「ルークも休日の昼間は家にいるし、うるさくてストレスが溜まったら良くないと思う」
「うーん、結構悩むなぁ。すぐ決められると思ってたんだけど、前に一回失敗してるから、次は失敗したくないし…」
「夫婦で意見が分かれておられるようですね。見取り図と条件を載せた書類をお渡ししますので、ごゆっくりご検討ください」
結局その日のうちには決められず、五百万と八百万と一千万の物件の書類をもらってマルヴェールの自宅に戻りました。三枚の書類とにらめっこしています。
「一千万のところは日当たりも良くてうるさくもなかったけど、大幅に予算オーバーだよ?手付金百万の月三十万の三十回払いはちょっと厳しい…」
「五百万のところは手付金五十万で十五回払いなんだね?やっぱりここにしようよ」
「だからそこは…。今の家と大して条件が変わらないじゃないか?何の為に引っ越すのかわからないよ。ここは日当たりが悪いから昼間でも寒いし」
「日当たりが悪いのは慣れてるし、遠くまで買い物に行くのも慣れてるよ?部屋数はここより多いし、良いと思うけど…」
「うーん、お父さんとお母さんが喧嘩してるのをいつも見てたけど、似たような状況になってるなぁ」
「価値観の相違ってやつかな?なんかお父さんとお母さんは、価値観の相違で言い争ってるのは見た事ないかも。大体はお母さんが不倫を疑って…」
「夫婦喧嘩のない明るい家庭を築きたいと思ってたのに、結局こうなるのか…」
「私もルークの事は怒らせないようにしようと思ってるんだけど、上手く行かないのね」
「別に怒ってるわけじゃないんだけど、ローラはどうして自分だけ我慢しようとするの?ローラが我慢して僕に合わせるのが嫌だよ…」
「合わせてると言うか、ルークが嫌な事を我慢させたくないだけだよ」
「わかった。一千万のところにしよう!それで問題は解決する」
「なんかルークって本当にお父さん似だよね」
「金で解決出来る事の方が簡単じゃないか?」
「私、市場で百ジェニー単位の買い物ばかりしてるから金銭感覚がついていけないわ…」
「百ジェニー単位とか細かい事はあんまり気にしないなぁ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第247話。