アークは演劇のナレーター口調で言いました。
「王子様とお姫様は末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。なんて絵本は腐るほどあるけど、僕が知る限り幸せに暮らしてる王子と姫は一人もいなかったね」
「王子なんて王宮から出られなくて退屈なだけじゃないか?普通の男の子に産まれたかった」
「街で暮らしてる普通の男の子は王子よりもっと苦労してるぞ?プロポーズして無理やり妻にする事も出来ないしな」
「無理やり妻にした事は後悔してる…。何も楽しいと感じない」
「元アラヴェスタ国王は全く愛されていない女を大勢抱いて楽しかったのだろうか?僕には理解できないが…」
「あんな奴と一緒にするな!ああ言う男にだけはなるなって父上からも幼少の頃から躾けられている」
「テオドール様の代からハーレム制度は廃止されたから、王族であっても妻は一人しか娶れなくなったが、世襲制自体を廃止にすべきかもしれないな…」
「世襲制を廃止すると、どうなるんだ?」
「この国から国王と王子がいなくなる。王国ではなく共和国となるから、我々議員が国を治めるだけだよ」
「そんな事ができるのか?知らなかった」
「下っ端の議員の僕にはそんな権限はないけどね」
「じゃあなんでお前は出世話を全部断ってる?父上が不思議がってた」
「なんで僕がそんな面倒くさい改革をしなきゃならないんだ?出世なんかしたら妻とデートする暇もなくなる。嫌だね!」
「お前にはそれができる才能があるんだろ!なんでやらない?」
「僕に何も利益がないからさ?金なんて最低限の暮らしが出来るだけあれば、それ以上はいらないしな…」
「ムカつく!僕がお前ならもっとちゃんとやるのに…。才能を無駄遣いするなよ?」
「僕が僕の才能をどう使おうが僕の自由だろ?なんで赤の他人の為に才能を使わなきゃならないんだ」
「ミッシェルはなんでこんな奴が好きなんだ?性格が悪過ぎるだろ!お前は…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第88話。