No.982963

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第二十三話

アキナスさん

戦場に散る者達・・・・・・

2019-02-07 08:24:07 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3500   閲覧ユーザー数:3072

戦場の後方で始まった袁術、孫策軍と袁紹以外の反董卓連合軍の戦い。

 

突然の裏切りに当初、反董卓連合軍の兵士達は混乱し、後背を脅かされた事による士気への影響はかなりのものだった。

 

だが、公孫瓚、馬超、曹操の尽力により、敵軍の攻撃に晒される中、戦線が崩壊する前にどうにか態勢を立て直す事が出来た。

 

「それにしても、ここで袁術が裏切るなんてね」

 

「董卓から事前に誘いが来ていたのでしょうか?それとも張勲辺りの入れ知恵か・・・・・・」

 

「どんな理由があるにせよ、今はこの状況を打開することが先決ね」

 

「はい。しかし、あまり時間もかけてはいられませんね」

 

「ええ。袁紹軍が持ちこたえている間にこちらの戦いを終わらせなければ。それを踏まえて何か策はある?」

 

「数は多いですが、袁術軍は所詮烏合の衆です。それに袁術軍の動きが緩慢なので、孫策軍が少々前に出過ぎています。まずは戦力を集中させて、孫策軍を叩くべきかと」

 

「それがいいでしょうね。もう少し兵力に余裕があれば、公孫瓚と馬超には機動力を活かして敵を削らせるなり、回り込ませるなりの有効な戦い方をさせられるのでしょうけど・・・・・・言っても仕方ないわね。桂花、公孫瓚と馬超に伝令を」

 

「はっ!」

 

「後は、麗羽がどれだけ持たせられるかね。少しでも麗羽を頼りにしなければいけない時点で、私としては負けてる気分なのだけれど・・・・・・」

 

 

 

 

 

「周瑜様!敵の攻撃がこちらに集中してきています!」

 

「こちらに狙いを定めてきたか。いかんせん前に出過ぎたな」

 

「くっ!袁術軍がもっとしっかり動いていれば」

 

忌々しそうに言う蓮華。

 

「言っても仕方ありません蓮華様。とにかく今は後退しましょう」

 

「しかし冥琳。後退と言ってもこの状況で下手に後退しては、こちらの被害も無視できないものに・・・・・・」

 

「どうやら、われらの出番のようですな」

 

冥琳と蓮華の話に加わってきたのは、一刀の親衛隊の隊長だった。

 

「お前は、一刀の親衛隊の・・・・・・」

 

「幾分か兵をお与えくだされば、我々が殿を務めてみせましょう。その間にどうぞ後退なさってください」

 

「だが、一刀に無断でお前たちを死なせる訳には・・・・・・」

 

「問題ありません。軍から離れる前にあの方から受けた命令は一つ。納得のいかない死に方はするな。それだけですから」

 

「しかし」

 

「自分で言うのもなんですが、我々ほどこのような任務に適している兵はいないと思っております。我々の戦人としての最後の大仕事、やらせてはいただけませんか?」

 

「・・・・・・」

 

結局、冥琳はその進言を受けいれ、一刀の親衛隊たちは幾分かの兵士達と共に殿を務める事となった・・・・・・

 

 

 

 

 

連合軍の先陣を切っていたのは趙雲、馬超だった。

 

「趙雲将軍!孫策軍は後退を始めました」

 

「逃がすな!皆、この趙子龍に続け!」

 

「お前ら!遅れるなよ!」

 

追撃に入ろうとする趙雲達。

 

「ここから先、通すわけにはいきませぬな」

 

そんな趙雲達の前に、殿に選ばれた孫策軍の兵士達が立ちはだかった。

 

「殿か?その程度の数で我らの足を止めようとは、見くびられたものだな」

 

そんな趙雲の前に、一人の老兵が歩み出た。

 

「趙子龍の一撃!冥土の土産にするがいい!」

 

