市場でマフィンとハムとレタスと卵とバターを買って帰りました。マフィンは横からナイフを入れて、ハムは薄切りにして、手でちぎったレタスと一緒に挟みます。ポーチドエッグを作って、黄色いバターのソースをかけました。
「はい、エッグベネディクト!」
「これこれ、もう一度食べたかったんだ」
「これって本当は朝ごはんに食べるものだと思うんだけど」
「これが食べたかったんだからしょうがないだろう?」
「別にあんたがそれで良いなら構わないんだけど」
食事が終わって寛ぎながら尋ねます。
「ルリはメリッサの記憶もあるって言ってたけど、やっぱりあの時の記憶もあるのか…」
「あの時ってあんたがメリッサを倒した時の記憶かしら?」
「あれはあまりルリには知られたくなかった」
「しょうがないでしょ?あんたもあの時はテンプテーションにかかってたようだったけど、メリッサはあんたの事を気に入ってたみたいね」
「俺はあれが初めてだったんだよ…。本当はルリが良かったんだけど…。でもあれはルリの体だから…。いや!違うのか?訳がわかんなくなって来た…」
「あんたとした時の記憶は残ってるけど…。それまでにした中では、一番良かったわよ」
「メリッサもそう言ってたな…」
「もう一度してみる?」
「えっ、してみるって?何を…」
「メリッサも可哀想な女だったの。自分の体を武器にして、好きでもない男に抱かれて、惚れた男に尽くして、愛されようと努力して、それでも利用されるだけで捨てられて、悪い魔女だと罵られて、そのうち誰も愛せなくなったの」
「ルリにはメリッサの気持ちがわかるのか?」
「ええ、私も似たようなところがあるから共感できるわ。メリッサはあんたを本気で愛していたのよ」
「そうなのか…。でも俺が好きなのはルリだけなんだぜ?」
…つづく
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処女作の復刻版、第66話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。