マルヴェールの出入り口付近にレッドドラゴンの寝ぐらがあるのですが、子供たちの遊び場になっていて、子供には優しくて大人しいドラゴンなので、マルヴェールの住民は誰も恐れてはいませんでした。
「マルヴェールってそんなに厳重な警備だったんだ…。知らなかった」
「前に第一級魔術師が移住を希望していたんだが、給料の少ないマルヴェールに移住したがる理由がわからなくて、フラウは受け入れを拒否していたよ」
「確かに貧しい人には住みやすい国だけど、ここに出勤するなら家が遠過ぎますよね…」
「亡くなったユリアーノも出勤がラクだと言う理由で、城下地区に住んでいたからね。アラヴェスタは物価が高いが給料も良いから暮らしていける」
「ウィルスさんってやっぱり悪い人なのかな?優しそうな喋り方だけど、オーラはすごく濁ってたんです。だからどうしようか悩んでて…」
「なんの話をしていたのか知らないが奴には気を付けた方が良いよ?」
「最近、ルークのオーラも少しだけ濁って来てるから心配なんです。多分、ストレスが原因だと思うんだけど」
「僕のオーラも濁っているのかな?ナタが妙に優しくしてくるんだ…」
「うん、でもリリムお姉さんに習った方法でガス抜きしてあげたら、また綺麗なオーラに戻ってたから大丈夫かな…」
「僕もナタがいなかったらストレスが爆発して魔術師連盟を皆殺しにしているところだよ?」
「ルークはその方が平和になるって言ってたけど、他に方法はないのかな」
「仮にこの情報をマスコミにリークしたとしてもじきに揉み消される」
「私のお爺ちゃんが没落した理由も魔術師連盟の情報をリークしたからなんですよね?お父さんから話は聞いてます」
「ああ、一時的には英雄扱いされるが、叩いて埃の出ない者はいないから、関係ない事を暴露されたり、親族に手を回して離縁させられたようだね」
「お爺ちゃんは何も悪くないのに可哀想…。お父さんも魔術師連盟には手を出さない方が利口だって言ってた」
「まあ僕も魔術師連盟を抜けたら、過去の女性関係を暴露されたり、奴隷だった頃に命令されて悪事を働いた事を暴露されたり、色々と面倒な事になりそうだよ…」
「なんでそんな事するんだろ?今は真面目にやってるから関係ないのに…」
「名誉を傷付けて社会的に抹殺する為さ?僕は政治家になってから、その手の嫌がらせをたくさん受けてたから、今更動じないけどね。ルークは傷付くかもしれないな」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第327話。