その頃、ローラは赤ん坊のゲイザーを抱えてアーク邸に向かっていました。途中でゴロツキに絡まれます。
「そこの可愛い姉ちゃん、こんな時間に一人で出歩くなんて、襲ってくれって言ってるようなもんだぞ?」
「赤ちゃんが大変なんです。急いでるので道を開けてください」
ゴロツキがローラを引っ張って無理やり連れて行こうとしたので、ゲイザーは小さな手を伸ばしてゴロツキの耳を掴むと、電撃を発して気絶させました。
「なんだ、このガキ…。魔法使いなのか」
「そこを通してください。お願いします」
仲間のゴロツキは道を開けてローラを通しました。
「おい…、電撃食らって死んでないか?」
「息はあるようだけど、魔術師ってのは赤ん坊でもあんな強ぇのか?」
「魔術師は恐ろしい連中だよ?逆らうと殺されちまう」
アーク邸に着いたのは夜九時頃でしたが、ナタがリリーを抱いて出迎えてくれます。
「アークはまだ帰らないのよ?最近、帰りが遅くて魔術師連盟で一体、何をしてんのやら…」
「魔術師連盟の秘密結社にまだいるのかな?」
「こんな時間に女子供だけで外を出歩くのは危険よ?護衛を付けてるなら、ともかく…」
「うん、護衛はなくても大丈夫だと思う」
「フラウおばさまほどの手練れなら大丈夫だけど、ローラはそこまで強くないでしょ?」
「急いでるから秘密結社に行ってみるね」
「そうね、酷い時はアークは朝帰りだから、ちゃんと寝てるのか心配してるの」
ローラが行こうとするとまたリリーがゲイザーの手を握って離そうとしません。ナタがいつもの指突きの技で引っぺがします。ところが今日は虫の居所が悪く、泣き始めてしまいました。
「リリーちゃん、ごめんね。また今度遊びに来るから」
秘密結社に着きましたが、入口で見張りをしている使い魔に止められてしまいます。
「ここから先は関係者以外立ち入り禁止です」
「緊急事態なんです。ルシファー・マルヴェールに会わせてください」
「ルシファー様はお仕事中ですので、誰にもお会い出来ません」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第281話。