ローラが泣き出してしまったので、ルークはローラの涙を指で拭いました。
「僕は君と結婚出来なかったら、一生独身でいるつもりだった。そもそも体が全く反応しないのに子供なんて作れないし、仮に出来たとしても僕と同じように、天界から監視されて抹殺される運命を背負わせたくないから、産まれてこない方が幸せだろう?」
「ゲイザーも天界から監視されて抹殺されるかもしれないの?」
「うーん、ゲイザーは勇者であるおじさんの魂を持ってるから、天界も監視はしてるはずだけど、抹殺される可能性は低いと思う」
「なんか嫌だね…。常に監視されていつか殺される!って怯えて暮らさなきゃならないのは」
「天界の言い分はこうさ。自分たちは善良なので信頼しなさい。あなたは凶悪なので絶対に信用しませんけどって。誰がお前らなんか信頼するか!って思うだろ?」
「ミカエル様はお父さんの事は信頼してるんだよね?」
「うん、おじさんが僕の息子に転生した理由は僕の息子を守る為でもあると思う。おじさんは先の先まで予測して行動を決める人だから、何も考えずに転生先を指定したとは考えづらい」
「今、ゲイザーは何を考えてるんだろ?まだ一言も喋らないから、ゲイザーの気持ちは私にはわかんないよ…」
「僕らの会話の内容を理解しようとしてるね。まだ言語能力が低いから意味は理解してないけど、僕らが喧嘩してる事はわかってるよ」
「この子が喋るようになったら、お父さんみたいな事を言い出すのかな?」
「うーん、僕はぶっちゃけキンダーガートンの時点でそこら辺の大人より賢かったんだけど、他の子供の喋り方を真似してバカなフリしてたから、ゲイザーもバカなフリして子供っぽく喋るかもね?」
「天才って楽しそうで良いなぁって思ってたんだけど、バカな人より苦労してるんだね」
「僕はむしろバカな奴らが羨ましいよ?何も苦しまずに生きられるように見える…」
「バカな人も苦しんでるよ?私、嫌な事はずっと忘れないもん」
「それは生存本能だから仕方ないさ?むしろ嫌な事すぐ忘れる奴は、野生の動物としては無能だからすぐに死ぬよ。危険な状況に陥ってもそれが危険だとわからないからね」
「私、バカだから野生の動物だったらすぐ死にそう…」
「過去の記憶をすぐに呼び出せる人が天才って呼ばれる。試験では役に立つけど、人間関係では役に立たない能力だが…」
「人間関係でも役に立つんじゃない?ルークは何ヶ月前に話した事も覚えてるからビックリする」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第259話。