真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ
第14席 反董卓連合 前編のこと。
-祭さんside-
北郷が兵を持って早1ヶ月。
なかなか面白い話を小耳に挟んだ。
『我々の常識では考えつかぬ』
と。
酒の摘みに見物しようかと企む。
その話を聞いて策殿が北郷と模擬戦をやると言い出して聞かんようじゃ
祭 「して冥琳よ。策殿の隊と一刀の隊でやるのか?」
仕事の合間に東屋で茶をすすりながら聞く。
かく言うわしも一戦交えたいのは山々なんじゃが、なかなか都合が付けれん。
目の前で茶をすする軍師殿の仕業じゃろうが・・・
冥琳 「本人達もそれを望んでいるようですし、成果を見るにはいい機会かと。」
湯呑みを下ろしながら言う。
権殿あたりでもよいのではないのか?・・・・
策殿が相手では戦にならん気がしてならん。
祭 「成果を見る前に終わらなければいいがの」
そう言って席を立つと建屋の中に戻ってゆく。
めずらしく仕事をする気になってしもうた。
祭 「これはうかうかしおれぬな」
誰にも聞こえない小さな呟きを残し兵舎へと足を運ぶ。
-翔蓮side-
一刀が一度隊の実力を試したいと言い出して早数日。
雪蓮の方もサボりはいつものことだが、今日の為に珍しく都合を付けていた。
眼下では模擬戦が繰り広げられているのだが
蓮華 「これは一体・・・・・」
城壁の上から見物していた蓮華はその光景に言葉を漏らさずには居られない様子。
そう思うのは当然のことね。
わずか2ヶ月足らずで800の新兵が見事なまでに応戦しているのだから。
翔蓮 「珍しくあの雪蓮が苦戦してるじゃない。今夜の酒はおいしそうね」
久しぶりにおいしい酒が飲めるのが楽しみである。
翔蓮 「悪いけど、後でどうなったか教えてくれる?冥琳」
街に用があるので最後まで見れないのが心残りね
少々残念だけれどどうしても外せない用だから仕方ない
冥琳 「はっ。ではお気をつけて。」
最後に見た光景はもう雪蓮の隊がばらばらになっていた。
「あーっはっは!」
「あんな負け方をするとはのぉ」
「少々油断が過ぎたな」
「最後の最後で残念でしたねぇ・・・」
結果としては一刀の方が負けた。
雪蓮は勝つには勝ったが、理由がまぁ娘らしくて笑いが止まらなかった。
『負けるのが嫌でヤケクソになった総大将自らが先陣切って特攻』したのだ。
護衛の兵が追いつけないほどの速度で。
冥琳 「まあ落ち込むな一刀。アレをよく知らん者が理解できるわけがない」
一国の王をアレ扱いもいつものこと。
娘が唯一心を許した親友なのだから当然のことかも知れないけれど、知らない者からすると主従関係が完全に逆転してしまっている。
一刀 「それにしても酷くないか?総大将自ら先陣切って、それもほぼ単騎で本陣まで一直線て」
あの子の性格を知らなければ・・・・いえ。知っていたとして、自分達の総大将にそれをされると肝を冷やすものね
それよりも初陣であそこまで雪蓮の部隊を追い詰められたことに驚き隠し切れない。
翔蓮 「それでも新兵が多い隊で練度の高い雪蓮たちを相手にあそこまで戦えたことの方が驚きよ。」
皆が驚きを隠せず口にするが、当の本人は不満な様子。
あと少しで勝利が目に見えていただけあって気持ちは痛いほど分かる。
だがこの敗北から学べること、次に活かせることが得られれば今は負けてもいいと思っている。
一刀 「そう言ってしまえば終わりだが、本当の戦だったらと思うとな・・・・」
確かに本当の戦ともなれば負けは最悪は自身の死を意味する。
だけれども、失敗できるときに失敗しておくのと、それができなくなってからとでは意味もその先も全く違う。
翔蓮 「その意識があるのならまだまだ強くなれるから大丈夫よ。精進なさい?」
今はまだ伝えないけれど、私たちは孫の旗で天下を取りたいわけじゃない。
民はもちろん、将や兵の皆が本当の笑顔で過ごせる国にしたい。
それが私の悲願であり、今は雪蓮が先導しているもの。
その為なら何でもする覚悟を決めたのだから。
その夜の酒がとびきり美味しかったのは言うまでもないだろう。
