ルリはドアを一旦閉めてチェーンを外すと開けました。
「とりあえず中に入って?散らかってるけど」
「えっ…、俺が中に入っても良いのか?」
「いつまでもこんなところに突っ立ってられても困るのよ」
中は殺風景でまだ開いてない段ボールも山積みにされています。ルリはベランダで洗濯物を干し始めました。ジンはキッチンの食器を左手だけで洗おうとしますが、上手く出来ませんでした。
「触らないで!割られたら迷惑よ?」
「右腕がないとやっぱり不便だなぁ」
「今、義手についての勉強をしてるから、魔法で本物みたいに動く義手を作ってあげるわ?」
「そんなものが作れるのか?すげぇなぁ」
「まだ実験段階だけど教授たちも協力してくださってるし、私の魔力なら可能だってみんな言ってくれてるの」
「ルリの魔力はそんなにすげぇのか?知らなかった…」
「普通科にいたから計測不能だったみたい。クレス先生はずっと前から気づいてたらしくて、お母さんに私を魔法科に編入させるように、何度も言ってたそうよ?」
「メリッサはすごい魔力だってのはわかるんだが、あの魔剣の威力がヤバかった…」
「メリッサの記憶もなぜか残ってるの。この体は新しく生まれたから前の体とは違うはずなんだけど、メリッサの魂と私の魂は共鳴し合ってたみたいね」
「共鳴するってどう言う事だ?メリッサとルリは全く違うと思うけど」
「私とメリッサは魔力の波動が一致してたの。だから体を奪い取れたってわけ。誰でも体が適合するわけじゃないわ」
「妖精のルリの回復魔法がすげぇのもわかってたよ。怪我してもすぐ治してくれてたからな」
「そうね。回復魔法の成績は十段階中最高の優を取ってる」
「ルリは天才なんだな。凡人の俺とは大違いだよ」
「あんただって剣術に関しては右に出る者がいなかったじゃない?間違いなく剣術の天才だったと思うわ」
…つづく
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処女作の復刻版、第64話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。