しかしナタはなぜか悲しそうな表情で言いました。
「アークの曲は好きなんだけど、聴くとあの頃の事を思い出すから辛くなるのよ…」
「そっか、じゃあ歌わない方が良いね…」
また沈黙が流れます。饒舌だったルークが喋らなくなった事と、サルバドールもリビングに降りて来なくなった事で、家の中が暗くなってしまいました。
「サルバドールも様子がおかしいし、どうしたのかな」
「サルバドールはミッシェルにフラれたからショックを受けてるんだ」
「あら?なんでそんな事を知ってるの…」
「ミッシェルに聞いたからだよ」
「そんな事を他人に言うなんてミッシェルって子は配慮が足らないわね…」
「あまり頭の良い子ではないね。僕の好みのタイプじゃないや」
「もしかして…あなたが大人になる魔法を使って口説いてた図書館の女性って言うのが、そのミッシェルって子じゃないでしょうね?」
「お母さんはどうしてちょっと話しただけで、全部わかってしまうの?他の子はたくさん話しても理解できないよ…」
「やっぱり!嫌な予感がしたのよ。アークが本気で口説いたら、ほとんどの女の子がそうなるから…」
「サルバドールの方が僕より性格が良いからってオススメしたんだけど無駄だったよ?」
「そんな言い方したら、余計にサルバドールが悪い子に感じちゃうわよ?」
「そうなの?僕、子供だからよくわかんない」
「サルバドールは良い子なんだけど、色々と損してるわね」
「それは僕もわかってるよ。サルバドールは嘘ついたり誰かを騙したりなんて出来ないから」
「恋愛って本当に好きな人より好きじゃない人との方が上手く行くものみたいだし」
「ふーん、僕はミッシェルが好きじゃないから上手く行くのかなぁ?」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第29話。