-雪蓮side-
数日前の模擬戦から一転。
状況としては最悪。
雪蓮 「なんなのよこれ・・・・・」
本当にどういうつもりかしら。
目の前の卓上には一枚の紙切れ
袁紹から送りつけられてきた檄文の一枚。というかこれ一枚。
『董卓が洛陽を占領してるから叩き潰しましょう!』
みたいな。
要約したわけじゃなくて、文字も字数もそのままで
冥琳 「確かに私も読んだ時には拍子抜けしたのだけれど、何かありそうなのよ」
私も同じことを感じていた
雪蓮 「あの
勘がほとんどな私が言うのもなんだけど
ましてやあの袁術の従妹ともなると勘どころの話じゃないわよね
蓮華 「・・・・姉様の口からそんな言葉が聞ける日が来るとは思いませんでした」
左のほうから蓮華の一言。
周りを見ると穏や思春、一刀までもが揃って目をそらした
雪蓮 「失礼ね!私だって頭は使ってるわよ」
今度は皆から痛い視線が・・・・
その視線の先には母様も増えていた
翔蓮 「でも仕方がないんじゃないかしら?なにか裏あったとしても私は出ておくべきだと思うのだけれど」
母様も同じことを考えているのね。
皆を見回しても真剣に先のことを見据えているのがわかる
袁術から独立(?)してさぁ自国の強化って時にこんなことをされるとホント参るわ。
と、考えていたら一刀が口を開いた。
一刀 「出るだけ出るのも一手・・・だとは思うが、どう思う?冥琳、穏」
ちょっと考えがわからないんだけど。
蓮華 「出るだけ?いったいどういう意味だ?」
私が勘を使って役にt(この部分は切り落とされました)考えていたら蓮華のほうが先に問いかけた。
出るだけ出る・・・
冥琳 「なるほどな。要はもし
なるほどね。おいしい所を掠め取っちゃおうと。
一刀って何気に腹黒い所あるわね。
穏 「そうですねぇ・・・。私としては賛成なのですが、何分兵力に問題がありましてぇ・・・」
穏も賛成らしいが全員が懸念する問題を提示してくれる
めんどくさいったらありゃしないわね。
ここは冥琳に全部まるな――――――――
冥琳 「先に言っておくが行くのはお前だぞ?雪蓮。」
どうして軍師ってこう人の考えてることをそのまま先読みしてくれるのかしら
いいですよーだと言わんばかりに口を尖らせる
一刀が苦笑いし、他の皆は『いつもの光景』とばかりに問題だけを考えていた。
一刀 「何れにしても事実かどうか確かめる必要がありそうだな」
なんてやり取りをしていると一刀が一言。
一番めんどくさいけどやらなきゃいけない事実かどうかの調査であって、実行に移すかの決断よりも難しい事。
冥琳 「そうなるな。幼平、その件は任せられるか?」
無難な布陣ね。
隠密に長けた精鋭部隊でより正確な情報が得られる。
明命 「はいっ」
一つ返事をすると明命は姿を消した。
だんだんと策や必要物資、戦力などが決まりつつあった頃
一刀 「なぁ、冥琳。皆。ちょっと聞きたい。」
突然一刀が切り出した。
冥琳 「なんだ?いい策でも思い浮かんだのか?」
蓮華 「いきなりどうしたのだ?」
ほぼ二人の言葉が重なり全員の視線が一刀に集まる。
一刀 「あまりいい話ではないんだけど、使い方次第ではよくもなるんだが・・・」
もったいぶってないで言いなさいよ。
そう思っていると少々渋い顔になった一刀の視線がこちらに向く。
一刀 「その・・・怒らないでくれるか?」
怒る?なににかしら。
蓮華 「なにか後ろめたい事でもあるのか?」
冥琳は小さくため息をついてるし、蓮華は完全に首をかしげている。
穏 「策を示したのにそれに対して怒るというのは一体・・・?」
そうよね?
いい案なら私は賛成なのだけれど。
冥琳 「言いたいことはなんとなくわかった。いいだろう((雪蓮|コレ))は私が黙らせよう。言うがいいさ」
うわー。さらっとコレ扱いな上に怒る前提の内容なのね
雪蓮 「ヒドイわねー。そう簡単に怒らないわよ」
私だって怒りたくて怒っているわけじゃないもの
事と次第によっては。だけど。
一刀 「・・・・・・じゃあ言うよ。美羽・・・・袁術を使おう。」
・・・・・・・・はい?
今何て言った?袁術?あのガキンチョを使う?
