休日の朝、ジンはルリの家を訪ねます。ルリはお弁当をこしらえて待っていました。
「東の森の方へ行こうぜ?」
「東の森は危険よ?盗賊団『紅い兄弟』が潜伏してるって、立て札が役所の前にあったじゃない」
「平気、平気!俺がこの剣で紅い兄弟をちょちょいのちょいでやっつけてやるよ?」
「あんたなんかに盗賊団が倒せるわけないでしょ?バカじゃないの!」
「この前の剣術大会観に来てなかったのか?」
「そんなもの観に行ってる暇なんかないの!」
「ひでぇなぁー。絶対観に来てくれってあんなに頼んだのに…」
「私は行かないって何度も言ったと思うんだけど?記憶力が悪いのかしら」
「チッ!こう見えても俺はアカデミーじゃ、女子から結構モテるんだぜ?」
「あっ、そう?じゃあ他の女子とデートしたら良いんじゃない」
「ううっ…ルリも俺の剣捌きを観たら絶対に惚れるはずだ」
ジンはルリに良いところを見せたくて、わざと盗賊団のアジトのある方へ向かっていました。
「この辺でお昼にする?お弁当持って来たから食べましょう。あんたの分もちゃんと作ってあるわよ」
「もしかして、それ…ルリの手作りか?」
「お母さんに手伝ってもらったけど、一緒に作ったの。こっちの下手くそな方が私の作ったやつよ?」
「じゃあ、俺はこっちをもらう」
「下手くそな方が良いの?変わってるわね…」
「ああ…これめちゃくちゃうめぇ!」
「味付けは同じだと思うわ。お母さんの味付けだから美味しいのは当然よ」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第2話です。