目にも止まらぬ速さで、趙雲の槍は老兵の胴を刺し貫いた。

 

「見たか!・・・・・・むっ!」

 

「・・・・・・いい・・・・・・土産を・・・・・・もらったわい」

 

老兵は口と貫かれた傷口から血を流しながら、笑っていた。

 

趙雲の槍を両手で握りしめて。

 

「くっ!抜けん!」

 

その隙に、他の呉の兵士達が趙雲めがけて切りかかる。

 

「ちいっ!」

 

仕方なく愛用の槍を手放し、後方へ跳ぶ趙雲。

 

一方、馬超の前にも老兵が立ちはだかっていた。

 

「そらっ!」

 

馬超の必殺の突きを、老兵は自ら前に出てその身に受けた。

 

「なっ!?」

 

一瞬驚く馬超。

 

「正確に・・・・・・急所を突いてくる・・・・・・それゆえに・・・・・・少しずらせば」

 

老兵は馬超の槍に貫かれたまま、手にした長剣で馬超に対して攻撃を加えた。

 

「くそっ!」

 

避けるのが僅かに遅れ、かすり傷を負う馬超。

 

傷つくことを恐れず、自分の命を捨てて立ち向かう老兵達。

 

その意志は他の孫呉の兵士達にも伝播し、凄まじい気迫と闘争心を生み出していた。

 

「我らの命!欲しくばくれてやる!だが、貴様らにも相応の代償を払ってもらうぞ!!」

 

「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」

 

吠え、猛り狂う死兵の群れに、連合軍の兵士達は畏怖し、攻めあぐねた。

 

(・・・・・・一刀様。お先に)

 

 

 

 

こうして、一刀の親衛隊たちの奮戦により、孫策軍は後退を成功させた。

 

 

 

 

殿となった孫策軍の兵士たちは悉く討ち死にしたが、連合軍の戦死者はその倍近くとなっていた。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

一刀の親衛隊の戦死者たちは

 

 

 

 

一様に満足げな笑みを浮かべて死んでいたのだという・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

一方、董卓軍と袁紹軍の戦いはというと、

 

「つ、強すぎる・・・・・・」

 

「化物なのだ」

 

関羽と張飛の弱気な台詞が、戦況を代弁していた。

 

「「う~ん・・・・・・」」

 

加勢に来た文醜、顔良は呂布に挑み、あっという間に返り討ち。

 

「あっはっは!楽しいわねえ!」

 

「おのれえ!」

 

「やるのう!儂と弓でこれだけ張り合えるとは!」

 

「くっ!」

 

夏侯惇は雪蓮と、夏侯淵は祭と一騎打ちの最中。

 

そして残った関羽と張飛は必死に呂布を抑えようと全身全霊で立ち向かっていたが、そもそも六人がかりで抑えようとしていた呂布なのだ。

 

二人の負担は段違いであり、体力も気力も尽きかけていた。

 

「・・・・・・鈴々」

 

「分かってるのだ」

 

次が最後の一撃。

 

残された力の全てを込めて、呂布にぶつける事を決めた二人。

 

二人は大きく息を吸い、

 

「ぜやあーーーーー!!」

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ~~~!!」

 

渾身の一撃を呂布に対して見舞った。

 

だが、

 

「・・・・・・終わり」

 

呂布の一言と共に放たれた一撃で、二人の得物は天高く弾き飛ばされたのだった。

 

「・・・・・・ここまでか」

 

「・・・・・・くやしいのだ」

 

膝をつく関羽と張飛。

 

「・・・・・・」

 

無言で二人を見下ろす呂布。

 

「何をしている。殺せ」

 

「桃香お姉ちゃん。ごめんなのだ」

 

「・・・・・・」

 

観念した様子の二人に、呂布は手にした得物を振り上げた・・・・・・が、

 

「待った~~~!!」

 

呂布の後ろから待ったの声がかかった。

 