雪蓮 「ねぇ一刀?聞き間違いかしら?」
聞き間違えであって欲しいのだけれど。
気になったのは他の皆が驚いていないこと。
一刀 「いや、間違えていない。美羽を使う。うまく行けばかなり有利にことが進みそうなんだ」
ねぇガキンチョの真名まで知ってるってどういうことよ。
なんであのガキンチョが生きてるのよ。
蓮華 「確かに使い方を間違えなければ大きな武器にはなるとは思うが・・・・」
蓮華も生きていたことを知っていたのね。
斬ったんじゃなかったのかしら
冥琳 「お前は黙っていろ(ギロリ」
殺気立っていたら冥琳に睨まれた。
そりゃ殺気立つわよ。散々人を馬鹿にして私たちを苦しめた元凶なんだもの
一刀 「気持ちは分かる。だが今目の前に使えるものがあって使わない選択肢があるか?」
痛いところを突くわね・・・
冥琳が軍師にしたいって言う理由が分かる気がするわ
冥琳 「そういうことだ。お前には黙っていたが、あの二人は今郊外で一刀の監視付で保護している」
してやられた。
冥琳が知っているってことは母様や穏も知っているということ。
穏 「ちょっと早いかも知れませんが使うしかなさそうですねぇ」
もう殺気どころかやる気すら持っていかれた気がするわね。
あれでしょ?敵を欺くには味方からだったかしら
一刀 「七乃には留守の間ここの政務を押し付ける。二人の安全を保障する代償なら安いものだろう?」
相変わらず腹黒いわね・・・
要は『死にたくなかったら帰るまで街の情勢を保て』でしょ?
それをたった一人に押し付けるって
冥琳 「なに。代償と言っても名目さ。袁術さえ近くに置かなければ悪事を働かんことは報告を受けている」
つまり袁術の悪ふざけに拍車かけてただけってこと?
そういえばあそこって二人でやりくりしてたんだっけ。
で、片方の袁術が何もできないお馬鹿さんてことは、張勲の方はそれなりの実力ってこと?
冥琳 「そういうことだ。この件に関してはお前の反対は受けん。そもそも我々に選り好みできる贅沢があると思うな」
そうね。今は嫌いだからなんて贅沢言ってられるような状況じゃないわね
翔蓮 「はぁ・・・。いいわよ。でも条件くらい出させなさいよ?」
贅沢も言えないけど邪魔されるのはもっと勘弁だからね
冥琳 「わかっているさ。邪魔をするようならその場で斬ると言っておく」
さすが冥琳♪分かってるじゃない
ちょっと楽しみができたからあとは明命次第ね。
一刀 「じゃ俺は美羽たちに話をつけてくるよ。」
そういって一刀は出て行った
洛陽の暴政は何か裏があるような気がしてならないのよね。
よくも悪くも勘が警戒しろと言っている
翔蓮 「話も纏まってきたことだし今日は解散にしましょうか。皆それぞれの役割をしっかり頼むわね」
母様が解散を告げるとそれぞれ自分の仕事に戻った。
あとがき
皆さんこんにちは、こんばんは、おやすみなさい(寝るな)
どうもお久しぶりです。霧龍です。
あとがきの形式もかわってしまいましたね・・・
第14席いかがだったでしょうか?
初めての投稿から7年、前回の投稿がもう4年前なんですね。
時間ってホント過ぎるの早いです。
ちょっと前にクソ忙しかったダークグレーな会社からほぼ白い会社に転職したのですが
親元を離れ独立してしまいなかなか時間が取れない状況でなんとか書き進めました。
書いているとやっぱりギャグ要素を取り入れたくなってしまいます。
これからは遠慮の欠片もなくギャグもぶち込んでいこうかと悩んでいますが、執筆が追いつくかと自分のギャグセンスが心配です(苦笑)
自分でストーリー思い出すために読み返さないといけないくらい忘れてます。
言葉使いとか視点移動も少々変わってしまっているかも知れませんが何卒ご容赦ください。
誤字脱字はどしどし指摘してくださいwww
気長にお待ちいただけると嬉しく思います。
また次の更新は不明ですが、がんばって書き進めたいと思います。
では、あとがきはこれくらいにして次回予告で〆たいと思います。
次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第15席 お楽しみに~
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真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ
第14席 反董卓連合 前編 のこと。
待っていただいていた方々、大変長らくお待たせいたしました!
やっと投稿できましたのでゆっくり読んでくださいませ