ルリはちょっと怒ったように言いました。
「嫌いなところが一つもないはずないでしょ!どこか一つくらいあるはずよ?」
「でも本当にないからなぁ」
「私が何を言っても凹んでないのは気付いてたわ。全部良い方に解釈されて、恐ろしくポジティブだから、うんざりしてたの」
「ポジティブは俺の良いところだろ?ルリが死んでからはポジティブじゃなくなっちまったけどな…」
「ポジティブなんて、ただ単に深く考えられないだけじゃない?こっちは嫌ってるのに本当は嫌われてないはずだ!って思い込まれても…」
「でも妖精のルリは俺の事、本当は好きだったんだよな?」
「それはあんたがポジティブじゃなくなってからでしょ?」
「ルリはポジティブな奴が嫌いなのか?」
「押し付けがましい奴が嫌いなだけよ?ポジティブな人に多いじゃない…」
「確かに俺にはそう言うところがあるかもしれないな」
「私は頭の良い人が好きなの。好きな人がネガティブだっただけで、ネガティブな人が好きってわけではないわ。頭の良い人ほどネガティブ思考になりやすいから」
「確かにネガティブになってから賢くなったような気はするよ」
「過去にあった事を振り返るのがネガティブ思考でしょ?だから同じ過ちを繰り返さなくなるの。ネガティブなのは悪いことばかりじゃないわ」
「ずっと晴れの日が続くと良くないもんな。雨の日があるから野菜も元気に育つって、うちのばーちゃんが言ってた」
「ポジティブ思考だけが良い事だって言ってる人が嫌いなの。何も見えてないだけだから…」
「前を向いて歩くのが良い時もあるし、後ろを振り返って考えるのが良い時もある」
「あんた、本当に変わったわね」
「勇者のオーラのおかげかな?」
…つづく
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処女作の復刻版、第72話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。