ルリは深く溜息を漏らしました。
「そんなわけないでしょ?クレス先生のそばにいたかったら、こんなところまで来て勉強なんかしないわ」
「まさか俺の為にルリは第一級魔術師試験を受けるつもりだったのか。めちゃくちゃ難しい試験なんだよな?」
「第一級魔術師免許があれば大きな病院に勤められる。そこで義手を研究してあんたの右腕を治すの。小さな診療所では出来ない事だから」
「そこまで考えてくれてたなんて…俺、何て言ったら良いかわかんないよ。ありがとう」
「お礼を言うのは私の方。あんたは私がどんなに穢れてしまっても愛し続けてくれたから…」
「ルリは穢れてなんかいない!」
「私が穢れてしまった事を知りながら、変わらずに愛してくれた事を感謝してる。今は穢れてはいないはずなんだけど、あんたから愛される資格があるのか自信がない」
「嫌いになる理由なんて何もないじゃないか」
「妖精のルリがあんたに酷い事を随分と言ってしまったから…」
「何でかなぁ。ルリに酷い事、言われても腹が立たないんだ。妖精のルリはたまにムッとした事があるけど、嫌いにはなれなかったよ」
「今の私はメリッサの魂が同化してるせいかもしれないんだけど、あんたに抱いて欲しくて体が疼くの…」
「ルリからそんな風に迫られたらドキドキしちまうだろ?」
「私は本当はメリッサかもしれないのに愛してくれるの?」
「うーん、複雑な心境ではあるんだけど、ルリはルリだからメリッサでも妖精でも人間でもルリなんだと思う。上手く説明できないけど…」
「愛してるわ、ジン…」
「ルリ…、ずっとこの日が来るのを待ってた」
二人は抱き合って熱い口付けを交わしました。
「私を抱いて…」
「本当に抱いても良いのか?まるで夢を見てるみたいだよ」
…つづく
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処女作の復刻版、第68話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。