アークがミカエルに倒されてしまった世界。ナタは左半身が麻痺してしまったので、まともに歩けなくなっていました。病院の窓から外を見ながら過ごしています。
「回復魔法をかけても治らないし、麻痺治癒の魔法もなぜか効かない」
「多分、脳にダメージがあるのね。私も医学は少しだけかじってるの」
「こんなところにずっといてもつまんない!」
フラウが買って来てくれた雑誌の一部を右手でくしゃくしゃにすると、ゴミ箱に投げ捨ててしまいました。
「アークの悪口が書いてある記事ね。暇つぶしにどうかと思ったんだけど、中身を確認せずに買ってしまったわ。ごめんなさい…」
「おじさんもアークもいなくなっちゃったから何をしても楽しいと感じないよ」
「そうね…。私もアークがいなくなって、心にポッカリ穴が開いたみたいな気分よ」
「アークのファンもみんなアークの歌詞は怖いってインタビューに答えてるし、こいつらがアークの顔だけしか見てなかったんだってわかるね」
「きっと隠れファンはいると思うわ。アークは今、世間を騒がせた時の人になってるから、アークの味方をすればバッシングを受けるもの」
「被害者遺族のインタビューも載ってた。内容を見た感じ、私をいじめてた女子生徒の親だと思うわ、これ?」
別のページをまたくしゃくしゃにしましたが、投げ捨てようとしたナタの手をフラウが止めて尋ねました。
「そこにはなんて書いてあったの?」
「気になるなら読む?」
「これは…!いじめなんてなかったのに、ナターシャちゃんがいじめられたって勘違いしたって書いてあるわね」
「私、別にあの子たちから、いじめられてたなんて、アークには言った事ないんですけど?」
「大勢の人が死んだから、その遺族たちや野次馬根性のある人に売れるような記事を書いているのね」
「私、アークのした事が悪い事だってわかってるんだけど、アークの事嫌いになれないの…」
「私もそうよ?亡くなった方々には悪いと思うんだけど、本当のアークは優しい人だから、誤解だけはしないで欲しいんだけど…」
「いじめで自殺する子は他にもたくさんいるけど、いじめをした子は誰も裁かれてない」
「いじめ対策法案は悪い政策じゃなかったと思うわ。改善点はあるかもしれないけど、ゲイザー様が生きていたらどうやって、この問題点を改善させたのかしら?」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第1話。