男の機嫌を損ねたから、仕返しでこの店を潰しに来たんだ!あんたのせいに決まってるだろ?」
「僕はそんな私怨で店を潰したりなんかしませんよ?僕に何のメリットもないですし、時間の無駄なので他の仕事をしますね。僕もそこまで暇ではないので」
「メリットならあるだろ?この娘を言いなりに出来る」
「仮に僕がこの娘を好きだったとしても、そんなやり方で言いなりにしたいだなんて思いません。もっと別のやり方で好かれるように努力する」
「フン!公務員なんてみんな金の亡者だろ?」
「はぁ…、僕の知る限りマルヴェールの公務員には金の亡者は一人もいませんけどね?」
「あんただってどうせ貧乏人から高い税金をふんだくって、私腹を肥やしてるんだろ?」
「確かにアラヴェスタはそうですね。マルヴェールは安い税金で、ほとんど国民に還元してますよ?」
「マルヴェールは底辺の集まりだろ?能力の低い者ばかりが集まって、傷を舐めあってるだけだ。ロクな人間はいないって聞いてるよ」
「これ以上、話しても無駄なようなので、任意同行してもらって、この二人に取り調べを受けてもらいましょうか?」
「第一級魔術師連盟の犬め!あんたには血も涙もないのかい?」
店長と一緒に喚き散らしている奥さんを騎士団員は取り押さえて無理やり連れて行きました。おばあさんはルークに尋ねます。
「ところでマルヴェールってところに移住するには、どうしたらええんじゃ?」
「移住希望でしたらマルヴェールで受け付けていますので、この娘に案内してもらってください」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第360話。