不動産屋は溜息を漏らしながら答えます。

「貧しい家の親は大体そんなもんですよ？金持ちの家の親は子供の心配をしますがね…」

「おそらく金がないと心に余裕がなくなるんでしょうね。金持ちの性格が悪いと言ってる貧乏人は多いですけど、高い木の上にある葡萄を酸っぱい葡萄だと思い込んで、食べられない事を受け入れたくない心理でしょう」

「やはりお客様は育ちが良いと感じます。話を戻しますが、ご予算が三十万ですと借家ではなく買取りの方でローンを組まれた方がよろしいかと…」

「ああ、僕の母も借家より買取りの方が資産が残って良いと言ってましたので、そちらの方でよろしくお願いします」

「良い物件がたくさんあるのですが、買取りの物件で一番安いのはこちらの五百万の物件になります。一番高いのはこちらの一億の物件ですね」

「五百万ならすぐに返済が終わりそうだし、ここにしようか？ローラ」

「そうだね。この広さなら私の実家と同じくらいの豪邸だよね」

「僕の実家はこっちの一億の物件くらいの広さだけど」

「ルークの家は空き部屋がいっぱい余り過ぎててもったいなくない？」

「お母さんもそう言ってた。もっと安い物件で良かったのに…って。お父さんが一人で選んだらしいけど」

「ルークのお父さんはちょっと金銭感覚がズレてる気はする…」

「お父さんは昔エリートだったから、その時の癖が抜けてないんだよ。反面教師にしようと思ってる」

「ナタお姉さんは私のお父さんの影響が強いみたいでドケチだよね…」

「おじさんはドケチなんじゃなくて、金銭感覚がしっかりしてるんだ。庶民派に見えるけど資産は結構あるみたいだし…」

「金銭感覚が夫婦で違うと喧嘩にならない？」

「たまに喧嘩になってるけど、お父さんがお母さんに謝って解決してる。お母さんがいなかったらお父さんはお金を湯水のごとく無駄遣いしてると思う」

「でもルークの実家って日当たりも良いから洗濯物が乾きやすいし、立地条件も良いからお買い物とか行くのラクで良いよね」

「ああそうか！ローラは家事やってるから、そう言うのも条件にした方が良いんだね。僕のお母さんは家事してないから、家事はお父さんがほとんどやってるなぁ」

…つづく