三人が声のした方を見ると、そこには馬に乗って走ってくる一刀の姿があった。

 

「よっと」

 

三人のそばまでやってきた一刀は馬を降り、呂布の隣までやってきた。

 

「貴様は・・・・・・」

 

「御使いのお兄ちゃんなのだ」

 

「呂布。こいつらは生かして捕らえよう。考えがあるんだ」

 

「・・・・・・こくっ」

 

一刀の言葉に首を縦に振る呂布。

 

「ふざけるな!殺せ!裏切者め!」

 

「鈴々たちは捕虜になんてならないのだ!」

 

「はいはい。負けたんだからおとなしくしててくれよな。お~い。こいつら牢屋に入れといてくれ~。ついでにあそこに転がってる文醜と顔良も」

 

「くそっ!」

 

「にゃ~~・・・・・・」

 

やってきた兵士達に縛られ、連れていかれる関羽と張飛(おまけに気絶してる文醜と顔良)

 

「さて。後は・・・・・・」

 

一刀の視線の先には、雪蓮、祭と激闘を繰り広げる夏侯姉妹の姿があった。

 

「姉者!関羽と張飛がやられた!これ以上は・・・・・・」

 

「ならどうする秋蘭!」

 

「・・・・・・戻ろう。華琳様の元へ。せめて華琳様だけでも守り通さなければ」

 

「くっ!」

 

悔しそうに歯噛みしつつ、夏侯惇は夏侯淵と共に曹操軍へ戻っていった。

 

「行っちゃった。久しぶりの熱い勝負だったのに、残念」

 

不満げな雪蓮。

 

「残念がっている場合ではありませんぞ策殿」

 

「そうそう。早いところ袁紹軍蹴散らして、冥琳たちの所へ行かないと」

 

「分かってるわよ。それじゃ、行くわよみんな!」

 

「「おう!」」

 

「・・・・・・敵は、潰す」

 

前衛の将達がいなくなった今、袁紹軍に彼女たちを止める術は残っていなかった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「袁紹様!劉備軍の関羽、張飛、さらに文醜、顔良将軍の四名が捕縛され、夏侯惇、夏侯淵将軍は敗走しました!」

 

「呂布の突進が止められません!中央が突破されていきます!」

 

「裏切った孫策達が敵の左翼に加わっているようです!抑えきれません!」

 

「張遼率いる敵右翼に突破されました!我が軍の後背に回り込もうとしているようです!」

 

「よくも・・・・・・よくも・・・・・・」

 

次々と届く凶報に、袁紹は顔を歪めていた。

 

その怒りの矛先は、全て裏切った袁術たちに向けられていた。

 

彼女らが裏切らなければ・・・・・・と。

 

その考えは決して間違ってはいなかったが、今、袁紹がやるべきは裏切者に怨恨を向ける事ではなく、この状況をいかに切り抜けるかであろう。

 

しかし、そのような負の感情が力になる事もあるのだ。

 

「袁紹様!ご指示を!」

 

部下からの声に、袁紹はこう答えた。

 

「・・・・・・前進なさい」

 

「はっ!?し、しかし袁紹様。我が軍は完全に押されています。前進はおろか、敵の攻撃に耐える事すら・・・・・・」

 

「前進なさい。ただし、後ろに向かって」

 

「は?後ろに・・・・・・ですか?」

 

「このまま董卓軍と戦っても勝てないでしょう?なら華琳さんたちと合流して、まず裏切者の袁術を倒すのです。」

 

「し、しかし・・・・・・」

 

「分かったならさっさと行動なさい!」

 

「は・・・・・・はっ!」

 

 

 

 

「このまま終わらせて、なるものですか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

長らく間を空けた投稿、もう何度目でしょうか?

 

この話も去年に大半出来ていたのに、納得がいかないとさんざん考えた結果、細かい修正をしただけだったという。

 

せめて完結だけはさせたいものです。

 

では、また次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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