アークはフォンの依頼でフラウに用事があったのでマルヴェールに来ていました。フラウの執務室に入ると挨拶を交わします。
「やあ、また会いに来たよ?ちょっと君に聞きたい事があってね。仕事の後に時間があれば、話がしたい」
「今度は声までゲイザー様そっくりになってるわね…。アーク」
「君も僕に会いたかったんじゃないか?いや、僕が君に会いたかった…と言うべきか?」
「ふふ、相変わらずね。最初はあなたのそう言うところが嫌だったのだけど、今はそこが良いところに見えるから不思議だわ」
「僕の良いところはどこだ?参考までに聞かせてくれないか?」
「ストレートに物を言うところかしら?自分に自信があるからだと思うわ。真っ直ぐで素直な性格なのね」
「そうか…。フォン様からの提案書だよ?目を通して判を捺してくれ」
「また、この提案書?経費削減なんて他にいくらでも削れるところはあるでしょ!」
「亡くなった騎士団員の元妻たちは再婚した場合、十万の支援はなくなるようにするだけだ。同じく未婚で子供を持っている者も再婚後は育児手当ての十万を受け取れなくする。今は再婚後は半額の五万を毎月支給しているからな…」
「それをやると女性が再婚しづらくなるだけじゃない?アークからもフォン様を説得してちょうだい。あの石頭には何度言ってもわからないみたい」
「僕もフォン様に賛成だよ?フラウ様のように働く女性たちに意識調査をしたところ、この法案には否定的だった。働かない女性だけを支援している…とね」
「どうして同じ女性が反対派に回るのかしら?自分がその立場にならないとわからないのね」
「あなたは腹が立たないのか?ぐうたらしてるだけで文句しか言わない女たちに…」
「ゲイザー様そっくりなのに言う事は全然違うわね…。ゲイザー様ならこんな時、何て言うかしら?」
「僕にはわからないよ?ゲイザーと話したのは数える程度しかないからな」
「問題点の指摘と改善案を出してくださるわ。それも一つではなくて複数」
「なるほどな、生前のゲイザーの事について詳しく教えてもらいたくてね。今夜、一緒に食事でもどうだい?」
「時間は空けておくわ。定時に迎えに来てちょうだい」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第109話。